小沢一郎が民主党を離党した。小沢一郎の政治遍歴を見て、政治家・政治評論家やメディア連中は【壊し屋】【剛腕】など様々なレッテルを貼り続けているが、どれも当たらない。
彼はきわめて理念的政治家であり、日本における真の【民主主義】定着のために、破壊と創造の政治遍歴を重ねてきた。世評とは逆に、小沢一郎こそ【戦後民主主義】の最も良質な部分を引き継いできたと言ってよい。自民党一党支配の弊害を何とか克服するために、政権交代可能な制度として【小選挙区】を導入。念願の「政権交代」を成し遂げた。わたしの持論だが、日本における【政権交代】は、他国における【革命】に匹敵する。この意義は何度強調してもしすぎはない。【革命】の旗は、【国民生活が第一】。
しかし、民主党の政治家連中には、この旗の意味が、胸にすとんと落ちていなかった。明日の飯を心配する庶民の生活が分かっていなかった。彼らは初めて手にした権力のうまみに酔いしれたのだろう。子供が念願のおもちゃを手にして、宿題を忘れ、食事も風呂に入るのも忘れ、遊び呆けているのと同じで、権力というおもちゃを離してなるものか、というのと同じだろう。
ただ、【権力】というおもちゃは、使い方が難しい。使い方を誤ると、それはそのまま自分に跳ね返ってくる。子供のおもちゃ遊びは、自分にしか跳ね返らず、周囲に迷惑はかけない。しかし、権力遊びは、国民に甚大な影響を与える。大飯原発再稼働が典型だが、間違った権力の行使は、多くの国民の怨嗟の的になる。これが、民主党の現在の状況である。
20万近い大群衆に包囲された官邸の中で野田首相は、「大きな音だね」と周囲に漏らしたそうだが、首相の決定的な「感性のズレ」が現在の民主党政権と国民との絶望的な乖離を象徴している。
小沢一郎は、国民と民主党政権のこの絶望的な【乖離】が我慢ならなかった。おそらく、彼の破壊と創造の政治遍歴は、その大半がこの国民と政治家の絶望的な【乖離】に起因している。
【権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する】という政治の公理が、小沢一郎という政治家を「永久革命家」にせざるを得なかったのである。
これからの彼の政治行動を多くのメディアが取り上げているが、わたしの見るところ、作家大下英治の説以外は、ほとんど問題にならない。大下説によると、橋下・河村・大村などの地域政党およびみんなの党などとの連携による【オリーブの木】方式は実現可能であり、小沢一郎は、総理はあきらめているが、その中で大きな役割を果たすだろう、という事になる。当然、その中で小沢新党は、その中核を担う事になる。
小沢新党の名前がどうなるかは開けてみなければ分からないが、その政策は、以下のようなものが中心になると予測される。
1、「国民生活が第一」の理念【旗】は降ろさない。
2、反増税・大飯原発再稼働反対・反TPP
3、国の統治機構の再編成(地域主権など)
4、官僚支配127年の歴史を覆す。
5、国連中心主義の世界政府に貢献する。
6、米中ロとの平和友好関係を築く。日本の自立。
7、オリーブの木の中核になる。
小沢一郎の年齢を考えると、これが最後の戦いになることは確かだろう。わたしは彼の政治行動によって、日本のファッシズム化が防がれる政治情勢が醸し出される事を切に願っている。消費税増税法案採決を見れば明らかなように、民自公3党による強権政治が国民生活を破壊する事は明白である。この悪夢が正夢にならないようにするためには、小沢一郎という政治家を野垂れ死にさせてはならない。
反増税・反原発・反TPPに象徴される【国民生活第一】の政治勢力の結集を図り、悪徳ペンタゴン一派を追い出さなければ、それこそ未来の子孫たちに申し訳がたたない。
「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
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