漂着の浜辺から
囁きのような呟き。
 





 太陽が登ると、何事もなかったかのように、すぐにもとの場所へと取って返した。
 ぺータースの家に近づくにつれ、闇が隠していたものが目に飛び込んできたが、それは彼の家のバルコニーにいる何者かの姿だった――たった一人だけだ。バルコニーは透かし細工のある錬鉄構造で、小さな屋根が三本の細い螺旋状の柱によって支えられ、その二本は端に、一本は真ん中にあった。真ん中の一本のところに、誰か、一人の女性が――跪き――腕でしっかりと柱を抱えて、遥か上のほうを見つめているのが見えた。ぼくは今までにこれほど嫌なものを見たことがなかった。今ではもう色褪せてしまった赤いドレスの生地が包み込むその中には、バストとヒップのラインが、まだ充分に女性らしい優雅さで、その形を留めていた。そして彼女の赤い髪が、大きく薄っぺらい雲のように、周りに流れていた。けれども彼女の顔は、風雨に晒されたまま完全に腐食して、鼻が落ち、口は耳から耳へと裂け、顎が――少しばかり下へと垂れていた――だが最も不気味だったのは、その肉体と赤い髪と、骨となってしまった顔との対比だった。ぼくはその朝、舗道の反対側から、長い時間、彼女のことについて思いを巡らせた。彼女の首から下がっている卵型のロケットには、ぼくの肖像が収まっているはずだった。なぜならそれは八年前、ぼくが彼女にあげたものなのだから。彼女は毒婦クローダーだった。
 誰がいようとも、ぼくは家の中に入ったら、上から下まで歩き回り、中でくつろぎ、唾を吐き、足を踏み鳴らそうと思っていた。太陽は今や高く昇っているのだから。そうしてまた中に入ると、階段を昇って、声を耳にして怯えた場所へと向かった。そしてここで、ぼくを取り巻いていた悪意のある意思の正体を一目見て、こんなくだらないものに騙されたのだ、とんだ物笑いの種だと腹が立った。ぼくはそこにあったマホガニーのテーブルを横向きに倒してしまい、よろめいて、今ではよく見えている、近くの二十五インチの漆塗りのブリキの拡声機を備えた小型の蓄音機に触れてしまい、大騒ぎして階段を降りていってしまったのだ。これがぼくに呼びかけたものの正体だということは、疑いがなかった。実際のところ、それは時計仕掛けの機械であり、レコードが鳴っている真っ最中に火山性の残滓によって停止してしまっていたのだが、ぼくの与えた衝撃によるちょっとした振動で、十三語だけ単語を発して、止まったのだ。ぼくはかなり憤慨したものの、嬉しくも思ったのは、たくさんのレコードを集めようという考えが芽生えたからで、今ではもう死んでしまい、実際には幽霊のようなものになってしまった人々の歌声や話し声によって、《永遠》の静寂が破られるのを聞くことは、いくらかスリリングな、言葉に尽くせないほどの感動を覚えることだった。
 
 *****

****************


The first thing which I did when the sun was up was to return to that place: and I returned with hard and masterful brow.
Approaching Peters' house I saw now, what the darkness had hidden from me, that on his balcony was someone―quite alone there. The balcony is a slight open-work wrought-iron structure, connected to a small roof by three slender voluted pillars, two at the ends, one in the middle: and at the middle one I saw someone, a woman―kneeling―her arms clasped tight about the pillar, and her face rather upward-looking. Never did I see aught more horrid: there were the gracious curves of the woman's bust and hips still well preserved in a clinging dress of red cloth, very faded now; and her reddish hair floated loose in a large flimsy cloud about her; but her face, in that exposed position, had been quite eaten away by the winds to a noseless skeleton, which grinned from ear to ear, with slightly-dropped under-jaw―most horrid in contrast with the body, and frame of hair. I meditated upon her a long time that morning from the opposite pavement. An oval locket at her throat contained, I knew, my likeness: for eight years previously I had given it her. It was Clodagh, the poisoner.
I thought that I would go into that house, and walk through it from top to bottom, and sit in it, and spit in it, and stamp in it, in spite of any one: for the sun was now high. I accordingly went in again, and up the stairs to the spot where I had been frightened, and had heard the words. And here a great rage took me, for I at once saw that I had been made the dupe of the malign wills that beset me, and the laughing-stock of Those for whom I care not a fig. From a little mahogany table there I had knocked sideways to the ground, in my stumble, a small phonograph with a great 25-inch japanned-tin horn, which, the moment that I now noticed it, I took and flung with a great racket down the stairs: for that this it was which had addressed me I did not doubt; it being indeed evident that its clock-work mechanism had been stopped by the volcanic scoriae in the midst of the delivery of a record, but had been started into a few fresh oscillations by the shock of the fall, making it utter those thirteen words, and stop. I was sufficiently indignant at the moment, but have since been glad, for I was thereby put upon the notion of collecting a number of cylinders with records, and have been touched with indescribable sensations, sometimes thrilled, at hearing the silence of this Eternity broken by those singing and speaking voices, so life-like, yet most ghostly, of the old dead.

*****

"The Purple Cloud"
Written by M.P. Shiel
(M.P. シール)
Translated by shigeyuki






 以前も書いたと思うけれど、訳文がやや直訳調で、意地のように原文のセンテンスと同じ区切りにしているのは、いずれ最初から訳文を見直そうと思っているからです。最初から自由にやりすぎると、日本語だけを見て自然になるように文章を直すのが危険なことになりそうなので(逆に、『レムリアの記憶』のほうは、最初から見直すつもりもないので、適当に訳してます)。

 ところで、ここに掲載したイラストは、「Famous Fantastic Mysteries」の1949年6月号に掲載されたもので、画家はステファン・ローレンスです。これは

「怪物世界」パルプマガジン――恐怖の絵師たち
深夜画廊 ピーター・ヘイニング編著
国書刊行会刊

に掲載されていたものを転載しました。なので、パルプ雑誌そのものは見てません。著作権にひっかかる可能性もありますが、ちょうどこの絵のシーンだったので、引用ということで、掲載してしまいました。なかなかの迫力ですね。

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 ダンスは既に始まっており、僕たちはフロアの人々に合流した。すぐに僕は刺激的な電磁的波動の影響に気がついた。そして特殊な調子のエクシドの流れを感じた。僕の神経細胞はゾクゾクと震え、それに応えた。
 刺激的な光線は、強くホールの空気をイオン化した。それが体のオーラの電圧の伝導性を素晴らしく高めるということを、踊っている人々は誰もが強烈に感じていた。結果として、細胞花粉の生命のオーラは増大し、ホールに充満した。それは僕の肉体に吸収され、そしてフォーン脚を持つアールにも吸収されて、ぼくの腕の中に滑り込み、そして僕たちの周りで恍惚として踊っていた全ての若者たちにも吸収された。興奮の中、僕たちは微かに光る床の上で、複雑なパターンを描いて踊った。そしてアトランの香りの音楽は、その音の中にさまざまな香りを織り込んでいった。そうした香りは最も浸透性が高く、すべての食品化学物質の栄養素であり、リズミカルな刺激の強い音波によって体に送り込まれ、神経に作用するのだ。
 ダンスで高められた喜びの中でパルスとソウルが同調し、僕は生命の塊そのものとなり、腕の中にアールを、何者にも代え難い宝物のように抱いていた。
 そして喜びの中に我を忘れたその時、それは起こった。恐ろしい狂気が《ティーン・シティ》を襲ったのだ。それは僕の人生において、初めて真の恐怖というものの意味を知った出来事だった!
 アールは悲鳴を上げ、僕の体を押すと、ダンスフロアーの隅を指さした。そこには立派な体格の、角の生えたティターンの若者が前のめりに崩れながら、片方の大きな手で必死になってドレープの襞を掴み、もう一方の手で彼を襲った光線の出所を指さしていた。死に直面してさえ、彼はその恐怖から知り得たことを語ろうと必死だった。彼の指さした方向に向けて、テクニコンが自らの光線をもって、応酬してくれることを期待していたのだ。
 だが光線は発射されなかった。通常の状態とは異なり、ここでは保護のための光線が作動していないのだと僕は悟った。アトランが恐怖したのももっともだった!次第に巨大な若者の顔が黒くなり、脚が曲がり、崩れ落ちると仰向けに横たわったが、舌が飛び出して、目は虚ろになっていた。彼は死んでいたのだ。
 彼の友人が慌てて駆けつけたが、死の光線は止まなかった。光線は次々と人々を弄んだ。犠牲者たちは次々と床に転がり、顔を黒くして、死んでいった。
 「なんて酷い!」僕はそう叫んだ。それから、自分たちを保護してくれる光線はないのだと自分に言い聞かせた。「それが真実なんだ。僕らの政府がいくら完璧であるとは言っても、限界はあるんだ!」
 僕は死が自分の行く手を襲うかもしれないということも忘れて、立ち尽くした。僕にできることと言えば、見ていることと、それに、この喜びに満ちたホールの中で繰り広げられた死に対して、怒りを覚えるということだけだった。僕の内部では、まだ刺激光線の高揚が続いていたが、その奥底では、怒りの波が血を熱くしていた。

****************


The dance had already begun and we joined the throng on the floor. Almost instantly I was aware of the influence of stimulating electromagnetic frequencies. I felt the flow of exd of appropriate attunements; my nerve cells responded in a thrilling fashion.
The stimulating rays strongly ionized the air of the hall; making it extremely conductive to the electric pressure of the body aura, so that the dancers were intensely aware of each other. The consequently augmented vital aura of the cell pollen permeated the hall. It was absorbed by my body, and by that of lovely, faun-legged Arl snuggled in my arms, and by all the young, ecstatic bodies of those who danced about us. Under the stimulus, we wove intricate patterns on the gleaming floor; and the odor music of the Atlans wove into the sound music many scent accompaniments. These scents are of the most penetrative and nutrient of all the food chemicals, feeding the nerves as they are driven into the body by strong sound waves of a penetrative frequency.
In the enhanced delight of the dance I was oblivious of all but the bundle of vitality to which my pulse and soul were synchronized, and my arms held Arl as a treasure beyond value.
Then, as I lost myself in pleasure, it happened. The madness of the fear that was upon Tean City struck; and for the first time in my life I knew the true meaning of terror!
Arl screamed, and pushing me from her, pointed to the edge of the dance floor. There the great shoulders of a horned son of a Titan hunched, one big hand clutching in desperate agony at the folds of a drape, the other pointing up and out to indicate the path of the ray that played upon him. Even in the face of death his only thought was to tell what he knew of the fear; and to point out its direction so that the technicons might answer with a ray of their own.
But nothing checked the ray; and I realized that contrary to all the usual rules there was no guard ray on duty. No wonder there was fear in Atlan! Slowly the huge youth's face turned black, his legs buckled, he fell and rolled over on his back, tongue protruding and eyes staring. He was dead.
His friends rushed to him, but the deadly ray had not ceased. It played first on one figure and then on another; each victim rolling in turn to the floor, face black with death.
"By the Elder Gods!" I swore to myself at the realization that no guard ray was going to protect us. "It is true; our perfect government is not so perfect after all!"
I stood as though oblivious to the fact that death might strike my way too. I could only look and rage within me at the death that played about the recently joy-filled hall. Within me the stimulating rays still caused an elation, but it was submerged beneath the surge of wrath that made my blood hot.

