最近毎日のように、どこかで線状降水帯が発生したとの注意を喚起する情報が流される。
昨日は確か栃木あたりに発生していたと記憶する。
世界を見ても、豪雨による洪水被害の報道が多く為されている。ここ数日で見ても、例えばバングラデシュで現在洪水被害が発生している。
以前パプアニューギニアの地滑りに関連する記事を紹介したが、その際、それぞれの地域の地形というものは、その地域の従来の気象条件との間に微妙なバランスがあり、そのバランスの上に地域の地形は成立し、保全されており、もしこのバランスをとっている一方の要素の気象条件が従来と全く違った場合には、その変化した状況との間に新たなバランスを構築しようとする力が働き、パプアニューギニアの場合は地滑りが発生することに繋がったと紹介しました。
今回線状降水帯や雷雨・豪雨の背景にあるメカニズムを紹介する記事があり、紹介してみたいと思います。
参考にした記事は、次の2つになります。
1.過剰に充電された雷雨:気候変動により引き起こされる異常な降雨や洪水を甘く考えていないだろうか?(原題:Supercharged thunderstorms: have we underestimated how climate change drives extreme rain and floods?: The Conversation 2024 May 9 written by Andrew Dowdy et al)
2.致命的な洪水が発生し、バングラデシュで数百万人が孤立している(原題:Deadly floods leave millions stranded in Bangladesh: AlJazeera 2024 Aug 23・25)
記事の忠実な紹介ではなく、大意を伝えるものです。
先例を見ない洪水を紹介する記事の中に、気温が1℃上がるごとに大気の湿度は約7%増えるという記載を良く目にする。
この7%増加という数字は、丁度今から200年前にフランスの技術者Sadi Carnot氏が行った研究の中に記されているという。
そして現在我々は、Carnot氏が1℃上昇ごとに7%湿度が上がるという事実以上の情報を手にしている。それは大気中に蓄えられた気体の水蒸気が雨粒へと凝縮する際に熱が放出されるということであり、この放出された熱が原因して雷雲中に強い上昇気流が発生し、周辺から更に湿気に富んだ空気を取り込んでいくことにより、更にエネルギーを増していく構図が出来上がり、結果的に今までに経験したことのない強烈な豪雨が産み出されるというメカニズムである。
このメカニズムにより発生する降水量は、気温1℃上昇当たり7%の湿度増加から予測される降水量をはるかに超え、2倍から3倍の量になるとされている。即ち気温1℃上昇で14%~21%多い降水量になる、とされているのである。
最近の例で言うと、ブラジルの洪水被害(2023年11月)やドバイの飛行場の水害(2024年4月)がある。
オーストラリアでは、最新の気象科学情報を総合的に調査し、今後の洪水事象への対応指針を作成している。この指針によると、気温1℃上昇当たり、短時間に集中的に発生する雷雨の場合、降雨量が7~28%増大すること、1日以上にわたる降雨の場合には2~15%降水量が増大するとし、これらの予測降水量は既存の従来の洪水対策指針が想定している気温1℃上昇あたり5%の降雨量増大をはるかに超える降雨量が現実の実態を表している、と指摘している。
従って、現在発生している雷を伴った豪雨というものは、我々が従来の予測をもとに対策を取っている安全基準をはるかに超える降雨量を実際にはもたらしており、洪水や地滑り・山崩れが起こり得る状況の中で我々は暮らしている、との認識が求められるのである。
バングラデシュ西部地域で少なくとも13人が死亡し、450万人に影響がでる洪水が発生している。先週金曜の当局発表によると、19万人ほどが避難所に退避し、バングラデシュの64の行政地域の内の11に影響が出ているという。
主要港湾都市のチッタゴンの北西100kmにあるフェニ地区の被害が最も大きい。
日曜の当局発表によると、洪水の峠は越え、水は引き始めているとしているが、いまだに30万人が避難生活を続けている。
災害対策担当大臣のAzam氏は「現在被害地域の通信環境の回復と食糧配布を目指す取り組みをおこなっている。合わせて伝染病被害の拡大を防止する対応も行っている」と話している。
世界気候リスク指標(Global Climate Risk Index)によると、バングラデシュは気候変動に対し最も脆弱な国の一つとされており、毎年モンスーンによる降雨被害が発生し、近年は異常気象のパターンの変化や極端な気象異常の増大が指摘されていた。
バングラデシュはつい最近数週間の政治的混乱の末に、ハシナ首相(当時)がインドに逃れ、ハシナ氏に代わってノーベル平和賞受賞者のムハンマド・ユヌス氏が暫定政権を率い、近く行われる総選挙前の民主的改革計画を推進している最中の洪水被害の発生になっている。
二酸化炭素の排出を早急に削減できなければ、人新世時代という、人が引き起こし進行し続けている異常気象の高進が要因となり、我々の想定をはるかに超す被害の甚大化が避けられないことになる。世界で頻発する事態にもっと危機感を持たなければならないだろう。
「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
