漂着の浜辺から
囁きのような呟き。
 

告白  



「告白」 湊かなえ著 双葉文庫刊

を読む。

 本屋大賞を受賞し、映画も話題になった作品。読む前から、「凄そうな話」だとは思っていたが、いや、なかなか。特にラストは、唖然とした。先生、どこまでも容赦がない。だが、子供を持つ身として、分からないでもない行動だとも思った。こんな目に会ったら、このくらいのことはしたくなるだろうという気がする。それにしても、ぞっとする話だ。あるいはこの小説は、モダンホラーの小説として読むべきなのかもしれない。
 ところで、なぜだろう、読みながら、ちょっと「デスノート」を思い出した。

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「新世界より」上・下巻 貴志祐介著 講談社刊

を読む。

 上下巻合わせて千ページを超える大作だが、読みやすく一息に読める。未来の日本を舞台にした作品で、超能力、特にPKを扱っている。日本SF大賞受賞作だが、SF小説というよりはダーク・ファンタジー小説に近い印象。普段SF小説を読みなれていない人でも入りやすいはず。逆に言えば、SF小説をよく読む人の場合、最後のオチなどは、特に新味はないかもしれない。まあそうだろうなという感じ。だけど、一つの世界を創造しようという試みは、僕は好きだ。


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墓地  



 先日(といっても、もう一週間以上前のことだけれども)娘の高校の文化祭へ出かけた。陸の孤島のような場所にある高校で、どこの駅からも非常にアクセスが悪いのだが、生徒たちは毎日元気よく、皆最寄りの駅から自転車で二十分ほどもかけて通っている。欲目かもしれないが、印象もとてもよい子が多い。みんな明るくて、利発そうだ。軽音部の演奏は、高校生にしては相当上手い方ではなかったかと思う。
 じつは娘の高校の中に入ったのは、これが初めてだった。外から見てもとても小さい学校で、特に校庭の狭さは気の毒なほどだとは思っていたが、実際に中に入ると、その狭さに絶句した。住宅街ならともかく、辺りに敷地がないわけではないのに、どうしてこんなに狭いのだろう。建物自体のずいぶんと古くなっていて、手を入れるべきだとは思ったが、その工事の間の、仮の校舎を作るような場所もない。
 おかしな話だと思うのは、隣にあった会社がなくなって、その跡地がちょうどいい大きさの敷地だったにも関わらず、こっそりと近くの寺社(なんだか怪しい寺社らしい)がその土地を手に入れてしまい、墓地にしようとしていることだ。学校側が土地の買収に動こうとしたときにはもう既に遅く、何を言っても「虎ノ門の弁護士に話せ」の一点張りだという。かつては学校の隣には墓地は作ってはいけないという条例があったらしいのに、それもいつの間にかなくなってしまっているという。周囲の住民も反対はしているようだが、工事は今でも着実に進んでいる。教室の窓から見ると、写真のとおりだ。なんとかならないものだろうかと思う。墓なんて、そんなに作ってどうするつもりなんだろう。

