現在、安保政策の大変革に伴う法律の審議が行われている。誰がどう見ても戦争法案としか読めない法案を平和安全法案などと銘打って恬として恥じないのだから、いかんともしがたい。安倍首相の最大の強みは、先日の党首討論でも見えた“無教養さ”である。そして、本人がその”無教養さ”に気づかないところにある。だから、ポツダム宣言を読んでなくても、平気で“戦後レジームの脱却”などとのたまう。安倍首相の辞書には、【恥】などという概念は乗っていないのだろう。ルースベネディクトなどは、思慮の外。こういう人間は強い。
教師時代、一番手古摺らせた生徒は、【恥知らず】の生徒だった。ダボダボのズボン(ボンタンという)を履き、ベルトをへその下あたりで締め、腰までない寸足らずの上着を着、足を左右に開いて、肩を怒らせて歩く、このやくざ歩きが格好良いと思い込んでいるのだから、手がつけられない。そんな姿を『恥ずかしい』と思えるようになった生徒は、立ち直りが効くが、【恥ずかしさ】の感情をなくした生徒は、立ち直りが効かない。
彼らは強い。恥を知らないのだから、堂々と校内を闊歩する。注意する教師には食ってかかり、ひと悶着を起こす。悶着を起こす事が彼らのレーゾンデートルなのだから、出来るだけ騒ぎを大きくし、相手の教師を困らせる。こう言う時の理屈のつけ方は天才的。文字通り「ああ言えばこう言う」状態。教師も人間だから、出来るだけ面倒を避けたい。こう言う生徒と悶着を起こせば、面倒を買って出る事になる。それは勘弁してほしい、と思えば、見て見ぬふりをする。そうなると、彼らの『自由度=勝手さ』はますます増大する。一種の治外法権状態で、やりたい放題になる。
こうなると、彼らは増長し、【白を黒、黒を白】と言い繕う、詐欺・イカサマ・ペテンがまかり通る。それを目の前で、見たり聞いたりする他の真面目な生徒はやっておれない。「冗談じゃねーよ」と言う、生徒集団の『モラルハザード』が起きる。文字通り、【荒れた中学・学校』が現出するのである。
安倍首相の強さは、この【恥知らず】の生徒たちの強さに似ている。現在のメディアの状況は、面倒を避け、見て見ぬふりをする教師たちと同じである。このような行為を国の最高責任者が行えばどうなるか。何度も言うが、【学級崩壊】と同じで、その国は崩壊する。
良く知っておかなければならないが、この種の行為は伝染する。学校の規制・教師の規制を突破した生徒が一人でも出ると、必ず後に続く生徒が出る。わたしはそれを『一点突破、全面展開』と呼んでいた。
現在の安倍政権、霞が関官僚などや大企業、銀行などや治安機関などの『箍の外れ方』=『モラルハザード』は、「荒れた学校」時代の生徒の「箍の外れ方」と同じである。この「モラルハザード」が手に負えないのは、彼らの意識が『エリート意識⇒差別意識』で裏打ちされている所にある。一つの組織だけでなく、社会全般に影響を与え、社会を腐らせ、崩壊させる点にある。
一つの典型的事例を見て見よう。以下の記事を読んでほしい。
白を黒と言いくるめる政府と日銀の詐術 永田町の裏を読む/高野孟
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160211/1
2015年5月28日 日刊ゲンダイ
『・・・黒田東彦日銀総裁である。
彼は22日の金融政策決定会合の後の会見で、4月までは「緩やかな回復基調にある」としていた景気判断を、「基調」を外して「緩やかな回復過程にある」と変更し、それを「半歩というか一歩というか、見方を前進させた」と説明した。マスコミの解説によると、これは景気判断の「上方修正」なのだそうだが、一般国民にはまったく理解不能な日本語である。
これには前例があって、昨年3月までは黒田は、「緩やかな回復」と言っていたのを、4月の消費税アップで消費がガクンと落ちて物価も下がったのを受けて「基調的には緩やかな回復」と、「基調」を付け加えた表現に変更した。これは、事前に「消費増税の影響は軽微である」と言っていた予想が大外れして慌てた黒田が景気見通しを「下方修正」したことを意味していたのだという。消費増税の影響が大きかったことを口が裂けても認めたくないので、「基調」の2文字を付けたり外したりして、その意味を知っている市場関係者にだけは密かにサインを送っているわけだ。これでは景気の動向について国民に本当のことを知らせないためのマインドコントロールに等しい。
