漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

納屋を焼く

2005年04月27日 | 読書録
<本当に怖い小説のアンソロジー:7>

「納屋を焼く」
村上春樹著

村上春樹の初期の短編には、印象的なものが多いと思うが、この作品も例外ではなく、何とも言えない読後感を残す。不穏な気配ばかりが漂い、形を結ばない。平穏な毎日の裏側に潜む「暗い何か」を書き出すのが村上作品の特徴であるが、この作品はまさにそのエッセンスのようなものだろう。
読み飛ばしてしまえばそれで終りだが、立ち止まって考えるととても怖くなってくる、これはそんな作品だ。

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5 コメント

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はじめまして (Mercedes)
2005-05-18 01:10:53
seedsbook様のブログからこちらのブログへたどり着きました。



私はデビューの時からの村上春樹ファンです。彼の初期の頃の短編は好きなものが沢山あります。

この作品も確かに「怖い」お話ですよね。

それを彼独特のさらりとした文章で書いてある所が、またなんともいえなく良いです。

シリアスとジョークの中間あたりをきわどく、しかし、あっさりした感じで書いていて、今も何度も読み返しています。
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Unknown (shigeyuki)
2005-05-18 22:38:12
Mercedesさん、はじめまして。

デビュー時からの村上ファンなんですね。

僕は、ファンになったのが随分遅かったのです。

ノルウェイの森がベストセラーになっているのをみて、「ベストセラーなんてつまらないだろう」と、はじめから読む気がなかったので。

でも、あるとき何の気なしに読み始めた「風の歌を聴け」が、カート・ヴォネガット風で気に入ったので、続いて「僕三部作」を読んで行きました。それ以来のファンです。

でも、実は「スプートニク」以降は読んでいないんです。「海辺のカフカ」も、海外などで評判がいいとは聞いているのですが。
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Unknown (Mercedes)
2005-05-21 21:19:18
shigeyuki様

もう少し春樹本の話をしたくて・・・。



実は私は「ノルウェーの森」の単行本を持っていないのです。

あの凄まじいブームの最中、あの本を書店で手に取ることが出来ませんでした。

文庫で初めて購入した次第です。

それに、私にとって、あの本はトップ3にも入らない。

きっとこれはデビュー当時からの彼のファンとしての良く分からない、(意固地です)心境が

そう言う事を言わせるのでしょう。



私はやはり初期の頃の「世界の終わり・・・」や「中国行きの・・・」が好きです。



「カフカ」は私には主人公がそれ程魅了的に思えませんでした。

しかし、これは無知は私の意見です。

評判が良い、と言う事が”面白い”と言う事だと思います。



これからの記事を楽しみに読ませていただきます。

お邪魔しました。
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Unknown (shigeyuki)
2005-05-21 23:42:12
Mercedes様



 もう少し村上春樹の話をしましょう。



 「ノルウェイの森」のブーム、確かに凄かったですねー。気後れしたというのも、分るような気がします。

 でも、僕はやっぱり「ノルウェイの森」が村上春樹の代表作だと思います。

 「ノルウェイの森」は、初期の三部作をリアリズムの手法で語り直したものだと僕は思いました。処女作以来ずっと物語りの背景に見え隠れしていた「直子」という存在に一度ちゃんと向き合って、区切りをつけようとしたのがこの小説だったという気がします。だからこうしたスタイルが必要だったんでしょう。それに、それまでの作品と多分一番違うのは、「僕」に対する視点の取り方です。それまでは単に超然としたイメージだった「僕」が、この作品では「僕」という人間の嫌な部分もちゃんと描かれているというのが、読んでいて共感できたりもしました。この小説ではまず主人公が「嫌なやつ」というのが基本にあって、それに対して同情、あるいは共感できるかどうかが、好き嫌いの鍵になってくるんじゃないかという気がしました。

 まあ、個人的な感想だし、読んだ時の年齢がちょうどそれくらいでだったから、思い入れが入りやすかったというのもあったのでしょうが



 「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」は、僕がSF小説を読みなれていたせいか、設定自体はそれほど斬新とも感じませんでした。筒井康隆も、時々こうした小説を書いていましたし。ただ、最後にボブ・ディランの歌とともに世界が終わって行くシーンは、凄く印象に残りました。村上春樹は、文章が上手い。いい小説だと思います。

 
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shigeyuki様 (Mercedes)
2005-05-22 19:59:04
 村上春樹の本の話にお付き合い頂いてありがとうございました。

「ノルウェーの森」が人気がある理由には「僕」にリアルな人間性を書き与えたからという事など大変良く分かりました。



この様に説明して頂くと、全体的な村上春樹の小説の流れや分岐点を知る事が出来ます。

私は長く彼の小説を読んでいるのに実は何にも理解していないんですよ。

(お恥ずかしい事ですが・・(^-^) )

でも、これからも彼の小説は読み続けたと思います。



これからの更新、楽しみにしております。
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