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「はぐたんはタイムトラベルしていない(はぐたんが時間を止めた説)」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2023年02月06日 | ハグプリ最終回考察
『タイムトラベルの哲学』(青山拓央,2011年)を読んで閃いた。


(「HUGっと!プリキュア」1話より)

私たちはごく自然に「はぐたんが過去にタイムトラベルした」と認識しています。
ですが相対的に見るなら、「世界が未来にスライドした」でも良いはずです。

(1) 「はぐたんが過去にタイムトラベルした」
紙の上に書かれた年表をイメージしてください。
未来(2043年)の地点にいるはぐたんを、ひょいとつまんで過去(2018年)に移動させる。
年表は動かず、はぐたんが移動(タイムトラベル)をしている。

(2) 「世界が未来にスライドした」
先ほどと同様に年表をイメージしてください。
はぐたんではなく、紙の方をつかんでガッとスライドさせる。
はぐたんは動かず、紙が移動している。

どちらのタイムトラベルでも、はぐたんの主観では違いはありません。
違いがないんだから、(2)を採用してはいけない理由もとりあえずはないはず。
そして(2) 世界スライド仮説を採用すると、長年の謎が解決するかもしれない。

【停止した未来】
自然発生的な時間停止現象に見舞われ、ハグプリ世界は2043年に凍り付きます。
では2043年から先の未来はどうなっているんだろう?

●仮説1「未来も止まっている」
何らかの方法で2050年を覗き見ると、時間が止まって動かない人々の姿が見える。

●仮説2「未来はまだ存在していない」
2043年から先はまだ白紙。時間が止まっているので出現していない。

どちらも大きな問題を抱えています。
まず仮説1。2050年を覗いてみたら、2050年の姿が見える。それならば2049年を見たら2049年、48年なら48年…と輪切りにされた未来の様子が見えることになります。
細分化していくと、2043年12月31日23時59分59秒の姿→2044年01月01日00時00分00秒の姿→2044年01月01日00時00分01秒の姿といった具合に、未来がどうなるかを観測できる。
これって「時間が止まっている」のでしょうか。

あるいは2050年を覗いても、止まった2043年の姿がそのまま見えるだけ?
それって「2050年」なんでしょうか。「2043年」と区別がつかないのでは。

仮説2は「なぜ2043年が基準点なのか」が不可解です。
この記事を書いているのは2023年2月6日なのですけど、私が今ここで過去にタイムトラベルしたとして、「2023年2月6日以降は白紙だ」と主張して納得されるでしょうか。
「お前がいた時間が2023年2月6日だっただけで、ただの一般人のお前を世界の基準にする理由はない」と反論される気がしてなりません。

【停止した滅び】
別の角度からの疑問としては、「なぜ停止だったのか」もあります。
素直に「2043年に世界は滅びる」でいいじゃないか。

ジョージ達が行った「時間停止」と、2043年に起きた「時間停止」は別物です。
ところが両方とも「時間が止まる」と呼ばれているせいで、混乱を招いてしまっている。
何せ登場人物たる野乃さんですら勘違いし、ジョージに訂正される始末です。

未来に起きたのは時間停止ではなく「滅び」であれば、物語としてはすっきりします。
前項で書いたややこしい問題も解消するし、お子様にも分かりやすい。何故「時間停止」だったのか。

【世界スライド仮説】
上記二つの問題は、「はぐたんではなく、世界の方がタイムトラベル(スライド)した」とすれば、解決の糸口が見つかるかもしれない。

仮説
『危機に陥ったはぐたんは、世界全体を巻き戻した』

整理のために、まず人間が移動するケースで考えてみる。
ある人が意識のみ過去にタイムトラベルしたとします。この種の移動は「タイムリープ」と呼ぶことが多いので、以下はそう呼称します。

10年前にタイムリープした。おお若返ったぞと思いつつ、再度の10年間を過ごした。そして(未来は変わらず)再びタイムリープして10年前へ。
これを延々と繰り返すと無限ループです。

1日前にタイムリープするケースではどうか。これもSFではよくある「同じ一日を無限に繰り返す」系でお馴染みの状況です。

では0.1秒前にリープしたら?0.01秒前なら?
無限に同じ0.01秒を繰り返す状況は「時間停止」と区別がつかないんじゃなかろうか。

本題である、世界全体がタイムリープするケースに置き換えてみる。
2043年12月31日08時30分00秒00(仮)にはぐたんの能力が発動し、2043年12月31日08時29分59秒99に引き戻されたとします。
0.01秒が経過して2043年12月31日08時30分00秒00になっても、再度2043年12月31日08時29分59秒99に戻され、これを延々と繰り返されたら、「時間が止まった」と言えるのでは?

この状況ならば「2043年から先の未来はどうなっているのか」は説明が付きます。
未来として存在してはいるが、0.01秒毎に引きずり戻されるので、揃って一緒に巻き戻っている(止まっている)。
※この理屈だと、未来で時が止まったなら過去も時が止まります(後述)

【大人になんてなりたくない】
滅びではなく停止だったのは、はぐたんが望んだのが「明日を迎えたくない」だったからでしょう。
明日嫌なことがある、あるいは今日何かの失敗をした。だからもう一度今日をやり直したい。
「世界が滅んでしまえ」よりは自然な発想に思えます。

ストーリー的にはクライアスとの戦いの苦痛。
テーマ的には(ハピネスチャージと似たような)「中高生になって直面する課題」からの逃避。

はぐたんの本能的な力の暴走により、世界は散発的に停止し始めて、いよいよどうにもならなくなったところで世界全体が大きくタイムリープ。
結果、はぐたんの視点では「タイムトラベルした」ように見えた。

※先ほど書いたように、未来で時が止まったら過去でも止まる。逆に言えば、過去で動いているなら未来でも動いている。
はぐたんが2018年に引き戻した時点で、未来の時は動き出したのかもしれない。

ハグプリ本編でも何度か時間が止まりかけますが、基本的にははぐたんのピンチと連動しています。
ヤバい状況に直面した→時間を戻して逃げよう。これを繰り返していた。

更にいえば、はぐたんは2043年から2018年に一気に飛んだのではなく、2042年→2038年→2033年→2030年→2018年のように、段階的に「逃げ」ていたのかもしれない。この前提なら、下記を説明できる。

・ジョージがはぐたんを捕獲した理由
→捕獲しないと無限に過去に逃避を続けていく。捕獲すればそこで時間停止(極小のタイムリープ)する。

・未来の時間停止が解決不能である理由
→はぐたんを殺せば停止は解決しますが、そんな答えは野乃さん的にもプリキュアコンテンツ的にも絶対不可でしょう。

したがって、未来の時間停止は、はぐたんが未来に進む勇気を持てたなら解決する。
若かりし頃の母親と共に過ごし、失敗した今日を抱えて、苦難に満ちた明日を迎える勇気を貰った。だから未来に戻り、その先に進んだ。
実は未来の危機は、最終回の帰還のあの時点で解決していたのかもしれない。

【仮説のその先】
と、長々と書いては見ましたが、あちこち破綻や描写との不一致も目立ちます。
ただこれまでの「はぐたんがタイムトラベルした(ワームホール2本仮説)」では得られなかった観点が発掘できそう。精査してみたら、面白い発見があるかも。

参考:
●HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)

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