老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

突然のテロ支援国家指定解除の謎

2008-10-16 11:12:01 | アメリカ
約1ヶ月前に核開発の報告が不十分であるとして北朝鮮のテロ支援国家指定の解除を中止したばかりのブッシュ政権が、先日突然その解除を決定した。政府与党ですら突然の解除は寝耳に水だったようで、いまだに驚きと不満が吹き出ているようである。

もともと米国の北朝鮮に対するテロ支援国家指定は、大韓航空の爆破事件やラングーンでの韓国政府要人を狙った爆破事件がキッカケになっており、日本人の拉致問題は後から日米両政府の同床異夢の思惑からテロ国家指定の枠に組み入れられた経緯があり、とってつけたようなところがあった。今回ブッシュ政権の思惑でいとも簡単に反故にされたのも、当初からそのような無理があったためであろう。

今思えばブッシュ大統領がホワイトハウスに拉致被害家族の横田さんを招き面会したのも、当時対北朝鮮対策が暗礁に乗り上げ、その離礁対策のカードに拉致問題を利用しようとしたものであり、日米の思惑が完全に一致したものではなかった。そのために事ある毎に日米政府高官の微妙な認識の食い違いが露呈し、その都度両政府は修復のメッセージを発信して緊密さを装っていたように思う。そして拉致家族や国民は、その都度日米両政府に不信感を抱かされたのではなかろうか。

では、ブッシュ政権は何故この時期に北朝鮮のテロ支援国家指定の解除を決定したのであろうか。未だ各メディアともその原因を図りかねているようであるが、おそらく次期大統領選挙の結果をオバマ氏優勢と予想してのことではないだろうか。

即ちオバマ氏が勝利すれば、対北朝鮮政策は対話路線へ方向転換され、現在の強硬策は修正される可能性が高い。そうであれば、この際ブッシュ政権としてもテロ支援国家指定を解除して対話路線に転換し、民主党オバマ政権下で予想される米朝関係に道筋をつけたのはブッシュ政権である、という印象づけのためではないかと思われる。

前任のクリントン大統領が、政権末期に女性との不倫関係が発覚してダメージを受けた際、最後はパレスチナとイスラエルの和平工作に執念を燃やし引退の花道に華を添えようとしたように、イラク侵攻に失敗したブッシュ大統領も、引退の花道に北朝鮮の核開発問題に先鞭を付け、次に6者協議を通じて東北アジアでの和平工作に最後の執念を燃やしているのでないかと思われる。いわば米国大統領として後世に名を残すための、最後の名誉欲であろう。

しかしレイムダッグのクリントン大統領が失敗したように、北朝鮮もすでにブッシュ大統領後を見据えており、引退に華を添えるのは難しいのではあるまいか。思えばブッシュ大統領二期目の就任演説だったかで北朝鮮を名指しで「悪の枢軸」と指定したが、あの時逆に東北アジアの和平を唱え着手しておれば、今頃は違った引退の花道となっていたのではないだろうか。東北アジアの和平は次のオバマ氏に期待したいものである。

「護憲+BBS」「各国の動きに注目する」より
厚顔の美少年
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