コロナ感染が一向に収まらず、3回目の緊急事態宣言を再び延長することを決めた5月28日、菅首相は、開催まで2ヵ月を切った東京オリンピック・パラリンピックについて、「安心安全のために万全を期す」という漠然とした言葉を繰り返して、「開催ありき」の姿勢を崩そうとしなかった。
東京では今なお毎日300人~500人の感染者が続き、国内でイギリス株やインド株など感染力の強い変異株が全国規模で確認され、ベトナムでは新たな変異株が発見されるなど、国内的にも世界的にも感染は収まるどころか一層の広がりを見せていてる現状にあって、“人流を減らすために”、外での飲食や、様々なイベント、不要不急の外出の一層の自粛を呼びかける、その同じ口で、世界から何万人もの人々が集まる「オリンピック」を「安心安全に開催する」と語る矛盾に、菅首相や政府関係者は忸怩たる思いを抱かないのだろうか。
こうした対策と施策の明らかな矛盾は、非常事態宣言による自粛要請の呼び掛けそのものが国民の目にはバカバカしく映るという事態を招き、宣言の効果を無力化させている。
そして何より問題なのは、オリンピックを開催した場合、これが引き金となって国内外で新たなパンデミックが起きるという現実性と、そのリスクの大きさだ。
オリンピック開催の是非について、ほとんどの国内メディアが今なお明確に語ろうとしていないが、海外メディアからは率直な論評が様々な形で発信され始めている。
例えば、5月29日付東スポWebは、ドイツ紙「南ドイツ新聞」が、最近以下のように報じたことを紹介している。
「世界中から何万人もの人々が集まる世界最大のスポーツの祭典の責任者たちにとっては、パンデミックがあろうがなかろうが関係ない」
「パンデミック克服の象徴としての五輪開催は多くの人がリスクは大きいと考えている。でも、責任者たちが(マイナスの話を)聞きたくないと言うなら、どうぞご自由に。少なくとも、パンデミック下の五輪が失敗した場合、誰が責任を取るのかを明確にしておく必要がある。日本政府はもちろんのこと、国際オリンピック委員会(IOC)もね」
https://news.yahoo.co.jp/articles/81eabefe3ddd4c49075aa0755c4af6b1792e73e6
実際、今回の五輪開催には日本人の8割近くの人たちが反対しており、5月5日に宇都宮けんじ氏が呼び掛けた「東京五輪開催中止を求める」ネット署名では、今日現在41万筆を超える署名が集まっている。それは、私たちが自分たちの命や健康が脅かされるリスクの大きさを、体感的に感じているからだ。
最近羽鳥モーニングショウで玉川徹氏が、「(IOCの委員らは)参加する選手の夢をかなえるため、選手のために開催するというが、目的はカネ、日本人の命と健康を掛け金にしたギャンブルですよ」と的確に指摘していたが、私たちはそんなギャンブルに自分や自分が大切に思う人たちの命を差し出すわけにはいかない。改めて、ここに東京オリンピック開催中止を求める。
そして、もし菅首相や小池都知事が、自己保身か権力保持目的か、単なる優柔不断か知らないが、ギャンブルを断れずに開催に突き進むことを選択するのであるならば、彼らには「問題が起きた時には必ず責任を取って辞める」と、その覚悟を今から国民の前に明確に表明することを、強く求めたい。
「護憲+コラム」より
笹井明子
東京では今なお毎日300人~500人の感染者が続き、国内でイギリス株やインド株など感染力の強い変異株が全国規模で確認され、ベトナムでは新たな変異株が発見されるなど、国内的にも世界的にも感染は収まるどころか一層の広がりを見せていてる現状にあって、“人流を減らすために”、外での飲食や、様々なイベント、不要不急の外出の一層の自粛を呼びかける、その同じ口で、世界から何万人もの人々が集まる「オリンピック」を「安心安全に開催する」と語る矛盾に、菅首相や政府関係者は忸怩たる思いを抱かないのだろうか。
こうした対策と施策の明らかな矛盾は、非常事態宣言による自粛要請の呼び掛けそのものが国民の目にはバカバカしく映るという事態を招き、宣言の効果を無力化させている。
そして何より問題なのは、オリンピックを開催した場合、これが引き金となって国内外で新たなパンデミックが起きるという現実性と、そのリスクの大きさだ。
オリンピック開催の是非について、ほとんどの国内メディアが今なお明確に語ろうとしていないが、海外メディアからは率直な論評が様々な形で発信され始めている。
例えば、5月29日付東スポWebは、ドイツ紙「南ドイツ新聞」が、最近以下のように報じたことを紹介している。
「世界中から何万人もの人々が集まる世界最大のスポーツの祭典の責任者たちにとっては、パンデミックがあろうがなかろうが関係ない」
「パンデミック克服の象徴としての五輪開催は多くの人がリスクは大きいと考えている。でも、責任者たちが(マイナスの話を)聞きたくないと言うなら、どうぞご自由に。少なくとも、パンデミック下の五輪が失敗した場合、誰が責任を取るのかを明確にしておく必要がある。日本政府はもちろんのこと、国際オリンピック委員会(IOC)もね」
https://news.yahoo.co.jp/articles/81eabefe3ddd4c49075aa0755c4af6b1792e73e6
実際、今回の五輪開催には日本人の8割近くの人たちが反対しており、5月5日に宇都宮けんじ氏が呼び掛けた「東京五輪開催中止を求める」ネット署名では、今日現在41万筆を超える署名が集まっている。それは、私たちが自分たちの命や健康が脅かされるリスクの大きさを、体感的に感じているからだ。
最近羽鳥モーニングショウで玉川徹氏が、「(IOCの委員らは)参加する選手の夢をかなえるため、選手のために開催するというが、目的はカネ、日本人の命と健康を掛け金にしたギャンブルですよ」と的確に指摘していたが、私たちはそんなギャンブルに自分や自分が大切に思う人たちの命を差し出すわけにはいかない。改めて、ここに東京オリンピック開催中止を求める。
そして、もし菅首相や小池都知事が、自己保身か権力保持目的か、単なる優柔不断か知らないが、ギャンブルを断れずに開催に突き進むことを選択するのであるならば、彼らには「問題が起きた時には必ず責任を取って辞める」と、その覚悟を今から国民の前に明確に表明することを、強く求めたい。
「護憲+コラム」より
笹井明子