[概要]
2015年の吉川英治文学賞を受賞した逢坂剛氏の長谷川平蔵の捕物推理小説。
「寄場の女」「刀の錆」「仏の玄庵」「平蔵狩り」「鬼殺し」「法師」の6話短編集。
それぞれの話は、シリーズ第一弾の前作「平蔵の首」と同様、時系列と登場人物は繋がっているが、短編ごとに、ほぼ独立したストーリーになっている。
[裏ではびこる悪事も決して見逃さない……ハードボイルドの調べにこだわり抜いた逢坂剛版・平成の長谷川平蔵シリーズで待望の第二弾。
石川島人足寄場、オランダ渡りの禁制の薬、本所の"へいぞう"を父と探す女絵師、……。火盗改・長谷川平蔵ふたたび!! 鬼平ファンに捧ぐハードボイルド時代小説。](アマゾンより)
各短編の概要は次の通りです。
※紺色と黄色の彩色部分は私の補足したところ
「寄場の女」 禁制品のオランダの秘薬を売りさばく寄場下役を、
火盗改やその手先が探索、捕縛する話
長谷川平蔵が松平定信に建言し、石川島に設置された人足寄場。
寄場は、無宿者や軽罪の者を収容し、いろんな手作業を訓練し、正業に立ち返らせるのを旨とした。
手先の美於は、平蔵の意を汲んで、前作登場の繭玉おりんに差し入れをしていた。
美於が、いつもの様に猪牙船で寄場につくと、帰り船に乗る人足差配人の丹治が、好色な目で声をかけてきた。素っ気なく応じて寄場の門をくぐった。
見張り番所から門詰めの寄場下役の九鬼織部が出てくるので、鑑札を見せて用件を告げると、女の改役を呼んでくれる。
娑婆の女が寄場に入るには、所持品や身体を検分する女の改役がいて、しづという町道場主の妻女がその役目に当たっていた。
ある日、美於は、火盗改の同心・俵井小源太から、しずの様子を探れと告げㇻた。
丹治は、その日も、寄場の織部に頼まれて、旗本の久富文五郎へ木箱に入った酒を届け、いつもの革袋を預かって、織部へ渡した。
文五郎は、2年ほど前、長崎奉行所手付出役の勤務を終え江戸に戻ってきた。
平蔵の指示で、丹治の後をつけていた小源太と手先の歌吉は、丹治を付けていたしづのことを平蔵に告げた。平蔵から、おまえたちも、付けられていなかったか気を付けろと言われた。
後日、小源太と歌吉が丹治を付けていると、角を曲がったところで、丹治が、当て身をくらって気を失っていて、懐の革袋は無くなっていた。
逃げた犯人の浪人者が、居酒屋で待っていたしづに、革袋を渡したところを見た小源太は、しづが、居酒屋を出たところで問い詰めると、革袋を投げて渡した。そこへ武士風の男が割って入り、その隙に、しづは姿を消した。
小源太が、平蔵に革袋を見せると、開けてみて、これは、「マンドロガ」というオランダの秘薬だと言う。
織部の妻は、腹に差し込みをもつ病人で、寄場に来る医師の河野道隆に痛み止め薬を処方されていた。しかし、なかなか治らず、幼馴染の文五郎に打ち明けると、長崎のオランダ商館に関わりのあった男が「マンドロガ」という秘薬を大量に持っていて、小出しに売りさばきがっていると言うことを聞いた。
織部が、医師の道隆に話すと売り裁きを二つ返事で引き受けてもらえることになったので、文五郎から織部を通じて道隆に革袋にいれた薬が渡り、売り上げの金は、酒の入った木箱で逆のルートを辿ることになった。
織部は、妻に無料で、その秘薬を与えることができるようになった。
しかし、丹治が浪人に襲われてから、そのルートが途切れたので、織部は、展示が襲われた理由を確かめるため、丹治を囮にして一芝居打つこととにした。
ある日、織部が丹治の後を付けていると、丹治の前にしづが現れ、革袋を要求した。
織部がしづを斬ろうとしたときに、割って入った小人目付の土田専之助と名乗る者が、そのほうの罪状は明白、神妙に致せと言う。
しづは、幼馴染の専之助の手先を務めていたのだ。
織部は、刃向かったので、助勢した火盗改に切り捨てられた。そして、文五郎は平蔵から目付に渡された。
次の短編に続く
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