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 その夜は、エドワーズとキニックスがデッキでの見張り当番だった。ダーキンスとペータースはじっと意識不明のまま寝台に横たわっており、諍いの後でラリーが最初に見た時と変わらない、不自然で奇妙な呼吸をしていた。非番のハロルド・ジョーンズはチェストの上に疲れはてた様子で座り、服を脱いで着替えようとさえしなかった。時々彼は、寝台の二人の様子に変化があるかを見ようとして静かに覗き込んでいる「トミー・ダッド」にぼそぼそと囁きかけた。
 しばらく彼らは座って話をしていたが、突然部屋の前の方のドアが少し開いて、キニックスがそっと頭を付きだした。彼は見張りの最初の二時間のタイムキーパーだったが、僅かな隙を伺って、船尾楼の下へと降りてきたのだ。
 「シーッ!」彼は気持ちが昂っている様子で、身振りを交えながら囁きかけた。「あいつら、ジャンボとブラードとコンノートを七点鐘の時に食料倉庫から表に連れ出すつもりだ。それで親指だけ結んでミズン・リギング(後檣索具)に吊るし上げて、交代の一等航海士が呼ばれる前にハンマーで死ぬ寸前まで殴るつもりでいる。海図室の風上舷で船長と二等航海士が話しているのを聞いたんだ」
 その時だった。まさにその瞬間に、ラリー・エドワーズ少年はビーストン船長に対して、彼がウォータールーの戦い(訳注:大敗北のこと。ナポレオンが大敗北した戦いから)に直面しているという事実を突き付けることになるその計画(最初の部分は実質的に、彼がほとんど誰の手も借りないで遂行していた)を思いついたのだった。
 彼はその瞬間から指揮を取った。そしてキニックスには、すぐに船尾楼に戻って何を目にしても案じるなと言った。「ぼくも君も、時間を無駄にはできないんだ」彼はキニックスに言った。そして急いで立ち去らせた。それからまだ服を着ているハロルド・ジョーンズに向き直った。「質問はしないで欲しいんだけど」と彼は言った。「ここから出て、新鮮な水を汲むポンプを運んできてほしい。できるだけ静かにだよ。もし音を立てて気づかれたら、命はないと思う」
 ジョーンズが使いに出てすぐに、エドワーズはランプの炎を少し落として、小さな寝室の前の方の鋼鉄製のドアをくぐって出て行った。数分後に彼はボートの空っぽのウォーター・ブレーカーの一つを持って戻ってきて、それを洗い始めた。洗い終えた頃に、ジョーンズが大急ぎで入ってきて、ポンプは運んだと言った。
 「いいぞ!」と少年は言った。「次はこのブレーカーと寝台の水桶をできるだけ急いでいっぱいにしてくれないかな。だけどポンプでゆっくりやらないと、聞かれるよ」
 続いて彼は自ら船尾へと向かい、影のように素早く、二等航海士の部屋の外からランプ・ルームの鍵の束を盗み出した。その鍵を使って、彼は船の前方部にあるペイント・ロッカーとオイルルームの鍵を開けて中に入り、階段を下りたが、幸運にもそれほど音は立たなかった。下に着くと、探しものを物色して暗い中を歩きまわっていたが、その時甲板長がちょうどメインデッキのそちら側を船首方向に向かって歩いてきた。そして船の揺れに合わせてギコギコと音を立てて開閉しているドアに一発肘打ちを食らわせて止め、おどけてみせた。
 「むかつくドアだぜ!」彼はそう言うと、内側を覗き込んでみることなど思いつきもしないで、ドアを乱暴に閉めた。二等航海士がその夜の施錠を忘れたのだと、単純に考えたのだろう。一分ほど経って、そろそろと用心深くドアが開き、ラリーが頭を突き出して辺りを覗った。やがて利発なその少年は全身を現して、五ガロン入りの灯油の樽をデッキの上に持ち出した。彼はドアに鍵をかけると、最大限の注意を払って、素早く戦利品を船尾の「プレンティス」の寝台へと運んだ。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++

It was Edwards's and Kinniks's watch on deck that night. Darkins and Peters still lay unconscious in their bunks, breathing in the same strange, unnatural fashion that Larry had noticed when he first saw them after the fight. Harold Jones, whose watch below it was, sat wearily on a chest, not even trying to undress and turn in. From time to time he whispered to "Tommy Dodd," who had crept quietly into the berth to see how the two in the bunks were getting on.
For a little while they sat and talked, until suddenly the for'ard door of the house was opened a little and Kinniks pushed his head cautiously into the berth. He was the Timekeeper for the first two hours of that watch, and had just stolen down off the poop for a moment.
