穴にハマったアリスたち

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感想:映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち(2周目)

2012年03月19日 | ライブ・イベントレポート(アニメ系)
最速上映→舞台あいさつと続けて2回見たので、勢いで感想の2周目。

■映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち(2周目)

巷で見かける「活躍しないキャラがいるのは残念だ」「いや、尺の都合で喋らないのも仕方がない」的なやり取りに納得がいかないので、そこを軸に書いてみる。
前提がおかしい。
「台詞がない」のは、むしろ名誉でありサービスだ。

2回見ましたけど、2回ともOPから落涙してました。あのOPはとても大好き。
もちろん「そこしか美翔さんの活躍シーンがないから」ではない。
(全体を知らない初見の時から好きだったんですから)

同じく、ライトを振る私たちのところに駆けつけてくれるシーンも。
くどまゆさんの歌う「永遠のともだち」が素晴らしすぎる。

実を言えば、人から指摘されるまで「美翔さんには台詞すらなかった」ということに気づいてませんでした。
それは何故か。
答えは単純です。OPにしろ終盤のシーンにしろ、美翔さんの声が聞こえた気になってたから。

こんだけ長い付き合いなんだから、ああいった局面でプリキュアさんが何を言うのかは分かり切ってます。
あの子らが今さら、「やっぱ無理だ諦めよう」とか「ごめん、逃げていい?」とか言うか?そんなわけがない。
となれば、喋る必要がないんです。分かってるんだから。
プリキュアさんは、必ず助けに来てくれて、必ず救ってくれる。

初代「ふたりはプリキュア」の頃から、「伝説の戦士」という呼称は使われていました。
でも劇中で「過去の伝説のプリキュアその人たち」について、明確に言及されたことはほとんど無し。
(思い出せるところでは「ハートキャッチ」のみ)
現役として活躍する彼女らも、基本的には現在進行形で応援されてるだけであり、「伝説」と呼ばれる立ち位置じゃない。
つまり、「伝説」という表現を使ってはいるものの、言葉だけの肩書であり、実体を伴ってはいなかった。

それが今回のオールスターズではどうか。

台詞も説明もないOP。「ライトを振ったから来てくれた」以上の描写はない終盤シーン。
この両方とも、5年前に出来たか?おそらくNOです。
でも今ならできる。台詞なしでも、あの子らが何を考えているか分かるし、馬鹿でかい化け物を粉砕することにも疑問はない。
何故か。私ら自身が、あの子らを「伝説のプリキュア」として認知してるからですよ。

美墨先輩や雪城先輩が、巨大船舶を受け止めるシーン。あの時「いや無理だろう」と思いましたか?
全く思わないですよ。ぎりぎりのところで気合入れて踏ん張ってハラハラするとか、そんなことすら思わない。
だってあの黒白先輩ですよ。あの黒白先輩が、今さらそんなことで苦戦するか。

夢原さんたちが降臨するシーンも同様。フュージョンの群れが迎え撃ちますが、「大丈夫かな?」と心配した人、いますか?
私は微塵も思わなかった。勝つに決まってる。あの瞬間、多くの人が勝利を確信したはずだ。
だって夢原さんですよ。あの夢原さんが、今さらそんなことで苦戦するか。

美翔さんと日向さんのシーンだって同じ。
バリアを展開して、フュージョンの攻撃を阻止。あれを見て、「どうしようバリアを割られたら…」とか心配しますか?
私はしましたよ。全く、美翔さんは来てくれたってたいした助けにならないんだから、大人しくじっとして……

例が悪かった。

それはともかく。

バリアを展開するあのシーン。美翔さんは心底楽しそうに戦ってます。
承知の通り、フレッシュ以前の「プリキュア」シリーズは、演出の方針として、基本的に笑顔で戦いません。
普通の女子中学生が、いきなり苛烈な戦いに巻き込まれてるのだから、当たり前といえば当たり前。
だから今回のバリアでの笑顔は、非常に印象的だった。

