暇人詩日記

日記のかわりに詩を書いていきます。

恍惚と苦痛

2023-03-14 | あたたかい
あなたの目の前には炎がある。
とても大きく、あかあかと燃えている。
それは愛と名付けられている、
親愛、情愛、恋愛、性愛、友愛、
どのような愛でも構わない。
あなたは本能的にそれを理解しているが、
まだ名付けるには至っていない。

言葉には言霊が宿る。
あなたが炎を愛と名付けた時、
あなたの心に、精神に、魂に、
それは刻みつけられる。
炎は更に燃え上がる。
あなたが炎を愛と名付けた時、
それはあなたが炎に身を投げるのを意味する。
あなたの肉体を薪にして、
炎は更に燃え上がる。
あなたの心を、精神を、魂を、
焼いて焼いて焦がしていく。
恍惚をもたらし、
苦痛をもたらす。

あなたはそれでも名付けるだろうか。
見て見ぬふりをするだろうか。
水をかけてみるだろうか。
それとも砂をかけるだろうか。
別のものを焚べるだろうか。
別の名前を付けるだろうか。
名付けぬまま身を投げるだろうか。
それでも炎は煌々と燃え盛る。
あなたを焼き尽くすまで燃え盛っている。

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