"I Remember Lemuria"
Written by Richard S. Shaver
(リチャード・S・シェーバー)
Translated by shigeyuki




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 その夜、ぼくはそんなことを考えながら長い時間ベッドに座っていたが、ついには眠気が襲ってきた。しかし燭台をそんなにたくさんは持っていなかったし、それに蝋燭の数も充分にはなかった。だが通りの反対側のドア三つ離れた所に住んでいたピーター・ペータースが、両側から枝が六つ伸びた素敵な銀の枝付き燭台を四本、居間に置いていたことを思い出した。ぼくは思った。「台所で蝋燭を探して、もし見つけることができたら、ペータースの燭台を持ってきてここで眠ろう」
 その時、運良く灯りをちょうど二つ持っていた。ぼくは通路に出た。そして地下へと降りていった。そこで、それほど苦労することもなく大きなサイズの蝋燭の包を三つ見つけることができたが、どこを見ても沢山あるというその事実に、ガス照明が停止したことがこうした準備を促したのかもしれないと思った。それを持って上に戻り、薬を保存していた二階の小さな壁の窪みに入ると、そこでカルボル油ひと瓶手に入れ、それから十分間かけて家の中の死体をすべて片付けた。そして灯の点っている蝋燭を居間のテーブルの上に残し、カーランプを手にして、とてもうるさい音を立てている正面玄関のドアへと通じる通路を進んだ。外に踏み出すと、嵐は巨大な乱気流(だが空気は乾いていた)といった状態にまで勢いを増しており、ぼくはあっという間に服を引き剥がされしまったが、そうして吹き上げられた服は、激しく形を変える雲の中で舞った。ランプの灯りは通りを渡り切る前に消えてしまった。辺りはほとんど見えなくなってしまったが、それでもぼくはペータースの部屋のドアに辿り着くことができた。ドアには鍵がかかっていた。だが通りのすぐ側の窓の下側の窓枠を持ち上げることで、少し苦労はしたものの、中に入り込めた。足を室内に下ろした時、死体を踏んだ。これがぼくを苛立たせ、落ち着かない気分にさせた。ぼくは悪態をついたが、そのままやりすごし、誰も傷つけないように、踵をカーペットに擦るようにして進んだ。これ以上誰も傷つけたくはなかったのだ。部屋の中がほとんど漆黒といってもいい状態でも、ぼくにはペータースの部屋の家具を、だいたいは認識できると思っていた。というのは、彼の家は長期契約の借家だったからで、彼の死後にはその母がそこに移り住むつもりだったということを知っていたからだ。だが通路に入ると、すべては底知れぬ闇で、ランプに頼ろうにも、マッチを置いてきてしまっていた。階段を足で探り、最初の段に掛けた時、正面玄関のドアが激しく鳴る音がしたが、それがいかにも切羽詰ったような激しさで、まるでドアを叩いている誰かがいるかのように思えた。二、三分ほどぼくは眉を顰め、目を凝らして立ち尽くしていたが、それは一度怯えてしまったが最後、この悲劇の家は容赦なく牙を剥いて、ぞっとするような悲鳴がこの憑かれた部屋に鳴り響くことになるということを知っていたからだった。ガタガタという音が随分と長い時間続いていて、ドアが無理やり引き剥がされるのも時間の問題のように思えた。だがぞっとしながらも、ぼくは自分に対して、これはまるで誰かがドアに取りついてあがいているかのように感じるけれども、それは単に嵐のせいにすぎないのだと言い聞かせた。しばらく進むと、手が幅の広い手すりに触れるのを感じたが、頭の中にはどういう訳か、ボレアル号の中で見たクローダーの夢が、どのようにして彼女が柘榴の種のような液体を水の中に落とし込んだか、そしてどのようにしてペータースに勧めたのか、そうしたことが思い浮かんだ。それは死へと向かう道を描いた、一枚の絵画のようだった。だが、僕には足を止めるつもりはなく、漆黒の暗闇を見詰め、高なる心臓を抑えながら、苦労して、一歩一歩階段を上っていった。最初の踊り場に到着し、次へ向かおうとターンした時、左手が何か氷のように冷たいものに触れた。本能的に恐怖を感じ、ついで足が何かにぶつかり、ぼくはよろめいて、小さなテーブルのようなものに倒れかかった。恐ろしいことは続いた。何かが地面に落ち、その直後、ぼくは何か声を――人の声を――聞いた。すぐ側で囁くその声は、完全な言葉で――ぼくのよく知っている、クローダーの声だった。だがそれは既に肉体を持ったクローダーの声ではなく、土塊とワームを喉にいっぱい詰まらせた、声を張り上げることさえできない、くぐもった声だった。重々しく響く恐ろしいその言葉を、ぼくははっきりと聞いた。
 
 「すべてはピーターの死に関することで……」
 
 その言葉が止むと、ぼくは気分が悪くなり、そう、本当に悪くなって、体に纏わりつくローブを抱え込むようにして、そっと、そっと、忍ぶような足取りで、痛みに呻きながら、泥棒のようにコソコソと、けれども急いで階段を下って逃げ出したが、なかなか開かないドアの留め具と格闘している間、ぼくをじっと見つめている彼女の存在を、ずっと背中に感じていた。そうして外に出て、長いジュバを引きずりながら、充分な距離を取るまで通りを進んだとき、彼女がその大胆な悪の意思を持って付いて来ているのではないだろうかと、息を切らしながら、ちらちらと後ろを振り返った。そして一晩中、ぼくは暗い公園の、風の吹きすさぶ普通のベンチに横になっていた。

****************


I sat a long time thinking such things by my bed that night, till finally I was disposed to sleep there. But I had no considerable number of candle-sticks, nor was even sure of candles. I remembered, however, that Peter Peters, three doors away on the other side of the street, had had four handsome silver candelabra in his drawing-room, each containing six stems; and I said to myself: 'I will search for candles in the kitchen, and if I find any, I will go and get Peter Peters' candelabra, and sleep here.'
I took then the two lights which I had, my good God; went down to the passage; then down to the basement; and there had no difficulty in finding three packets of large candles, the fact being, I suppose, that the cessation of gas-lighting had compelled everyone to provide themselves in this way, for there were a great many wherever I looked. With these I re-ascended, went into a little alcove on the second-floor where I had kept some drugs, got a bottle of carbolic oil, and for ten minutes went dashing all the corpses in the house. I then left the two lighted bits of candle on the waiting-room table, and, with the car-lamp, passed along the passage to the front-door, which was very violently banging. I stepped out to find that the storm had increased to a mighty turbulence (though it was dry), which at once caught my clothes, and whirled them into a flapping cloud about and above me; also, I had not crossed the street when my lamp was out. I persisted, however, half blinded, to Peters door. It was locked: but immediately near the pavement was a window, the lower sash up, into which, with little trouble, I lifted myself and passed. My foot, as I lowered it, stood on a body: and this made me angry and restless. I hissed a curse, and passed on, scraping the carpet with my soles, that I might hurt no one: for I did not wish to hurt any one. Even in the almost darkness of the room I recognised Peters' furniture, as I expected: for the house was his on a long lease, and I knew that his mother had had the intention to occupy it after his death. But as I passed into the passage, all was mere blank darkness, and I, depending upon the lamp, had left the matches in the other house. I groped my way to the stairs, and had my foot on the first step, when I was stopped by a vicious shaking of the front-door, which someone seemed to be at with hustlings and the most urgent poundings: I stood with peering stern brows two or three minutes, for I knew that if I once yielded to the flinching at my heart, no mercy would be shown me in this house of tragedy, and thrilling shrieks would of themselves arise and ring through its haunted chambers. The rattling continued an inordinate time, and so instant and imperative, that it seemed as if it could not fail to force the door. But, though horrified, I whispered to my heart that it could only be the storm which was struggling at it like the grasp of a man, and after a time went on, feeling my way by the broad rail, in my brain somehow the thought of a dream which I had had in the Boreal of the woman Clodagh, how she let drop a fluid like pomegranate-seeds into water, and tendered it to Peter Peters: and it was a mortal purging draught; but I would not stop, but step by step went up, though I suffered very much, my brows peering at the utter darkness, and my heart shocked at its own rashness. I got to the first landing, and as I turned to ascend the second part of the stair, my left hand touched something icily cold: I made some quick instinctive movement of terror, and, doing so, my foot struck against something, and I stumbled, half falling over what seemed a small table there. Immediately a horrible row followed, for something fell to the ground: and at that instant, ah, I heard something―a voice―a human voice, which uttered words close to my ear―the voice of Clodagh, for I knew it: yet not the voice of Clodagh in the flesh, but her voice clogged with clay and worms, and full of effort, and thick-tongued: and in that ghastly speech of the grave I distinctly heard the words:

'Things being as they are in the matter of the death of Peter ...'

And there it stopped dead, leaving me so sick, my God, so sick, that I could hardly snatch my robes about me to fly, fly, fly, soft-footed, murmuring in pain, down the steps, down like a sneaking thief, but quick, snatching myself away, then wrestling with the cruel catch of the door which she would not let me open, feeling her all the time behind me, watching me. And when I did get out, I was away up the length of the street, trailing my long jubbah, glancing backward, panting, for I thought that she might dare to follow, with her daring evil will. And all that night I lay on a common bench in the wind-tossed and dismal Park.