本放送から6年、「全員しゅーGO」「ちょ~短編」「DX1」「DX2」「DX3」と激戦を乗り越えてる美翔さん。
もはや今回程度の戦いで、ぐったりと猫背になったりはしないんです。
勝つに決まってる。笑顔だって出る。だってあの美翔さんなんだから。

今回の映画は、あの美翔さんに対し、そこまでの絶対的な信頼感を得ていることに、思いっきり気づかせてくれる演出だった。

「伝説の戦士プリキュア」と、劇中ではずっと言われ続けてきた。
でも、描写としては特段にそういった演出はされてこなかった。
それがここにきて、明らかに「伝説の戦士」として認識できている。

劇中の設定として「伝説の戦士」と評されてるからじゃない。
他ならぬ私たちが、「あの子たちは呼べば助けに来てくれる」「あの子たちは、負けない」と認識してるからです。
9年の年月をかけて、文字通り「伝説の戦士」になってる。
そういう設定だからじゃない。私達がそう認識してしまってるからだ。これがどんだけ凄いことか。

「お菓子の国」で夢原さんは神キュアとして崇められた。
「DX3」では、もはやボスクラスが複数現れても撃破して見せる。
昨年の「DX3」を見たときに、もう彼女たちに対し、説得力を持った敵を出すのは無理なんじゃないかと思いました。
その流れでの今回。非常に納得がいく。

そしてその「伝説の戦士」であると同時に、中身はご存じのあの美翔さんだったりすることも、私らは知ってる。
お澄まししてますけど、正体は猫背ですよ。
美墨先輩だってチョコのことで頭がいっぱいだし、夢原さんだって色香が爛れてるんですよ。
あの格好いい伝説の戦士も、実体は身近ないつものあの「お友達」。
それらをわざわざ説明せず、「言わなくても知ってくれてるよね?」とばかりに展開する。
オールドファンだからこそ分かるノリ。これがサービスでなくて、何なのか。

主題歌「永遠のともだち」は素晴らしすぎます。
世代交代を是としているプリキュアさん的には、「永遠」はかなり強力な意味を持つワード。
歌詞の中でも「次の世代」と歌われてる。
実際、美墨先輩や夢原さんが、再び本放送される機会は、おそらくは来ない。
そもそも今さら夢原さんが悩んだりピンチに陥ったりする話を見たいか?と言われると、かなりの疑問。
だけどそれは「扱いが悪い」とか「もう終わり」とかじゃない。

もしかしたら来年はもう「オールスターズ」はないかもしれない。
あったとしても、今度は1カットも出番がないかもしれない。
次の機会は10年後かもしれないし、20年後かもしれない。
でも私らは信じられるはずです。呼べば、あの人たちは来てくれる。来てくれれば、勝ちだ。
プリキュアさんは「永遠のともだち」。何年後だろうと、きっと来てくれる。

8年前や7年前、6年前や5年前、4年前の本放送時には、そこまでの思い入れはなかった。
もしも「SS」本放送時に「美翔さんが来てくれたら勝ちだよね!」とか言ったら、人格を疑われますよ。
今でさえぎりぎりだってのに。

同時に私たち自身だって、8年前や7年前、6年前や5年前、4年前とは、違う自分になってるはず。
この長い期間の間に、色々なことがあった。
その間、毎週の日曜日朝に、プリキュアさんを見て、ここまでやってきた。

確かに今回、台詞はなかった。
でも美翔さんたちが何を考えて戦っているのか、どうしてライトをつけたら来てくれるのか、説明されなくても理解できる。
だって「伝説の戦士」なんだから。
台詞がないから扱いが悪い?尺の都合で仕方がない?舐めるな。台詞の有無なんぞと関係ない絶対的な信頼が私らにはある。
何よりも、そういう信頼感を持っていると判断して、演出してくれたことに強い感動を覚えます。