'S--sh!" he whispered, with a gesture of nervous excitement. "They're going to have old Jumbo and Bullard and Connaught up out of the lazarerte at seven bells. And they're goin' to tie them up by their thumbs in the mizzen rigging, before the First Mate is called, and hammer them till they're sick. I heard the Old Man and the Second talking about it on the weather side of the chart-house."
It was then, and at that exact moment, that young Larry Edwards had his inspiration of the plan (the first part of which he actually carried out almost unaided) by which he managed literally to show Captain Beeston that he had met his Waterloo.
He took command from that moment; told Kiinniks to get back onto the poop at once, and not to worry whatever he might see. "You'll have to keep my time as well as yours," he told him; and therewith hurried him off. Then he turned to the still-dressed Harold Jones. "Don't ask questions," he said; "but go and get the fresh- water pump shipped, as quiet as you can. If you make a sound they'll hear you, and you'll just get murdered."
As soon as Jones had gone on this errand Edwards turned the lamp a little lower and went out through the for'ard steel door of the little house. He returned in a couple of minutes with one of the boat's empty water-breakers, which he proceeded to wash out. By the time that he had done Jones came in quickly to say that the pump was shipped.
"Right!" said the younger boy. "Now fill this breaker and the berth water-barrel as quick as ever you can; but go slow with the pump, or they'll hear you."
He next went aft himself, as quietly as a shadow, and stole the keys of the lamp-room out of the Second Mate's room. With these he unlocked paint-locker and oil-room, away for'ard, and stepped inside, but, as fate would have it, did not snick it properly. As it fell out, whilst he was routing round in the dark for what he wanted, the Bo'sun happened to walk for'ard on that side of the main-deck, and the door, swinging open with the roll of the ship, caught him a blow on the elbow that set him dancing.
"Curse the door!" he said, and slammed it savagely, without ever thinking to look inside. I suppose be imagined merely that the Second Mate had forgotten to lock it that evening. A minute or so later it was opened ever so cautiously and Larry's head came out to take a survey. Finally the whole of that astute youth emerged, and lifted out onto the deck a five-gallon drum of paraffin. He locked the door, and then swiftly and with infinite care carried his spoils aft to the 'prentices' berth.

