T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

1126話 [ 「平蔵狩り」を読み終えて -2/3- ] 1/24・日曜(曇)

2016-01-23 15:54:40 | 読書

「刀の錆」 寄場の女から、手先のおりんが聞いた刀剣窃盗・郡兵衛の押し込みを、

       裏の裏をかいて火盗改が捕縛する話

 石川島人足寄場の女置場世話役を務めているおりんが、清澄楼に美於を訪ねて、きな臭い話を聞き込んだとして話をし出した。

 最近、寄場に入ってきたおしのという女は、幼馴染の千代松というやくざ者と駆け落ちして、飯盛り女になり下がり、軽罪で寄場に来た。

 そのおしのが、掴まる数日前に、千代松から寝物語に、盗人の白鳥郡兵衛の一味に誘われていて、その郡兵衛が、刀剣商備前屋進次郎の屋敷への押し込み強盗を企んでいると言うことを聞いたので、千代松が盗人にならぬように、火盗改から備前屋に狙われていると注意してくれというのだ。

 最近、大名や旗本の屋敷が押し込みにあって刀剣が奪われ、犯人が、盗品の刀剣を地元のごろつきに頼み、売り込んでいた。その売込み先の一軒に備前屋という刀剣商があった。しかし、犯人は捕まらずじまいであった。

 火盗改は、美於の話に、おりんを娑婆に出して千代松に逢わせ、押し込みの日取りを聞き出すようにすることになった。

 千代松に逢っておしのが聞き入れた話では、押し込み日は明夜で、備前屋に押し込んだ時、郡兵衛が進次郎を殺すと言っているとのことだった。

 しかし、なぜ進次郎を殺すといったのか、火盗改は、読み解くことができなかった。

 火盗改の小源太は、備前屋の進次郎にその旨を告げ、自分らも店の中で待ち伏せると話すと、進次郎のほうから、私どもが店に居ると邪魔になるだろうから、別宅に逃げておきましょうかと言い、小源太は了解して、別宅までの護衛に同僚の同心・今永仁兵衛を付けることを告げた。

 翌日の暮れ六つごろ、平蔵も堂々と例の深編笠を被って備前屋に入った。(平蔵は店の刀剣展示の様子から備前屋でないこと確信して、郡兵衛一味を騙すために)

 仁兵衛が、暮れ六つ過ぎに備前屋の裏で待っていると、進次郎が出てきた。

 仁兵衛が先に歩き、別宅の近くに行ったとき、後ろの進次郎が郡兵衛に襲われ、悲鳴をあげて倒れ血を流した。  仁兵衛も郡兵衛一味に囲まれ、後ろからぶちのめされた。

 仁兵衛が気がつくと、新堀川を流れる船の中だった。すぐに、進次郎が郡兵衛に斬られたことを知らせた。

 その頃、郡兵衛一味は、刀剣商岡崎屋の土蔵に入っていった。

 郡兵衛の手下が、博奕狂いの岡崎屋の番頭を自分らの賭場に引き入れ、借金させ、その帳消しに、土蔵の鍵の蝋型をとらせたのだ。

 一味が入って後ろを閉めて蝋燭を点けると、中から、おれは火盗改の長谷川平蔵だ。備前屋進次郎こと、白鳥郡兵衛、神妙に致せと、与力・公家憲一郎の落ち着いた声が飛んだ。

 刃向かう郡兵衛は斬殺され、一味全員は捕縛された。

 平蔵の役宅で、平蔵と憲一郎が、種明かしをしていた。

 郡兵衛は、備前屋に化けて世間体を取り繕う仮の姿になり、押し込む先を調べていた。(どこからそのように推理したかが、作品の文章からは不明) 新入りの千代松に押し込む先を明かすことはないと備前屋への押し込みは怪しいと思った。

 押し込みの日、備前屋進次郎から窃盗の郡兵衛になる必要から、小源太にうまく話を運ばせて、裏庭から別宅に避難する途中、仁兵衛の前で、手下が変装した郡兵衛が進次郎こと郡兵衛を斬殺したように見せかけた。その後、血みどろに色づけた郡兵衛が別宅に集まった一味を連れて岡崎屋へ押し込んだ。

 そして、(我々が進次郎と郡兵衛が同一人だと推し測っているかもと見て)、二人の関わりはなかったことを、仁兵衛を通じて知らさせ、(我々を混乱させようと思ったのだ。)

 (岡崎屋への押し込みをどのようにして知り得たのか。別宅へ行く郡兵衛の後を追ったのか? 文章から読み解くことができなかった。)