初期から見続けた人にとって、これ以上の演出はないはず。
8年前の第1話からずっと言われていた「伝説の戦士」。
長い時間をかけて、遂にその立場になった。長期シリーズだからこそできた凄まじい演出。

実際のところ、今回の展開が選択された理由の一つに、尺の都合はあったのだろうとは思う。
でもこれを見て「扱いが悪い」「数合わせで使われただけ」と感じることには、やはり違和感があります。
こんな美味しい役回りなのに、なんてもったいない。
私としては、今回の映画は旧シリーズのファンの人ほど、楽しめる映画だと本気で思います。
私らの長い長い9年が、一つの形を得た、最高の映画だった。


(左画像)
小説 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち (つばさ文庫)

(右画像)
プリキュア シンドローム!〈プリキュア5〉の魂を生んだ25人【描き下ろしポストカード3枚付き】


【フレッシュ&ハートキャッチ】

と、力説しておいてなんですが。

立ち位置的に微妙なのが「フレッシュ」さんと「ハートキャッチ」。

正直なところ、彼女たちに対してはそこまで強力に「伝説の戦士」感を持てません。
まぁ仕方がない。まだ若いんです。むしろ本放送終了から1年ちょっとで「伝説」扱いされたら、花咲さんも困ってしまう。
(だからこそ、「伝説」表記に違和感のない、夢原さん以前が凄まじい)

そういう意味では、今回の映画で割を食ってるのは、この2シリーズだと思う。
ただ、それぞれちゃんとシリーズテーマに即した演出になってるのは流石。

花咲さんは本気でただの「通りすがり」。
坂上さんがどうしてフュージョンのところに行きたいのか、一切合切、理解してない。
でもお手伝いなら出来ます。

桃園さんは「道に迷う」。
フレッシュの根幹を貫くテーマ、「決まり切った一本道よりも、迷いながら進む方がいい」。
新人時代の「DX1」では、フュージョンの元に迷わず突撃してたことを思うと、なかなか大物感が出てきてます。(さすがに「DX1」の頃から意図された演出ではないでしょうけれど)

「憧れて見上げるばかりだった自分」から「自分がステージに上がる側になる」今回のストーリーも、桃園さんそのもの。
今回、たまたまスマイルさんが坂上さんの引率を勤めましたけど、テーマ的には桃園さんがやった方が、綺麗ではあったかなと思う。
ちょうど「DX1」で戦った相手なわけだし。パッションさんの瞬間移動さえなければ…。

テーマ的には、夢原さん(「あなたに会いに行く」がキー)が引率してもしっくり来る。
絶望ばかりの毎日だけど、希望があれば進んでいけるという意味でも、良い。
ただ夢原さんが護衛につくと、いたって普通にフュージョンを粉砕して無事に送り届けてしまいそう。
やっぱりあの方は、「伝説」枠で良いんですよ。

【私たちはプリキュアになれるのか?】

「プリキュア」さんは決して優しいだけの話じゃないと思う。

今回の坂上さんの台詞「どうしよう、プリキュアの敵になっちゃった」の絶望具合は半端ない。
私らはプリキュアさんに憧れてる。でも現実はどうか。
あの方たちと肩を並べて戦えるほど、胸を張れる毎日を送っているのか。
明日、会社や学校に行った後、ちょっと思い出して欲しい。
自分がこれからする行動は、プリキュア的か、それとも敵側的か。

そして、自分から一歩を踏み出そうとしない相手に対して、プリキュアさんは容赦しない。
坂上さんの歪んだ鬱憤のせいで、あんなことになった。
仮にやってきたのがフュージョンではなく、各国の変身精霊だったとしても、自分から戦わないのなら同じこと。

見上げてライトを振るだけなのか、それとも同じ目線で戦えるのか。
冒頭の観覧車のシーンから始まり、全編を通じて胸に突き刺さる展開ばかり。
本当に、凄まじい映画だった。