*****


"The Purple Cloud"
Written by M.P. Shiel
(M.P. シール)
Translated by shigeyuki




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 翌日、仕事が終わった後、僕は病院に向かった。カムリルとは直接そこで落ち合う約束だった。少年の部屋はベッドが十六ある広い病室で、部屋に入ったときには既にカムリルは来ており、ベッドの脇に座って、起き上がっている少年と何か話をしていた。二人はすぐに病室に入ってきた僕に気が付いた。少年はじっと無言でこちらを見つめていたが、カムリルはさっと笑顔を浮かべて、手を挙げて僕を招いた。それから少年に何か言葉をかけていた。おそらく僕のことを紹介しているのだろう。
 歩きながら、僕は少年の姿を観察した。なるほど、確かに投薬のせいかこの前に見た時よりも痩せてはいるが、不健康な印象はない。それに、その白い肌の中に大きく開いた眼窩には普通ではない色彩があり、光の加減でやや分かりにくかったが、確かに淡い緑色の瞳をしていて、印象的だった。こんなふうに瞬きもせずに見詰められると、ぞっとするほどだ。
 「ごめんよ遅くなって。ずっといたの?」僕は少年から目を外らして、カムリルに向かってそう言った。
 「そうね、二時間くらい前からいたかしら」カムリルは答えた。「でも、あなたが遅かったんじゃなくて、わたしが早く来すぎただけよ。気になって、早く来たの。ルピコルと話をしていたので、楽しかったわ」
 「ルピコル?彼の名前?」
 「ああ、そうだ。まだ言ってなかったわね。彼の名前はルピコルと言うの」
 少年は僕の顔をじっと見つめて、挨拶をした。それから、礼の言葉を述べた。言葉は、多少発音が耳慣れないものの、十分に理解できた。僕は頷き、微笑んでみせた。だが実は、なんとも居心地の悪い感じを味わっていた。それは少年が僕から全く目を逸らさず、じっと見詰めていて、しかも瞬きを一度もしなかったせいだった。もしかしたら投薬の影響なのかもしれないが、瞬きひとつしない、大きな淡い緑色の瞳にじっと見詰められていると、落ち着かない気持ちにならざるをえなかった。
 「はじめまして、というべきなのかな。ディールです」と僕は言った。「こんにちは。回復してきたようで、良かったですね」
 「はい。本当に。助かりました。死ぬところでした。でも、ぜんぜん覚えていないんです。でも、危なかった」
 「まあ、君が倒れているのを見つけたのは僕たちだけれど、君はきっと、まだ死ぬ運命じゃなかったんだね。そうでなければ、なかなかこんなふうに偶然助かったりしないだろうから。それで、体の調子はどう?」
 「はい。大丈夫です。もう随分。お腹がすいて仕方ないです」
 「じゃあ、もう大丈夫だね。お腹が空くというのは、健康になった証拠だからね」僕は言った。「でも、どうして君はあんなところにいたの?」
 「はい。ずっと旅していたんです。それで、あそこにいたんです」
 「旅?どこから?いつから?」
 「エピ。ぼくの生まれた場所です。町を出たのは、たぶん三ヶ月くらい前だと思います。でも、よくわかりません」
 「どうして町を出たの」
 少年ははっとしたような表情で、じっと僕の目を見詰めた。おそらく、十秒は見つめていたと思う。それから少年は言った。
 「《太陽》を探しているんです。この世界の彼方で輝く光を。この世界の全てを、暖かく照らし出す《光球》を」
 僕は凍りついたように黙り込んで、少年の顔を見詰めた。その瞳はじっと揺るがず、澄み切っていた。
 
 それから数日かけて、僕とカムリルは少年から太陽の話を聞いた。少年は《太陽》の存在を全く疑ってはいなかった。どこまでも旅をしてゆけば、いつかは必ず《太陽》のある世界に辿りつけると信じているようだった。それは単なる信念というには、余りにも無邪気に思えた。最初の頃に僕は、君は本当に《太陽》が存在すると思っているのかと聞いてみた。すると少年は、一瞬何を聞かれたのか分からないといった表情をしたが、それは間違いないと答えた。
 「だって君は《太陽》を実際に見たことなんてないんだろう?」
 「見たことは、ないです。でも、知ってるんです」
 「知っているって……?」
 「憶えているんです。……だから、知っているんです」
 「でも、見たことがないんだろう?憶えているというのは、変な言い方じゃないか?」
 「変です。それは変です。でも、本当に憶えているんです」
 「夢かなんかじゃなくて?」
 「夢じゃないです。それは絶対に違います。記憶なんです」
 「夢だって記憶になるよ」僕は言った。「何だって、記憶になる」
 だが僕はそれ以上のことは言わなかった。他ならぬ僕が、彼の言葉にある矛盾を指摘してどうなるというのか。いずれにせよ、太陽に執着している人間がここに三人揃ったのだ。偶然にしては出来すぎだという気持ちに抗うことは難しかった。

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 第三章
《ティーン・シティ》の恐怖

 
 その夜、アールは僕をダンスに誘ってくれた。そんな楽しいことがあるなんて、僕は全く知らなかった!教室で定められた授業を受けている時だけではなく、起きている間は常に教育は継続されていて、これもその一部なのだということに僕は気がついた。現実の生活の中には、学ぶべきことが沢山あった。そしてアールは僕の教育に、何一つ欠けたものもないようにしようと心を決めているようだった。僕も逆らいはしなかった。彼女の示してくれた友情と関心、その美しい尻尾、すべてが何よりも素晴らしいものに思えたからだ。
 ホールへと向かうロールアット・カーの中で彼女は僕に、訓練を受けたテクニコンたちはダンスをとても科学的なものとして取り扱っているのだと語った。彼女は言った。男と女の間に人間的な誘引力が発生するのは、たくさんの種類の、ちっぽけで豊かな胞子の発生によるもので、それは男女間の刺激によって放出されるのよ。男性の胞子は女性の中で成長し、逆もまた然りで、ちょうど花の中の花粉のようなものなの。この細胞花粉と、それが成長している存在の感覚が愛なのよ。私には、永遠の成長と若さを持つ[*16]アトランの種としての強さが、この一連の過程に与える大きな豊かさをイメージすることができるわ。
 ダンスが開催されている場所に到着すると、そこはとても大きな部屋で、趣味のよい内装を施され、見たこともないほどの愛と喜びと健やかさの光景を表した絵画が飾られていた。《象徴の大広間》の絵画はちょうど、種の向上への参加を呼びかけているようなもので、それゆえこれらの絵画は、愛と喜びに参加する方法を示しているのだった。

*****

原注

 *16 アトラン人は、シェーバー氏が明らかにしているように、永遠の若さを持ち、決して成長を止めるということがない。「成熟」という言葉には、発育が止まっているという感覚がないのだ。したがって、アトラン人の年齢は、その体の大きさによって判断することが出来る。彼らの多くはとてつもない大きさで、時には三百フィートにも達し、四十フィート程度か、それよりも少し大きいというのは、珍しくもなんともない。シェーバー氏は、偉大なるアトラン人の知恵と歴史が詰め込まれた、既に失われてしまったという「古代の」書物を引用しているが、聖書の中の、例えば『かつて地球には巨人たちが存在した(In those days there were giants in the Earth)』というような部分を現実のこととし、ティターンの記憶の記録であると指摘している。とりわけ暗示的なのは、「地球の中に(in the Earth)」という明確な記述であり、「上に(on)」ではないという点だ。アトラン人は、彼らの素晴らしい機械を用いたのだ。彼らは肉体は、絶えず十分な量のエクシド(濃縮によって形成されたあらゆる物質から生み出された、エネルギーの灰)を受け続けるため、成長は止まず、だが彼らの肉体は大きく、そして重くなってゆく。つまり健康は、重量によって決定される。健康な人間は重いのだ。もし病気になったら、体重を失うのである。病気とは、エクシドが十分に利用できないか、エクシドが足りない結果として生じるものなのだ。――(編者)

****************


CHAPTER III
Terror in Tean City


That evening Arl took me to a dance. Never had I known that there could be such pleasure! And as a part of it all I discovered that my education was to continue through every waking hour, whether in scheduled class or not. There was so much to be learned from actual living! And Arl, it seemed, was determined that nothing should be lacking in my education. Nor did I object, for nothing suited me better than to have her, beautiful tail and all, showing her friendship and interest.
The dance, she told me on the way to the hall in a rollat car, was very scientifically handled by trained technicons. The stimulation of human attraction between male and female, she told me, was due to the generation of many kinds of tiny and fecund spores which grow and are released upon stimulus by male and female. The male spores grow in the female and vice versa, just as pollen between flowers. This cell pollen and the sensation of its growing presence is love. I could imagine the immense fecundity given this process by the strength of the Atlan race, whose growth and youth [*16] never cease.
We arrived at the place where the dance was to be held, and I found a great room, tastefully draped, and decorated by paintings that depicted such scenes of love and joy and health as I have never before seen. Just as the paintings at the Hall of Symbols held forth that invitation to join in the elevation of the race, so did these paintings show the way to participation in love and joy.

*****

# Footnotes #

^27:16 The Atlans, Mr. Shaver reveals, were ever youthful, and never ceased growing. There was no such thing as "maturity" in the sense that growth stopped. Thus, an Atlan's age could be determined to a certain extent by his size. Many of them reached tremendous stature, sometimes as much as 300 feet, and heights of 40 feet and more were rather common. Mr. Shaver refers to "ancient" books which have been destroyed, which contained a great deal of Atlan knowledge and history, but points to references in the Bible such as "In those days there were giants in the Earth" asactual truth, recorded memory of the Titans. Especially significant is the definite statement "in the Earth" and not on it! The Atlans, by the use of their wonderful machines. kept their bodies constantly supplied with a sufficient amount of exd (the energyash from which all matter is formed by condensation] so that their growth never stopped, but their bodies grew ever larger and heavier. Health itself was determined by weight; a healthyperson was heavy. If he became ill, he lost weight. Illness is the inability of the body to fully utilize the available exd, or is the result of an insufficient quantity of exd.--Ed.

"I Remember Lemuria"
Written by Richard S. Shaver
(リチャード・S・シェーバー)
Translated by shigeyuki




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「人間以上」 シオドア・スタージョン著 矢野徹訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

を読む。

 SF小説は好きで、結構読むほうだけれど、そればっかり読んでいるわけではないし、意外と古典的な名作とされているものを読んでいなかったりする。ハインラインの「異星の客」とか「宇宙の戦士」とか読んでないし、シマックの「都市」も、ル・グインの「闇の左手」も、ハーバートの「デューン」も、キースの「アルジャーノンに花束を」もヴォクトの「非Aの世界」も読んでない。半端にストーリーを知っていたりすると、なおさら読まなくなってしまう。この「人間以上」もそう。気にならないわけではなかったけれども(特に、旧版のカバーイラストは強烈だったから)、今まで読まないままだったのだ。イメージ的にずっと、「サイボーグ009」の元ネタだというのがあったので、余計になんだか読んでもないのに、読んだような気になっていたというのもあった。
 今回読んでみたものの、まあこんなものかなというのが正直な感想。古典だけあって、悪くはもちろんないのだけれど、なんとなく面倒臭い話だった。僕にはあまり楽しめなかった。
 それよりも、この本のカバーの絵がマンガになってしまったのが気になった。年齢的に、そのまま持ち歩くのが、ちょっと恥ずかしい。新しい読者を呼ぼうということなのかもしれないけれども、内容と全く合っていないし。旧版のカバーのほうが、ずっと雰囲気が出ている。あれくらい不気味な話である。それに、カバーイラストを変えるより、その前に翻訳を変えたほうがよかったのではないかと思った。矢野徹さんの訳文は、なにせ古くなってしまっていて、読むのが相当辛かった。カバーのポップな絵とのギャップが開きすぎていて、これは逆効果になりそうなのでちょっとまずいのではないかと、余計な心配をしてしまう。