「仏の玄庵」 表の稼業が駕籠屋の窃盗が、お目見え医師の往診時、

         その大駕籠の底に、押し込みの引き込み役の小男を乗せて、

         その宵に、一味を引き込む窃盗を捕縛する話

 りんは、石川島の人足寄場から放免になった。すぐに、りんは、居酒屋・めぬきやで火盗改の手先、歌吉、小平治、友次郎、美於と顔合わせをした。

 そして、以前勤めていた「しのばす」で働くことになり、ねぐらは昔のように善覚寺になった。

 りんは、ねぐらの近くの賭場で、助六という中間から気になる話を耳にした。

 近頃、米問屋加賀屋と廻船問屋遠州屋に、立て続けに5人ほどの盗賊の押し込みがあり、70両ほどを奪われた。この二つの押し込みに奇妙な符合があった。それは、押し込みのあった昼間、御目見え医師の筒井玄庵の往診を受けていたのだ。

 玄庵の往診は、四枚肩の底に荷物が置ける大きな駕籠に先導役の娘を含む4人の供周りを同道させていた。

 火盗改は、りんの沙汰で、玄庵の往診に目を光らせるよう手先に命じた。

 りんと友次郎が海然寺に入る玄庵の駕籠に出くわした。海然寺の忍戒上人は高利貸で貯め込んでいるとの話だ。

 「めぬきや」で、与力の公家に、手先たちが供周りの素性を報告した。

 男3人は悪い評判はない、女は初音と言い、玄庵と同じ所沢の出身で、これもも悪い評判はないと言う。しかし、初音については、もう少し調べることになった。

 もちろん、玄庵は、仏の玄庵と言われるぐらいだから盗人をはたらく道理はないが、駕籠人足はどうだと公家が問う。人足は、玄庵のところの者でなく、駕籠屋の熊五郎のとこの人足で、その時々で人足が変わるというとのことだった。

 手先の調べで、海然寺はあと2回ほど往診するようなので、交替で寺を見張ることになった。

 その夜、急病人が出て、玄庵の往診駕籠が塗物問屋京屋吉次郎の店に入った。

 美於とりんが、初音の昔のことを所沢まで調べに行き、平蔵の役宅で、皆に報告した。

 初音は両親が早死にし、見世物一座に売られたらしく、小さい時から足が強く器用で、見世物でもそれを売りにしていた。いまの先導役は適役のようだと話した。

 そんなことから、当分は、海然寺と京屋の周辺を夜回りすることになった。

 そこへ、火盗改召捕廻り方の香山利右衛門が知らせに来た。

 利右衛門配下の手先の銀松からのつなぎで、盗賊の灰吹き三五郎が、京屋に今宵九つ半過ぎに押し込みをかけると下知したことが明らかになった。しかし、引き込み役を送り込んだ形跡はないとのことだ。

 銀松は、三五郎一味に潜り込み、動きを探っていたのだ。加賀屋と遠州屋の押し込みは、銀松の沙汰が無かったので、三五郎一味の仕業でないことも分かった。

 三五郎が、押し込む少し前に、仲間の幹部に、加賀屋などと同じく往診した玄庵の駕籠の底に小男を乗せて、店に残してきたのだと言っているのを銀松が聞いた。

 三五郎の話のように、九つ半過ぎに、チビ助が京屋の潜戸を開けて合図をした。

 同じ時刻に、海然寺でも、子供のような人影が潜戸を開けるのが見え、その後、数人が中に入っていった。暫くすると、先ほどの子供のような人影が潜戸から出て行くのが見え、火盗改の手先が後を追った。

 海然寺の盗賊を捕縛すると、窃盗は駕籠熊の熊五郎一味で、加賀屋と遠州屋も自分らと自白した。

 初音は役宅で詮議されていた。

 駕籠熊の熊五郎は、初音が働いていた見世物一座の座長・熊三郎の弟で、熊五郎が駕籠の底に載せるため、初音と一座の子助を貸せと言ってきたのだとのことだ。

 また、熊五郎の詮議で、熊五郎は、昔の雲助の仲間だった三五郎から話があり、引き込み役の裏技を教え、京屋を襲わせることで、自分が海然寺に押し込むことの目くらましにしようとしたことがわかった。

 (作品の中では、京屋へ行った往診駕籠の底には、りんの弟の三吉を潜らせたと、平蔵が話しているが、どの時点で駕籠に乗せたかは書かれていなかった。)

                                                                                                 

