暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

酔狂

2017-10-25 | 暗い
ひとりきりで踊っている
床を軋ませ
つま先をたてて
くるくると踊っている

楽しそうに踊っているね、
それだけ踊れたらどれほど
心地よいだろうか

そのことばに手をさしのべても
さいごにはひとりきり
くるくると踊っている

べつにぜんぜん
楽しくはない

踊らなくていいんだよ、
無理して踊るのはつらいだろう
止まっていてもいいんだよ

そのことばに足を止めても
いつしかいつのまにか
くるくる、くるくると

望まぬステップを踏んでいるのに
さぞや楽しそうに見えるのだろう
さぞや優れた踊り子にでも
見えるのだろう

あなたはいいわね、じょうずに踊れて
踊れない人のきもちなんて
わからないのでしょう

そのことばで振り返り
簡単なステップを刻んでいく
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ

楽しくないことなど
誰がやるというのだろう
楽しくもないのに
ひとりきりで踊っている

うしろで指さす人がいる
そうだね、ずいぶんと、滑稽だ
けれどしかたがないじゃないか
踊らざるをえないのだから

踊らねばならないときだとしても
ひとは望まぬことはけしてやらない
望んでいない、望んでなど
けっきょくひとりになるだけで

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