ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

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 樋口誠

ワインの栓

2011年10月16日 04時56分40秒 | ワインの事

ワインというとコルク。コルクといえばワイン。

そんなイメージ、ありますね。

確かに多くのワインはコルクで栓をされています。普通のワインもそうですし、シャンパンの様な発泡性のものもそうです。

昔からよく言われる迷信で「コルクはワインに呼吸をさせる」栓、と言うのがあります。はたして呼吸をするのか?というと違うようです。

むしろ呼吸をさせない為の密封栓としての性質が優れているのがコルク、なのです。

よくある栓では王冠、スクリューキャップなどがありますが、間違いなくコルクの密閉度は高いですね。これは私の経験でも申しあげられます。

しかし、問題はコルクの個体差によって「ブショネ」と呼ばれるワインに不要な風味をつく、言わば劣化を起こさせるTCAという成分があり、約5パーセントのワインが「ブショネ」に侵されていると言われています。

コルクを抜いて香りを嗅いでみてください。何十本に1本の割合でアレッ、と思うような臭い匂いが感じられるはずです。口に含むと喉の奥に嫌な不快感があるはずです。(ほんの少しなら気にならない程度。また飲んでも体には大きな影響はないようです)

これはワインショップに返品しても構いません。但し、証拠のワインは取って置かなくてはなりませんので台所に流していまわない様にして下さいね。

ということで、この20年位の間に色々なコルクに替わる栓が開発されました。ヴィノロックと言われるガラス栓、ステルヴァンというワイン用スクリューキャップ、ゾークと呼ばれるゴム様の栓、ちょっと前はシンセティックコルクと呼ばれる樹脂合成コルクなどが出てきました。

そろそろ取捨選択も進み、ステルヴァン=スクリューキャップを採用しているところが増えたようです。非常に密閉度が高く、熟成させた実験もかなりの時間を費やし、コルクに劣らないことが確認されています。

勿論「伝統」やら「見た目」という観点からコルクの使用が大勢を占めていますが、フランスの有名メーカーも使い始めています。

お客様から、「スクリューキャップになるとワインオープナーでソムリエらしく恰好よく抜けなくなるな」などと言われますが、私は全然気になりません。ワインのブショネがあるより幸せです。生産者も自分の作ったワインの5パーセントが捨てられる、ということの悲惨さに耐えられなくなっていますしね。

また、一般家庭ではスクリューキャップだと飲み残しのボトルに簡単に蓋を出来ます。

何より誰でも簡単に開けられる、というのはワインの普及の最大の味方の様な気がします。

但し、スクリューキャップが万全か、というと必ずしもそうではありません。劣化が認められる時はありますし、密閉が解ける時もあります。

またコルク陣営も黙っていられません。劣化の成分と言われるTCA=トリクロロアニゾルを発見し取り除く方法も進んできたと伝えられているようです。

世の中、全て完璧というものはありませんね。ですが可能な限り万全に近いやり方を採用しているメーカーには拍手を送ってもいいのでは、と思います。ソムリエの世界でもスクリューキャップを支持しない人がいますが、私は大賛成。

皆さんも敬遠せずに応援してあげてください。

ちなみに今月開けているグラスワインの中にも何アイテムかはスクリューキャップである、と言うことを付け加えておきます。