ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

FGM(Female Genital Mutilation)

2011年03月19日 | 思想・学問

  FGM(女性器切除または女子割礼)という習慣がアフリカにあることは知っていましたが、現代のアフリカ諸国はもちろん、欧米に移住したアフリカ系の人々の間でも行われていると知り、驚きました。
 しかも平均して毎日約5,500人の幼女や少女に施術されているとか。

 欧米はこれを女性差別として非難、アフリカ諸国は当初文化儀式であり習慣の違いとして取り上げませんでしたが、近年、差別撤廃の観点から法律で禁止するようになってきたそうです。

 しかし実態は、以前と変わらず行われているとか。

 具体的には、クリトリスのみを切除するタイプ、クリトリスと小陰唇を切除するタイプ、さらにはクリトリスと小陰唇を切除のうえ、排尿用のわずかな隙間を残して膣を縫合してしまうタイプがあるそうです。

 これには、結婚まで処女を保つためとか、女性の性感を弱めて不義密通を防止するとか、そもそも女性器は悪の象徴と信じられているためとか、いろいろな理由が複雑にからんでいるそうです。

 膣を縫合してしまうタイプでは、新婚初夜、夫が無理やりにこれを裂き、ことに及ぶため、新婦は激痛に苦しむか、逃げ帰るしかないそうです。
 しかし無事に済ませられなかった新郎は面目を失うため、なんとしてもこれを成し遂げようとするとか。

 文化的背景はよくわかりませんが、それが長い年月受け継がれてきた伝統だとしても、女性の肉体を傷つけ、不衛生な土地柄から感染症などにかかるリスクもあり、私は改めるべき伝統だと考えます。

 わが国は性に関してはきわめておおらかな国民性ゆえ、女性の性感を高める工夫はしても、弱めようなどと考え付きもしませんでした。
 処女性ということにも、日本人は重きを置いていませんね。
 減るもんじゃなし、腐るもんでもなし。

 米国で生まれたばかりの娘に、アフリカからの移民である母親がFGMを施して、傷害罪で逮捕されたそうです。
 しかし傷害を負わせなければ罪には問われないとか。
 整形外科などの医療施設でそれをやれば違法ではないことになってしまうというので、激論が戦わされましたが、米国では他文化の伝統を重んじるという観点から、規制にはいたっていないそうです。

 伝統というのは守らなければならないものではありますまい。
 かつて神に生贄を捧げるための殺人を犯していたからといって、現代で同じことをするのは許されません。
 FGMも同じこと。
 赤ん坊や幼女、さらには世の女性すべてへの虐待でしかありません。

 女性差別というのはなぜこんなに深く根を張っているのでしょうね。
 人間全員が女性から生まれ、男は女性と夫婦になるのが一般的なのに。

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内海 夏子
集英社

  

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