【蛇足】

「伝説の戦士」の一人である九条先輩。
OPの紹介シーンでは「Lminous」と表記されてました。
大変にルミルミしてると思います。DVDでもそのままでいて欲しい。

【追記】

「それは主観にすぎない」という指摘を貰いました。
勘違いしちゃいけない。この世において、主観に勝る論拠はない。
だって反論不能だもの。

個人が誰かを説得しようしてるのなら別だけど、誰かが個人を説得しようとしている時、主観は論破不能。
「私」が「相手」を説得しようとする時は「私」の主観ではダメ。
でも「相手」が「私」を説得しようという時は、「私」は「私の」主観で反論可能です。
わざわざ「相手」の主観に譲歩して基準を合わせる理由がないんですから。
要は、攻撃するときは自分の主観ではダメだけど、防御するときは自分の主観でOK。この違いは現実の議論や交渉でも大事。

世の中見方は色々あるけれど、まずは自分のビートですよ。
明らかに駄目だって?大丈夫、あんたの理屈なんてどうだっていい。
だから私、もう行きますね。だってドリームが呼んでいるから。

どうにも疑問なのは、プリキュアさん自身が言っていることと矛盾した立ち位置をとることに、不思議を持たないもんなのかなぁ…。

ちなみに客観的批評をしようとすると、「最もプリキュアに詳しい東映アニメーションスタッフが選択した形がこれなのだから、これが最適解だ」に勝てる客観論拠はないはず。
結果的に興行失敗するケースはあっても、それは結果論であり表面的な事柄に過ぎない。「面白いから売れる」というわけでもないですしね。
(というか、そんな簡単に一視聴者が単純な数字で判断できるなら、戦略室や企画室の人たちの仕事がなくなる)
所詮、一視聴者に過ぎない私らは、どこまでいってもお互い主観なのですよ。

【追記2】

もう一つ疑問なことがあった。
例えば、初代やSS、5のアンチが「扱いが悪い(だから初代はダメ。だからSSはダメ等)」と評して批判のネタに使うのは理解できる。
元々嫌いなのだから、機会を見つけて批判するのは自然です(その行為の善し悪しは別として)。

でもファンが否定するのは何でだろう?

第一に、主観によってサービスとも悪い扱いとも読みとれるのだとしら、後者の立場を取ると自分から貶してることになります。
何故わざわざそんなことを。

第二に、スタッフ様の意図として明確な切り捨てを図って、わざと粗雑に扱っていた場合。(そのような根拠はないのですけれど)
批判したら「改心」して次からは扱いを良くするか?といえばそんなこともないでしょう。
それなら最初から「切り捨て」ようとしない。

つまりどちらであっても、意識して批判することにメリットがない。
私のブログにしても同じことで、「スイート」や「スマイル」さんのファンから"反論"を受けるのは分かるけれど(「5」は伝説の戦士なんかじゃない、相対的に「スマイル」を貶める気か、といった感じで)、「いいや初代やSSは不遇で惨めなんだ!」とそのシリーズのファンから力説される意味が、よく分からない。
「面白かったが、また違うのも見たい」なら、理解できますけど。私自身もそうだし。

あるいは「自分にとっては面白くなかった。でも売れて欲しい」とかですね。
売れなかったら、続きが出ません。
いかに面白くなかったかの証明として、売上低下を期待するようになってしまうと、色々と本末転倒。

この辺は私が「SS」ファンだから思うことなのかもしれない。
切り替えのタイミングで批判されるのは当たり前。
だから今回の映画に対する反発は、スタッフ様としては織り込み済みでしょう。
「MH」から「SS」のときに、ボロクソに言われながらも勇気を出して世代交代したから今があるわけで。
ここでNewStageに進むことが、長期的にはより出番も増えると思うのですよ。

感想1周目

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