漂着の浜辺から
囁きのような呟き。
 



 その夜遅く――夜半をとうに過ぎた頃――誰かが八点鐘を鳴らしたが、さらに四度鐘を打って、それを訂正した。午前二時ちょうどだった。その時に雑談をしていた少年たちは、音を忍ばせて小さな部屋の前を通り過ぎる、奇妙な足音を聞いた。そしてもうひとつ、午前四時になろうという頃に、彼らは一等航海士のジェンキンズが怒りに満ちた大声で何かを怒鳴っているのを聞いた。彼らはジェンキンズの言葉を断片的に捉えた。「ミスター、わたしはそんなことに関わるつもりなど、これっぽっちもありゃしません。それはブタ箱行きになる仕事だ。わたしが何一つ関わっていないということを、しっかり覚えておいていただきたいですね!」
 これは取っ組みあいか、あるいは喧嘩のような音に続いたものであるように思えた。だが、ブラードが舷窓の覆いを開けて覗いても、誰の姿も船尾の前の方にはいなかった。船尾よりも舷窓が低い位置にあったため、そのアングルからではそれしか見ることができなかったのだ。
 つっ立ったまま見つめていると、船尾デッキに沿って前に歩いてくる船長の顔が視界に入ってきた。それと同時に船長も彼を見つけると、自分が何をするつもりなのか、常識では考えられないような宣言の言葉をわめき散らした。そしてブラードが舷窓から逃げるより早く、ビーストン船長はコートのポケットからリヴォルバーを取り出して、彼めがけて撃った。その弾は小屋の脇に当たって、穴を穿った。ブラードは慌てて身をかわした。同時に、我を失っていた船長はもう一度発砲したが、その弾は端にある舷窓のガラスにかろうじて命中し、貫通して完璧な穴を穿った。その銃弾は少年の顎の真下を通過して(のちに判断したことから、小さく見積もってだ)、寝室の反対側に命中し、鉄の壁にいくつかあるリベットの中でぺちゃんこになった。
 ブラードは完全に姿の見えないところで身を屈め、鉄のカバーへと手を伸ばし、パタンと閉めると急いでネジで閉めた。
 「怪我は!」トミーが心配そうに囁いた。「船長は見境いがなくなってるに違いない。怪我はない?」「ないよ」ブラードは言った。そして鉄のカバーをネジで締め終えた。それでも彼が踵を返してランプの方へとやってきたとき、少年たちはみんな、血が彼の顔から流れていると大声で叫んだ。調べてみると、彼の左頬の口の端からこめかみにかけて、銃弾が入ってきたときに彼の上に降り注いだ細かい粉砕ガラスがつけた傷があった。その傷は深いものでも命に関わるもようなものでもなかった。だが治るまでにはとても長い時間がかかるものだった。だがそれは、ほっとしたことに、彼の左目には影響を及ぼしてはいなかった。
 その日の早い時間帯には、少年たちは寝室の中で思い思いに座り、疲れ果ててぼんやりとしたまま落ち着かず、彼らの周囲のデッキの上を行き交う、どんな些細な音にも注意を払った。そして四点鐘の時間に、彼らは寝室の前の方のドアの辺りでカサカサという音を耳にした。そしてドアの端と部屋の壁の間に古いボール紙の切れ端が差し込まれた。それを拾い上げてみると、鉛筆の走り書きのメッセージだった――とはいえ、もちろん私にはそれを正確に再録することはできないが――そこにはこのように書かれていた。「気をつけろ、老獪な悪魔どもはドアを打ち破るつもりだ。あいつらはゆうべ舵輪を吹き飛ばしやがった。それから、ジョックの三本の指もだ。この船の我々の命運は尽きた」
 前述したように、これはその強烈なメモ書きの正確な再録ではない。だが私の記憶にある限り、それは実際の意味と精神、それに句読点の文法上の正確さをいくらか加えて提示したものだ。