昨日は確か栃木あたりに発生していたと記憶する。
世界を見ても、豪雨による洪水被害の報道が多く為されている。ここ数日で見ても、例えばバングラデシュで現在洪水被害が発生している。
以前パプアニューギニアの地滑りに関連する記事を紹介したが、その際、それぞれの地域の地形というものは、その地域の従来の気象条件との間に微妙なバランスがあり、そのバランスの上に地域の地形は成立し、保全されており、もしこのバランスをとっている一方の要素の気象条件が従来と全く違った場合には、その変化した状況との間に新たなバランスを構築しようとする力が働き、パプアニューギニアの場合は地滑りが発生することに繋がったと紹介しました。
今回線状降水帯や雷雨・豪雨の背景にあるメカニズムを紹介する記事があり、紹介してみたいと思います。
参考にした記事は、次の2つになります。
1.過剰に充電された雷雨:気候変動により引き起こされる異常な降雨や洪水を甘く考えていないだろうか?(原題:Supercharged thunderstorms: have we underestimated how climate change drives extreme rain and floods?: The Conversation 2024 May 9 written by Andrew Dowdy et al)
2.致命的な洪水が発生し、バングラデシュで数百万人が孤立している(原題:Deadly floods leave millions stranded in Bangladesh: AlJazeera 2024 Aug 23・25)
記事の忠実な紹介ではなく、大意を伝えるものです。
先例を見ない洪水を紹介する記事の中に、気温が1℃上がるごとに大気の湿度は約7%増えるという記載を良く目にする。
この7%増加という数字は、丁度今から200年前にフランスの技術者Sadi Carnot氏が行った研究の中に記されているという。
そして現在我々は、Carnot氏が1℃上昇ごとに7%湿度が上がるという事実以上の情報を手にしている。それは大気中に蓄えられた気体の水蒸気が雨粒へと凝縮する際に熱が放出されるということであり、この放出された熱が原因して雷雲中に強い上昇気流が発生し、周辺から更に湿気に富んだ空気を取り込んでいくことにより、更にエネルギーを増していく構図が出来上がり、結果的に今までに経験したことのない強烈な豪雨が産み出されるというメカニズムである。
このメカニズムにより発生する降水量は、気温1℃上昇当たり7%の湿度増加から予測される降水量をはるかに超え、2倍から3倍の量になるとされている。即ち気温1℃上昇で14%~21%多い降水量になる、とされているのである。
最近の例で言うと、ブラジルの洪水被害(2023年11月)やドバイの飛行場の水害(2024年4月)がある。
オーストラリアでは、最新の気象科学情報を総合的に調査し、今後の洪水事象への対応指針を作成している。この指針によると、気温1℃上昇当たり、短時間に集中的に発生する雷雨の場合、降雨量が7~28%増大すること、1日以上にわたる降雨の場合には2~15%降水量が増大するとし、これらの予測降水量は既存の従来の洪水対策指針が想定している気温1℃上昇あたり5%の降雨量増大をはるかに超える降雨量が現実の実態を表している、と指摘している。
従って、現在発生している雷を伴った豪雨というものは、我々が従来の予測をもとに対策を取っている安全基準をはるかに超える降雨量を実際にはもたらしており、洪水や地滑り・山崩れが起こり得る状況の中で我々は暮らしている、との認識が求められるのである。
バングラデシュ西部地域で少なくとも13人が死亡し、450万人に影響がでる洪水が発生している。先週金曜の当局発表によると、19万人ほどが避難所に退避し、バングラデシュの64の行政地域の内の11に影響が出ているという。
主要港湾都市のチッタゴンの北西100kmにあるフェニ地区の被害が最も大きい。
日曜の当局発表によると、洪水の峠は越え、水は引き始めているとしているが、いまだに30万人が避難生活を続けている。
災害対策担当大臣のAzam氏は「現在被害地域の通信環境の回復と食糧配布を目指す取り組みをおこなっている。合わせて伝染病被害の拡大を防止する対応も行っている」と話している。
世界気候リスク指標(Global Climate Risk Index)によると、バングラデシュは気候変動に対し最も脆弱な国の一つとされており、毎年モンスーンによる降雨被害が発生し、近年は異常気象のパターンの変化や極端な気象異常の増大が指摘されていた。
バングラデシュはつい最近数週間の政治的混乱の末に、ハシナ首相(当時)がインドに逃れ、ハシナ氏に代わってノーベル平和賞受賞者のムハンマド・ユヌス氏が暫定政権を率い、近く行われる総選挙前の民主的改革計画を推進している最中の洪水被害の発生になっている。
二酸化炭素の排出を早急に削減できなければ、人新世時代という、人が引き起こし進行し続けている異常気象の高進が要因となり、我々の想定をはるかに超す被害の甚大化が避けられないことになる。世界で頻発する事態にもっと危機感を持たなければならないだろう。
「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan