ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

香りを閉じ込める。

2011年09月12日 03時48分34秒 | 食・レシピ

例えば立派な松茸を姿のまま炭火で焼く。いい香りが匂い立ちます。

丸々としたトリュフを目の前で削る。周囲一帯が香りに包まれます。

しかし、いずれの方法でも口にした時、意外なほど香りが少ない、って経験が皆さんあるのではないでしょうか?「焼いてる時の香りは何処に行った?」って。

それもその筈です。キノコ類の香りは菌類ですから、菌糸が飛んでしまえば香らないのは当たり前ですね。そのまま焼いたり、削ったりすると飛びやすい、ですよね。

いや、それがダメとは申しません。たっぷりの松茸があれば、焼いたり、すき焼きにしたり、土瓶蒸しにしたり、松茸ご飯にしたり、と色々したいですものね。

そむりえ亭は決して沢山の在庫をしてタップリ高価なキノコを使える訳ではありません。よって、シェフには「香りを逃すな!!閉じ込めろ!!」と指示しています。

例えばもうすぐ出てくるトリュフはスクランブルエッグにして卵に閉じ込めます。普段のメニューで登場する、よくあるキノコも粉をつけてフリットにする、クリームで煮る、などして閉じ込めます。

たまたま今出ているキノコのマリネは液体に漬け込むことで香りが残っています。或いは地鶏のソースにキノコのデュクセルを使っていますが、これは細かくしたキノコをジックリと水分を出しながら炒めて香りの成分を凝縮して纏わりつかせる様な感じです。

実際、松茸でも土瓶蒸しは確実に香りますし、松茸ご飯も最高ですもんね。

また今は使っていませんがポルチーニなどはフレッシュなものより冷凍のほうが香りが残っていることが多いですね。冷凍することで菌糸が飛散しないから、と思いますが如何でしょうか?

料理人でない私がこういうことを書くのも気が引けますが、秋の味覚の一角を担うキノコ、大事に使いたいですね。

えっ、焼いたりしないのか?って

はい、思う存分あるのなら、それもしてみたいですけどね・・・・

ちなみに貴重なキノコの香りを美味しく頂くには色素の濃い赤は向いていません。

シャルドネやマルサンヌなどの白が第1候補、赤なら熟成して色の褪せた赤でないともったいないと思います。ご参考までに!!