"Prentices Mutiny"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Translated by shigeyuki



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 ここでプレンティスたちへの処遇に対する水夫たち(つまり、船首のAB船員たち)の意見を述べておく方がいいだろう。彼らの中には、ある程度の「躾」をするのは良いと考える者もいたし、それは恥ずべき行為だから止めるべきだったと考える者もいた。さらには、プレンティスたちの「身から出た錆」にすぎないと考える者もいた。
 これは水夫たちの態度としては極めて妥当だ。それは船の所有者たちと少年たちとの間に入り込むつもりがなかったからだ。
 やがてビーストン船長は船首楼の上からスチュワード(司厨長)に枷を持ってくるようにと叫んた。枷が運ばれてくると、ジャンボ、ブラード、そしてコンノートの三人の最年長のプレンティスたちは縛られ、二等航海士と甲板長の手で下の食料庫へと運ばれて、手荒に転がされた。このようにして、三人の最も手ごわい少年たちは処分された。他の者たちについて言えば、甲板長にサービング用の木槌で殴られた二人は回復するまで寝台に押し込まれ、その間、キニックスとジョーンズの若い二人のレディ・モーガン号の少年たちは、グリースを塗るためにマストの上に登らされた。
 私は最も手ごわい三人のプレンティスたちはしっかりと足枷をはめられて貯蔵庫に転がされていると述べた。だがそれは余り正確な表現とは言えない。なぜなら皆の中で最も手強い少年は、やがてはっきりとするが、その瞬間には下の船首倉(船首の少し離れた船内)の中でペンキの缶を選別しており、仲間に何が起こっているのか全く知らないでいたのだから。しかし彼はデッキに戻ると、すぐに察知した。
 「お前のお仲間は貯蔵庫に放りこまれちまった。お仕置きだとよ!」水夫の一人がニンマリと笑いながら彼に伝えた。
 「そうだ」別の男が言った。「まあ、おれの見たところ、あの一番若いの二人がよくならなかったと聞いても、驚きゃしないな。怒らせるだけのことをやったから、三人の野獣たちの正当な扱いを受けたんだ。死刑ってわけだな。まさによ!」
 ラリー・エドワーズ(普段は「トミー・ダッド」と呼ばれていた)は、それ以上耳を貸すことなく、船尾を目指して走った。そこで彼が目にしたものは、先ほどの水夫の言葉で彼が脳裏に描いた、惨憺たる有様そのものだった。ダーキンズとペータースはまだ気を失ったまま横たわっており、奇妙な息をしながら少しゼイゼイと喘いでいた。ラリーは船尾のブレークの下にあるサロンの戸口から中に入るとスチュワードを探した。彼は食料庫にいた。
 「スチュワード」彼は言った。「ダーキンズとペータスのために来てくれない?ぼくが下の倉庫でいる間、あのケダモノたちは二人を外に転がしたままにしてた。あんまりだ」
 「静かにしろ!」スチュワードは手で制しながら囁いた。「船長がサロンに座っているから、おれはまだ行ってねえんだ。ちょうど様子を見に行こうとしていたんだが、船長がおれの姿を見つけて、「放っておけ、じゃなきゃお前も同じ目に合うぞ」って言いやがる。あいつは心底、歯をむき出しにした酔っぱらいの野獣そのものだ。だが、船長がキャビンに入って横になったら、行くつもりだ」
 「スチュワード」トミーは極めて率直に言った。「ダーキンズとペータースは、何とかしてあげなきゃ死ぬだろうとぼくは思う。すぐに行ってよ。そうじゃきゃ、ぼくたちが国に戻ったときには殺人裁判があるだろうし、あなたは分が悪くなるんじゃないかな」
 その言葉に怖気付いたスチュワードは、たっぷりとためらった後で、食料庫を出ると狭い通路を抜けて船尾楼の下の戸口から出て、そこで彼は船尾楼の上の二等航海士の歩調音が船尾方向へと遠ざかるのを待った。それから彼は船首方向のミズンハッチへと、文字通り飛んでいった。小さな鋼鉄製の後部デッキの小部屋の中には、プレンティスたちがいた。
 「ドアを閉めろ」彼はエドワードに囁いた。「さもなきゃ見つかるぞ」それから彼は少年の寝台のカーテンを脇に引いて、彼らの状態を調べた。
 「酷え!これは酷えぜ!」彼はため息をつくように言った。「思ったとおり、死にかけてる。おれじゃ何もできねえ。甲板長がやったんだ。おれにはあいつを真っ当な人間にすることなんてできねえぜ!」
 ずっと話をしながら、彼は最初の少年の頭を調べ、それからもう一人を調べた。
 「酷え殴られ方なのは間違いねえな」と彼は言った。「チャンスを窺って、おれは湯の用意をして、包帯を持ってくる。もしとっ捕まったら、坊主、おれはあの世行きだろうな」だが彼はなんとかやり遂げて、最後には無理矢理に少量のブランデーを少年の喉に流し込んだ。だがブランデーは口の端からだらだらと流れ出し、息にはゴボゴボという音が混ざった。怖くなったスチュワードは手を止めて、それ以上試そうとはせずに、自分にできることはここまでだと言い切った。
 「おれたちに今できることといったら、そっとしておいてやることくれぇしかねえ」彼は言った。「もしこいつらが死んだら、それは――甲板長が正しかったなんてことにゃなりゃしねえにしてもよ、おれにはショックだぜ!」そうしてさらりと心情を吐露しながら、ことの発端がどういうものだったのか、その経緯をラリーに伝えた後で、彼は立ち去った。