+++++++++++++++++++++++++

Later ―― a long time after midnight ―― someone struck eight bells, and then corrected it by striking four. It was two o'clock in the morning. At times the whispering lads heard odd footsteps pass the little house very quietly. And once towards the four in the morning, they heard Mr. Jenkins, the First Mate, arguing something in a loud, angry voice. They caught his final words: "I shall have nothing to do with it, Mister. This is going to be a jailing job. I'd have you to mind that I've stood out of it all along!"
This seemed to be followed by sounds as of a scuffle or fight; but, though Bullard opened the after port-cover to have a look, he could see no one at all on the fore part of the poop, which was all that the angle of sight allowed them to see, on account of the port being so much lower than the poop.
As he stood staring he saw the Captain's face come into sight as he came for'ard along the poop-deck. The man saw him in the same moment, and shouted out an obscene oath as to what he meant to do. Then, before Bullard could get away from the port, Captain Beeston had whipped a revolver from his coat-pocket and fired at him. The bullet struck the side of the house, making it ring; and Bullard dodged quickly. In the same instant the drink-unbalanced Master fired again, and bit the glass of the port at the edge, making a perfectly clean hole through it. The bullet passed right under the lad's chin (at least, so they judged afterwards) and struck the other side of the berth, where it flattened in among some rivets in the steel side.
Bullard dropped completely out of sight, and reached up a hand to the iron cover, which he slammed and proceeded hastily to screw up.
"You're not hurt!" whispered Tommy, anxiously. "The old man must be mad drunk. You're sure you're not hurt?" "No," said Bullard, and finished screwing up the metal cover; yet, when he turned away and came towards the lamp, all the lads exclaimed, for blood was running down his face. An examination showed that the whole of his left cheek, from the corner of his mouth to the temple, was raw with the finely pulverized glass which had been driven in a shower over him by the entrance of the bullet. The wound was not in any way deep or apparently dangerous; but it took an extraordinarily long time to heal; and it was a mercy that his left eye was untouched.
All the early part of that day the lads sat about in the berth, listless and upset, and taking very little notice of the sounds that went on around them about the decks. At four bells, however, they heard a rustle at the for'ard door of the berth, and a piece of old cardboard was pushed in, between the edge of the door and the side of the house. On picking it up, they found a roughly-pencilled message, which ―― although, of course, I cannot pretend to give it exactly ―― ran like this: "Look out the old devils goin' to blow the door in they bust the wheel last night and carried away 3 of Jock's fingers here's luck us for'ard ain't havin' no more. "
This does not, as I have said, pretend to be an exact duplicate of the extraordinary note; but as far as my memory goes, it gives the true sense and spirit of it, and something of its legal sublimity of punctuation.

"Prentices Mutiny"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Translated by shigeyuki




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「プリンセス・トヨトミ」 万城目学著 文藝春秋社刊

を読む。

 最近映画化された作品。映画は観ていないが、ちょっと気になったので、原作を読んでみた。
 想像していたのとは、違う小説だった。それなりに楽しんで読めるけれども、読み終えてしまえば、すぐに忘れてしまいそう。まあ、最近は悪役扱いされることの多い秀吉だが、確かに昔からの大阪の人は、家康よりも信長よりも、圧倒的に太閤びいきだというのは、子供の頃からの経験で良く知っているし、大阪の人は、自分が大阪人であるということに、一種の誇りのようなものを持っているのも事実。大阪国の総理の職業が「お好み焼き屋」だというのも、とてもよくわかる。関東の人は、大阪はたこ焼きときつねうどんだと思っているようだが、個人的な意見では、大阪人のソウルフードはどちらかというとお好み焼きだと思う。大阪のお好み焼は、広島のお好み焼きとはまた違うのだ。大阪で、スーパーに入ると、東京ではありえないほどの数と種類のお好み焼きソースが並んでいるのだ。ちなみに、僕の家では、ケチャップとウスターソースを混ぜて、作っていた。そして、お好み焼をおかずに、ご飯を食べたものだった。今ではさすがにそれはしなくなったけれども。