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 その夜、ハーレー・ストリートのかつての自宅に向かう途中のこと、オックスフォード・ストリートからキャヴェンディッシュ・スクエアに入った瞬間に、こんな獰猛な考えが不意に頭の中に思い浮かび、動揺した。「もしぼくが今目を高く掲げて、向こうに一人の男が歩いているのを見たとしたら――ほんのすぐ先――あっちの角の――ハーウッド・プレイスからオックスフォード・ストリートに入ってくるあたりだ――神よ、ぼくはどうするべきだろう?走っていって、そいつの心臓に突き立てるナイフさえ持っていないというのに?」
 ぼくは辺りを見回し――探るような、密かに恐怖を抱いた眼差しで――未練たらしく視線を配り続け――それから暗い風の向こうの一点を、眉をしかめてじっと目を凝らし見詰めた。だが誰もそこにはいなかった。
 この無意味な衝動は、頻繁にぼくを襲った――街の通りで――田舎の、奥に引っ込んだところで。もし首を回してそちらを見なければ――確かにその場所を――しっかりと見詰めなければ――男の姿を目にするに違いないという疑いは、打ち消し難かった。だから、見なければ、見なければ、あるいはやられてしまうかもしれないにしても。そうして一瞥する時には、例え騒がしいamobseのように髪がざわつき、逆立ったとしても、ぼくは侵入者に対する君主の怒りを持って、首をぴんと伸ばし、眉ひとつ動かさず、ペルセポリスとイラーズの全ての支配権を持つものとしての眼差しを失わなかった。
 傲慢な王族の気まぐれの行き着く先など分からなかった。ぼくは目を凝らし、見張るつもりだった。こういう言葉がある。「人が一人きりというのは、いいことじゃない!」だが良いも悪いも、ひとつの惑星の処置を一人の住人がするというのは、既にぼくには、単に自然で適切なだけではなく、「唯一の」自然さであり、適切さであるように思えた。それゆえ、他の処置は今では、ぼくにとって、ぜったいにありそうもない、狂気じみた、夢想家や気まぐれな人間の考え出したユートピア計画のように、遥かな虚構のように思えた。全ての世界はぼく一人のために作られた――ロンドンはぼくがそれを燃やして大掛かりな見世物として楽しむために作られたに過ぎず――あらゆる歴史と文明は、ぼくの楽しみを発明し、磨き上げ、収集するためにだけ存在してきたもので、王座とワイン、スパイスと黄金――そうしたものも、人里から遠く離れた場所に、先祖が先住民を虐殺して手に入れた土地を所有しているような、片田舎の、取るに足らないほどちっぽけな公爵に比べれば、もはや特別なものではないように思われた。実際のところ、一人きりというのはそれほど特別なことではないのではないか。だが、時々は何らかの驚きを感じることもあったが、それはたった一人のマスターとともに存在しているかつての世界の状態が普通の場所であり、自然な状態であるというふうに思えるのではなく、この九ヶ月間が――自然で、ありのままの状態であるように思い始めているということであった。アダム・ジェフソンは適応力が高いのだ。

****************



While I was going to visit my old home in Harley Street that night, at the very moment when I turned from Oxford Street into Cavendish Square, this thought, fiercely hissed into my ears, was all of a sudden seething in me: 'If now I should lift my eyes, and see a man walking yonder―just yonder―at the corner there―turning from Harewood Place into Oxford Street―what, my good God, should I do?―I without even a knife to run and plunge into his heart?'
And I turned my eyes―ogling, suspicious eyes of furtive horror―reluctantly, lingeringly turned―and I peered deeply with lowered brows across the murky winds at that same spot: but no man was there.
Hideously frequent is this nonsense now become with me―in streets of towns―in deep nooks of the country: the invincible assurance that, if I but turn the head, and glance there―at a certain fixed spot―I shall surely see―I must see―a man. And glance I must, glance I must, though I perish: and when I glance, though my hairs creep and stiffen like stirring amobse, yet in my eyes, I know, is monarch indignation against the intruder, and my neck stands stiff as sovereignty itself, and on my brow sits more than all the lordship of Persepolis and Iraz.
To what point of wantonness this arrogance of royalty may lead me, I do not know: I will watch, and see. It is written: 'It is not good for man to be alone!' But good or no, the arrangement of One planet, One inhabitant, already seems to me, not merely a natural and proper, but the only natural and proper, condition; so much so, that any other arrangement has now, to my mind, a certain improbable, wild, and far-fetched unreality, like the Utopian schemes of dreamers and faddists. That the whole world should have been made for me alone―that London should have been built only in order that I might enjoy the vast heroic spectacle of its burning―that all history, and all civilisation should have existed only in order to accumulate for my pleasures its inventions and facilities, its stores of purple and wine, of spices and gold―no more extraordinary does it all seem to me than to some little unreflecting Duke of my former days seemed the possessing of lands which his remote forefathers seized, and slew the occupiers: nor, in reality, is it even so extraordinary, I being alone. But what sometimes strikes me with some surprise is, not that the present condition of the world, with one sole master, should seem the common-place and natural condition, but that it should have come to seem so common-place and natural―in nine months. The mind of Adam Jeffson is adaptable.

"The Purple Cloud"
Written by M.P. Shiel
(M.P. シール)
Translated by shigeyuki




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 胎児研究室での講義が終わると、僕たちは教室に戻った。そこでティターンは、そのコースのたくさんの家庭用テレビセットに映像を供給しているテレアイズを操作しているスイッチを弾いた。誰も退出しなかった。だが僕は、他の生徒達の顔に浮かんでいる難しい顔から、これが通常のスケジュールに添ったものではないということを見てとることができた。しばらくの間、ティターンは僕たちを、とりわけ僕を、見つめていた。それから口を開いた。
 「今日このクラスで見たり、聞いたり、討論したりしたことは、皆さんがここに来て受講する学科とは直接関係がありません。ミュータン・ミオン、君がいちばん向こう見ずだ……」ぼくの顔は赤くなったが、彼はかまわずに続けた。「いや、ミュータン、わたしはあなたがせっかちだと言っているのではありません。わたしが向こう見ずだと言ったのは、君は自分自身を、わたしの怒りなんかよりもずっと危険な場所に晒したという意味です」彼の瞳は、怒りという言葉を発した時にきらりと輝いたが、そんなことが決して恐るるに足りないということは分かっていた!「君がわたしの中に、どうやったのかは分からないが、恐怖を見たというのは、困ったことです。おそらく君は、この《ティーン・シティ》の別の場所でも、他のティターンの中にそれを見て取ったことでしょう。君があれほどの確信を持ってわたしに挑戦したのだから、それは間違いないでしょうね。
 そう、恐れはわたしの中にあったし、今でもあります。恐れは、わたしたち全てが秘密にしてきたことであり、それを知らない者に恐れを見せたり、疑いを抱かせたりすることは、わたしたちにとっては、死刑執行令状にサインするのにも等しいことなのです。わたしたちの上にはスパイ光線があります……現在のわたしたちはスクリーンに映し出されているのですが……わたしたちの知識を監視し、現在進行している事に対する反乱だということがはっきりすると、力を持つ前に破壊してしまうのです。わたしたちはそのことを恐れているのです」
 「そのことというのは、一体なんですか?」僕は大きく息を吐いて言った。知りたくてたまらなかった。
 ティターンは深い溜息をついた。「アトラン人の特定のグループがいくつか、移住計画に反対していると聞いています。最近、わたしたちの仕事にとって重要な役割を持つ人物が数名、姿を消したのですが、それがこの話に信憑性を添えています。もちろんわたしたちの誰もが、このようなことが何でも出来る集団など《サブ・アトラン》と《センター・ムー》のロダイトの首脳部だけであるということを知っています。彼らの一部が、偶発的に有害なイオン流動の激しいフラッシュバックを浴び、その意識が損傷を受けて、邪悪な催眠下に置かれることになったのかもしれません。ロダイトのエリアが、そんなふうに検閲が機能しないような状態になるのを許すほど腐敗してしまうなんて、わたしには理解できません。ですが、この事態を押さえ込むまで、わたしたちの全てが危険に晒されることになるのは確かなことなのです
 したがって、君がここに来てから、何か悪い暗示を受けたとしても、それは不注意な言動で大きな災いを引き寄せないようにするために働いた直感で、正当な権利にすぎません。わたしたちはこの者と戦わなければなりません。みんなで力を合わせて戦わなければならないのです。それゆえ、君は《ムー》を支配する生命体から、移住のための道を明らかにする情報を探し出すことを託されたのだと考えてもらってもかまいません。それまでは、わたしたちは恐怖に苦しむことになるでしょうが、それはわたしにとっては目新しいことではありません。君にとっての恐怖の始まりなのです。
 さあ、行ってよろしい」
 教室を後にしながら、彼の巨大な姿を振り返ると、深く物思いに沈んでいるのが見えた。その表情は、彼が僕たちに語った以上に、事態は深刻なのだと語っていた。常識的に考えて、それはそうに違いない――「ムー」の、そして宇宙の、超存在であるティターンの胸に恐怖をもたらすことの出来る悪とは、実際、とんでもないものに違いなかった。

****************


W hen the lecture in the embryo laboratory was finished we filed back to the classroom, and there the Titan flipped the switch that controlled the teleyes that supplied the home telesets of many with the course. We had not been dismissed, and I could see from the puzzled looks on the faces of the other students that this was not in accordance with the regular schedule.
For a long moment the Titan looked at us, and especially at me. Then he spoke:
"Today things have been said and seen and discussed in this class that had no direct bearing on the course you came here to take. You, Mutan Mion, have been the most brash--" my face grew red, and he hastened to add, "No, Mutan, I do not mean that you have been too forward; I meant brash in the sense that you have exposed yourself to a greater danger than that of my wrath." His eyes twinkled at the word wrath, and I knew that such would never be much of a danger! "I meant the menace that has caused the fear you have somehow seen in me. Perhaps you have sensed this in other places in Tean City, among others of the Titans; so it must be, for you to have been so certain of it as to challenge me.
"Yes, there was, and is, fear in me. And it is a fear that we all try to keep secret because those of us who show fear also show suspicion if not knowledge, and either has been equivalent to the signing of a death warrant. There are spying rays on us... at the moment we are screened... that seek out our knowledge and destroy us before we can coordinate it into an effective counteraction to the thing that is going on; to the thing we fear."
"What is that thing?" I breathed aloud, so intense was my interest.
The Titan drew a deep breath. "It has come to me that certain groups of Atlan are against the projected migration, and the recent disappearance of several men important to our work lends color to the story. Of course we all know that the only units able to do anything of the kind would be the key rodite of Sub Atlan and Center Mu. Some of these may have accidentally suffered a severe flashback of detrimental ion flow, so that their will has become one under detrimental hypnosis. What rodite area has become so corrupt as to allow such a condition to go unchecked I cannot understand; but that we are all in danger until the thing is checked is most certainly true.
"Therefore, since you here have gained an inkling of something wrong, it is only your right to be aware of it, so that inadvertent words may not cause you great harm. Also, we must fight this thing; and all of us must fight. So you may consider yourselves deputized by the ruling life of Mu to seek out the information that will clear the way for the migration. Until that is done we suffer fear, not new to me, but new to most of you.
"You may go."
Looking back at his gigantic form as I left the classroom, I saw him musing deeply; and the concern on his face told be that things must be even more fearful of consequence than he had made us believe. Reason told me, too, that it must be so--for great indeed must be the evil that can bring fear to the heart of a Titan, the super being of all Mu and of the universe.

