暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

就職しました

2016-01-26 | -2016,2017
幸せな世界を夢見て
泥濘の底よりのぼってまいりました
幸せな世界とははたして
ありとあらゆる負のない世界と
そう皆が口々に言っておりましたので
きっと人々は皆が優しく
きっと幸せに生きられるものだと
そう夢見ておりました

泥濘の底で生まれた、
そこに気付くことができていれば
どこであろうと世界はひとつ
たったひとつでしかないことに

泥をかぶった姿を笑い
洗うためだと口々に言い訳をし
水へ幾度となく突き落とす人々
幸せな世界とははたして
彼らの中にのみ帰結していたようで、
ならば泥の底へ戻ってきた彼らは
なぜああも口々に、
幸せな世界などとのたまうことができたのかと
皹る引き攣れる肌をさすり思うのです

それでもと天上界で暮らしても
幸せになれたことなどただのひとときとしてなく
幾度となく水へ沈められようと
こびりついた泥が落ちないことにさえ憤り
掻きむしり赤らむ姿を見て
人々はよりいっそう笑うのです

ついに泥の中へと逃げて
悲しいほどになつかしい泥濘の底へ戻ったとき、
ここはなんと、
なんと幸せな世界なのか、
そうして間もなく、
天上への憎しみすらおぼえるようになりました

先達のようにわたしは、わたしは
天上にあこがれる泥の子供へ
幸せな世界と教えます
世界とはたったのひとつ
切り離されることのないひとつきりの場所なのですから

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