昨夜、突然テレビが不具合となり、修理を依頼したら、明日とのこと、今宵はテレビが見られない、静かな夜です。私はもともとあまりテレビを見ませんが、ニュースだけは必ず見ています。それさえ見られないのはさびしいかと思いきや、意外なことに静で心地よい夜を過ごしています。
テレビが見られないので、晩酌の友に、「きけ わだつみのこえ」をぱらぱらめくっています。これは私が中学生の頃、母から読むように勧められたもので、確かに二十数年前、律儀に読んだ覚えがありますが、今となってはすっかり忘れていました。それを今宵、本棚から取り出したのは、偶然の再会とでも言うべきものでしょう。
内容は、学徒兵の日記や書簡を編纂したものです。
その中身を読んでみると、当時の学徒兵たちの多くが、極めて冷静で、日本の敗戦を予測していたことに驚きます。
海軍にしても陸軍にしても、勝算もなく、負け方さえ考えずに始めた戦ですから、当然といえば当然です。
米国がハルノートなる無謀な要求を突きつけたのが直接のきっかけではありますが、帝国主義国家が乱立する当時にあって、太平洋を隔てた日米が開戦するのは、不可避であったことでしょう。
責めるべきは、勝てないことを知っていて戦を始めた政府と、国民を戦争へと扇動した朝日新聞などのマスコミでしょう。
負けると知っていて、なお、将来の日本が少しでも良く負けるように涼やかに死んでいった学徒兵を思うとき、現代の豊かさを享受する日本が、切なくなるのです。
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