前回「単一世界・未来不変」説と「単一世界・歴史改変」説の統合ができたので、次は「平行世界」説を考えてみよう…と思ったのですが、さっくりと解決できた。
(タイトルも含めて、全ての文章に「~だと私は思った」がつくのですが、冗長なので省略します)
【世界の成り立ち】

(「HUGっと!プリキュア」48話より)
アイデアとしては以前にも書いた「量子自殺」です。
過去に戻ると「歴史が変わった世界」と「変わらなかった世界」に分岐するとします。
分岐なのだから「変わらなかった世界」に属するジョージが必ず生み出される。
何度も何度も繰り返しても、その度に「変わらない世界にひたすら進み続ける」極めて不運なジョージが、必ず一人残ってしまう。
この稀有なパターンが、我々が見たハグプリ世界のジョージです。
若干ややこしいのですが「タイムトラベルした世界」と「タイムトラベルしなかった世界」への分岐ではない。
「タイムトラベルして未来が変わった世界」と「タイムトラベルしたが未来が変わらなかった世界」への分岐です。どちらのジョージもタイムトラベルはしている。(そう解釈しないと、タイムトラベルした時点でジョージは「歴史が変わった」と認識しますから、描写と矛盾してしまう)
この不運なジョージの視点だと未来は不変です。
実際には「未来が変わった」世界もあるのですが、パラレルワールドは観測できないのでジョージには関係ありません。
これなら彼の認識「未来は変えられない」と「平行世界」が矛盾無く両立できる。
前回までの検討と合わせるとこんな流れです。
『タイムトラベルにより「変わった世界」と「変わらなかった世界」に分岐する。我々が見たのは「変わらなかった世界」』
↓
『ハグプリ世界は原則として「未来は変わらない」。しかし今回のループは、我々視聴者が観測していたことにより黒白キュアが召喚され、プリキュアの歴史が持ち込まれたため、過去・現在・未来が変わった。我々が見たのは「分岐で変わらなかった世界が、視聴者の観測により変わった後の世界」』
参考:「タイムパラドックスの真相」
↓
『本質的には「変わらない」世界(※注1)なので、「変わった後」は不変。私たちが視聴した未来がそのまま繰り返される(※注2)』
参考:「ハグプリ最終回に起きたこと」
対立すると思われた「未来は変えられない」「歴史が変わった」「世界は分岐する」は両立します。今のところこれが、最も綺麗に説明できる。
(※注1:「変わらない」のは「変わらなかった世界に分岐したから」ではなく、「分岐したそれぞれの世界の未来は、分岐した後は不変だから」。分岐により変わった世界も、その後は未来不変と思われます)
(※注2:未来世界の時間停止は自然現象なので、クライアスを倒しても解決しない。また「野乃はなの死亡」も解釈の余地があります。小難しい理屈を持ち出さなくても、実はそもそもタイムパラドクスは起きていません)
【パラレルワールドの問題点:物語面】
検証のため、以前に私自身が提起したパラレルワールドの課題を解消してみます。まず物語面での齟齬。
『ジョージは「未来は変えられない」と確信していた。歴史の改変が可能だったり、平行世界に分岐するなら(歴史の復元力等を想定したとしても)そんな結論には至れない。物語として不自然すぎる』
参考:「パラレルワールドへの疑念(物語面)」
既に記載したとおり、「タイムトラベルして未来が変わった世界」と「タイムトラベルしたが未来が変わらなかった世界」に分岐したとすれば解決できます。
分岐説を採用した場合、なんとなく「ジョージ最愛の人がいた世界」と「ハグプリ世界」に分岐したかのような先入観がありましたが、そこが違ったらしい。
「最愛の人」や「ルールーがいた未来」は、放送されたハグプリ世界の話。
分岐先の世界は放送されておらず、誰も内容は知らず。もしかしたらいきなり地球が崩壊して人類が滅んでるかもしれないし、もっとずっと良い解決策に辿り着いてるのかもしれない。
【パラレルワールドの問題点:人物面】
『ルールーは「未来で待つ」と繰り返し発言している。別の未来や平行世界に旅立ったのなら矛盾してしまう。
また、えみるの主観では「未来は改変不可」としか認識できないため、齟齬が生まれる』
参考:「パラレルワールドへの疑念」(人物面)
ルールーは元々改変後の未来から来ているので問題なし。帰った先は改変後の未来であり、えみるのいる世界と同じ。ルールーはえみるを未来で待てます。
分岐も同様。「分岐する前の世界=ルールーのいた世界」「新たに分岐した世界=えみるの世界」ではない。
「分岐する前の世界=えみるやルールーのいる世界」「新たに分岐した世界=詳細を知りえない別世界」です。
それでいてハグプリ世界は「未来が変わらない」世界ですから、えみるの主観「未来は変わらない」とも矛盾は起きません。
