唯識に学ぶ・誓喚の折々の記

私は、私の幸せを求めて、何故苦悩するのでしょうか。私の心の奥深くに潜む明と闇を読み解きたいと思っています。

阿頼耶識の存在論証 五教十理証について (71)

2017-05-15 22:32:26 | 阿頼耶識の存在論証
 
 第五番目の壽煗識証(ジュナンシキショウ)についてです。
 「又、契経に説かく。壽と煗と識との三、更互に依持して相続して住することを得と云う。」(『論』第三・三十一右)
 壽と煗と識は生命を維持する三要素で、寿は持続している心、煗は身体のあたたかさ、体温。識は寿と煗を維持するはたらきを意味し、壽と煗と識との三法が互いに依持し相続して人間としての相を持つのですね。それを成りたたしめているのは間断が有ってはならないわけですから、そこには第八阿頼耶識の存在が必要になるのですね。
 つまり、諸の転識には間断があって持続する働きは有りませんので、壽と煗を相続することは出来ません。このような理由から、壽と煗を恒に維持する働きを持つ識は第八識を除いてはないということになります。
 「若し此の識無くんば能く寿と煗とを持して、久しく住せしむる識有るべからず」(『論』第三・三十一右)と。