老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

オバマ大統領のアジア外交演説

2009-11-15 10:28:05 | 安全・外交
日本でのオバマ大統領のアジア外交演説の中で、中国に関する演説「中国の台頭を米国がどう見るか尋ねる人が多くいる・・」から始まる問いについての言及があったが、日本のメディアやコメンテイターにも「中国の台頭を日米はどう見るか」と言っているのを良く耳にする。その背景には「中国の台頭に備えて日米軍事同盟の強化」を「是」とする論理が見え見えである。そして今回のオバマ演説はまさに同じ問いを発する日本のメディアへの回答を意識したものに思えるのである。

そして今回のオバマ演説、特に下記の対中国外交に関する演説を読んで感じるのは、ブッシュ政権のアジア外交と180度とは言わないまでも120度方向が違うと言うことである。これはブッシュ政権のアジア外交の基軸であったアーミテージ、ジョセフ・ナイレポートとも違うと言うことであり、むしろそれとの決別とも言えるのではないだろうか。

このことは、当初駐日大使の最有力候補に挙げられていたジョセフ・ナイ氏案が消え、最終的にルース大使に決定したこととは決して無縁ではないと言う気がする。即ちオバマ大統領の対アジア外交戦略は既に駐日大使決定の過程でブッシュ政権が踏襲したアーミテージ、ジョセフ・ナイのアジア外交戦略との決別が意思決定されていたと思えるのである。

そこで鳩山首相には、今回のオバマ大統領の演説に呼応して、これからはアーミテージ、ジョセフ・ナイレポートが唱えてきた日米外交戦略とは違った、新たな機軸で揺るぎない日米関係を深化させ、日米外交を再構築するよう期待したいものである。

=以下はアサヒコム記載のオバマ大統領演説から対中国政策に関する部分の抜粋=

「我々は台頭する国々に、21世紀において一国の安全保障や経済成長は、他国の犠牲によって成り立つ必要はない、という観点から着目している。中国の台頭を米国がどう見るか尋ねる人が多くいる。しかしこれまで言ってきたように、この相互に関連づけされた世界では、勢力はゼロサムゲームになる必要はないし、国家は他国の成功を恐れる必要もない。勢力圏づくりを競うのではなく、協力圏づくりを深めることで、アジア太平洋は前進していくだろう。

 他国と同様に、米国が中国に接する際には自らの利害に焦点をあてる。だからこそ、相互に関心を持つ課題について、米国が中国と実務的な協力関係を作ることが重要だ。どの国も21世紀に直面する課題は一国だけで解決することはできず、米国も中国も共同して課題に対処できた時の方がうまくいくからだ。従って、我々は中国が経済成長とともに増す責任に合わせ、国際的な舞台でより大きな役割を果たすことを歓迎する。中国との協力関係は、我々が経済を再活性化させようとする努力において極めて重要だ。中国はアフガニスタンとパキスタンの安全と安定を促進してきた。そして現在は、世界の不拡散体制に寄与し、朝鮮半島の非核化という目標も支持している。

 米国は中国を封じ込めるつもりはないし、米中関係の深化は(他国との)二国間同盟を弱めるものでもない。むしろ反対に、強固で、繁栄した中国の台頭は、複数の諸国からなる共同体を強化する源になる。北京やほかの場所で、我々は戦略・経済的な対話を深め、軍同士の意思疎通を改善したい。もちろん、すべての課題について同意はできないだろう。米国は、すべての人の信教と文化の尊重を含め、我々が重視する基本的な価値を主張する際に揺らぐことはないからだ。人権と人間の尊厳を支えることは米国に刻み込まれた伝統なのだ。しかし、敵意ではなく協調の精神でこれらの議論を前に進めたい。」

http://www.asahi.com/international/update/1114/TKY200911140237.html

「護憲+BBS」「各国の動きに注目する」より
厚顔の美少年
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