+++++++++++++++++++

I had better state here that the opinions of the men (i.e., the A.B.'s for'ard in the fo'c'sle) upon the treatment accorded the 'prentices was divided, some holding that it did boys good to be "handled" a bit, others that it was a shame and ought to be stopped; others, again, thought that the 'prentices were "uppish," and got no more than they deserved.
This, I think, gives very fairly the attitudes of the men, and the reason why there was no attempt to interfere between the after-guard and the lads.
Meanwhile, up on the poop Captain Beeston was shouting to the Steward to bring up the irons. When these were brought, Jumbo, Bullard, and Connaught, the three biggest 'prentices, were trussed up, after which the Second Mate and the Bo'sun carried them down into the pantry and fairly tumbled them into the lazarette. In this way the three most formidable lads were disposed of. Of the others, the two who had been hit by the Bo'sun's serving mallet were put into their bunks to recover, whilst Kinniks and Jones, the two young Lady Morgan apprentices, were sent aloft to grease down.
I have said that the three most formidable 'prentices were down in the lazarette securely in irons; but in this I am hardly correct, for the most formidable lad of the lot, as events proved, was at that moment down in the fore-peak (away up in the bows of the ship) routing out paint-drums, and sublimely unconscious of what had just happened to his berth-mates. When he came on deck, however, he was speedily learned.
"Your mates 'ave bin gettin what-for, my son!" one of the men informed him, grinning.
"Yes," said another; "and from what I saw I shouldn't be surprised to hear that them two young'uns won't get better. There'll be the deuce to pay then, an' serve them three big brutes right. It'll mean hangin'; that's what it'll mean!"
Larry Edwards (generally called "Tommy Dodd") waited for nothing more, but raced aft, where he found things quite as bad as the men had pictured to him. Darkins and Peters still lay senseless in their bunks, breathing with queer little gasps. He ran in through the saloon doorway, under the break of the poop, for the Steward, and found him in his pantry.
"Steward," he said, "have you been to Darkins and Peters? Those brutes have laid them out while I was down the fore-peak, and they look awful bad."
"Hush!" whispered the Steward, holding up his hand. "The Old Man's sittin' in the saloon, an' I darsent come yet. I was goin' to have a look at 'em just now, but he saw me, an' told me to let 'em he, or he'd put me the same way. He's just rampin', the drunken old brute. But I'll come the minute he goes into his cabin to lie down."
"Steward," said Tommy, very earnestly, "Darkins and Peters are going to die, I believe, unless something's done. You've got to come, or there'll be a murder trial when we get home, and you'll show up pretty bad."
This frightened the Steward, and, after much hesitation, he slipped out of his pantry, along the alley-way, out through the doorway under the poop, and there waited until he heard the Second Mate's footsteps going aft in his continual pacing of the poop overhead; then he literally darted for'ard, round the mizzen hatch, and into the small steel after-deckhouse, where the 'prentices lived.
"Shut the door," he whispered to Edwards, "or they'll see us." When this was done he drew aside the curtains of the boys' bunks and looked at the damaged youngsters.
"My word! My word!" he said, drawing in his breath. "They'll die, sure enough. I can't do nothin' for 'em. It's the Bo'sun did this. I wouldn't be him for the Mint!"
All the time that he talked he was examining first one boy's head and then the other.
"They've sure had a terrible bashing," he muttered. "I'll watch my chance and bring some stuff along to bath 'em, an bind 'em up. If I'm caught, sonny, I shall be massacred." Yet he managed it, and finally tried to force a little brandy down the boys' throats; but the stuff dribbled helplessly away out of the corners of their mouths and brought a bubbling sound into their breathing that frightened the old Steward so that he stopped, declaring that he had done all he could, and dared try no experiments.
"Just leave 'em be is all we can do now," he said. "If they dies, they dies ―― an' blow me if it won't serve the Bo'sun right!" With that brief sentiment he left them, after having given Larry a brief outline of how the trouble had originated.

"Prentices Mutiny"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Translated by shigeyuki



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「蒲生邸事件」 宮部みゆき著 文春文庫

を読む。

 タイムトラベルと二・二六事件を絡めた小説で、日本SF大賞を受賞している。著者が物語を書くことに手馴れているため、余計なことを考えずに物語を追っている限り、最後まで面白く読める。「面白いよ。読んでみれば?」と勧めることもできる。けれども、一度いろいろなことが気になりだすと、矛盾やあらがざくざくと見えてきて、興ざめになる。どうしてこれがSF大賞を取ったのだろう?そう思うSFファンも多いんじゃないかと思う。タイムトラベルやタイムパラドックスに関しての設定が、余りにもメチャクチャで、唖然としてしまったのが第一の理由。登場人物の行動の動機が余りにも意味不明なのが第二の理由。東条英機を実際には存在しないタイムトラベラーと比較して、「ズルはしなかった」という理由で認めるような記述があることが第三の理由。面白いことは面白いんだけれど、好きにはなれない小説だった。

