漂着の浜辺から
囁きのような呟き。
 



 今年ももう終わりですね。
 今年読んだ小説本で、印象に残ったものを十冊。


1.「怖い絵」 久世光彦

2.「火星の人」アンディ・ウィアー

3.「機龍警察 自爆条項」 月村了衛

4.「地図と領土」 ミシェル ウエルベック

5.「舟を編む」 三浦しをん

6.「磁極反転」 伊与原 新

7.「少年十字軍」 皆川博子

8.「地上最後の刑事」 ベン・H・ウィンタース

9.「折れた竜骨」 米澤穂信

10.「二流小説家」 デイヴィッド・ゴードン


一応番号は振ったけれど、順位は不同ということで。

 2は、「オデッセイ」のタイトルで映画化された、火星のロビンソン・クルーソもの。5も映画化された、三浦しをんの作品。4は、フランスにイスラム政権が樹立するという、今となっては予言的な書のようにさえ思えてくる小説「服従」で話題となった、ウェルベックの作品。8は、ついに三部作最後の「世界の終わりの七日間」が刊行されたばかりのシリーズの第一作目。まだ完結編は読んでいない。
 3は、「機龍警察」シリーズの第二作目。全体的に面白いシリーズだけど、今のところ一番はこれかな。
 7は、歴史小説という形をとった、ファンタジー。9も、架空の世界ではあるけれど、同じように歴史小説という形をとった、推理ファンタジー。

 今年は、つまみ食い的に読んだ短篇集がたくさんあった気がするけれど、あまり一冊まるまる読みきったものはなかった。長編なら、読み始めればどんどん進めばいいだけだけど、短編集は、読み通すのにもう少し体力がいる気がする。本を読む体力が落ちてきているのかなと思った一年。
 あと、ブログに書いていない、最近読んだ本が

「都市と都市」 チャイナ・ミエヴィル
「イルカは笑う」 田中啓文
「ノックス・マシン」 法月綸太郎
「きのうの影踏み」 辻村深月

の四冊。
 感想は、いずれまた。どれも面白かったです。

 それでは、これが今年最後の更新になります。
 みなさま、よいお年を。


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 気がつくと、前回の更新からひと月ほども経ってしまっていた。なんだか、つい更新も開きがちになってなってしまう。
 とりあえず、前回の更新以降に読んだ小説本の中で、思い出せるものをリストアップ。少しづつコメント。


「プロジェクトぴあの」 山本弘著 PHP研究所刊

「天の光はすべて星」 フレドリック・ブラウン著 田中融ニ訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

 上の二冊は、たまたま同じ頃に読んだのだが、内容的に似ていたので、驚いた。どちらも、ロケットを奪って宇宙へ出ようと企む人物の物語。古さでいえば、もちろん1950年代に書かれたブラウンの「天の光」のほうが遙かに古い。ただし、どちらかといえば長らく忘れられていたような作品だったのだが、「天元突破グレンラガン」というTVアニメで取り上げられたせいなのだろうか、いきなり新装版の文庫が発売されて、広く読まれるようになった。
 おそらく、「プロジェクトぴあの」は、ある程度この「天の光はすべて星」という作品に影響を受けているのだろう。有る意味、正反対のラストは、マックスの夢を半世紀越しに叶えて解放してあげたものであるように思えた。


「グミ・チョコレート・パイン」 大槻ケンヂ著 
角川文庫 角川書店刊


「ロッキン・ホース・バレリーナ」 大槻ケンヂ著
角川文庫 角川書店刊

 大槻ケンヂ二冊。
 「グミ~」は、映画化もされたし、漫画化もされた、大槻ケンヂの代表作。80年代終わりから90年代初頭にかけてのバンドブームの頃を描いている。このあたりのことは、ぼくもそれなりによく知っているので、いろいろとニヤリとさせられた。インディーズブームというのがあって、大槻ケンヂはナゴムというレーベルに所属しており、ぼくはトランスというレーベルの周辺にいた。今思うと、なかなか不思議な時代だった。サブカルチャーに興味のある人は、必読だろう。