実際、消費増税の影響は甚大で、黒田が命懸けのようにして追求している物価上昇率2%の目標も、当初の「15年度を中心とする期間」を「16年度前半ごろ」と言い換えて先延ばしを図ってきた。この時も「15年度達成は公約ではなかったのか」と問われて、「いや、15年度を中心にと言ってきたので、それには16年度前半も含まれる」というようなごまかし方をしたが、それでも目標達成のめどは立っていない。
むしろ物価上昇率はゼロ近辺で低迷し続けていて、専門家の間ではデフレ転落への懸念が出始めている。かといって、ここで追加緩和など打ち出せば、「回復」とか「回復基調」とか言い続けてきた嘘を認めることになるので、それもできない。もうそろそろ、金融緩和でインフレ誘導すれば景気が上向くというアベノミクスのインチキ経済学を「失敗だった」と正直に国民に謝るべきではないか。』・・・
黒田東彦に代表されるように、責任逃れのためには、官僚たちは、姑息な手段を弄する。【爽やかさ】とか「正直」などという日本語は彼らには無縁である。彼ら一人一人が全てそうだというのではないが、組織に入るとがらっと変わる。そうしなければ、組織の中では生きて行けないのだろう。この姑息さと「エリート意識=差別意識」がないまぜになると、最悪の官僚になる。
わたしが安倍政権を戦後最悪のファッショ政権と断じるのは、この政権が『官僚政権』なかんずく、【財務省政権】である点である。たしかに第二次世界大戦の日本は、軍部の独走に政党政治が歯止めをかけられなかった点に多くの要因があるが、この軍部の独走を支えたのも官僚である、という点を忘れてはならない。
戦前の『内務省』を中心とした強大な官僚組織こそが、あの破滅的な戦争を支えた中心組織である事を忘れてはならない。戦後のGHQの施策で最大の欠点は、官僚組織の全面解体を行わなかった点に求められる。その為、官僚組織は生き延び、戦前並みに復活したのである。
民主党政権を倒したのも財務省を中心とした官僚組織であり、現在の安倍政権を支えているのも同じ官僚組織。ここが戦前並みの権力を持ち、国民支配に狂奔し始めているからこそ、ファッショ体制が進んでいると言ってよい。
彼らの狙いは、簡単明瞭。税収の拡大、国民の基本的人権の制限と国家権力の拡大(権力の恣意的行使)である。マイナンバー制など、これから行われるのは、税収の確保(消費税の増税)、財政赤字にかこつけて、大規模な年金・医療・福祉の切り捨てが来る事は火を見るより明らかである。その為には、どんな甘言を弄しても良いから、国民を騙さなければならない。安倍内閣になって国民騙しの手法が目立つのは、この事情による。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
教師時代、一番手古摺らせた生徒は、【恥知らず】の生徒だった。ダボダボのズボン(ボンタンという)を履き、ベルトをへその下あたりで締め、腰までない寸足らずの上着を着、足を左右に開いて、肩を怒らせて歩く、このやくざ歩きが格好良いと思い込んでいるのだから、手がつけられない。そんな姿を『恥ずかしい』と思えるようになった生徒は、立ち直りが効くが、【恥ずかしさ】の感情をなくした生徒は、立ち直りが効かない。
彼らは強い。恥を知らないのだから、堂々と校内を闊歩する。注意する教師には食ってかかり、ひと悶着を起こす。悶着を起こす事が彼らのレーゾンデートルなのだから、出来るだけ騒ぎを大きくし、相手の教師を困らせる。こう言う時の理屈のつけ方は天才的。文字通り「ああ言えばこう言う」状態。教師も人間だから、出来るだけ面倒を避けたい。こう言う生徒と悶着を起こせば、面倒を買って出る事になる。それは勘弁してほしい、と思えば、見て見ぬふりをする。そうなると、彼らの『自由度=勝手さ』はますます増大する。一種の治外法権状態で、やりたい放題になる。
こうなると、彼らは増長し、【白を黒、黒を白】と言い繕う、詐欺・イカサマ・ペテンがまかり通る。それを目の前で、見たり聞いたりする他の真面目な生徒はやっておれない。「冗談じゃねーよ」と言う、生徒集団の『モラルハザード』が起きる。文字通り、【荒れた中学・学校』が現出するのである。
安倍首相の強さは、この【恥知らず】の生徒たちの強さに似ている。現在のメディアの状況は、面倒を避け、見て見ぬふりをする教師たちと同じである。このような行為を国の最高責任者が行えばどうなるか。何度も言うが、【学級崩壊】と同じで、その国は崩壊する。
良く知っておかなければならないが、この種の行為は伝染する。学校の規制・教師の規制を突破した生徒が一人でも出ると、必ず後に続く生徒が出る。わたしはそれを『一点突破、全面展開』と呼んでいた。