                                                      次の短編続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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1125話 [ 「平蔵狩り」を読み終えて -1/3- ] 1/23・土曜(曇)

2016-01-23 13:24:19 | 読書

                                            

[概要]

 2015年の吉川英治文学賞を受賞した逢坂剛氏の長谷川平蔵の捕物推理小説。

 「寄場の女」「刀の錆」「仏の玄庵」「平蔵狩り」「鬼殺し」「法師」の6話短編集。

 それぞれの話は、シリーズ第一弾の前作「平蔵の首」と同様、時系列と登場人物は繋がっているが、短編ごとに、ほぼ独立したストーリーになっている。

[裏ではびこる悪事も決して見逃さない……ハードボイルドの調べにこだわり抜いた逢坂剛版・平成の長谷川平蔵シリーズで待望の第二弾。

 石川島人足寄場、オランダ渡りの禁制の薬、本所の"へいぞう"を父と探す女絵師、……。火盗改・長谷川平蔵ふたたび!! 鬼平ファンに捧ぐハードボイルド時代小説。](アマゾンより)

 各短編の概要は次の通りです。

   ※紺色と黄色の彩色部分は私の補足したところ

「寄場の女」 禁制品のオランダの秘薬を売りさばく寄場下役を、

         火盗改やその手先が探索、捕縛する話

 長谷川平蔵が松平定信に建言し、石川島に設置された人足寄場。

 寄場は、無宿者や軽罪の者を収容し、いろんな手作業を訓練し、正業に立ち返らせるのを旨とした。

 手先の美於は、平蔵の意を汲んで、前作登場の繭玉おりんに差し入れをしていた。

 美於が、いつもの様に猪牙船で寄場につくと、帰り船に乗る人足差配人の丹治が、好色な目で声をかけてきた。素っ気なく応じて寄場の門をくぐった。

 見張り番所から門詰めの寄場下役の九鬼織部が出てくるので、鑑札を見せて用件を告げると、女の改役を呼んでくれる。

 娑婆の女が寄場に入るには、所持品や身体を検分する女の改役がいて、しづという町道場主の妻女がその役目に当たっていた。

 ある日、美於は、火盗改の同心・俵井小源太から、しずの様子を探れと告げㇻた。

 丹治は、その日も、寄場の織部に頼まれて、旗本の久富文五郎へ木箱に入った酒を届け、いつもの革袋を預かって、織部へ渡した。

 文五郎は、2年ほど前、長崎奉行所手付出役の勤務を終え江戸に戻ってきた。

 平蔵の指示で、丹治の後をつけていた小源太と手先の歌吉は、丹治を付けていたしづのことを平蔵に告げた。平蔵から、おまえたちも、付けられていなかったか気を付けろと言われた。

 後日、小源太と歌吉が丹治を付けていると、角を曲がったところで、丹治が、当て身をくらって気を失っていて、懐の革袋は無くなっていた。

 逃げた犯人の浪人者が、居酒屋で待っていたしづに、革袋を渡したところを見た小源太は、しづが、居酒屋を出たところで問い詰めると、革袋を投げて渡した。そこへ武士風の男が割って入り、その隙に、しづは姿を消した。

 小源太が、平蔵に革袋を見せると、開けてみて、これは、「マンドロガ」というオランダの秘薬だと言う。

 織部の妻は、腹に差し込みをもつ病人で、寄場に来る医師の河野道隆に痛み止め薬を処方されていた。しかし、なかなか治らず、幼馴染の文五郎に打ち明けると、長崎のオランダ商館に関わりのあった男が「マンドロガ」という秘薬を大量に持っていて、小出しに売りさばきがっていると言うことを聞いた。

 織部が、医師の道隆に話すと売り裁きを二つ返事で引き受けてもらえることになったので、文五郎から織部を通じて道隆に革袋にいれた薬が渡り、売り上げの金は、酒の入った木箱で逆のルートを辿ることになった。

 織部は、妻に無料で、その秘薬を与えることができるようになった。

 しかし、丹治が浪人に襲われてから、そのルートが途切れたので、織部は、展示が襲われた理由を確かめるため、丹治を囮にして一芝居打つこととにした。

 ある日、織部が丹治の後を付けていると、丹治の前にしづが現れ、革袋を要求した。

 織部がしづを斬ろうとしたときに、割って入った小人目付の土田専之助と名乗る者が、そのほうの罪状は明白、神妙に致せと言う。

 しづは、幼馴染の専之助の手先を務めていたのだ。

 織部は、刃向かったので、助勢した火盗改に切り捨てられた。そして、文五郎は平蔵から目付に渡された。

                                                           

                         次の短編に続く

 

 

 

 

 

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1214話 [ 年金確定申告 ] 1/15・金曜(晴)

2016-01-15 15:12:51 | 日記・エッセイ・コラム

                                                                 

 昨年より少し遅れたが、天気が良かったので、確定申告の用紙を税務署にとりに行った。

 今年はマイナンバーとのリンクをとっていないようだ。

 官庁の中味が見えるようだ。

 総務省とその他の省庁は全然別組織だからなー。

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1213話 [ 池波正太郎の作品 ] 1/13・水曜(曇・雨)

2016-01-12 13:01:11 | 本と雑誌

                                                                                                                 

                                                                            

 まだ、池波正太郎の小説を読んでいなかったのか。

 そうなのです。 

 先月、逢坂剛氏の平蔵シリーズの「平蔵狩り」が吉川英治文学賞を受賞したことから、昔から有名な池波正太郎の「鬼平犯科帳」と比較してみようと、初めて「同(1)」を読んだのです。

 その時に、これもまた、初めて目にしたのです。

 それは、「鬼平犯科帳」では、登場人物の心情・心理を括弧で表現していることです。

 普通は、やり取りの言葉を括弧で表現しているだけです。

 そんなことから、短編集の「同(5)」と長編の「同(22)」を購入しました。

                                                   

 もう1冊の「真田太平記(1)」は、今年のNHK大河ドラマの初回を見て、

歴史好きの私が、主役としての真田一族を、あまりにも知らな過ぎたことから、読む気になりました。

 信長、秀吉、家康の脇役としての幸村についての知識しかありませんでした。

 余談になりますが、子供の頃、漫画でみた猿飛佐助や真田十勇士を思い出します。

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1212話 [ 二人の平蔵捕物帳比較 -4/4- ] 1/12・火曜(曇・晴)

2016-01-11 16:06:50 | 読書

[雑感]

 池波正太郎氏と逢坂剛氏の長谷川平蔵捕物帳を各々1冊(短編数点)を読んでみての内容比較なので、十分な比較はできなかったが、以下、6項目に分類して、特徴を比較してみた。

 なお、両氏は、あとのシリーズの中などで、文体等が変化しているのかどうかも興味があるところなので、逢坂剛の「平蔵狩り」(吉川英治文学賞受賞作品)と池波正太郎の「鬼平犯科帳(2)~(21)」の短編集と「鬼平犯科帳(22)から(24)」の長編から1巻、それに「真田太平記(1)~(12)」を数巻読んでみたいと思っている。

                                                          

1. 池波正太郎は、

  「 (  ) 」を使い、登場人物の心情(気持、考え、感じたこと)を、作品の中に多く表現させている。

  逢坂剛は、

  このような表現は取ってなく、強いて言えば、やり取りの言葉の中で表現している。

2. 池波正太郎は、

  「〔  〕」を使い、固有名詞を表現している。

  逢坂剛は、

  「< >」を使い、固有名詞を表現している。

3. 池波正太郎は、

  密偵・狗、 お盗(ツトメ)・急ぎ盗(バタラキ)・鼡盗(ネズミバタラキ)、 御頭・長官、

  火付盗賊改方・盗賊改方、 という独特の固有名詞を使っている。

  逢坂剛は、

  手先、 お勤め・盗み、 殿さま・殿・頭領、 火盗改方、 

  と池波正太郎が使っていない一般的な名詞を使っている。

4. 池波正太郎は、

  登場人物の生い立ちや、例えば「盗人宿」や「急ぎ盗」の解説、「島田宿」の様子、

  場所の場景、 を詳述している。

  逢坂剛は、

  それらの表現が少ない。

5. 池波正太郎は、

  捕物自体に、そんなに凝った状況を創っていない。 いわゆる〔謎解き〕の捕物帳でない。

  逢坂剛は、

  影武者や替え玉を使ったり、変装したり、盗人一味に平蔵の手先を潜らせたり、

  と捕物に技巧を取り入れている。

6. 池波正太郎は、

  長谷川平蔵を自然体の姿で世間に晒している。

  逢坂剛は、

  長谷川平蔵の顔を見せまいと、外へ出たときは、できる限り深編笠を被せたり、

  めったに、本人が盗賊の詮議をしないとか、世間から顔を隠す構成になっている。

                                                       

  いわゆるキャラクターが違っている。

                                              

                                   終

 

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