スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

中野カップレース&真の観念である場合

2020-06-09 19:05:58 | 競輪
 久留米記念の決勝。並びは山本‐岩津の岡山,松浦‐清水の中国,阿竹‐香川の四国,中川‐坂本の九州で野田は単騎。
 岩津がスタートを取って山本の前受け。3番手に中川,5番手に松浦,7番手に阿竹,最後尾に野田で周回。残り3周のバックの出口で阿竹が上昇開始。野田も続き,野田の後ろに松浦がスイッチ。残り2周のホーム,誘導が退避するところで一旦は阿竹が山本の前に出ましたが,山本が突っ張り,バックで先頭を奪い返しました。岩津は離れてしまったのですが,外から追い上げ,山本の番手に入り直して打鐘。3番手に阿竹,5番手に野田,6番手に中川,8番手に松浦という一列棒状に。松浦はすぐに発進。ホームで山本を叩いてかまし先行に。バックでは3番手以下が離れてしまいました。清水は車間を開けて余裕の構え。直線に入ってから踏み込むと松浦を差して優勝。逃げた松浦が半車身差の2着で中国ラインのワンツー。山本の番手の岩津が1車身半差で3着。
 優勝した山口の清水裕友選手は2月の全日本選抜競輪以来の優勝。記念競輪は1月の立川記念以来の5勝目。久留米記念は初優勝。このレースは松浦と清水の脚力がほかに対して上位。そのふたりの連携になりましたから,どちらかの優勝となることが濃厚。かましとはいえ松浦の先行になりましたから,清水には有利になりました。3番手以下が離れてしまいましたから清水にとってはとくに楽だったでしょう。競輪は選手の移動を少なくするため,ビッグ以外は近隣の地区の選手のみの参加になりました。普段はラインを組んでいる選手たちが戦うようになるので,もしかしたら今日のような単調なレースが増えるかもしれません。

 第二部定理一一系では,人間の精神は神の無限知性の一部であるMentem humanam partem esse infiniti intellectus Deiといわれています。第二部定理一五では,人間の精神の形相的有esse formaleはきわめて多くの観念ideaによって組織されているといわれていますが,スピノザは第二部定義七で,多数の個物res singularesによって組織されるひとつの個物があることを認めていますから,人間の精神をひとつの個物としてみることは可能です。いうまでもなく人間の精神は思惟の様態cogitandi modiですから,それは思惟の属性Cogitationis attributumの個物,いい換えれば個物の観念です。この観念の対象ideatumは,第二部定理一三により,その人間の身体humanum corpusです。
                                   
 そこでAという人間がいて,Aの精神が十全な原因causa adaequataとなり,Aの精神のうちにXの観念が生じると仮定してみましょう。人間の知性が円の定義Definitioによって円を概念するconcipereというのは,その具体的な例に該当します。Aの精神は神の無限知性の一部なので,この事象は,Aの精神の本性naturaを構成する限りでの神あるいは神の思惟の属性が十全な原因となって,Aの精神の本性を構成する限りでの神あるいは神の思惟の属性のうちにXの観念が生じると説明されなければなりません。Aの精神が神の無限知性の一部である以上は,Aの精神のうちにあるXの観念もまた神の無限知性の一部であるのは当然です。したがって,Aの精神のうちにこの様式で生じるXの観念は,神の無限知性のうちにあるXの観念と同じであることになります。よって第二部定理三二により,このXの観念は真の観念idea veraであることになるでしょう。無限知性のうちにある場合は真の観念で,同じものが人間の精神のうちにある場合は真の観念ではないというのは不条理だからです。
 Aの精神というのは,Aによって真に認識されることはありません。これは第二部定理二三第二部定理二九から明らかです。人間は第三種の認識cognitio tertii generisをなす場合に,第五部定理二三にいわれる「あるものaliquid」としてそれを認識するcognoscereのが限界です。しかし,人間の精神が神の無限知性の一部である以上は,その真の観念は神の無限知性のうちにあります。このことに注意するなら,Xの観念が真の観念であることは,スピノザが第二部定理四〇証明Demonstratioでいっていることから明らかだといわなければならないでしょう。
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