「妖神グルメ」 菊池秀行著
ソノラマ文庫 朝日ソノラマ刊

「風の名はアムネジア」 菊池秀行著
ソノラマ文庫 朝日ソノラマ刊

 菊池秀行二冊。
 「妖神グルメ」の方は、クトゥルーものだが、かなりの変化球で、世界中を探しても、こんな変なクトゥルーものはまあ無いんじゃないかというような変化球。なにせ、クトゥルーを料理してしまうのだ。どうしてこんなおかしなアイデアを思いついたのだろう。いい意味で、ものすごくバカな小説。
 「風の名はアムネジア」の方は、アニメ化もされた初期の名作。同じく初期の超名作「インベーダー・サマー」とカップリングで、「インベーダー・ストリート」のタイトルのもと、新書版で刊行されたこともあるが、やはりここは天野絵のソノラマ文庫で読むほうが雰囲気が出るように思う。


「タウ・ゼロ」 ポール・アンダースン著  浅倉久志訳
創元SF文庫 東京創元社刊

 ハードSF史に燦然と輝く傑作。今読むと、描写にいささか古臭い部分もないわけではないが、名作としての存在感は微塵も揺るがない。


「通天閣」 西加奈子著
ちくま文庫 筑摩書房刊

 初の西加奈子。まずまず。


「怖い絵」 久世光彦著 
文春文庫 文藝春秋刊

 とても好み。これについての感想は、またいずれ書きたい。


「時間旅行者は緑の海に漂う」 パトリック・オリアリー著 中原尚哉訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

 面白いんだか、何なんだか、よくわからなかった。


「魔界転生」 山田風太郎著
kindle

 80年代にジュリー主演で映画化されたものとは、全く違っていた。天草四郎は、別に敵側の主役ではなかったんだね。さすがに安定の面白さ、なんだけど、最後がちょっとあっけなかったかな。柳生十人衆は、なんだかあまりに気の毒な気もしたし。

「輝く平原の物語」 ウィリアム・モリス著 小野悦子訳
ウィリアム・モリスコレクション 晶文社刊

 こういうのをゆったりと読むのは、とても贅沢な感じがする。本棚に置くと、本棚が豊になった気がしそう。さすが才人ウィリアム・モリス、と思った。


「ラブコメの法則」 東山彰良著
集英社刊

 直木賞を受賞した東山さんの作品。タイトルからして軽そうだし、実際確かに軽いのではあるが、さすが直木賞作家、ライトノベルとは明らかに違うし、結構面白かった。


「ケイレブ・ウィリアムズ」 ウィリアム・ゴドウィン著 岡照雄訳
ゴシック叢書 国書刊行会刊

 ミステリの古典としても有名な、文学作品。善と悪、追う者と追われる者が曖昧に融け合いながら、物語が進んでゆく。古くて読みにくい部分がないとは言わないけれども、読み応えがあり、今でも十分に読む価値がある。著者は、「フランケンシュタイン」で有名な、メアリ・シェリーの父。そう言われてみれば、確かにどこか通じるものがあるような気がしてくる。


「かめくん」 北野勇作著
河出文庫 河出書房新社刊

 2001年に日本SF大賞を受賞した長編作品。サイバーパンクと軽薄なトレンディラブコメSF(そんな言い方はなかったけど)の嵐が吹き荒れたあとに訪れた「SF冬の時代」と呼ばれる90年代を抜けて、ふたたびSFが活気を取り戻すきっかけを作った数人のSF作家の中の一人による、藤子不二雄の言い方を借りれば、「SF(少し変な)」小説。SFなんだけど、SFらしくないので、気軽に薦めることができそう。特に、川上弘美が好きな人には、すんなり受け入れられるんじゃないかと思う。まあ、川上弘美さんは、もともとNW-SFに関わってはいたのだけれど。


「シップブレイカー」 パウロ・バチガルピ著 鈴木康士訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊

 「ねじまき少女」の著者による、ヤング・アダルト小説。ヤング・アダルト向けとはいえ、実際に現代が抱えているハードな問題をフィクションの中に落としこんでいる正統なSFでもある。素直におもしろかった。


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