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「十角館の殺人」 綾辻行人著 
講談社文庫 講談社刊

を読む。

 無人島を舞台にした「そして誰もいなくなった」的な、本格推理もの。それなりに面白いけれども、犯人当ての本格推理ものは、残念ながら僕にはやっぱりあんまり趣味に合わないようだ。「よくわからないけど、こんな書き方してるんだから、どうせこいつが犯人だろう」となんとなく最初から思っていた人物が、結局犯人だったし。

 今日のニュースで、ギリシャの映画監督テオ・アンゲロプロスが事故で亡くなったということを知った。今までに観た映画の中で、一番鮮烈に印象に残っている映画「霧の中の風景」の監督だ。二十世記を振り返る三部作の最後を飾る作品を撮影している最中の急逝ということだった。映画でしか表現できない物語を紡いできた監督だったように思う。合掌。

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 3

 一瞬だが恐ろしい沈黙が、大砲という新たな情報を耳にした少年たちを包み込んだ。ラリーの声がまたその沈黙を破った――
 「あいつら、こっちの方に大砲の口を回そうとしてる」じっと見つめている彼の声は次第に小さくなっていった。他の少年たちには、船首側の前甲板室の風下側の下で動く漠然とした影しか判別することはできなかった。
 「ジャンボのライフルだ!」突然ブラードはそう言うと、舷窓から離れて寝室の暗がりへと走り、ジャンボの寝台の内側に沿って、手探りでベットの中に転がっている銃を探した。
 熱にうかされて眠っているジャンボは、不安気に呻きながら、痛みに少し声をあげた。寝台の中に身を乗り出したとき、ブラードはジャンボのどこかの傷に触ってしまったようだった。それからブラードはライフルを手にして、テーブルの脇を通り過ぎながら撃鉄を引き、舷窓へと戻った。
 他の少年たちの間から恐怖の叫び声が上がったとき、ブラードは舷窓にたどり着いた。デッキの左舷側の暗闇の中で、パッと小さな光が点った。
 「やめろ!」ラリーは舷窓の外に向かって鋭い声で叫んだ。その光は甲板長の手にあるマッチの光で、大砲の火薬の着火点へと伸ばされていたからだ。「やめろ!」彼はまた叫び、同時にルーク・ライフル(訳注:ミヤマガラス射撃用ライフル)が火を吹いた。ブラードが狙っていたのは光だったが、その一発が群衆の中に打ち込まれれば誰かを殺してしまう可能性があるのだということまでは考える余裕がなかったのだ。彼は自分たちと船の正当な支配者たちとの間に起こったその諍いが、船長と二等航海士が目の前の出来事に分別を見失ったことで、まさに慈悲などというものが入り込む余地のない状態にまでエスカレートしてしまったのだということを思い知らされていた。甲板長については、監督という権限がある限り、どんなことでもやる野獣のような人間だった。
 ライフルの閃光が走り、奇妙な、半ば喘ぐような声が続いて、すぐに光は消えた。
 「大砲に火を点けようとしてみろ、また撃つぞ!」ラリーは鋭い声で舷窓から外に向けて叫んだ。銃撃のあと、船首の別の部屋の風下側で、おかしな、なんとも嫌な喘ぎ声があがり、デッキには束の間、水を打ったような静寂が広がった。