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 最年長のプレンティスの名前はワイクリフと言ったが、図体が大きく、そのせいでのっそりとしていて、人に対してとても気さくだったから、寝室ではいつもジャンボと呼ばれていた。実際、彼は稀に見るほど屈強な十九歳の若者で、個人的には、これまでのところ手荒な慣習には遭わないで来ていた。次に年長の少年であるブラードもまた――強くてがっしりとした体躯の青年だった。
 この二人の青年たちは話し合い、プレンティスたちみんなにドッグ・ワッチ(訳注:折半直。16~18時または18~20時の2時間交替の折半直; 16時より20時までの当直は2時間ずつに折半して行なうので、この間の当直をいう)の時間に「グローリー・ホール(栄光の穴)」(プレンティスたちの寝室)での会合を呼びかけると、そこで皆に、「自分たちは次に誰かが酷い扱いを受けたらそいつの側に立つことにした。誰かが虐待されたときにはいつでも互いに庇い合うほうがいい」と語った。ジャンボはその計画について、例えば「非番のときにも詰めるように強いられるといった些細ないじめの行動には耐えるべきで、殴る蹴るといった――今では日常的に行われつつある実際的な行動に対してに限られる」というような提案はしないとした。
 この決定と同盟の結果として、そのすぐ翌朝の見張りの時に、船尾楼の上で、船長と二等航海、それに甲板長が一方の側に、七人のプレンティスが他方に立って、大きな諍いが持ち上がった。
 諍いが起きた原因は、二等航海士が通りがかりに若いキニックスの耳を掴んで、船尾楼の片方の端から反対の端まで移動しながら何度も重いシーブーツで蹴りを食らわせ続けたためだった。キニックスは同盟を思い出して助けを呼んだ。すぐに見張りについていた二人のプレンティスが船尾楼に飛んできて、まず最初に何が起きているかを非番の四人に大声で知らせたところ、ちょうど姿を見せるところだった。彼らもまた皆のいる所へと、眠そうな顔をしたジャンボを集団の先頭にして、パジャマのままで集まってきた。目の前の二等航海士は、何が起こっているのかをはっきりと察知した。キニックスは彼のもとから引き離され、代わりにジャンボと向き合うことになった。
 「我々は抗議します、サー」彼は言った。「このような不当な扱いと暴力、その両方に対して」
 二等航海士は言葉を失った。そして一言も発することなく、あらん限りの力でジャンボを殴り、前歯を折って、彼をデッキの上にのしてしまった。続いて他のプレンティスたちに向き直ると、罵りの言葉を吐きながら、同時に船長ビーストン、そして甲板長のスキーフスの名前を叫んだ。少年たちは粘り強く戦ったから、もしビーストン船長と甲板長が援軍に来なければ、ヘンリックセンはボコボコにされていただろう。その時、甲板長はフット・ロープ(足場綱)をサービング(訳注:鋼索類などの損傷を防止するために、撚り目などに細い索を巻き付けること)している最中だったが、ずっしりとしたチーク材のサービング用木槌を持って、船尾楼へと駈け上がってきた。その道具で、彼はもう少しでダーキンスとペータースという年少の少年たち二人を殺すところだった。そして一分もしないうちに、七人の少年たちはみんな三人の男たちから気絶するまで殴られ、容赦のない蹴りをくらわされ、完膚なきまでの敗北を喫した。

++++++++++++++++++++++++++++++

The name of the senior apprentice was Wyckliffe, but he was always called Jumbo in the berth, on account of his size, and be- cause of his big, slow, good-humoured way of going about things. He was really an exceptionally powerful young man of nineteen, and had so far escaped any personal experience of rough usage, as had also Bullard, the next oldest lad ―― a strong and well-made youth.
These two, after a consultation, called a meeting of all the 'prentices in the "Glory Hole" ('prentices' berth) one second dog- watch, and told them that they had decided to stand by the next lad who was badly treated, and that they had all better swear to stand by each other every time anyone was knocked about. Jumbo made it plain that he was not proposing they should stand out at any minor act of bullying, such as docking them of their watch below but only in actual cases of any of them being hit or kicked ―― a thing that was now becoming of dally occurrence.
As a result of this decision and compact, there was in the morning watch of the very next day a tremendous fight up on the poop between the Captain, Second Mate, and Bo'sun on the one side and seven of the 'prentices on the other.
It happened through the Second Mate catching hold of young Kinniks by the ear and repeatedly kicking him, with his heavy sea boot, from one end of the poop to the other. Kinniks remembered the compact and shouted for help. Instantly, almost, two of the 'prentices in his watch came flying up on to the poop, having first shouted a warning of what was going onto the four of the watch below, who were just about to turn in. These also followed, just as they were, in their pyjamas, the sleepy Jumbo being the first of the lot. Before the Second Mate well knew what had occurred, Kinniks was pulled from him, and he had to face young Jumbo instead.
"We protest, Sir," he said, "against this kind of treatment, which is both illegal and brutal."
The Second Mate almost gasped; then, without a word, he bit the apprentice with all his might, breaking his front teeth and sending him stunned to the deck. He next turned on the others, cursing, shouting meanwhile for the Master, Beeston, and Schieffs, the Bo'sun. The lads all fought doggedly, and Henricksen would have been badly mauled had not Captain Beeston and the Bo'sun come quickly to his aid. The Bo'sun was serving some foot-ropes at the time, and he came running up onto the poop, carrying his heavy teak serving mallet. With this he nearly killed two of the younger boys, named respectively Darkins and Peters, and within a minute the whole seven of the boys were either knocked senseless or being unmercifully kicked by the three men into abject submission.

"Prentices Mutiny"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Translated by shigeyuki




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