「月は地獄だ!」
ジョン・W・キャンベル 著 矢野 徹 訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊
を読む。
「キャンベル賞」というSF賞に名前を残しており、作家としてよりも、むしろ編集者としての方が有名なキャンベルだが、これは、「遊星からの物体X」の原作である「影が行く」と並ぶ、「作家キャンベル」の代表作。1951年作。
二年間の月での任務を終えようとしている月世界探検隊だったが、帰還用の宇宙船が着陸に失敗したことで、帰ることが不可能になる。しかし、次の船を待つにせよ、食料などの蓄えは既に底を尽きかけている。手持ちの材料と、科学的知識を総動員し、果たして、クルーたちはこの難局を乗り切ることができるだろうか……という内容。人間ドラマとしてのテンターテイメント性よりも、サイエンスの可能性に重点を置いた、バリバリのハードSF。
現在、「オデッセイ」のタイトルで映画が公開中の作品「火星の人」は、いわばこの作品をアップデイトした上で、舞台を火星に移した作品と言っても良さそう。「火星の人」は面白い作品だったが、この「月は地獄だ!」も、そのシンプルな内容のせいだろうか、65年も前(!)に書かれたにしては、今読んでもさほど古くささを感じることなく、十分に愉しめた。
ジョン・W・キャンベル 著 矢野 徹 訳
ハヤカワ文庫SF 早川書房刊
を読む。
「キャンベル賞」というSF賞に名前を残しており、作家としてよりも、むしろ編集者としての方が有名なキャンベルだが、これは、「遊星からの物体X」の原作である「影が行く」と並ぶ、「作家キャンベル」の代表作。1951年作。
二年間の月での任務を終えようとしている月世界探検隊だったが、帰還用の宇宙船が着陸に失敗したことで、帰ることが不可能になる。しかし、次の船を待つにせよ、食料などの蓄えは既に底を尽きかけている。手持ちの材料と、科学的知識を総動員し、果たして、クルーたちはこの難局を乗り切ることができるだろうか……という内容。人間ドラマとしてのテンターテイメント性よりも、サイエンスの可能性に重点を置いた、バリバリのハードSF。
現在、「オデッセイ」のタイトルで映画が公開中の作品「火星の人」は、いわばこの作品をアップデイトした上で、舞台を火星に移した作品と言っても良さそう。「火星の人」は面白い作品だったが、この「月は地獄だ!」も、そのシンプルな内容のせいだろうか、65年も前(!)に書かれたにしては、今読んでもさほど古くささを感じることなく、十分に愉しめた。