漂着の浜辺から
囁きのような呟き。
 



 今日も朝から雨で、娘の運動会は中止。
 なので、途中から参加させていただくつもりだった、Jules Verne PageのsynaさんとNEW ATLANTISの由里葉さんとの小さな散歩ツアーに最初から参加させていただいた。
 雨の中を、哲学堂から中野、それから吉祥寺へ。トルコ行進曲に乗って。僕には楽しい散歩ツアーだったけれど、結構歩かせてしまったかもしれません。synaさん、由里葉さん、どうもありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

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 朝から雨が降り続き、昨日の暑さが嘘のような気候。半袖では肌寒く、夏は終わったんだなとはっきりと感じた一日。
 本来なら、今日は娘の運動会だったのだが、雨のため翌日に順延。明日ももしこんな天気なら、平日の開催になるらしい。小学校最後の運動会だから、見に行ってやりたいが、平日になったとしたら、多分無理だろう。明日、晴れればいいのだけれど。

 そんな感じで、どこか失われたような一日となってしまった今日。夜になって、そうだ今日は調布で花火大会があったんだと思い出したが、こんな天気ではすっかり忘れてしまっていても仕方がない。
 それでも、こんな肌寒い小雨降る初秋の夜空に打ち上がる花火も、どこか静かで、きっと綺麗だろう。そう思いながら、今年出かけた川崎の花火大会の写真を引っ張り出して眺めると、うん悪くない、そう思った。写真は、その時のもの。


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「サマー/タイム/トラベラー・1」 新城カズマ著 
ハヤカワ文庫JA 早川書房刊

を読む。

全ニ巻の一巻目らしい。
頑張って読んだけれども、これは結構きつかった。だから、途中からは斜め読みになった。
内容そのものは、もしかしたらそれほど悪くないのかもしれないけれども、それ以前に、文体というか語り口というか、それが気になって仕方ない。
キャラクターも、紋切り型の漫画としか思えない。
ライトノベルって、みんなこんな感じなのだろうか。
また、この小説も過去のSF小説を沢山引用して、そのイメージの喚起力を借りている。流行りなのかもしれないけれども、遅れてきた村上春樹っぽくて、好きになれない。


写真は、「ゴンズイ玉」。ゴンズイという魚は、まるで玉のように群れて移動する。珍しい魚でもないが、転がる玉のように水中を転がるゴンズイ玉は、不思議な光景。
ただし、ゴンズイには毒があるので、下手に触らないようにしなければなりません。


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 その鳥は思う。いつしかそれを見た事があるのだろうかと。風は答えない。太陽はただ照りつけるのみ。鳥は首を傾げる。それから鳥は大きく羽を広げ尾で風を蹴る。なだらかな曲線を描いて光は鳥の背を滑る。そして少し光る。鳥は記憶を辿る。だが辿る側からその理由を失う。鳥は翼で光を打つ。光は砕けて散ってゆく。鳥はそれをじっと見ている。鳥には人の見えない色彩が見える。鳥の目には紫外線が見える。鳥にとって色彩は人よりも遥かに立体的なのだ。

 その鳥は思う。いつしかそれを見た事があるのだろうかと。空はただ青い。そして深く高い。鳥は何度もそう考える。そして考える側から忘れて行く。風が吹く。鳥は柔らかく風を捉まえてさらに空を滑る。小さな音が聞こえる。それは鳥の歌である。