"I Remember Lemuria"
Written by Richard S. Shaver
(リチャード・S・シェーバー)
Translated by shigeyuki




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 だが部屋の中でぼくが激しく心を動かされたのは、ワードローブと鏡台の間の赤茶色と金色の壁に何か大きなものが立っていたということだったが――その金の額縁と――そしてそこに描かれた一人の男だった。それは油絵に描かれた自分自身であり、それを描いてくれた男の名前は――今では忘れてしまった。彼は名声に欲しいままにするような人物であったが、それ以前に、かつてはぼくの親しい友人であった。セント・ジョンズ・ウッドにあるスタジオで、彼がそれを描いたのを覚えている。たくさんの人々がそれを、本当に偉大な芸術作品だと言ってくれた。その夜、ぼくはたっぷり三十分はその絵の前に佇み、小さなロウソクをかざしながら、驚きに我を忘れて、そこに描かれている人物に対する侮蔑の感情を愉しんだ。確かにそれはぼくだった。それは認めざるを得ない。大きく弧を描いた眉――全くのところ、王様みたいな眉だが、今ではそれがぼくをはっとさせる――目と口元がどこか浮ついて見えるが、そういえば妹のアーダがよく言っていたものだった。「アダム、あなたは弱くて、快楽主義者よ」そう、この絵はなんと見事にぼくの優柔不断な様子を描き出していることか。じっと見つめているだけでも、人の左右に絶え間なく動く黒い瞳孔には、ほとんどのことが映しだされるものなのだ。とても素晴らしい仕事だ。やや長い顔。薄めの、目立った口。唇は上下とも見えていて、ちょっとむっつりとしている。黒っぽい髪の毛。かなり目立つ太鼓腹。それからなんと、小奇麗なピンク色のネクタイ――おお、あれは「ネクタイ」なんだろうな――そこに目が止まった瞬間に、堪え切れず、ぼくは大きな声で嘲笑してしまった!ひとしきり笑ってしまうと、ぼくは咎めるように呟いた。「おいおい、額縁の中にいるあの哀れなやつは、お前なんじゃないのかよ?」
 ぼくがどうしてオリエンタリズムに傾倒しているのか、きちんと説明することはできないが、――東洋の服を着て、東洋の君主のような振る舞いをしている――自分にはそうとしかできなかった。だが、それはこういうことだろう。つまり、確実にぼくはもう西洋の「近代的」精神から離れ、原始的で東洋的な精神状態になってしまっているということだ。確かに絵の中のネクタイは、ぼくから百万、数百万リーグ、一万、いや永遠にぼくから遠ざかってしまった。これが、昔から東洋の概念に親しんでいた自分自身のパーソナリティの結果なのか、さもなくば、もしかしたら足枷から完全に解き放たれたために、自然にやってきたアクシデントなのかは、ぼくには分からなかった。だがぼくには、原初に向かって逆行しているように思えたし、無邪気でけばけばしい格好をした、最初の男性に似ているように思えた。こうして座って書き物をしているぼくの髪は、油を塗った黒い紐のように背中に流れている。香水をつけた顎鬚は、先が二つに割れた小箒のように、肋骨を掃いている。ぼくはイザールに身を包んでいたが、それはコットンのようなyomani織りの腰布で、黄色いストライプの模様が入っていた。この上には柔らかいシャツ、つまり脹脛にまで達する白いシルクのクァミス(quamis)を着ていた。さらにその上に、sudeyreeという、金の刺繍のある真紅のショート・ベストを羽織っていた。この上に、踝にまで届くゆったりとした、長い袖が手首のところで割れている緑のストライプ柄のシルクのカフタン(長衣)を着ていたが、腰の辺りに、腰帯として、カシミアの派手なショールをぐるぐると巻きつけていた。この上には暖かい、流れるような襞のあるオコジョの模様の白い掛布を纏っていた。頭には、濃紺の飾り房のついた、鮮やかな真紅のスカルキャップを被っていた。足には薄底の黄色いモロッコサンダルを履き、さらにその上に、厚底の赤のモロッコのバブーシュを履いていた。足首には――十本の指と――手首にも――じゃらじゃらと金と銀の宝飾を付けていた。耳が激しく痛んでいたが、それはこの三日間というもの、二本の針を使って、ピアスのための穴を用意していたせいだった。
 
 *****
 
 おお、自由!ぼくは自由だ……
 
 *****

****************


But what intensely interested me in that room was a big thing standing at the maroon-and-gold wall between wardrobe and dressing-table―that gilt frame―and that man painted within it there. It was myself in oils, done by―I forget his name now: a towering celebrity he was, and rather a close friend of mine at one time. In a studio in St. John's Wood, I remember, he did it; and many people said that it was quite a great work of art. I suppose I was standing before it quite thirty minutes that night, holding up the bits of candle, lost in wonder, in amused contempt at that thing there. It is I, certainly: that I must admit. There is the high-curving brow―really a King's brow, after all, it strikes me now―and that vacillating look about the eyes and mouth which used to make my sister Ada say: 'Adam is weak and luxurious.' Yes, that is wonderfully done, the eyes, that dear, vacillating look of mine; for although it is rather a staring look, yet one can almost see the dark pupils stir from side to side: very well done. And there is the longish face; and the rather thin, stuck-out moustache, shewing both lips which pout a bit; and there is the nearly black hair; and there is the rather visible paunch; and there is, oh good Heaven, the neat pink cravat―ah, it must have been that―the cravat―that made me burst out into laughter so loud, mocking, and uncontrollable the moment my eye rested there! 'Adam Jeffson,' I muttered reproachfully when it was over, 'could that poor thing in the frame have been you?'
I cannot quite state why the tendency toward Orientalism―Oriental dress―all the manner of an Oriental monarch―has taken full possession of me: but so it is: for surely I am hardly any longer a Western, 'modern' mind, but a primitive and Eastern one. Certainly, that cravat in the frame has receded a million, million leagues, ten thousand forgotten aeons, from me! Whether this is a result due to my own personality, of old acquainted with Eastern notions, or whether, perhaps, it is the natural accident to any mind wholly freed from trammels, I do not know. But I seem to have gone right back to the very beginnings, and resemblance with man in his first, simple, gaudy conditions. My hair, as I sit here writing, already hangs a black, oiled string down my back; my scented beard sweeps in two opening whisks to my ribs; I have on the izar, a pair of drawers of yomani cloth like cotton, but with yellow stripes; over this a soft shirt, or quamis, of white silk, reaching to my calves; over this a short vest of gold-embroidered crimson, the sudeyree; over this a khaftan of green-striped silk, reaching to the ankles, with wide, long sleeves divided at the wrist, and bound at the waist with a voluminous gaudy shawl of Cashmere for girdle; over this a warm wide-flowing torrent of white drapery, lined with ermine. On my head is the skull-cap, covered by a high crimson cap with deep-blue tassel; and on my feet is a pair of thin yellow-morocco shoes, covered over with thick red-morocco babooshes. My ankles―my ten fingers―my wrists―are heavy with gold and silver ornaments; and in my ears, which, with considerable pain, I bored three days since, are two needle-splinters, to prepare the holes for rings.

*****

O Liberty! I am free....

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"The Purple Cloud"
Written by M.P. Shiel
(M.P. シール)
Translated by shigeyuki




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 彼は我々に、この液体の維持管理と前処理について、大人と胎児の両面から語った。その困難かつ重要な部分は(彼はそうして言葉を強めたが、特に僕に向けて強調してみせた)老化を引き起こす放射能の僅かな痕跡を検出し、除去する行程にあるのだ。
 僕は学び、知った!ここに存在するのは、惑星《ムー》自体を健やかにすることと、年老いてゆく太陽の下で我々が他の種よりも長く生きながらえることを可能にするための処理過程なのだ。我々の創造性が与えてくれた、生きるための方法なのだ。それゆえ、アトランの種とともに、何千世紀もの間この空間に居住していたのだ。ぼくは彼らのことについてもっと知りたいと思った。
 そのティターン、このアトランの生命の最も基本的な行程に携わる古老は、成長の無限の可能性の中にある、真実の生命の創造について、熱意をもって僕に語りかけたが――それは単なる画家が考えたこともないことであった。第一次統合されている物質から取り出した、崩壊した物質の超微小な精製物を慎重に取り扱う。分子の原子の中にこれらの統合体を溶け込ませる。これらの原子を物質の微粒子の中で化合する科学は、合成血液――アイコール(Icor)の製造に用いられ、これら全ての手順は全く芸術的であり、さらには、ティターンの天才たちによって、子供の考えと同じくらいシンプルに磨きあげられていた。
 さらには、ティターンはその講義の中で、《ムー》からの移住の計画についても触れた。そのことを繰り返す彼の動機には、曖昧なものが根底にあるように思えた。その曖昧さを、僕は精神的に恐ろしいもの、つまり何か別の、言及してはならない何か隠されたものと結びつけて考えようと思った。その事実にある『何か』恐ろしいものは、秘密にしておかなければならないかのようであった。我々の(彼の言によると)老いゆく太陽は、ますます多くの太陽の種子、小さいが、しかし濃密で活発な崩壊した微粒子をまき散らし、アトランの人々が若さを保持することは、テクニコンの技を持ってしてもますます難しくなってゆくのだということを学んだ。コーディネーターとロダイト(rodite)[*14]は計画を進め、若くて新しく生まれた太陽への移住のための宇宙船を用意したということを学んだ。そこは、パワーの源であるエクシドの残された余地が多く、生命のコンディションを整える力のあるところであり、統合が速いペースで行われるところであり、有害なエネルギーのロボット主義、あるいは人間なら生じない有害なエアア(err)[*15]が、稀にトラブルを引き起こすような影響のあるところである。

*****

原注

 *14) ロダイト(Rodite)――ライフ・パターンを同期させる人――(編者)
 
