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「パラレルワールドへの疑念」(人物面):HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2020年08月09日 | ハグプリ最終回考察
前回に続き、「平行世界」「歴史改変」の観点から考えてみる。

【目の前に広がる世界】

私が疑問を抱いた発端は、「2030年に愛崎えみるがトラウム研究室を訪問している」こと。
本来これは、かなり怖い行動です。


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

重要な前提として「劇中人物である愛崎えみるには、この世界の設定は知りえない」があります。
仮に製作者様や東映アニメ公式が「この世界の未来は不変である(あるいは平行世界や歴史改変)」と断言したとしても、劇中人物のえみるには知る術がありません。
そのため「えみるは平行世界だと認識していたが、実際には歴史改変世界」といった齟齬も起きえます。

では、えみるは彼女が知りえる情報から、どのように判断するのか。

えみるにとって一番の論拠はルールーのはずです。
彼女が残した最後の言葉は「未来で待っています」。41話でもルールーは「未来で待つ」と発言しており、彼女は意識的にこのフレーズを選んでいると思われます。
これを素直に受け取るなら、平行世界説は(えみるの認識からは)真っ先に消える。

もし平行世界ならルールーが待つのは「未来」ではないのだから、最後の言葉は「離れていても私たちはいつも一緒です」とか「いつか会いに来てください」になるはず。
「ルールーが優しい嘘をついた」可能性は否定したい。彼女の「アンドロイドなので事実そのままを話す」「えみるを子ども扱いして嘘も方便に走らない」特徴を尊重したいです。

そうすると、えみるは「未来不変」か「歴史改変」かで悩む。
悩んでしまうのは、後者だとすると迂闊な行動をすると未来が変わってしまい、ルールーと再会できない可能性があるから。

この状況だと研究室には行けません。「研究室にいく」のが正史で、行かなかったせいで未来が変わる(そしてルールーに会えなくなる)可能性もあるのですが、「ルールーやトラウムから指示されていない」という強烈な制限があるため、様子見に走るのが自然に思えます。

具体的に考えてみよう。
たとえばカエル列車に乗り込む前に、未来トラウムと一緒に現トラウムに会いに行き、設計図を渡す。ルールーの旅立ちを、新しく作ったルールーと一緒に見送るのも可能は可能です。しかし普通の認識ではこれは「ルールー2号機」でしょう。

見送りをしたその次の日に研究室にいったとしても同様。1か月後でも1年後でも10年後でも本質的に同じです。2号機ではなく正しくあのルールーと認識するには、何らかのきっかけがいるんです。そのきっかけが分からない以上は、えみるは身動きがとれません。

言い換えると、「歴史改変」がえみるの認識であったとしても、研究室を訪問する際には「ここまでは歴史は変わっていない」と判断しての行動のはず。変わってしまっていたとしたら、もはやルールーには会えません。

訪問した後も同様です。少なくとも2043年までは未来を変えないようにしないと、ルールーに再会できない。
つまり「歴史改変」と「未来不変」のどちらの認識だったとしても、えみるは「未来を変えない」ように振る舞います。違いは「歴史が変わるかもしれない」という恐怖を抑え込み、薄氷を踏む強迫観念と戦い続けるのかどうかくらい。
行動が変わらないのだから、両者を区別する意味も(今後の展開を考察する際には)ないはず。

よって「未来不変」。
(えみるは「歴史改変」を警戒している可能性もあるが、「未来を変えない」ように振る舞うので、結果的に同じ未来をなぞる。「実はえみるは既に失敗している」の可能性もありますが、話が無為にややこしくなる)

上記の思考過程には「ハグプリ世界の真相は何か」は関係していません。
最初に述べたように、劇中人物のえみるには公式資料を読むことが出来ないので、平行世界が正であってもそのように認識することが出来ないんです。
登場人物の認識と、世界設定に齟齬がある演出はたまにありますが、通常は(その誤解がギミックとして使われていないなら)避けるかと思います。話が非常にややこしくなるので。

【収束するえみる】

それでも前向きに「平行世界」を想定してみる。
解決策はみっつ。

まず「えみるが平行世界だと認識できる」道があればよいです。
が、私はギブアップしました。ルールーが「未来で待つ」と言っている以上、平行世界の認識に辿り着くのは厳しい。

ふたつめ。先ほど書いたとおり「えみるは勘違いしていた」。
本当は平行世界なのに、「未来不変」と誤解して研究室に行き、別人であるルールー2号機との再会を喜んだ。

これ自体は矛盾はないとはいえ、「話がややこしくなる」をさておいたとしても、えみる派としてはやはり許容しがたいです。
実際、最終回の研究室訪問シーンは、えみルー派からは賛否両論だったのも、平行世界はもちろん歴史改変だったとしても「あれはルールーではない」からでしょう。これでは二人のラストシーンが茶番になってしまう。

直接的な言葉がないため、あのシーンは色々と解釈はできます。
仮に「平行世界」だとしても、えみるが涙したのは「もはや会えない親友との別れを実感したから」で、いわば「亡き友の忘れ形見との出会い」のような見方もできる。「事故死した大親友の娘を引き取り、親友の面影に涙した」とか「子供時代の思い出を我が子に話し、今は亡き友を思い出して泣いた」とかでも、変な描写ではないでしょう。これはこれで感動的な話です。
「平行世界」だとしても、あのシーンそのものは全否定はされない。

ですがルールーの言葉「未来で待つ」と整合性がとれません。彼女は確かに「待つ」といったのだから、待っているはず。えみるの認識では「未来不変」なので、上記のような「平行世界」を念頭に置いた感動的な再会ではなく、ただの誤解になってしまう。これではあまりに報われないし、なんでそんな描写にしなきゃいけないのか不可解です。

前回も書きましたが、「平行世界でないと矛盾する⇒よってあれはルールー2号機⇒2号機との再会でお茶を濁すのは酷い」のような批判を抱え込むよりも、単一世界でも矛盾はしないのだから、そのまんま「未来は不変」とする方が単純明快じゃないかしら。

【可能性があるのです!】

最後にみっつめ。「えみるはそこまで深読みしなかった。だから自然になんとなく平行世界だと認識したし、無警戒に研究室に行った」。
アホの子みたいですけれど、普通ならばこの展開もありえる。

ところが、えみるは「異常なまでに未来を思い悩む」キャラクターです。奴は考える。
考えたなら「未来不変でも、矛盾やパラドクスはない」ことに気づけるはず。しかも未来不変を検証する手段まである。
そこまで行き着いたなら、「野乃はなの出産」という特徴的なタイミングに研究室訪問に至れます。

ルールーは「嘘をつかない」
えみるは「深読みする」

双方のキャラ特性が妙に噛み合ってしまった結果、人物面からの考察では「未来は不変」(もしくは改変可能だが未来は変わっていないので区別がつかない)が自然に思えます。
2030年に「再会」したルールーは、正しくルールーその人であり、2043年にクライアスとして2018年に戻り、えみると「再会」するんだ。

【蛇足】

いっそ「えみるとルールーは同一人物」説とかどうだろう。
2043年の戦いで瀕死の重傷を負ったえみるが、2030年に送られて、ルールーの素地になったとか何とか。
「未来から瀕死の自分が送り込まれてくる」なんて強烈なきっかけがあれば、2030年にえみるが問題なく研究室に行けます。
「未来で待つ」の言葉も完璧に満たせるし、ルールーがロボットではなくアンドロイドだとか、二人が一瞬で惹かれあったとか、プリハートを共有できた理由も説明できます。まぁ小手先のテクニックに走った感があるので、あまり楽しい推察ではないですけど。


参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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