 その音が何を意味するのかをハッと悟ったブラードは、闇の中で青くなった。水夫の一人が、おそらくは前の部屋の脇の暗闇で、断末魔に喘ぎながら横たわっているのだ。喘ぎ声と奇妙な衝突音の後には、先程も言ったように、水夫たちの一団は静まり返り、大砲の背後に広がる闇の中へと離れていった。
 その時突然、りビーストン船長の怒りに半ば我を失ったような声が響いた。「あの悪魔のガキどもを地獄へ送っちまえ!」
 見張りの一人がさらなる銃撃に怯えながらも慌てて裸足で船首の方へと走ってゆくのだと思える音に続いて、暗闇で新しいマッチの光が点った。その時、寝台の中でライフルのロックを外すカチリという鋭い音がして、ブラードの怯えたような悪態をつく声が聞こえた。「弾切れだ!弾が切れやがった!」そう叫ぶ彼の声には不安が溢れていた。
 それと同時に、キニックスはゴツくて古めかしい火縄銃を、ラリーの手の中へ押し込んだ。ラリーはマッチの光が暗闇の下の方で覆い隠されるのを目にした。彼はデッキの上の低い位置に大砲があることを知っていた。ラリーはそのずっしりとした銃を開いた舷窓から腕をいっぱいに伸ばして突き出し、引き金を引いた。炎が迸って大きな音がしたが、それとほとんど同時に、船首で大きな閃光と轟音が響き、船をゆるがしたかのように思えた。大きな雄叫びとともに彼らの頭上で何かが吠えるような音がしたが、それから遠く離れた船尾で何かが壊れる音がして、騒がしく喚く声がした。
 「命中したんだ!」キニックスが興奮と怯えの混じった甲高い声で叫んだ。「あたったんだ!」
 船首では、苦痛の叫び声、呪いの言葉、そして実際に泣き叫んでいる男の声が飛び交っていた。「おお、おお!おお」と、ぞっとするような、かすれた声で泣き叫んでいた。そしてまるで誰かが円を描いて走りまわっているかのような、規則的な足音がした。
 「神様!」ブラードは暗い寝室の、しんとした静寂の中で言った。「俺たちは間違っちゃいない」彼は沈黙を破った「あいつらの自業自得だ!」
 「自業自得だよ!ぼくたちは自分を守る必要があったんだ!」ラリーはなんとかそう言った。「正しいことをやったんだ!」彼は勇気と度胸を必至で保とうと努力しながら、妙な声で付け加えた。そしてそれからすぐに、彼は希望を失って乾いたすすり泣きを始めた。おかしなことだが、彼を元気づけようとしたのは、やや臆病なキニックスだった。彼は寝室の薄暗がりの中で、声に出して熱心にその正当性を説いて聞かせることで、突然ラリーに降りかかった恐ろしい責任という重荷を和らげようとした。
 「みんな黙れ」ブラードが少し経って言った。「もうやってしまったことだし、やるしかなかったんだ。あいつら、狂ってた。俺たちは、自分の身を守るためには、身の毛のよだつようなことでもやるしかなかったんだ。それに、どのみち、もし誰かを殺したんだとしても、それはジャンボのライフルでおれがやったんだ。ラリーの撃ったBB弾は人を殺したりできそうにないさ。だが、あいつらは今夜はもう何もしてこないだろう。みんな船首楼へと行ってしまった」
 彼らはそれからしばらくは舷窓で耳を欹てていた。だが、障壁の鉄のドアがガチャガチャ鳴る音以外には、何も聞こえては来なかった。それから彼らはランプに火を灯して、テーブルを囲んで座り、話をした。しばらくして、ハロルド・ジョーンズは小さなRippingilleを火にかけて、紅茶を淹れた。そして紅茶を飲みながら話をしているうちに、彼らはなんとかまた普段の状態を取り戻した。