 *15) これは主に(とシェーバー氏は説明する)脳の脱分極に起因する。もはや地球は磁極化しておらず、磁極化しているのは太陽で――それゆえ分解物質(disintegrant)が太陽から流れ出し、単純な力学的帰結として、脳に入り込むのだ。磁石は太陽を磁極化させているかもしれず、ちょうど普通のコンパスが地球の極を指し示すように、太陽の両極を指し示すのだと私は考える。これが左右の脳に起こっていることなのだ。脳は磁極化した太陽となるのだ。砂漠ではこれは「カファード(極度の憂鬱)」として知られ、殺されるまで殺戮を続ける精神病となる。他のケースでは痴呆のような状態になるが、それは脳のどの部分が影響を受けたかによって決まる。マレーの「アモク(怒り狂う)」とノルウェイの「バーサーク(凶暴な)」は同じ現象だ。それが神経系、そして活性化した中心部の自我認識に作用したとき、犠牲者は殺人鬼か弾圧的な反動主義者になる。人間は電気機械のようなものであり、エネルギーの流れを彼自身で作り出している時には、機能が上手く働くが、そのエネルギーの流れが太陽からのものである時には、機能が病に冒されるのだ。
 太陽は創造を絶する発電機だ。常に表面から放射している。地球は常に、表面からのそれを浴びている。摂取量の多くは「弾かれる」。すなわち、物質の問題に帰される。重力とは単に物質的形態に戻った太陽の崩壊物質のエネルギーにすぎない。その多くは、しかしながら、ラジウムのような、太陽の永続性の分解物質(disintegrant)の種子である。放射能は崩壊の種子なのだ。
 それゆえ、有害な自然である太陽微粒子エネルギーの流れに依った精神の力は、ロボットとなる。つまり、ロボット主義、あるいは前向きに考えることができなくなるという状態に陥るのだ。有害なエアア(err)の犠牲者は、殺すという、ひとつのことしか考えられなくなるが、それは分解物質の金属が本来持つ、自然の要素と調和するからだ。(読者はここで、後に写本の中で完全な形で公開されることになる、二つのセンセーショナルな持論を突きつけられている。重力という自然、そしてエネルギーと物質の相互関係は、終わることのない円環の中にあるというのだ……編者)


****************


He told us of the upkeep and preparation of this fluid, both in the embryo and the adult; the difficult and important part being (he now stressed his words with greater emphasis with his attention bent especially toward me) the process of detecting and removing the slightest trace of the radio-active poisons that cause age.
I studied and I learned! These were the processes which had given the planet Mu its health and enabled us to live under more aging suns than other races. These were the life methods that had given us our fecundity; which had populated space for thousands of centuries with the seed of Atlan. I wanted to know all there was to learn about them.
The Titan, an old master at this most basic process of Atlan life, had imbued me with an enthusiasm for the true creation of life in its infinite possibilities of growth--such as no mere painter ever had. The delicate handling of those ultra-minute products of disintegrance from which primary integrations are formed; the mixing of these integrations into the atoms of elements; the chemistry of combining these atoms into the molecules of the substances used in the manufacture of the synthetic blood, Icor--all these steps were sheer artistry, yet were made as simple as child thought by the genius of the Titan.
Once more the Titan commented on the proposed emigration from Mu, weaving it into his lecture. There seemed to me to be an undercurrent of double meaning in his motive for repeating it; a double meaning that I strove to associate mentally with the fear-thing that was something else and also something so secret it must not be mentioned. It was as though even the fact that there was fear of that "something" must be kept secret. Our aging sun (he said) threw off increasingly large amounts of these sun's seeds, small but dense and active disintegrative particles, and I learned that keeping Atlan's peoples young was an increasingly difficult job for the technicons. I learned that the coordinators and rodite [*14] were preparing the plans and ships for our migration to a young, new-born sun, where the force setup of life conditions left a greater margin of exd for intake of power, where integrance went on at a faster pace, and where the infection that caused the occasional trouble with detrimental energy robotism or detrimental err [*15] in the human did not occur.

*****

# Footnotes #

^24:14 Rodite--Life pattern synchronizers.--Ed.

^24:15 This is mainly due (explains Mr. Shaver) to depolarization of the matter of the brain; it is no longer earth polared, it is sun polared--and hence inducts the disintegrant flows from the sun into the brain by simple dynamic induction. I think a magnet could be sun polared and point to the poles of the sun just as an ordinary compass points to the poles of the earth. This is what happens to parts of the brain; they become sun polared. In the desert this is known as "cafard," to become crazed and kill until killed. Others are just stupid, depending on what parts of the brain are affected. The Malay "amok" and the Norse "berserk" are the same phenomena. When it lies in the part of the brain devoted to memory, the result is absent mindedness. When it lies in the nervous system and ego recognition of activating centers, the victim is a killer or a repressive reactionary. It is simply true that man is an electrical machine which functions well when his energy flows are of his own creating, but functions especially ill when the energy flows are from the sun.
The sun is quite a dynamo; it always gives off, from the surface; while earth always takes in, from the surface. Much of this intake is "snap-back"; that is, it is returning to a state of matter. Gravity is merely the disintegrant energy of suns returning to material form. Much of it, however, is like radium, a persistent disintegrant seed of a sun. Radioactivity is the seeds of disintegration.
Hence, a mind powered by sun particle energy flows of a detrimental nature becomes robot. The result is robotism, or the inability to think constructively. Victims of detrimental err have but one basic thought, to kill, in keeping with the natural elemental instinct of the disintegrant metals. (The reader has been presented here with two sensational theories which appear in complete form later in the manuscript; the nature of gravity, and the interrelation of energy and matter in an endless circle.--Ed.

"I Remember Lemuria"
Written by Richard S. Shaver
(リチャード・S・シェーバー)
Translated by shigeyuki






訳文で、『分解物質(disintegrant)』となっているのは、なんだかよく分からなかったからです。disintegrantは、英辞郎では「崩壊剤」とか「錠剤分解物質」とか出てくるんですが、どちらも当てはまらないような。「崩壊して放出された物質」というような意味で使っているのだろうと思うので、もしかしたら放射性物質と言いたいのかもしれませんが、まあこの小説はだいたいこんな感じのトンデモ本なので、適当に「分解物質」としました。こんなことは、これから先も多いかもしれません。その時には、このような表記方法を取ります。


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「涼宮ハルヒの憂鬱」 谷川流著
角川スニーカー文庫 角川書店刊

を読む。

 以前からよくタイトルは聞く「涼宮ハルヒの憂鬱」を読んだ。ほとんど予備知識はなかったが、まあ、思ったとおりというか、アニメっぽい。というか、高校生の頃に見た、「うる星やつら・ビューティフル・ドリーマー」にかなり似ている気がする。僕がアニメをほとんど見ないので、それくらいしか比較のしようがないのかもしれないが、やっぱり、ほぼ同じ話のような印象。しかも、うる星やつらのほうが面白かったと思う。人気があるのは、分からないでもないが、僕にはちょっとやっぱり苦手だった。この作家の作品は、西尾維新と違って、これ一冊でもういいかなという感じ。すらすら読めるので、きっと語りはうまいんだろうけれど。

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 ぼくの列車は極端に遅く、ウリッジのローヤル・アーセナルに到着したのは五時を過ぎていた。見たところ仕事をするにはもう遅すぎて、ぼくは車の連結を解いて他の車両はそこに残し、折り返した。だが疲れきっていたため、ロウソクを調達し、グリニッジ天文台に立ち寄って、その古く暗い建物の中で、夜の残りを激しい嵐の音を聞きながら過ごした。だが翌朝の八時には起きだして、十時にはアーセナルに戻って、広く多様な存在物の分析に取りかかった。多くの部品は、ろくに確かめられずに、さっさとうち捨てられてしまったかのようで、最初に入った帽子工場で、ぼくはどんな要求をも満たす道具を手に入れた。まず探したのは、ちょうど良い形式のタイム・ヒューズで、二、三千個は必要だったが、うんざりするほどの時間をかけて、オードナンス・ストア・デパートメントと呼ばれている、対称的に配置された夥しい数の建物群の中にそれを見つけた。ぼくはそこを離れ、波止場まで歩いてゆくと、今度は列車と共に戻り、バッグにいっぱいのヒューズを、ロープを使って、滑り台のようにして下に向かって送り、カートへと届くようにした。だがひとつのヒューズを巻きつけながら、ぼくはその仕掛けが機能しないことに気が付き、そのスコリアに対して腹を立てた。ぼくは一つ一つ取り出してはふるい分けるという仕事に専念することは放棄せざるを得なかった。ぼくは労働者のように、その日一日を惨めな気分で働いて過ごした。だが四時頃になると、ぼくは頭にきてその作業を放り出したが、既に二百くらいは終えていたため、鼻歌混じりでロンドンへと戻った。

 *****
 
 その日の夜の六時に、ぼくは初めてハーレー・ストリートにある、かつての自分の部屋を訪れた。暗くなりかけていて、黒い嵐が、世界を吹き飛ばす百日咳のように吹き荒れていた。見てすぐに、ぼくは部屋が襲撃にあったということを見てとった。というのも、部屋のドアが大きく開いていて、大きな音を立てていたからで、下の留め具のせいで完全に閉じることができないのだった。通路ではカーランプがユダヤ人と思われる一人の若い男を照らし出していたが、彼は頭をコクリと垂らして、眠っているかのような姿勢で座り、後ろに傾いたシルクハットが、今にも落ちそうになっていた。仰向け、うつ伏せ、横向きと、様々な姿勢の遺体が六体以上あって、一人はヘッドドレスを着たアルルの少女、一人は黒人の女性、さらに一人は援助基金の男で、残りの三人は国籍が不明だった。最初の部屋は――待合室だ――さらに沢山の人々で溢れていたが、テーブルの上はそのままで、「パンチ」、「ジェントルウーマン」、それにヘリオグラフのロンドン観光の本などが乗っていた。その後ろの、階段を降りたところには、研究とコンサルティングのための部屋があって、そこにはいつものように、回転式のオークの文机があった。だが、ぼくの小さなくたびれたソファーには、不釣合なくらいの巨体の女性が、キラキラとした茶色のシルクの服を身に纏い、その左の拳には、金の安物の宝石が大量に、『嫁入り道具』として輝いており、その頭は右後方へと垂れて、喉の酷く深い傷のせいで、ほとんど千切れそうになっていた。ここには古い燭台が二つあり、ぼくはそれに火を点して、上へと上っていった。客間には、見知らぬ人々がたくさんいたが、その中に昔ながらの家政婦がロッキングチェアに穏やかに座っており、彼女の左手の指は、蓋の開いたままのピアノの鍵盤にかけられていた。だが、彼女は素晴らしかった。彼女はぼくのベッドルームを、押し寄せてくる人々に対して閉ざしていた。そして緑のベーズのカーテンの後ろの隅にあるドアは、見えなかったが、少なくとも触れられてはいないようだった。どこに鍵があるのかはわからなかったが、背中で何度もぶつかると、開いた。ベッドはそのままで、何もかもがきちんと整えられていた。これは、アダムの奇妙な帰還だった。

****************


My train was execrably slow, and not until after five did I arrive at the entrance-gates of the Woolwich Royal Arsenal; and seeing that it was too late to work, I uncoupled the motor, and leaving the others there, turned back; but overtaken by lassitude, I procured candles, stopped at the Greenwich Observatory, and in that old dark pile, remained for the night, listening to a furious storm. But, a-stir by eight the next morning, I got back by ten to the Arsenal, and proceeded to analyse that vast and multiple entity. Many parts of it seemed to have been abandoned in undisciplined haste, and in the Cap Factory, which I first entered, I found tools by which to effect entry into any desired part. My first search was for time-fuses of good type, of which I needed two or three thousand, and after a wearily long time found a great number symmetrically arranged in rows in a range of buildings called the Ordnance Store Department. I then descended, walked back to the wharf, brought up my train, and began to lower the fuses in bag-fulls by ropes through a shoot, letting go each rope as the fuses reached the cart. However, on winding one fuse, I found that the mechanism would not go, choked with scoriae; and I had to resign myself to the task of opening and dusting every one: a wretched labour in which I spent that day, like a workman. But about four I threw them to the devil, having done two hundred odd, and then hummed back in the motor to London.