他、「はぐたん・はぐみ別人問題」などもクリアできます。
【パラレルワールドの問題点:テーマ面】
『ハグプリのテーマ「なんでもできる」とは「過去にタイムトラベルすれば挫折をなかったことにできる」といった意味ではなく、「挫折や失敗はなくせないが、それでも立ち上がれる」だ。タイムトラベルにより未来の破綻を無かったことにしてしまったらメッセージが弱まる』
参考:「パラレルワールドへの疑念(テーマ面)」
ハグプリ世界を変えたのは、視聴者の観測によりプリキュアの歴史(これまでの自分の人生の歩みの象徴)が持ち込まれたから。
未来に起きる破綻は避けられない(ハリーらが語った未来の破滅は、改変後の未来なので霧消はしていない)が、挫けてしまった改変前と違い、思い出の力で踏ん張り立ち向かえた。
これがハグプリテーマと矛盾しないのは、オールスターズメモリーズのとおり。
【パラレルワールドの問題点:ミラクルリープ】
『ミラクルリープを使えば何度でも改変に挑める。改変可能な世界ならば、この手法を試さないのは奇妙だ』
参考:「パラレルワールドへの疑念(ミラクルリープ)」
ハグプリ世界は改変不可。登場人物の視点でも改変不可。ミラクルリープは元々99回繰り返すのが正史であり、未来は変わっていない。
歴史が変わったのは「視聴者の観測」という外からの影響なので、ミラクルリープでは変えられない。
よってミラクルリープで改変に挑まなくても何ら不思議はない。
もしかしたら繰り返し毎に世界は分岐するかもしれないが、分岐先はこちらの世界と全くの無関係なので、あってもなくても変わらない。
【なんでもできる、なんでもなれる】
以上、半年前に自分が提起した疑問を突破できました。素直に自画自賛したい。半年前の自分を乗り越えた…!
「歴史を変えた原因は、タイムトラベルではない」「世界は分岐したが、我々が見たのは「変わらなかった元の世界」の方」は、ちょっとしたエウレカじゃないかしら。
「未来不変」「歴史改変」「分岐世界」は対立するものだと思い込んでいたけど、実はひとつに統一できた。半年前に「これで解けた」と思ったのは、あまりに自惚れが過ぎました。考えれば前に進める。正に「なんでもできる」。
ひとまず区切りは付けられたものの、まだまだ何かあるかもしれないので、引き続き考えていきたいです。
えみるのおかげで視野が広がった気がする。ありがとうハグプリさん。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
(タイトルも含めて、全ての文章に「~だと私は思った」がつくのですが、冗長なので省略します)
【世界の成り立ち】

(「HUGっと!プリキュア」48話より)
アイデアとしては以前にも書いた「量子自殺」です。
過去に戻ると「歴史が変わった世界」と「変わらなかった世界」に分岐するとします。
分岐なのだから「変わらなかった世界」に属するジョージが必ず生み出される。
何度も何度も繰り返しても、その度に「変わらない世界にひたすら進み続ける」極めて不運なジョージが、必ず一人残ってしまう。
この稀有なパターンが、我々が見たハグプリ世界のジョージです。
若干ややこしいのですが「タイムトラベルした世界」と「タイムトラベルしなかった世界」への分岐ではない。
「タイムトラベルして未来が変わった世界」と「タイムトラベルしたが未来が変わらなかった世界」への分岐です。どちらのジョージもタイムトラベルはしている。(そう解釈しないと、タイムトラベルした時点でジョージは「歴史が変わった」と認識しますから、描写と矛盾してしまう)
この不運なジョージの視点だと未来は不変です。
実際には「未来が変わった」世界もあるのですが、パラレルワールドは観測できないのでジョージには関係ありません。
これなら彼の認識「未来は変えられない」と「平行世界」が矛盾無く両立できる。
前回までの検討と合わせるとこんな流れです。
『タイムトラベルにより「変わった世界」と「変わらなかった世界」に分岐する。我々が見たのは「変わらなかった世界」』
↓
『ハグプリ世界は原則として「未来は変わらない」。しかし今回のループは、我々視聴者が観測していたことにより黒白キュアが召喚され、プリキュアの歴史が持ち込まれたため、過去・現在・未来が変わった。我々が見たのは「分岐で変わらなかった世界が、視聴者の観測により変わった後の世界」』
参考:「タイムパラドックスの真相」
↓
『本質的には「変わらない」世界(※注1)なので、「変わった後」は不変。私たちが視聴した未来がそのまま繰り返される(※注2)』
参考:「ハグプリ最終回に起きたこと」
対立すると思われた「未来は変えられない」「歴史が変わった」「世界は分岐する」は両立します。今のところこれが、最も綺麗に説明できる。
