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「改変世界のルールー」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2021年01月10日 | ハグプリ最終回考察
私としては「未来不変」を支持していますが、幅を広げるため「歴史改変」の立ち位置でも考えてみる。

注)本ブログでは下記の意味で使用しています。
「歴史改変」:はぐたんの飛来およびその後の活躍により、未来が変わった(パラレルワールドへの分岐ではなく)とする考え方
「未来不変」:未来は変わらないとする考え方
「平行世界」:未来が変わると、世界が分岐する(変化前の世界はそのまま残る)とする考え方

【変わる未来】

歴史改変説の最大の課題は「根拠がない」ことです。というのも「歴史が変わる」とやらが、何がなんだか分からないから。

イメージは分かりやすい。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に代表されるように、「歴史が変わってしまい、主人公が消えていく」ような感じです。ですが物語としては分かりやすくても、設定としては不可解すぎます。
素直に考えるなら、タイムトラベルした時点で世界の質量(エネルギー)が変わりますから、いきなり歴史は変わる。これは近い未来から過去へのタイムトラベルを例にすると分かりやすい。

例)
 1月10日から、1月9日にタイムトラベルし、自分自身に出会った。
 そのまま滞在して1月10日を迎え、なし崩しで11日まで滞在した。

たったこれだけで歴史改変世界では説明が破綻します。
この後、気が向いて出発日の10日に戻ると不可解なループに突入するし、戻らないままなら同一人物がふたりいる状態でずっと存在できてしまう。大袈裟に何かをするまでもなく、あっさりと歴史が変わります。

実際これを避けるためか、「歴史改変」を採用している話では「過去の自分と出会う」ような短期間でのタイムトラベルをしない傾向があるように思えます。逆にそれをやるタイムトラベルものでは「未来不変」が多い。(例:ロバート・A・ハインライン「時の門」や「輪廻の蛇」。基本は歴史改変設定の「ドラえもん」も、短期間でのタイムトラベルでは未来不変に沿っている)

「歴史が変わると自分が消える」等も不可解です。
素朴に考えるなら「消滅」のような極端な現象の前に、「考え方や性格や記憶が変わる」などの方が先に起きるはず。一人称が「俺」「私」「僕」と目まぐるしく変化したり、記憶が書き換わって言動に整合性がなくなったり。
そしてその変化によって過去が更に変わります。変化が繰り返されるので、視聴者目線では訳の分からぬストーリーに陥ってしまう。
もしくは「その繰り返しの変化が収束した結果が、今見ているストーリーである」とも言えますが、それはもはや「未来不変」と区別がつきません。「もうこれ以上は何度繰り返しても変化はしない」のだから。

このように「歴史改変」を下敷きにすると、考察不能の破綻した設定に陥ります。「歴史改変」を前提にした時点で、考察は成り立ちません。

ただ「だから悪い」でもない。

私らは論文や設定集を読みたいのではないので、設定に穴があっても物語として魅力的なら構わないです。言い換えると「歴史改変」説の肝は物語性です。
ハグプリでいえば、2020年夏頃にTwitterで話題になった「歴史改変」説も、考察としては致命的な問題(※)がありますが、語り口でカバーされています。

※アイデアの二本柱である「オリジナルの野乃はなは孤独だった」と「プリハートの本来の持ち主」が相互に矛盾している。
おそらく投稿者本人も気づいており、全体を短文で区切って投稿することで、矛盾に気づかずに読めるようにフォローされている。

【改変がもたらすもの】

前置きが長くなりましたが、以上を踏まえた上で「歴史改変」を前提に検討してみる。

「歴史改変を前提にした時点で考察は成り立たない」とは書いたものの、何か取っ掛かりとなる根拠は欲しい。「歴史改変だとすると、おかしなことになる」のだから、「おかしな点」を探すのが良さそうです。
不適切を承知で例に出すと、具体的には「ドラゴンボール」のトランクスの「19号20号」発言のようなもの。ストーリー上明らかにおかしい(しかも劇中でフォローもない)のですが、そのおかげで「あの発言をしたトランクスと、その後のトランクスは別人では」の考察に発展させられます(但し「ドラゴンボール」は歴史改変ではなく、平行世界設定)。

