スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

サマーナイトフェスティバル&自由意志と本性

2020-07-13 19:03:41 | 競輪
 いわき平競輪場で行われた昨晩の第16回サマーナイトフェスティバルの決勝。並びは新田‐佐藤の福島,郡司‐内藤の神奈川,松浦‐清水‐岩津の中国で吉沢と稲川は単騎。
 佐藤と清水がスタートを取りにいき,内の佐藤が譲る形で清水が誘導の後ろに。松浦の前受けとなり,4番手に新田。6番手に稲川,7番手に郡司,最後尾に吉沢で周回。残り3周のバックから郡司が上昇開始。内藤の後ろに稲川がスイッチし,吉沢は稲川の後ろに。内に5人,外に4人で残り2周のホームを迎え,郡司が松浦を叩くと,3番手に稲川,4番手に松浦,7番手に吉沢,8番手に新田の一列棒状に。打鐘を迎えて松浦が発進。郡司も抵抗しましたが,叩いた松浦が前に。追いそこねた岩津がホームで内に降りてきて,内藤と接触し,岩津と内藤が落車。清水の後ろに郡司で,その後ろに稲川という隊列に。バックから新田が発進。佐藤がマークしきれずに単騎での捲りとなりましたが,最終コーナーの手前では捲り切って先頭に。清水がその後ろにスイッチし,稲川が郡司を掬って3番手に。新田が優勝のパターンでしたが,直線ではスイッチした清水があっさりと差して逆転優勝。1車身差の2着に新田。2車身差の3着に稲川。
 優勝した山口の清水裕友選手は先月の久留米記念以来の優勝。ビッグは全日本選抜競輪以来の2勝目。このレースは松浦の先行が有力。郡司や新田がそれを捲ることができるのかというのが焦点。新田のスピードは素晴らしかったのですが,佐藤がついていかれず,単騎での捲りになってしまったため,一旦は捲った清水に差し返される形での決着となりました。とはいえ差し返しての1車身差ですから,清水も強かったです。気になるのは松浦の後ろからのレースが多くなっていきている点で,将来的なことまで考えれば,前で戦う方が得策なような気もします。

 スピノザは第一部定理三四で,Deusのpotentiaと神の本性essentiaは同じものであるという主旨のことをいっています。この文言自体は,デカルトRené Descartesにとっても受け入れることができるものです。ただそのとき,デカルトは神の力というのを,神が意志する力と解するけれど,スピノザは神の本性に自由意志voluntas liberaが属することを認めませんから,ここでいわれている力を,神が意志する力と解することはできないという相違があるのです。しかしながらデカルトは,それが自由に意志する力であると解せる限りでは,神の力と神の本性が同じものであるという点には同意できます。いい換えればデカルトの哲学において,神の本性と神の意志は同じものであって,神の意志というのは力という観点からみられる限りで神の本性を示すことになります。これはちょうどスピノザの哲学において,事物の実在性realitasすなわち完全性perfectioというのが力という観点からみられる限りでの事物の本性であるというのと,類比的な関係にあるとみなしてよいでしょう。
                                   
 厳密にいうと,デカルトは神の本性と神の意志が同一であるといういい方はしないのかもしれません。というのも,『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』の第一部定理十七系では,神の意志と神の本性は同一であるというようには記述されず,神の意志と神の本性は理性的見地において区別されると記述されているからです。デカルトが,AとBは理性的見地において区別されるというとき,それが何を意味するのかは僕にははっきりとは分かりません。ですが普通にいってこの区別distinguereは,スピノザの哲学でいうところの理性的区別に該当するでしょう。スピノザの哲学でいう理性的区別とは,文字通りに理性ratioによる区別であって,知性intellectusが事物を十全に認識するcognoscereために役立てるための区別であって,本来的な意味における区別ではありません。他面からいえば,AとBの区別は理性的区別であるという言明が意味するところは,AとBは同一の事物であり,それがある観点からはAとみられ,別の観点からはBとみられるという意味です。最も分かりやすく具体的な事例を用いるなら,第二部定理四九系を援用して,知性と意志の区別は理性的区別であるといっておくのがよいでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする