穴にハマったアリスたち

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感想:映画「オーシャンズ」

2010年02月23日 | 映画・コンサート・展示会・テーマパーク
「波打際のむろみさん」発売記念で見てきました。

■映画:オーシャンズ

海の生き物の恐怖を収めたドキュメントホラー映画です。
ひたすらに海に潜り続け、奇々怪々な映像が垂れ流されます。
これが実在すると言うのだから、下手なオカルトよりよほど怖い。

海中の何が怖いって、個人的に主に4つに分類できます。

1. 無駄にでかい
2. 無駄に群れる
3. 無駄に多種多様
4. そのくせ大事な知性がない

自分と同格の生命体と埋もれ合うようにしながら生活しているのに、その隣人とは全く意思疎通が不可能。
基本的に食うか食われるかというのが恐ろしいです。
「ピーターラビット」とは逆の恐怖。(「ピーター」は、「意思疎通が可能な隣人と食うか食われるかの生活」という恐怖)

お互い、確実に生き物のはずなのに、大事な部分で決定的に分かり合えない様子には寒気がします。
映画の中で、シャコVSカニのシーンがあるのですが、それなりに近しい血縁のはずなのに全く姿かたちが違い、どう見ても分かり合うのは無理そうです。
シャコ、怖い。ライオンVSワニとかなら、まだ希望が見えますが、あの甲殻類どもは無理だ。

重力がないせいで3次元に折り重なって群れるわ、重力が無いせいで進化の選択肢が増えて気持ち悪い生物が生き延びるわ。
海の中は救いようが無いほど出鱈目です。
ダイバーの皆さまには頭が下がる。

さて、その多種多様な生物たちに関して。
生存のために数多の進化を遂げた生物ですが、無節操にやってるようでも暗黙のルールはあります。
「幾ら生存のためとはいえ、それはやっちゃダメだろう」みたいな紳士協定。

例えば「巨大な肉食獣は毒を持ってはいけない」とか。(貴方のことですよ、コモドオオトカゲさん)
「機動力のある鳥類は毒を装備してはいけない」とか。(ピトフーイさん、恥を知りなさい)
それと同じく、厳然たるルールがある。

「肺呼吸生物が、海に潜ってはいけない」

これを破った忌まわしき生物・イルカどもがこの映画でもメインで取り上げられていました。
普通は「海に戻ろうかな?あ、でも地上で恒温の体と頑丈な骨格だけ獲得しておいて、それは卑怯だよな」と思いとどまるのに。
奴らは「反則があれば即、使え」の精神の持ち主。
実に狡猾でおぞましい。
確かに甲殻類と比べると分かり合えそうな顔をしています。同じ哺乳類ですから。しかし奴らは、分かり合ったその上で裏切る。絶対。

冒頭に出てくるイルカVSイワシは壮絶です。
弱い魚と書いて鰯。されどイワシを始めとした小魚は、団結によって大型肉食魚も倒すことが知られています。具体例・スイミー。
だけれど。悲しいまでにイルカには通用しない。
物凄い勢いで群れで包囲され、片っ端から食われていく。
あの小ずるい生き物からすれば、集団で固まっていても「食べやすい」としか認識されません。スイミーの戦術は、現代戦ではあまりに無力だった。

イルカの大群に退路を断たれ、哀しく嬲られていくイワシを襲う悲劇はそれだけではなく。
海からだけでなく、空からも絶望が降ってくる。そう、空の悪魔・カモメです。
何百羽と降り注ぐカモメの大群の映像には、ただただ唖然とするばかり。

(ちなみに公式ページ(リンク先:音注意)の予告動画の中盤辺りに、そのシーンの断片があります。イワシさん…)

絵的には、戦車に包囲された無辜の民衆が、航空爆撃で虐殺されている様子そのものです。
思わず一緒に見てた連れと、声にならない歓声をあげてしまいました。ひぃっ!イワシさんが!イワシさんが!?
いっそ団結を捨ててバラバラに逃げれば勝算もあるのに(追うカロリーが割に合わないはずなので、全ての魚が群れることを止めれば海洋性ほ乳類は淘汰できるはず)。
哀しいかな、魚脳は寂しがり屋なのでつい群れてしまう。嗚呼、お魚さんに「逃げてから待ち合わせて合流する」という知恵さえあれば…!
おまけに最後はクジラまで襲ってきてました。海は地獄だ。10メートル級の肉食獣が群れで高速移動し、何百という猛禽が頭上を舞う。

ラストの方で、人間による漁の様子が批判的に描写されていましたが、イルカによるおさかな地獄を見た後なので「まぁお互い様かな」という気しかしません。
何かこの映画を見る限り、海で生き延びる手段は、ひたすらに「敵と出会わない」のみな気がする。
見つかった時点でどうしようもない。海の広大さを信じて、遭遇しないことを祈ろう。

特にストーリーも何もない映画ですけど、海の恐怖だけは理解しました。こんなところで生活している人魚さん、凄い。
コメント (1)
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