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 「まだ、か」アトレウスは言った。「いつも同じ話になる。俺だってトゥーリの無事を信じていたい。だが、もう一年だ。最初の約束は一年だけ待つってことだったろう。約束の期限はもう来ている。本当なら、俺はもうここに来る必要なんてないんだ。俺は、約束はちゃんと守ったんだからな」
 「じゃあ、もう来なければいいわ」
 「落ち着けよ。悪かった。言い過ぎだった。だが、俺は君たちのことを思っているんだ。トゥーリを君が大切に思っていることは知っている。俺にとってもトゥーリは大事な友達だった。だからこそ、君たちをこのまま放ってはおけないんだ。トゥーリのためにも、俺は君とツァーヴェを幸せにしてやりたいと思っている」そしてアトレウスは付け加えた。「でもそれは、ただの同情や義務感じゃない。本当の気持ちだ」
 「わかっているわ」とオルガは小さな声で言った。「あなたがとてもいい人だということは、本当に分かっているのよ」
 「それよりも、僕の君に対する愛を信じて欲しいんだが」アトレウスは言った。「だが、言っても始まらないんだろうな」
 「ええ、今は無理だわ」
 「そうか」
 アトレウスは立ち上がった。そして窓辺に寄り、外を見た。窓の外には崖とその先の森が見えた。アトレウスはその崖にトゥーリが立っている姿を思い浮かべた。想像の中で、トゥーリは決してこちらを振り向かなかった。アトレウスは小さく身震いをした。どうしてそんな震えが襲ったのか分からなかったが、どこかで罪悪感のようなものを感じているのかもしれないなと思った。アトレウスは窓から視線を逸らした。
 「夏までは待つよ。さっき言ったように」アトレウスは言った。「それまでに考えておいてくれるか?」
 オルガは答えなかった。それでもアトレウスはじっと辛抱して、彼女の言葉を待った。だが、ついには諦めて言った。「夏までだよ。今度は本当だ。もう次の秋にはここには来ない」
 オルガは俯いた。アトレウスは続けた。「次の夏になったら、君とツァーヴェを引っ張ってでも連れて行く。泣こうが喚こうが、必ず連れて町へ行くつもりだ。覚悟しておいてくれ」
 部屋の中にしんとした空気が流れた。アトレウスはオルガの肩に手をかけた。「冬の間にも来れる時には来るよ。多分、二、三回ほどかもしれないが……何とか乗り切ってくれ」
 「ありがとう」オルガは呟くように言った。
 アトレウスは頷いた。「そろそろ行くよ」
 アトレウスはオルガに口づけ、部屋を横切って扉を開いた。爽やかな風の向こうに、小さな影が見えた。それはツァーヴェが絵本とキャンディーを持って帰って来る姿だった。アトレウスは手を振った。すると遠くでツァーヴェの小さな影が手を上げて、小さく振るのが見えた。

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 週末は、祖母の見舞いのために大阪へ。
 泣いてはいけないと思いつつ、どうにも耐え切れなかった。

 関西から帰ってきて、今日の午後はジュール・ヴェルヌ研究会の読書会に参加させていただいた。議題は「地底旅行」。少し遅れてしまったのが残念だったが、楽しい時間だった。
 

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「ハイペリオン」 ダン・シモンズ著 酒井昭伸訳
海外SFノベルズ 早川書房刊

を読む。

 物凄く評価の高い「ハイペリオン」だが、一読した感想は、「まあ、確かに結構面白かったけれども……」といった感じ。僕の読み方が悪いのだろうか?もっとも、このシリーズはこの一冊では全く完結していなくて、あと三冊あるようだから、この一冊だけで評価するのは間違っているのかもしれない。
 この小説を読んで最初に思い出したのはアニメの「エヴァンゲリオン」。以前にテレビシリーズを録画したものを借りて観たことがあるのだが、あれと同じで、昔のSF小説などのカットアップを適度に配置して、勿体ぶった作品に仕上げたもののような感じがした。「ああ、これはあの作品からパクったな」とか、SFマニアの元ネタ探しという楽しみはあるかもしれないけれども、これを名作と呼ぶのはどうなんだろう。
 残りの三冊も読もうとは思うが、このシリーズは本当に分厚い。この海外ノヴェルズ版は、二段組で530ページほどもある。他の三冊は、さらに分厚かったりする。うーん。

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長い一日が終わろうとしている
あなたにとってその一日は
どのようなものであったのだろう
あなたの一日は
わたしにはとても美しく見える

穏やかなあなたの水面を時折影が横切る
わたしにはその影を妨げることができない
わたしの手がさらに新しい影を作り出すだけ
それでも影が去った時には
あなたの水面は元のままで
じっと綺麗だ

長い一日が終わろうとしている
長い午後がもうすぐ終わる
日が傾き始めた
少しづつ光が
宇宙の闇の色に溶け込んで行く

わたしは見ていよう
その光が細く薄れそれから消え
風景の中に漂う
柔らかい香りのする記憶となるまで


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 葉山の長者ヶ崎に出かけた。
 夏が過ぎて、葉山もようやく穏やかになったようだ。
 今日は絶好のウィンドサーフィン日和だったせいか、人出も多かったが、それでものんびりとした空気が漂っていた。
 今日長者ヶ崎海岸に出かけたのは、「大崩れ」とも呼ばれている長者ヶ崎に上陸したかったから。
 ここは、陸路ではなかなか辿り着くのは難しい。
 うんと潮が引いていたら、南側から、足が少し濡れる程度で行けるかもしれないが、普通は海の中に入らずに行くのは無理。以前ここに来た時は、スプリングタイプのウエットだったため、アンドンクラゲの群れに阻まれて、面倒になって上陸を諦めた。だから今回はリベンジ。フルスーツで臨んだ。とはいえ、今日はクラゲも少なかったのだけれど。