ではハグプリで「おかしな」ところはといえば、ひとつあった。「死んだようにしか見えない敵幹部が、平然と再登場している」です。
特にトラウムは、ルールーとのやり取りを見ても消滅したとしか見えませんし、その割には再会がやたら軽い。当時、リアルタイム視聴できなかった影響もあって、「1話飛ばしたかな?」と素で確認したほど。
なので、これを「歴史改変の証左だ」としてみる。「浄化されたことで未来が変わったため、浄化されたこと自体がなくなり、彼らの死亡イベントがなくなった」とかです。
細かな部分は後々でどうにかするとして、その路線でいくなら、同じく敵組織にいたルールーも同様です。
彼女はあからさまな「消滅」描写はなかった気がしますが、「記憶を消去」→「復活」があるので、それを当てはめればなんとかはなりそう。

仮説『歴史が変わったのでルールーは蘇った』


(「HUGっと!プリキュア」17話より)

本来の歴史では彼女は普通に撃破されており、そのショックもあってハグプリチームは瓦解したとか何とか。
この仮説を使うなら、4つ目のプリハートが2つに分離した背景も色付けできます。改変後の未来にて、ルールーがプリキュアとして戦っていたからでしょう。可能性として2パターンある。

●パターン①『ルールーは4人目のプリキュア』

野乃さんらが使っているプリハートは、未来にてトゥモローさんの他3名が使っています。この3人の内の一人がルールー。
雰囲気的には一番右がルールーっぽいかしら。


(「HUGっと!プリキュア」40話より)

「あのプリハートは、現代ではえみるが所有者。未来ではルールーが所有者。だから2つに分かれた」といった具合。

ただストーリーとしては受け入れやすいですが、幾つか無理がある。

このパターンだと、ハリーが持ち込んだプリハートは当初は3個だったはず。彼の記憶にあるトゥモローチームも3人編成になる。その後歴史が変わり、ルールーがプリキュアになれるようになったので、4個目が現れ、ハリーの記憶も改竄されたことになってしまう。ややこしい。
もしくは元の歴史でも4人編成だったが、ルールーとは違う誰かが4人目だった。ルールーが4人目に改変されたことにより本来の4人目は抹消され、ルールーに置き換わった。元の娘さん、気の毒。

前述したように、歴史改変を前提にすると必然的に発生する齟齬なので、「気にしない」で済ませても良いのですが、引っ掛かりはします。

●パターン②『ルールーは5人目のプリキュア』

最終回2030年に研究室で誕生したルールーが健やかに育ち、2043年にトゥモローチームの5人目として参戦する…という未来に変わったことにより、5個目のプリハートが出現した。

「4個目から分裂した」かのような描写を重視するなら、2043年シリーズにおいて、何か魂をわけあうとかそんな感じのエピソードを経て加入するんでしょう。
今のところ事例はありませんが、「変身不能に陥ったムーンライトが、和解したダークさんとペアで変身するようになった」みたいなイメージ。

これならパターン①の不整合は切り抜けられます。ただこのパターンだと「えみるとルールー」の特別性が薄れてしまう。未来において、ルールーはえみるではない誰かとペアで変身していますので。

ありきたりな解決策でいえば、「未来でのルールーのペア相手は、えみるの娘」とかはどうだろう。
「娘だからといって、親の写し身かのような関連性を持たせて良いのか」の懸念はあるものの、野乃さんとはぐたんの例もあるし、まぁどうにか。

違和感があるなら「えみるの後継者的な人」。たとえば、えみるの歌に感化されたとか、そういう子。

それも微妙ならゴリ押しです。「トゥモローチームには、愛崎えみる(37歳)もいた」としよう。
髪の毛的には右から2番目でしょうか。これなら2043年にえみるをプリキュアとして参加させられるし、みんなハッピーな気がする。

『2043年。元の歴史において、えみるはハグプリチームの唯一の生き残りとしてトゥモローチームに参加した。
そして長年の戦いとかが原因で変身不能に。それもありハグプリチームは敗北、未来は崩壊した。
しかし歴史が改変されたことにより、ルールーが追加加入。えみるも復活し、共にプリキュアになったことで勝利へ。こうして未来は救われた』

2018年にプリハートが分裂したのは、2043年にも同じことが起きた(起きる)から。
諸々の齟齬を見逃せば、何となく物語として成立させられるかもしれない。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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