++++++++++++++++++

III
 
  A short but awful silence fell upon the lads on hearing the news concerning the cannon; then Larry's voice broke in again:-
  "They're sluing it 'round, muzzle this way" He tailed off into silence, staring. The others could make out no more than a vague muddle of moving shadows for'ard, under the lee of the fore deck- house.
  "Jumbo's rifle!" said Bullard, suddenly, and ran from his port into the darkness of the berth, groping where the weapon lay in beckets along the inside of Jumbo's bunk.
  Jumbo, who was in a sort of feverish sleep, groaned uneasily and gave a little cry of pain; for Bullard must have touched one of his wounds as he leant into the bunk. Then Bullard had the rifle, and was dodging round the table, back to his port, cocking the weapon as he went.
  He reached the port just as a general burst of frightened excla mations came from the others. A little flame had spurted out suddenly in the darkness on the port side of the deck.
  "Stop that!" shouted Larry, shrilly, out of his port; for the light was that of a match in the Bo'sun's hand, and was being extended to the primed touch-hole of the cannon. "Stop!" he shouted again, and in the same second there came the crack of the rook-rifle; for Bullard had aimed at the light, heedless as to whether his shot brought actual death to any among the attacking crowd or not. He realised that the war between them and orthodox authority had reached such a pitch of bitterness that the Captain and the Second Mate had really lost their heads for the time being, and would literally stick at nothing to have them at their mercy. As for the Bo'sun, the man was a brute, and capable of anything, so long as he was countenanced in his actions by those in charge.
  The crack of the light rifle was followed by a queer, half-gasping cry~ and the light went out on the instant.
  "We'll shoot again if you try to fire that gun!" Larry shouted, shrilly, out of his port. For'ard, to leeward of the other house, there was a curious, disagreeable gasping, and a quick sound of thudding on the deck, that came plainly to them in the succeeding moments of utter silence that followed the shot.
  Bullard whitened suddenly in the darkness as he realised what the sound meant; one of the men was lying on the deck, probably kicking the life Out there in the darkness by the side of the fore- house. Beyond the broken gasps and the queer drumming there was, as I have said, no sound from the group of men, away in the dark- ness at the back of the cannon.
  Then, abruptly, there came Captain Beeston's voice, mad with half-drunken rage: "Blow the young fiends to blazes!"
  There was the flash of another match in the darkness, followed by the sudden scampering for'ard of bare feet, as if some of the watch were running, in fear of another shot. Then, in the berth, the sharp click of the lock of the rifle and a frightened curse from Bullard. "It's empty! It's empty!" he cried, apprehension in his voice.
  In the same instant Kinniks fumbled the big, old fashioned horse- pistol into Larry's hand. Larry saw the flame of the march being shielded down to the dark, low bulk on the deck that he knew to be the cannon. He thrust the heavy weapon at arm's length through the open port and pulled the trigger. There was a burst of fire and a huge report, followed almost in the same moment of time by a great flash for'ard and a bang that seemed to shake the ship. With the report something roared over their heads with a vast whooping noise, and there was a crash far away aft and a hoarse screaming.
  "They've hit the man at the wheel!" shouted Kinniks, in a voice shrill with excitement and fright. "They've hit the man at the wheel!"
  For'ard, there was a riot of shouts of pain, curses, and the noise of a man actually crying, "0-hool O-hoo! 0-hool" and sobbing hoarsely, in a horrible fashion. In addition there was a constant noise of footsteps, as if somebody were running 'round and 'round in a circle.
  "Good heavens!" said Bullard, in the utter silence of the dark berth. "We've fixed them!" He broke off in a dumb blank. "They asked for it!
  "They asked for it! We had to do it to save ourselves!" Larry managed to get out. "Serve them right!" he added in a strange voice, trying to get his courage and nerves under control again. And therewith he broke down hopelessly into a dry sobbing; and curiously enough it was the somewhat nervous Kinniks who attempted to console him, and ease him of his sudden burden of dread responsibility, by preaching vehement justification aloud into the darkness of the berth.
  "Shut up, all of you," said Bullard, a little later. "It's done now and we had to do it. They're mad, and we're being forced to do horrible things to save ourselves. And, anyway, if anyone's killed I've done it with Jumbo's rifle. Those bb's that Larry fired wouldn't be so likely to kill. But they won't try anything more tonight. They've all gone for'ard into the fo'c'sle."
  They spent a time further, listening at the ports; but hearing nothing more, beyond the hum of voices coming vaguely aft from within the fo'c'sle, they shut and fastened both the ports and the iron doors that covered them. Then they lit the lamp, sat 'round the table, and talked. After a while, Harold Jones lit the little Rippingille and made some tea; and so, with tea and talk, they managed to get themselves back again into a more normal state.

