老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

日本沈没 (1)

2020-03-23 11:05:30 | 自民党政治
1973年に小松左京が書いた小説【日本沈没】は、日本の消滅を日本列島が海の藻屑と消え去るという設定で描いたきわめて衝撃的な内容だった。

小説の底流を貫いていたのは、祖国も住む土地も失った日本人が世界の中でどう生きるのか、どう生きる事ができるのか、という根底的な「日本論」と「日本人論」の問いかけだった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%B2%88%E6%B2%A1

現在日本が直面している事態は、戦後日本が直面してきた危機の中でも、最大で、最悪の危機である。小松左京が描いた【日本沈没】に匹敵する真正の【危機】だと認識して、はじめて根本的な対策が可能になる。

その最悪の危機に対処する内閣が、明治以来最悪の無能内閣・安倍内閣であるところに日本や日本国民の最大の不幸がある。

🔷まず、コロナ対策についてみてみよう。

人類の歴史は、新型コロナのような感染症との戦いだった。人類は、その恐怖をDNAに刻み込んでいる。

現在、世界中で起こっている悪夢のような出来事は、世界中の人々を「カフカ」的世界に引きずり込むのに十分である。多くの人々が、グレゴリー・ザムザよろしく、一体全体、何が起きているのか理解できず、何をどうすればこの底知れぬ恐怖から逃げられるのかも、理解もできず、ただ右往左往している。

近代と言う世界は、このような不可解な事象を科学的・合理的・論理的に解析し、全てを説明可能なものとして、知の領域に組み込むことで成立している。

つまり、新型コロナ騒動のように、人々を「カフカ的世界」に引きずり込む事象に対して、説明可能な「知の領域」で説明しきるのが、近代国家の為政者・統治者の最低限の責務である。

その科学的・合理的・論理的説明の最大の根拠となるのが、【きちんとした数値】である。「きちんとした数値」のない科学性などあり得ない。「数値」のない説明など近代国家の名に値しない。

新型コロナウイルス騒動も例外ではない。
★感染者が何人いるか。⇒この数を掌握しない限り、全ての対策は絵空事になる。
★感染者の特定のためには、【検査】しかない。=【PCR検査】
つまり、【PCR検査】こそ、新型コロナウイルスを説明可能な「知の領域」にまで引きずりおろす最大のツールなのである。

ところが、日本政府は、現在に至るまで、【PCR検査】を積極的に行ってない。それどころか、厚生労働省は、検査を積極的に行いたくない、としか思えない対応を取っている。わたしから言わせれば、これだけで日本と言う国は、もはや近代国家ではない、という結論になる。

上昌弘氏(医療ガバナンス研究所理事長)に対する様々な妨害行為がそれを証明している。
「安倍内閣が検査を忌避する「特殊な事情」」
https://bit.ly/3djI0M6
「現状を「何とか持ちこたえている状況」とする御用機関」
https://bit.ly/3b9BJ3x
(植草一秀の『知られざる真実』)

新型コロナ解説で「安倍批判は控えてほしい」と某局ディレクターに言われた<上昌弘氏>
https://hbol.jp/215315
(03.20 月刊日本  ハーバー・ビジネス・オンライン)

上氏に対するこれらの妨害行為それ自体が、【PCR検査】自体をできるだけ行わず、「きちんとした感染者数」を把握しないという宣言と同じである。

厚生労働省は何故これほど「きちんとした感染者数」の把握に消極的なのか。

わたしは、記事「危機管理の本質」の中で、PCR検査ができない原因について、以下のように書いた。

・・・・・・・・・・・・・・・・
① 民間検査を実施すると、ウイルス感染者が増加。そうなると、検査費用の保険適用を考えざるを得なくなる。厚生労働省はそれが厭なのだろう。
② ウイルス検査を拡大すると、感染者が飛躍的に増加すると考えられる。⇒陰圧室を備えた指定病院だけでは対応できない。⇒一般病院を開放する以外ない。⇒社会的パニックが起きる可能性⇒世界的に報道⇒オリンピック中止の可能性が出てくる(★これだけは何が何でも避けたい)
③ 安倍内閣で、感染症対策などの予算・人員を削減してきたつけが回っている。10年間で1/3に削減。大学予算、基礎研究予算などの削減と同様、安倍内閣における日本破壊の結果が露呈している。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw6572195
米国のCDC関連の人員は、約14,000人強  予算は、米国は8000億円強 
https://globe.asahi.com/article/11529907
日本の国立感染症研究所 378人  予算 64億円
一目瞭然。こんなお粗末な人員と予算で今回のような事態に対応できるわけがない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

現在でもほとんどその状況は変わっていない。医療崩壊のもたらす悲劇は、現在のイタリアの惨状を見れば十分。日本の医療の現状を知っていればいるほど、医療崩壊の恐ろしさが見えてくるのだろう。

