2月11日再放送されたNHKスペシャル「カラーでよみがえる東京 ~不死鳥都市の百年~」 を見ました。
東京レビューや銀座のネオン、街を行く女性の服装など、華やかで綺麗な色であふれています。人々の表情もカラーで見るせいか、いきいきと血の通った人間の暖かいものに映っています。
しかしそれが、2.26事件の後、日本が次第に戦争へと突き進んで行くうちに、次第に街からは色彩が消え単一のカーキ色に替わっていきます。それでもまだ千人針を作り協力する女性の着物の半襟には、綺麗な色がみられます。
やがて街からはネオンが消え、夜の銀座も闇の中に沈んでいきます。そしてついに1941年、出征に赴く兵士が不足する状況の中で、雨の中明治神宮外苑の国立競技場で学徒出陣の出陣式が行われれます。東京大空襲で焼け崩れる家と炎の赤。それが写真ではなく過去の東京で確かに起きたできごとだと思い知らされます。
やがて日本の敗戦。昨日まで敵だったアメリカの指導の下に、東京は「民主主義国家日本」の首都へと変貌を遂げていきます。
しかし番組の中で、映画監督の伊丹万作氏は「だまされた、だまされたと言っている者達は、誰も自分がだましたとは言わない。それでは何度でもだまされる、いや既に違う嘘に騙されているのかもしれない」と語っています。
学徒出陣式を神宮の国立競技場で見た作家の杉本苑子氏は、東京オリンピックを同じ国立競技場で見た時「今日のオリンピックあの日につながり、あの日も今日につながっている。私にはそれがおそろしい。祝福に満ち、色と色彩に飾られた今日が、いかなる明日につながっているか誰にも予想はつかないのである」と語っています。
ファシズムが台頭し戦争への道を歩み始めると、その都市も人々も色が単色になっていきます。正にパブロフの「茶色の朝」の到来です。
このドキュメンタリーで私が見たのは、色彩に満ちた東京と日本が戦争に突き進む中で、単色の色に支配された人々の姿でした。それは杉本苑子氏が語っていたように、今日が明日に明日が今日につながっているのかもしれないのです。
けれど私は単色に支配された社会に生きたくはありません。あの日議事堂を包囲した女性達の赤のように、そして様々な色彩に満ちた社会にこそ生きていきたいと思っています。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
パンドラ
東京レビューや銀座のネオン、街を行く女性の服装など、華やかで綺麗な色であふれています。人々の表情もカラーで見るせいか、いきいきと血の通った人間の暖かいものに映っています。
しかしそれが、2.26事件の後、日本が次第に戦争へと突き進んで行くうちに、次第に街からは色彩が消え単一のカーキ色に替わっていきます。それでもまだ千人針を作り協力する女性の着物の半襟には、綺麗な色がみられます。
やがて街からはネオンが消え、夜の銀座も闇の中に沈んでいきます。そしてついに1941年、出征に赴く兵士が不足する状況の中で、雨の中明治神宮外苑の国立競技場で学徒出陣の出陣式が行われれます。東京大空襲で焼け崩れる家と炎の赤。それが写真ではなく過去の東京で確かに起きたできごとだと思い知らされます。
やがて日本の敗戦。昨日まで敵だったアメリカの指導の下に、東京は「民主主義国家日本」の首都へと変貌を遂げていきます。
しかし番組の中で、映画監督の伊丹万作氏は「だまされた、だまされたと言っている者達は、誰も自分がだましたとは言わない。それでは何度でもだまされる、いや既に違う嘘に騙されているのかもしれない」と語っています。
学徒出陣式を神宮の国立競技場で見た作家の杉本苑子氏は、東京オリンピックを同じ国立競技場で見た時「今日のオリンピックあの日につながり、あの日も今日につながっている。私にはそれがおそろしい。祝福に満ち、色と色彩に飾られた今日が、いかなる明日につながっているか誰にも予想はつかないのである」と語っています。
ファシズムが台頭し戦争への道を歩み始めると、その都市も人々も色が単色になっていきます。正にパブロフの「茶色の朝」の到来です。
このドキュメンタリーで私が見たのは、色彩に満ちた東京と日本が戦争に突き進む中で、単色の色に支配された人々の姿でした。それは杉本苑子氏が語っていたように、今日が明日に明日が今日につながっているのかもしれないのです。
けれど私は単色に支配された社会に生きたくはありません。あの日議事堂を包囲した女性達の赤のように、そして様々な色彩に満ちた社会にこそ生きていきたいと思っています。
「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
パンドラ