漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

ミゲル・デ・セルバンテス『ペルシーレスとシヒスムンダの苦難(上・下)』

2020年01月24日 | 読書録

ミゲル・デ・セルバンテス『ペルシーレスとシヒスムンダの苦難(上・下)』(荻内勝之訳/世界幻想文学大系/国書刊行会)読了。

 超絶美男子のペリアンドロとその妹(ということになっている)の超絶美女アウリステラが、その美貌ゆえ(どのくらい美貌かといえば、兄は女装させると類まれなる美女に変身し、妹はあらゆる男性から求婚されるほど)、様々なちょっかいを出されながらも、「ローマ巡礼の途中ですので」の一言でその求愛を退け続け、貞淑を守り通し、様々な人々の奇妙な人生に耳を傾けたり、数奇過ぎる運命に弄ばれ続けたりしながら、念願のローマ巡礼を果たし、最後にはすべての謎が明かされるという物語。
 ともかく物語の展開が早く、登場人物たちは揃って饒舌で、我先に自分の話を語り、そしてよく動く。そのあまりの波乱万丈さには、読む方がだんだんその展開のでたらめさに麻痺してくるほど。ご都合主義的な展開や邂逅も多く、正直、だんだん何が何だか、誰が誰だか、わからなくなってしまう部分もあった。
セルバンテスの遺作ということで、推敲もされておらず、著者にしてみれば不本意なところもあるかもしれないが、天性のストーリーテラーであるということは十二分に伝わってくる。代表作である『ドン・キホーテ』がまだ未読なので、近いうちに必ず読みたいと思う。

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