厚生労働省が異様なほどPCR検査を行わない、という方法にこだわっているのは、
(1)オリンピック開催強行のためには、感染者や死者数を一人でも少なく見せる必要性がある、と考えている。
(2)日本の医療現場の実態を良く知っているため、感染のオーバーシュート(異常な膨張)状況に耐えられないと考えている。
(3)感染拡大数を少数に抑え、国民の不満拡大を抑える。⇒このため、各メディア(特にTVのワイドショウ)に対して相当な圧力をかけている。
 ※TV朝日の羽鳥のモーニングショーに対する圧力は異常。⇒今回、緊急事態条項を入れたのは、そのためだと考えられる。

いずれにしても、彼らの頭の中にあるのは【国民の命】ではなく、彼らの統治が国民に及ばなくなるのを恐れている。新型コロナウイルスのパンデミック状況の中ですら、自らの権力保持以外の事は他人事である安倍政権の反国民的本質が良く表れた政策である。

ところが、「PCR検査」を行うべし、という当たり前の議論を封じ込めても海外の目は誤魔化せない。

ブルームバーグは、日本の新型コロナ感染者数があまりにも不自然だとして、感染者をまとめた統計に掲載するのは不適切だと判断した結果、グラフから日本の数値を削除。
情報速報ドットコム https://johosokuhou.com/2020/03/17/27636/
ゆるねとニュース http://www.asyura2.com/20/senkyo270/msg/746.html

このようにして、国民の知らない間に、日本の世界的評価はどんどん下がっていく。

海外の評価の高いのは、中国と韓国。なかんづく韓国の対処の仕方(ドライブスルーの検査方式など)は評価が高い。世界各国は韓国の方法を後追いしている。

🔷 株価の大暴落

コロナウイルスに端を発した世界的株価の大暴落の底が見えない。ウォール街の大暴落は、日本の株式を直撃する。

元々、日本の株式市場は、日銀のETFとGPIF改定後の年金基金などの投入でもたらされた架空の数値であり、実体経済を反映したものではない。アベノミクスという訳の分からない経済政策を、さも意味があるかのように見せかける【砂上の楼閣】に過ぎない。

いよいよ、この【砂上の楼閣】が崩壊の危機に瀕している、というのが、今回の株価大暴落の正体。

(A)日銀の対処策(3月16日)
●追加金融緩和
① ETF(上場投資信託)の年間買い入れ上限額 6兆円⇒12兆円
② Jリート(上場投資信託)の年間買い入れ上限額 約900億円⇒約1,800億円
③ 特別なオペレーション(公開市場操作)導入⇒最長1年、金利0%で民間金融機関に貸し出す。
④ 中小企業の資金繰りを支援する金融機関に資金供給
⑤ CP(コマーシャルペーパー=大企業の資金調達手段)や社債について⇒約2兆円

〇市場の反応
16日の東京市場の日経平均株価は緩和発表の直後こそ上昇の兆しを見せたものの、その後は急落。一時は1万7000円を割り込む展開となり、結局、終値は前週末比429円安の1万7002円に。⇒黒田バズーカは完全な空砲。市場から全く評価されていない。

※以前から指摘され続けているが、アベノミクスによる異次元金融緩和にどっぷりと漬かってきた今の日銀には、効果が期待できる手だてはもう残ってない。それでも、国民向けに何かを【やってるふり】をしなければならない。

しかし、今回起きている世界的株価の大暴落は、資本主義(金融資本主義)(新自由主義的資本主義)の終焉を告げるかも知れない予兆に満ちている。世界的価値の大転換時代(パラダイムシフト)の始まりの匂いがする。

今の黒田日銀にそのような新たな価値創出は全く期待できない。ここでも、日本沈没の予兆が鳴り響いている。

🔷年金(GPIF)の大損失

国民の「年金資産」を運営しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の大損失も国民にとって大問題である。

GPIFのポートフォリオ(資産構成割合)の問題については、安倍政権下で外国株や日本株に50%投資できるようになった。
https://www.gpif.go.jp/gpif/portfolio.html

この方式については、改正当時より、かなりの反対論が出されていたが、強行された。

・・・・・・・
GPIFは国民の年金保険料160兆円を運用し、そのうち50%を国内外の株式に投じている。株価が下落すれば、当然、国民の年金資金も大きく毀損することになる。これまでもGPIFは、株安に襲われるたびに年金資産を減らしてきた。2015年7~9月期は8兆円、18年10~12月期は14兆円もの運用損を出している。今回の株価暴落でも、大損しているのは間違いない。

はたして、どのくらいの損失を出しているのか。17日の衆院厚労委で、無所属の山井和則議員が、衝撃的な試算を公表している。なんと、3月16日時点(平均株価1万7002円)で、22兆1000億円もの運用損を出しているというのだ。過去最大の損失額である。
・・・・・・・・・日刊ゲンダイ

GPIFの運用失敗は、即年金カットにつながり、それは同時に高齢者の生活を直撃する。この問題はあまり取り上げられていないが、いずれ、大問題に浮上するに違いない。

要するに、アベノミクスという馬鹿げた経済政策(円安誘導と株価の高値誘導)のために、国民の大切な年金を放り込み、大幅な運用損失を出しているのである。

ここでも「日本の沈没」の予感がよぎっている。

「護憲+BBS」「 政権ウォッチング」より
流水

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