*****

That same evening at six I paid, for the first time, a visit to my old self in Harley Street. It was getting dark, and a bleak storm that hooted like whooping-cough swept the world. At once I saw that even I had been invaded: for my door swung open, banging, a lowered catch preventing it from slamming; in the passage the car-lamp shewed me a young man who seemed a Jew, sitting as if in sleep with dropped head, a back-tilted silk-hat pressed down upon his head to the ears; and lying on face, or back, or side, six more, one a girl with Arlesienne head-dress, one a negress, one a Deal lifeboat's-man, and three of uncertain race; the first room―the waiting-room―is much more numerously occupied, though there still, on the table, lies the volume of Punch, the Gentlewoman, and the book of London views in heliograph. Behind this, descending two steps, is the study and consulting-room, and there, as ever, the revolving-cover oak writing-desk: but on my little shabby-red sofa, a large lady much too big for it, in shimmering brown silk, round her left wrist a trousseau of massive gold trinkets, her head dropped right back, almost severed by an infernal gash from the throat. Here were two old silver candle-sticks, which I lit, and went upstairs: in the drawing-room sat my old house-keeper, placidly dead in a rocking-chair, her left hand pressing down a batch of the open piano-keys, among many strangers. But she was very good: she had locked my bedroom against intrusion; and as the door stands across a corner behind a green-baize curtain, it had not been seen, or, at least, not forced. I did not know where the key might be, but a few thumps with my back drove it open: and there lay my bed intact, and everything tidy. This was a strange coming-back to it, Adam.

"The Purple Cloud"
Written by M.P. Shiel
(M.P. シール)
Translated by shigeyuki




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 「簡単なことです。我々が飲んだり、風呂に使ったりする水を何度も蒸留する。遠心分離機で水を処置し、蒸留で取り除くことのできない老化毒を取り除く。ベン・エナジーの磁場を作るベン・ジェネレーターを使う。空気遠心分離機で大気中から毒を取り除く。ですが、老化毒から我々を完全に保護するのは不可能だと言わざるを得ません。少しづつではありますが、実際に体内に入り込んで、水の中に沈み込むように、蓄積されてゆくのです。もし我々がこのまま《ムー》に残り続けるなら、どんどんと年をとって[*13]、ついには死んでしまうでしょう」
 僕は彼の瞳を、好奇心と同じだけの礼儀正しさを持って、まっすぐに見詰めた。すると彼も僕を同じように見詰め返してきた。
 「あなたが恐れているのは、老化毒ではないですね」僕は言った。
 彼は静かに僕を見詰めた。力の奔流が僕を貫いて流れ、勇気づけ、保護し、警告しているかのように思えた。それはサイベルから得たのと同じ感覚だった。
 「みなさん、来て下さい」と彼は穏やかに言った。「今から胎児研究室に行きます」
 研究室に入る前に、僕たちはティターンによって処方された栄養剤を与えられたが、それは生徒たちの感性を向上させ、それゆえ彼の仕事をやり易くするためのものだった。僕たちはこうした薬を定期的に投与されるのだと聞かされた。最初に服用した時でさえ、頭の中には新しいアイデアと、奇妙な新しいイメージが渦巻いた。全ての想像を超えた活力を覚え、その熱狂には限りがなかった。僕はアールの手を取り、実験室へと進んで行った。
 そこは本当に素晴らしいところで、これまでに見たこともないほどの驚異に満ちた場所だった。僕はちっぽけな小人が巨人の宝物庫を覗き込んでいるような気分になった。ここには、僕自身の精神の力が作り出す知性を超えたものが存在していた。そのうえ、僕にはそれら全てに自由にアクセスすることも、そこから学ぶことも、そしてもし僕が将来の生活や仕事の中で望むのなら、その知識を使うことも許されているのだ。
 たくさんの奇妙な機械が実験室には溢れており、そのどれもが、僕には推測することしかできないタスクを実行していた。だがこれらの機械は、この偉大なる部屋の本当の科学の下位に位置するものにすぎず、科学的に、そして電子的に、たくさんの人間の胎児に栄養を投与し、発達させるためだけに作られていた。胎児は密封された容器の中の、合成によって精製された「母の血液」の中に移され、育てられるのだ。
 成長の進んだ胎児は足を蹴りあげ、健康的な様子で、生命の液体――アイコール(Icor)と呼ばれる「神の血液」――を供給している臍の緒を引っ張っていた。そしてこの「神の血液」こそが、これからティターンが我々に行う講義の主役であった。

*****

原注

 *13)ミュータン・ミオンの物語のこの部分の含蓄に興味を持ち、編集部はシェーバー氏に老化の原因についてのこの説の追加情報を求める手紙を書いた。その返事は奇妙なものだった。なぜなら、いくつかの説は現代のもの(シェーバー氏のもの)のように思えるし、その他はミュータン・ミオン氏のものに思われるというのに、どちらがどちらかという区別が明示されていないからだ。しかしながら、我々は読者の判断に全てを委ねよう。
 「太陽は、それ自体があらゆる放射能の母なる源で、全地球とそこに住む全ての生命に影響を与えているように思えます。太陽の放射する微小な崩壊物質は常に我々の上に、雨のように降り注ぎ、老化と呼ばれている効果を与えています。水の中には、毒は濃密に沈殿しており、特に温泉には沢山含まれています。大気中の毒は、小さな毒の冠毛となって永遠に漂い、付着して影響を与えます。植物の葉にも付着するのです。我々は一呼吸ごとに、食物を一口食べるごとに、水を飲むごとに、毒を摂取しているのです。老化は、その毒の蓄積によって生じるのです。
 ですが、我々は毒を摂取する必要があるというわけではありません。我々は自分自身を保護し、優れた知性の力で、もっと長い年月を、若いままに保つことが出来るのです。我々の体の細胞が四年から七年で入れ替わるにも関わらず、若さを保てないというのは、肉体の組織に残存した毒と接触を続けているためだというのは明らかです。ですが、赤ん坊は若々しい。それは、胎盤を通じてフィルターがかけられた血液を得るため、若いのです――もし、常に毒が胎盤のフィルターを複製したものによって濾過され続けるなら、若いままでいられることでしょう。植物の茎が古くなっても、種が新鮮なのは、老化の毒を通すことなく、それ自体に再生する機能が備わっているからです。なぜなら、茎には種へとつながる毒の経路を防ぐフィルターが含まれているからです。誕生と発芽のシンプルな濾過のプロセスが、人類によって『複製できれば』、老化を遠ざけることも出来るでしょう。
 ここで、キュリー夫人のノートからの引用をいくつか並べます。『つまるところ、ラジウムの放射線は伝染するのです。病気や頑固な臭いのように、伝染性のものなのです。ひとつの物体、一個の植物、一匹の動物、あるいは一人の人間、そうしたものが被爆することもなく、ラジウムのテーブルの側から離れることなど、不可能なのです――放射能を帯びること――それは感度の良い器具によって検出することのできる、注目に値する営みなのです』後のページにはこうあります。『このように、放射性元素は奇妙な形をしており、残酷なファミリーを形成し、それぞれのメンバーは母物質からの壊変によって作られ――ラジウムはウラニウムの壊変によって作られる――ラジウムからはポロニウムが(略)』そしてさらに後のページにはこうあります。『強い放射性物質について実験をする際、もしきちんとした測定を行いたいと望むなら、前もって細心の注意を払うべきです。実験室で使用する様々な物質、それに物理実験で使用する器具の全ては、僅かな時間であっても放射能を帯び、黒紙を通り抜けて印画紙に影響を与えます。塵も、部屋の空気も、衣服も、すべてが被爆するのです。悪魔は我々の研究室のステージの一点に手を伸ばしたのです』
 母という単語に注目。太陽は放射線の母なる源です。
 時計工場がかつては労働者たち(二十歳の若い少女たちだ)に、放射性物質を塗布した文字盤をくわえさせていたというのは、一般的に知られていることです。彼女たちは二十歳から二十五歳で『老化して』死んだのです!病気ではなく、老化毒によって。微粒子は、ラジウムもそのひとつである、重金属の崩壊から生じるものなのです!」――(編者)

****************


"They are simple ones. Multiple distillation of the water in which we drink and bathe; treatment of the water in a centrifuge to remove the very finely divided age poisons that cannot be removed by distillation; bengenerators to create a magnetic field of ben energies; air centrifuges to remove poisons from the air. But I must impress upon you that it is impossible to shield us from all of the age poison; from that small amount that actually falls upon our own bodies and accumulates there as it does in the water. Eventually, if we remain on Mu, we will grow old, [*13] and finally die."
I looked him squarely in the eyes, respectful in a degree equal to the kindly interest that shone in his as he returned my look.
"It is not the age poisons you fear," I accused.
He looked at me silently; and a flood of force seemed to flow through me, encouraging me, protecting me, cautioning me. It was the same feeling I had gotten from the Sybyl.
"Come, students," he said gently. "We will go now to the embryo laboratory."
Before we entered the laboratory we were given nutrient potions prescribed by the Titan for his students to make them more receptive and hence his work easier. We were told that we would receive these potions regularly. Even as I took the first draught my brain throbbed with a new growth of ideas and strange new images. I was exhilarated beyond all imagining, and my enthusiasm knew no bounds. I took Arl's hand in mine as we trooped into the laboratory.
It was truly a wonderful place, the most amazing I had ever seen. I felt like a mite admitted to the treasure-house of a giant. Here were things that were beyond my intelligence to create of my own mind power; and yet I was being given free and welcome access to all of them, to learn from them, and to use the knowledge if I wished in my future life and work.
Many strange machines filled the laboratory, all performing tasks that I could only guess at. But these machines were subordinate to the real science of this great room, being designed only to chemically and electronically nourish and develop the many human embryos that moved and grew in synthetically duplicated mother-blood in sealed bottles.
The older ones kicked and tugged healthily at the grafted umbilical tube which supplied the life fluid--called Icor, the "blood of the gods." And it was this blood that was the subject of the lecture the Titannow gave us.