(※注1:「変わらない」のは「変わらなかった世界に分岐したから」ではなく、「分岐したそれぞれの世界の未来は、分岐した後は不変だから」。分岐により変わった世界も、その後は未来不変と思われます)
(※注2:未来世界の時間停止は自然現象なので、クライアスを倒しても解決しない。また「野乃はなの死亡」も解釈の余地があります。小難しい理屈を持ち出さなくても、実はそもそもタイムパラドクスは起きていません)
【パラレルワールドの問題点:物語面】
検証のため、以前に私自身が提起したパラレルワールドの課題を解消してみます。まず物語面での齟齬。
『ジョージは「未来は変えられない」と確信していた。歴史の改変が可能だったり、平行世界に分岐するなら(歴史の復元力等を想定したとしても)そんな結論には至れない。物語として不自然すぎる』
参考:「パラレルワールドへの疑念(物語面)」
既に記載したとおり、「タイムトラベルして未来が変わった世界」と「タイムトラベルしたが未来が変わらなかった世界」に分岐したとすれば解決できます。
分岐説を採用した場合、なんとなく「ジョージ最愛の人がいた世界」と「ハグプリ世界」に分岐したかのような先入観がありましたが、そこが違ったらしい。
「最愛の人」や「ルールーがいた未来」は、放送されたハグプリ世界の話。
分岐先の世界は放送されておらず、誰も内容は知らず。もしかしたらいきなり地球が崩壊して人類が滅んでるかもしれないし、もっとずっと良い解決策に辿り着いてるのかもしれない。
【パラレルワールドの問題点:人物面】
『ルールーは「未来で待つ」と繰り返し発言している。別の未来や平行世界に旅立ったのなら矛盾してしまう。
また、えみるの主観では「未来は改変不可」としか認識できないため、齟齬が生まれる』
参考:「パラレルワールドへの疑念」(人物面)
ルールーは元々改変後の未来から来ているので問題なし。帰った先は改変後の未来であり、えみるのいる世界と同じ。ルールーはえみるを未来で待てます。
分岐も同様。「分岐する前の世界=ルールーのいた世界」「新たに分岐した世界=えみるの世界」ではない。
「分岐する前の世界=えみるやルールーのいる世界」「新たに分岐した世界=詳細を知りえない別世界」です。
それでいてハグプリ世界は「未来が変わらない」世界ですから、えみるの主観「未来は変わらない」とも矛盾は起きません。
他、「はぐたん・はぐみ別人問題」などもクリアできます。
【パラレルワールドの問題点:テーマ面】
『ハグプリのテーマ「なんでもできる」とは「過去にタイムトラベルすれば挫折をなかったことにできる」といった意味ではなく、「挫折や失敗はなくせないが、それでも立ち上がれる」だ。タイムトラベルにより未来の破綻を無かったことにしてしまったらメッセージが弱まる』
参考:「パラレルワールドへの疑念(テーマ面)」
ハグプリ世界を変えたのは、視聴者の観測によりプリキュアの歴史(これまでの自分の人生の歩みの象徴)が持ち込まれたから。
未来に起きる破綻は避けられない(ハリーらが語った未来の破滅は、改変後の未来なので霧消はしていない)が、挫けてしまった改変前と違い、思い出の力で踏ん張り立ち向かえた。
これがハグプリテーマと矛盾しないのは、オールスターズメモリーズのとおり。
【パラレルワールドの問題点:ミラクルリープ】
『ミラクルリープを使えば何度でも改変に挑める。改変可能な世界ならば、この手法を試さないのは奇妙だ』
参考:「パラレルワールドへの疑念(ミラクルリープ)」
ハグプリ世界は改変不可。登場人物の視点でも改変不可。ミラクルリープは元々99回繰り返すのが正史であり、未来は変わっていない。
歴史が変わったのは「視聴者の観測」という外からの影響なので、ミラクルリープでは変えられない。
よってミラクルリープで改変に挑まなくても何ら不思議はない。
もしかしたら繰り返し毎に世界は分岐するかもしれないが、分岐先はこちらの世界と全くの無関係なので、あってもなくても変わらない。
【なんでもできる、なんでもなれる】
以上、半年前に自分が提起した疑問を突破できました。素直に自画自賛したい。半年前の自分を乗り越えた…!
「歴史を変えた原因は、タイムトラベルではない」「世界は分岐したが、我々が見たのは「変わらなかった元の世界」の方」は、ちょっとしたエウレカじゃないかしら。
「未来不変」「歴史改変」「分岐世界」は対立するものだと思い込んでいたけど、実はひとつに統一できた。半年前に「これで解けた」と思ったのは、あまりに自惚れが過ぎました。考えれば前に進める。正に「なんでもできる」。
ひとまず区切りは付けられたものの、まだまだ何かあるかもしれないので、引き続き考えていきたいです。
えみるのおかげで視野が広がった気がする。ありがとうハグプリさん。
参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)