 さすがに人もあまりいない。ただし、海況は悪くて、水は味噌汁状態。透明度は十センチ程度。何も見えない。
 しかし、長者ヶ崎はそれだけに落ち着ける場所だった。ここを訪れるのは、シーカヤックに乗ってやってくる人が中心のようだ。
 フロートにビールをいれて運び、ここでゆっくりと飲んで昼寝でもしたらきっといい気持ちだろう。
 回りこむと、岬は結構広くて、プライベートビーチと呼べる場所が三箇所ほどある。そのうちの二箇所には、全く誰もいなかった。



 写真は、三枚とも長者ヶ崎の写真。三枚とも別の浜。

 岬からの帰りは、どうせ水の中は何も見えないので、仰向けに浮かび、空を見ながら浜へ戻った。それから着替えて、浜沿いに、松林が美しい一色海岸へ向かった。

 いつも思うが、秋の葉山は何だか懐かしい気がする場所だ。

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「緑の星のオデッセイ」 フィリップ・ホセ・ファーマー著 矢野徹訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

を読む。

 僕はファーマーの「リバーワールド」シリーズが大好きで、これまでに何度も読んでいる。なので、この作品もなんとなく買った。何となく、というのは「多分これは読まないだろうなあ」と思っていたからだ。それでも買ったのは、ファーマーのチャーミングさが好きだからである。
 ファーマーといえば、SF史上では「恋人たち」で初めてSFの世界にセックスの問題を持ち込んだ作家として知られている(その流れからか、その後に数冊のエロ小説も書いていて、しかもそれが二冊ほど官能小説を集めた文庫から邦訳されて出版されており、珍品として高値で取引されているのだが、それはまた別の話)。SF小説への貢献は相当高い作家なのだが、その割には今ひとつ知られていない。理由は簡単で、ファーマーは余りにも「軽い」からだ。いや、そういう言い方をするのは公平ではない気がする。つまりファーマーは、普通の作家では思いつきもしないような素晴らしいアイデアの山を、惜しげもなくチープに扱うのだ。言い方を替えると、ファーマーは汲めども尽きぬアイデアの泉を持った作家なのである。変な作家だとは思うが、僕はファーマーという作家が、愛しくて仕方ない。

 この作品は、紛れもないパルプフィクションである。少し前までなら、SFといえばこんな感じの作品を思い浮かべる人が多かったのではないだろうか。僕はファーマーという作家について結構よく知っているので、なるほどとそれなりに楽しく読んだが、全く予備知識なくこの作品を読んだら、きっとつまらない作品として記憶にも残らないかもしれない。まあ、草原を走る船や、「移動する島」という名の巨大な草刈り機とか、笑ってしまうアイデアは満載なのだけれども。

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「ブロディーの報告書」 ホルヘ・ルイス・ボルヘス著 鼓直訳
白水Uブックス 白水社刊

 を再読。

 読んだのが高校生の時だから、二十年ぶりくらいの再読。
 すっかり忘れていると思ったけれども、読み始めると、そういえばこんな話があったなと思い出す。
 ボルヘスといえば、「バベルの図書館」のような知的な作品を思い浮かべるが、この作品集に収められている作品はどれも平易なもの。読みやすいが、「伝奇集」などと比べると印象には欠ける部分があるかもしれない。

 この本は、二十年来ずっと書架に収まっていた。
 だから、開くことはなくても、整理のときなどにこの本を手にすることは何度もあった。
 僕はこの本を手に取ると、いつも故郷のバス停を思い出す。
 僕は高校にバスで通っていたのだが、その停留所である。
 だが、それがどうしてなのかは、今ひとつはっきりしない。思い出すのだから、記憶のどこかにこの本とバス停の接点があったはずなのだが、判然としないのだ。

 本というものは、往々にして、場所の記憶と結びついている。この本はそのバス停の記憶と結びついているのだが、そのバス停でこの本を読んだという記憶はない。では、どうしてなのだろう?それが、僕にはいくら考えても思いつかない。だがまあ、別に悪い気持ちでもないのだし、そういうこともあっていいのだろう。