"Prentices Mutiny"
Written by William Hope Hodgson
(ウィリアム・ホープ・ホジスン)
Translated by shigeyuki




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「メタボラ」 桐野夏生著
文春文庫 文藝春秋刊

を読む。

 ワーキングプアやホストクラブやネット自殺や同性愛や家庭崩壊や自分探しの旅といった、現代社会のネガティブな部分を抱えて生きる人々を描いた作品。舞台となっている沖縄の問題も絡めている。問題意識が強く、読ませるけれども、なんだか小説でなければいけない作品という感じがしない。「実録なんとか」のようなものの延長線上にある感じと言うと少し伝わるか。「闇金ウシジマくん」というマンガがあるけれども、あの著者が漫画化すればもっといいかもとか、ふと思ったりした。


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「残像に口紅を」 筒井康隆著 中央公論社刊

を読む。

 進むにつれて、作中から文字がひとつづつ消えてゆくという実験小説。一度消えた文字は、それ以降使えない。登場人物たちは、自分たちが虚構の存在であると知っており、文字がひとつ消えるたびに世界からその文字が使われている物がどんどんと消えてゆくことも知っている。当然、物語らしい物語は展開することが出来ず、次第に主人公の自伝的な自省の中に沈んでゆく。
 よくこんな小説を書く気になったなと思う。初版が出版された当時は、本の半分くらいが袋とじになっていて、「ここまで読んで読む気をなくした方は、返金するので、袋とじを破らずに出版社に送り返してください」と書いていた。その時は「なんでこんなことをしているんだろう」と思いつつ、読まないままできていたが、今回読んでいて、「なんだこりゃって思う人もいるだろうなあ」と納得。でも、袋とじの中の部分に、セックス描写が延々とある部分があって、ここは、なんかすごいな、と思って感心した。小説として面白いのかといえば、それはあんまり面白くないと思うけれども、印象に残る小説。

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屍鬼  



「屍鬼」(全五巻) 小野不由美著
新潮文庫 新潮社刊

を読む。

 スティーヴン・キングの「呪われた町」に捧げられた作品で、確かにその日本版といった印象。ついでに言うと、少し前に見た映画「ぼくのエリ」とも似ている。要するに現代的な吸血鬼小説。筆力はあるし、結構面白かったけれども、さすがに「呪われた町」を初めて読んだときのようなインパクトはなかった。あと、余りにも登場人物が多すぎて、最初のとっかかりは悪い。昔あったみたいな、登場人物紹介がほしいとつい思ってしまう。

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神戸  



 数年前に母が神戸から離れたため、長らく神戸に行く事がなくなっていた。
 けれども今回の帰省では、時間を見つけて、久々に足を伸ばして僕が育った神戸の垂水に出かけた。
 何年ぶりだろう。センチメンタルな小旅行のようだ。
 人よりも家につくという猫のように、僕は垂水という場所の記憶から離れられないでいるのだろう。
 当たり前のことだけれど、随分と変わっている場所もあったし、変わっていない場所もあった。
 尺度がずいぶんと違って感じられた場所もあったし、通り慣れていたはずの路地が、どこへ通じるのかすっかりと忘れてしまっている場所もあった。
 それはまるで目眩のようで、動揺した。記憶というのは、本当に簡略化されてゆくものだ。
 だけど一番驚いたのは、いつのまにか知らない駅が鷹取・須磨間にできていたこと。そんなこと、全く知らなかった。
 写真は、須磨・塩屋間に広がる車窓の風景。
 突然のように、バッと目の前に広がる海の光景が僕はずっと好きだったし、故郷の事を思い出すときに、最初に浮かぶ光景の一つでもある。

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新年  



新年明けましておめでとうございます。

今年が
素晴らしい未来へとつながってゆく
一年でありますように。

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