数あるワイン用ブドウの中で、最も気高い品種と言えるかもしれません。
リースリングです。
ドイツではネクターのような貴腐ワインを産し、アルザスでは辛口でキリッを引き締まったワイン、オーストリーでは更にミネラルを感じさせるスマートなワイン。
南半球のオーストラリアでは酸は保ちながら膨らみのある香りをたたえるワイン、ワシントンではオフドライ=辛くない=薄甘口の優しいワイン。
共通するのは綺麗な酸とスマートな黄色い果実味、ミネラルです。
冷涼な気候と遅い収穫がもたらすものです。
大勢の後ろからゆっくり現れる女優、のようなワイン。
ある年のワイン雑誌で「ワインメーカーズワイン」と称されました。色々なワインの生産者たちが、休息の時に自分のワイン以外に何を飲みたいか、という質問に「リースリング」と答えた人が多かった、という事らしいですね。
そむりえ亭では夏場はアルザスのものを使っていました。先月、今月はワシントンのものです。そして来月はオーストラリア。
お伝えしていた25日のワインメーカーズディナーの主人公=ジェフリーグロセットのワインを使います。先述のワインメーカーたちに質問を投げかけた10数年前、彼のワインが世界を席巻していたのです。
タンニンの効いた赤ワインが流行った時代がありました。今でも、その存在価値はあります。特にそむりえ亭では、それが必要な料理の時には何度も登場します。
が、リースリングのような「綺麗なワイン」にも偶には目を向けてもいいですね。アペリティフにもさっぱりした前菜にも、或いは揚げ物にも良さそうです。
リースリング、綺麗なワインです。