以前、カテゴリー「美しい小説」で紹介した長編小説「より大きな希望」の著者、イルゼ・アイヒンガー女史による幻想的な短編集「縛られた男」。ここで紹介する「ポスター」は、その短編集に収められている一編である。
この短編集が素晴らしい一冊であることは間違いない。元の短編がどれも素晴らしいことに加えて、翻訳者が、どうしてもこの本を訳出したかったという気持ちが伝わってくる。ひっそりとした本だが、良い本だと思う。
「ポスター」は、まるで坂口尚の描く漫画のような短編だ。海辺の駅で起こった悲劇を、ほんの一瞬の幻想のように描き出すアイヒンガー女史の筆は、冴え渡っていて言葉が無い。「より大きな希望」でエレンが求めていた「青一色の世界」と、この短編の色彩が、重なり合う。セルリアンブルーとピーコックブルーの彼方。例えばそうした、青い色彩である。
この短編集が素晴らしい一冊であることは間違いない。元の短編がどれも素晴らしいことに加えて、翻訳者が、どうしてもこの本を訳出したかったという気持ちが伝わってくる。ひっそりとした本だが、良い本だと思う。
「ポスター」は、まるで坂口尚の描く漫画のような短編だ。海辺の駅で起こった悲劇を、ほんの一瞬の幻想のように描き出すアイヒンガー女史の筆は、冴え渡っていて言葉が無い。「より大きな希望」でエレンが求めていた「青一色の世界」と、この短編の色彩が、重なり合う。セルリアンブルーとピーコックブルーの彼方。例えばそうした、青い色彩である。