*****

# Footnotes #

^20:13 Impressed with the implications contained in this portion of the story of Mutan Mion, we wrote Mr. Shaver for additional information on this theory of the cause of age. This information is curious, because some of the theories seem to be modern (by Mr. Shaver) and others those of Mutan Mion, with no particular designation as to which is which. However, we present the whole for your judgment.
"The sun itself seems to be the mother source of all radioactivity, infecting all the earth's surface and all the life on its surface. The sun projects minute disintegrances down upon us in a steady, numerous rain whose effects we call age. In water the poison is heavily present in suspension, especially so in thermal springs. In the air the poison floats forever with the tiny thistledown of dust it has infected and to which it clings. It settles on the leaves of plants. So we take the poison in with every breath, with every bite of food, with every drink of water; thus we age as the poison accumulates.
"But we do not have to let in that poison; we can protect ourselves and grow through a longer youth to a much greater age, with superior mental powers. It is very plain that a mother's body cells, although replaced every four to seven years, are not young because they remain in contact with the poison retaining fabric of the body and so age swiftly. Yet, the baby is young. Young because it gets filtered blood, filtered through the placenta--and would remain young if the poisons were to be continued to be filtered out by a duplication of the placenta filter. The stalk of a plant is old, yet its seed is young, capable of reproducing itself without passing on the poisons of age. It is because the stalk contains a filter to prevent passage of the poison to the seed. The simple filtration processes of birth and seeding CAN BE COPIED by man, thus putting off old age.
"Here are a few verbatim quotations from Madame Curie's notes: 'Finally, the radiation of radium was contagious. Contagious like a disease and like persistent scent. It was impossible for an object, a plant, an animal or a person to be left near a table of radium without it immediately acquiring radioactivity--becoming radioactive--a notable activity which a sensitive apparatus could detect.' A later page: 'Thus the radio elements formed strange and cruel families in which each member was created by degeneration from the mother substance--radium was created by degeneration from uranium--polonium from radium, etc.' And from a later page: 'When one studies strongly radioactive substances special precautions must be taken if one wishes to be able to take delicate measurements. The various objects used in a chemical laboratory and those used in physics experiments all become radioactive in a short time, and affect photo paper through black paper. Dust, the air of the room, one's clothes all become radio-active. The evil has reached an acute stage in our laboratory.'
"Note the word mother. The sun is the mother source of radioactives.
"It is a matter of common knowledge that certain watch factories formerly allowed workers (young girls of twenty) to tongue-tip the brushes with which they painted the radioactive dials. They died of OLD AGE at twenty and twenty-five years! Not of a disease, but of age poison; particles, whose origination is from the disintegration of the heavy metals of which radium is a member!"--Ed.

"I Remember Lemuria"
Written by Richard S. Shaver
(リチャード・S・シェーバー)
Translated by shigeyuki




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「ブラッド・ミュージック」 グレッグ・ベア著 小川 隆 訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

を再読。

 再読なのだが、以前読んだ時にはざっと流して読んだので(しかももう随分と前のこと)、ほとんど覚えていなかった。なので、初読に近い。
 発表当時は、「80年代版『幼年期の終り』」という触れ込みで、かなり持ち上げられていたように思う。でも、その時に読んだのではなくて、しばらくした頃だった。その時の感想が、「なんだかニュー・サイエンスのようだ」というものだったのは覚えている。
 今回読んで、ややその感想が変わり、ニュー・サイエンスだとまでは思わなくなった。これはひとつの終末の物語に他ならないからだ。ただ、この作品の世界観は、その後のSFではとてもポピュラーなものの一つになっていったため、今ではすっかりと消化されてしまった作品だとは思った。今でも読む価値は十分にあると思うが、センチメンタルな感じは共感するものの、特に優れた人間ドラマがあるわけではないし、「幼年期の終り」と違って、神のような存在が出てこない分、新たな、もっと優れたアイデアで上書きされていってしまう宿命を持った作品なのだろう。

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 試験管の中に新しい沈殿物を見つけ、それが一体どんな性質のものなのかと調べていたかつての日々のように、ぼくは自分の心の中を見つめた。
 ぼくは一切のトラブルを嫌っており、それゆえ最も単純な手作業の必要性が生じることさえ腹立たしかった。だがもしそれがぼくの留まることのない欲望に大きく寄与するのなら、それを達成するためには骨身を惜しまなかっただろうが、絶えず気を引き締めていなければ、横道に逸れたり、気まぐれを起こしたり、無意味な気晴らしに流れてしまいがちだった。
 この地方では、青野菜を調理するたびにイライラとした――それが唯一問題を取り除く必要性を抱えた食材だったからだ。肉類はすべて、そしてほとんどの魚は、大抵とても美味しく、ぼくが死んでも、その後一世紀はおそらく食べられる状態を保ったであろうと思われた。けれどもグロスターでは、グリーンピース、アスパラガス、オリーブ、そして他の青野菜が、既にベースケアなしに食べられるということが判明した。これらは比較的大きな店の中ならどこにでも残っており、一人の人間が必要な量としては、ほぼ無限にあるといって良かった。あらゆるものが、実際のところ、ぼくの必要とする量と比較するなら無限だった。したがって、食事に関しては、骨付き肉やチキンを取り分ける人間のように、トラブルになるということもなかった。だがそんな些細なことさえ、時々はひどくうんざりした。暖を取るための灯火が弱くなるので、時々はそれの面倒も見なければならなかった。ホテルの火はいつも眠っている間に消えてしまうのだ。だがそれはこの忌々しい北の島だけの不自由で、ぼくはすぐに永遠の嬉しい別れを告げるつもりだった。
 ロンドンでの二日目の午後、ぼくはホルボーンで馬力のあるガソリン自動車を見つけ、オーバーホールをしてガソリンを少し入れ、ブラックフライヤーズ・ブリッジを渡り、さらに酷い状態になっているロンドンの南の河岸を通り抜け、ウリッジに向かった。そして干からびた馬を切り離して、その手綱や鎖の馬具などを利用し、即興の連結具を作って、荷車が二台、タクシーが一台、自家輸送車が一台と、出会った車体を次々と後ろに連結した。そしてこの珍奇な列車とともに東へと向かった。
 道の途中で、ずっと傷つかないように大切にしていたボレアル号での日々に使っていた古い銀のクロノメーターにふと目をやったが――壊れてしまっているという事実に突然気付かされ、どうしていいのか分からないほど動揺した!なぜかわからなかった。針の指し示している午後三時十分というのは、ロンドンのあらゆる時計が止まってしまった瞬間を示す単純な事実にすぎず――それぞれの街で、それぞれの運命の時を指し示している不思議な針が存在するのだ。ロンドンではそれが日曜日の午後三時十分だったということである。ぼくが最初にそれに気づいたのは、河を遡りながら見た国会議事堂の《ビッグ・ベン》の文字盤だったが、今では時計が全て三時十分を示しており、じっと時間を守りながら、しかし時の終りの守り人は、永遠に一瞬だけを封じ込めたのだということが分かっていた。素晴らしく洞察力のある「スコリア」の雲塊はすぐに時計の動きを止め、人々と共に静寂の中に沈み込んめてしまったに違いない。だがこの特別な時間の表すものの中に、ぼくは何かひどく厳粛なものを見たが、それは見せかけの厳粛さ、個人的なもので、ぼくの持っている時計が同じ瞬間を指しているというのは、いわば「ぼく」に宛てられたもののように思え、心がざわざわと騒ぎ、そんな怒りと恐怖が半ばになったような感情は、ボレアル号を去って以来、なかったことだった。だが翌日には、さらに別のものが待ち構えていた。そしてさらにその翌日にも。

*****
 

****************


I watch my mind, as in the old days I would watch a new precipitate in a test-tube, to see into what sediment it would settle.
I am very averse to trouble of any sort, so that the necessity for the simplest manual operations will rouse me to indignation: but if a thing will contribute largely to my ever-growing voluptuousness, I will undergo a considerable amount of labour to accomplish it, though without steady effort, being liable to side-winds and whims, and purposeless relaxations.
In the country I became very irritable at the need which confronted me of occasionally cooking some green vegetable―the only item of food which it was necessary to take some trouble over: for all meats, and many fish, some quite delicious, I find already prepared in forms which will remain good probably a century after my death, should I ever die. In Gloucester, however, I found peas, asparagus, olives, and other greens, already prepared to be eaten without base cares: and these, I now see, exist everywhere in stores so vast comparatively to the needs of a single man, that they may be called infinite. Everything, in fact, is infinite compared with my needs. I take my meals, therefore, without more trouble than a man who had to carve his joint, or chicken: though even that little I sometimes find most irksome. There remains the detestable degradation of lighting fires for warmth, which I have occasionally to do: for the fire at the hotel invariably goes out while I sleep. But that is an inconvenience of this vile northern island only, to which I shall soon bid eternal glad farewells.
During the afternoon of my second day in London, I sought out a strong petrol motor in Holborn, overhauled and oiled it a little, and set off over Blackfriars Bridge, making for Woolwich through that other more putrid London on the south river-side. One after the other, I connected, as I came upon them, two drays, a cab, and a private carriage, to my motor in line behind, having cut away the withered horses, and using the reins, chain-harness, &c., as impromptu couplings. And with this novel train, I rumbled eastward.
Half-way I happened to look at my old silver chronometer of Boreal-days, which I have kept carefully wound―and how I can be still thrown into these sudden frantic agitations by a nothing, a nothing, my good God! I do not know. This time it was only the simple fact that the hands chanced to point to 3.10 P.M., the precise moment at which all the clocks of London had stopped―for each town has its thousand weird fore-fingers, pointing, pointing still, to the moment of doom. In London it was 3.10 on a Sunday afternoon. I first noticed it going up the river on the face of the 'Big Ben' of the Parliament-house, and I now find that they all, all, have this 3.10 mania, time-keepers still, but keepers of the end of Time, fixedly noting for ever and ever that one moment. The cloud-mass of fine penetrating scoriae must have instantly stopped their works, and they had fallen silent with man. But in their insistence upon this particular minute I had found something so hideously solemn, yet mock-solemn, personal, and as it were addressed to me, that when my own watch dared to point to the same moment, I was thrown into one of those sudden, paroxysmal, panting turmoils of mind, half rage, half horror, which have hardly once visited me since I left the Boreal. On the morrow, alas, another awaited me; and again on the second morrow after.

*****

"The Purple Cloud"
Written by M.P. Shiel
(M.P. シール)
Transrated by shigeyuki




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