現在の安倍政権、霞が関官僚などや大企業、銀行などや治安機関などの『箍の外れ方』=『モラルハザード』は、「荒れた学校」時代の生徒の「箍の外れ方」と同じである。この「モラルハザード」が手に負えないのは、彼らの意識が『エリート意識⇒差別意識』で裏打ちされている所にある。一つの組織だけでなく、社会全般に影響を与え、社会を腐らせ、崩壊させる点にある。
一つの典型的事例を見て見よう。以下の記事を読んでほしい。
白を黒と言いくるめる政府と日銀の詐術 永田町の裏を読む/高野孟
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160211/1
2015年5月28日 日刊ゲンダイ
『・・・黒田東彦日銀総裁である。
彼は22日の金融政策決定会合の後の会見で、4月までは「緩やかな回復基調にある」としていた景気判断を、「基調」を外して「緩やかな回復過程にある」と変更し、それを「半歩というか一歩というか、見方を前進させた」と説明した。マスコミの解説によると、これは景気判断の「上方修正」なのだそうだが、一般国民にはまったく理解不能な日本語である。
これには前例があって、昨年3月までは黒田は、「緩やかな回復」と言っていたのを、4月の消費税アップで消費がガクンと落ちて物価も下がったのを受けて「基調的には緩やかな回復」と、「基調」を付け加えた表現に変更した。これは、事前に「消費増税の影響は軽微である」と言っていた予想が大外れして慌てた黒田が景気見通しを「下方修正」したことを意味していたのだという。消費増税の影響が大きかったことを口が裂けても認めたくないので、「基調」の2文字を付けたり外したりして、その意味を知っている市場関係者にだけは密かにサインを送っているわけだ。これでは景気の動向について国民に本当のことを知らせないためのマインドコントロールに等しい。
実際、消費増税の影響は甚大で、黒田が命懸けのようにして追求している物価上昇率2%の目標も、当初の「15年度を中心とする期間」を「16年度前半ごろ」と言い換えて先延ばしを図ってきた。この時も「15年度達成は公約ではなかったのか」と問われて、「いや、15年度を中心にと言ってきたので、それには16年度前半も含まれる」というようなごまかし方をしたが、それでも目標達成のめどは立っていない。
むしろ物価上昇率はゼロ近辺で低迷し続けていて、専門家の間ではデフレ転落への懸念が出始めている。かといって、ここで追加緩和など打ち出せば、「回復」とか「回復基調」とか言い続けてきた嘘を認めることになるので、それもできない。もうそろそろ、金融緩和でインフレ誘導すれば景気が上向くというアベノミクスのインチキ経済学を「失敗だった」と正直に国民に謝るべきではないか。』・・・
黒田東彦に代表されるように、責任逃れのためには、官僚たちは、姑息な手段を弄する。【爽やかさ】とか「正直」などという日本語は彼らには無縁である。彼ら一人一人が全てそうだというのではないが、組織に入るとがらっと変わる。そうしなければ、組織の中では生きて行けないのだろう。この姑息さと「エリート意識=差別意識」がないまぜになると、最悪の官僚になる。
わたしが安倍政権を戦後最悪のファッショ政権と断じるのは、この政権が『官僚政権』なかんずく、【財務省政権】である点である。たしかに第二次世界大戦の日本は、軍部の独走に政党政治が歯止めをかけられなかった点に多くの要因があるが、この軍部の独走を支えたのも官僚である、という点を忘れてはならない。
戦前の『内務省』を中心とした強大な官僚組織こそが、あの破滅的な戦争を支えた中心組織である事を忘れてはならない。戦後のGHQの施策で最大の欠点は、官僚組織の全面解体を行わなかった点に求められる。その為、官僚組織は生き延び、戦前並みに復活したのである。
民主党政権を倒したのも財務省を中心とした官僚組織であり、現在の安倍政権を支えているのも同じ官僚組織。ここが戦前並みの権力を持ち、国民支配に狂奔し始めているからこそ、ファッショ体制が進んでいると言ってよい。
彼らの狙いは、簡単明瞭。税収の拡大、国民の基本的人権の制限と国家権力の拡大(権力の恣意的行使)である。マイナンバー制など、これから行われるのは、税収の確保(消費税の増税)、財政赤字にかこつけて、大規模な年金・医療・福祉の切り捨てが来る事は火を見るより明らかである。その為には、どんな甘言を弄しても良いから、国民を騙さなければならない。安倍内閣になって国民騙しの手法が目立つのは、この事情による。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水