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 廃墟フェチや工場フェチならともかく、団地が気になって仕方ないというような人間はそんなに多くないだろうと思っていたが、どうもそうでもないらしい、というようなことは以前も書いた。思ったよりもそんな人は沢山いるようなのだ。
 
 「ダンパク2007」というイベントがあるらしい。

 今月の16日だから、もうすぐだ。場所は大阪。行く予定は全くないが、面白いイベントがあるものだ。
 このサイトから辿ると、団地フェチにもいろいろとありそうな気がしてきた。
 団地の形態が気になるというタイプが一番人数が多そうだ。
 「スターハウス型団地」とか、いろいろ奥が深い。

 僕に関して言うと、社宅タイプの、天井の低そうな古いものが沢山並んでいて、しかも給水塔が聳えているという光景に弱い。これは、廃墟フェチと団地フェチの中間にある嗜好かもしれない。
 実際、そうしたタイプの団地はどんどんと取り壊しになっていて、写真のものも「世田谷ものづくり学校」の近くにあった都営団地だが、取り壊しが始まっていた。
 だが、ここがフェチの嗜好の難しいところなのだが、廃墟となった団地にはもうそれほど興味がなかったりする。いわば「団地の黄昏」とも言うべき光景に、僕はぐっときてしまう(笑)のだ。

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 5.オルガ
 
 髪を撫でるアトレウスの大きな手から逃れて、オルガはゆっくりと服装を整えた。それから手を洗い、髪を撫でつけた。アトレウスはそうしたオルガの姿を見ながら、テーブルの上の醒めたお茶を飲み干した。やがてオルガが戻ってきて、テーブルについた。そして半分ほどお茶の入った器を両手で弄んだ。手の中でお茶は冷めて、もはや口をつけようとも思わなくなっていた。お酒が飲みたい、とオルガは思った。だが立ち上がりはしなかった。代わりにオルガは視線を落として、じっと自分の手を見た。器を包み込む自分の手。血管が少し浮き出ていて、はっきりとした陰影に彩られていた。手に年齢が刻み込まれているとオルガは思った。よく聞くことだけど、本当だわ。まるで干からびた木皮みたいに見える。昔は、白くてしなやかなとても綺麗な手だと言われたものなのに、たった数年でこんなに変わってしまうものなのかしら。
 年齢というものは、毎年同じだけ重ねて行くのではなく、一足飛びに重ねる時があるのだろうとオルガは思った。この一年で、私は一息に年老いてしまった。鏡を見たいという気持ちにもなれないもの。鏡を覗き込んでも、何だか鏡の中に映っているのは私じゃないみたいだわ。まるで森の中で立ち枯れてゆくちいさな白樺の木みたい。
 すっとその手にアトレウスの手が重なった。オルガは少し身体を固くしたが、じっとそのまま動かなかった。
 「愛しているよ、オルガ」とアトレウスは言った。「本当の気持ちだ。嘘じゃない」
 オルガは黙ったままだった。そして、随分してから小さく頷いた。それは喜びの表現なのだろうか。それともただの肯定なのだろうか。だが、アトレウスはそうしたことに深く思い悩むたちではなかった。アトレウスは言った。「俺は君のこともツァーヴェのことも大好きなんだ。だから、君と結婚したいと思っている」
 オルガはそれでも何も言わなかった。ただ、じっと手を見詰めていた。アトレウスはさらに続けた。「何度も言っているが、もうすぐツァーヴェは学校に通う年だ。あの子は頭のいい子だ。だから、あの子を学校にやらないなんて罪だと俺は思う」
 オルガは黙っていた。アトレウスは彼女の方に向き直り、はっきりと宣言するように言った。「俺と一緒になって、町に住もう。そして、ツァーヴェはきちんと学校に通わせてやろう」
 「私はトゥーリの妻よ」オルガは呟くように言った。「だから、あなたとは結婚できないわ」
 「だが、トゥーリは帰って来ない」アトレウスは言った。それから、言い澱むように言った。「多分、もう死んでる」
 その言葉に、オルガははっとしたようにアトレウスの方を向き直った。そして言った。「トゥーリは死んでなんていないわ。まだ戻らないだけよ」

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予感  


扉が開く瞬間を見たような気がする

それは光が差し込んだような気がしたから
風が吹き込んだような気がしたから
それとも 振り向きざまの横顔を見たような気がしたから

長い階段に薄い闇が舞う
長い廊下に濃い光が沈む

扉が少しだけ開いている
少しだけ光が漏れている
少しだけ風が入ってくる
それから、横顔の予感がする

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