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老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

死に方用意!

2012-06-25 20:01:49 | 民主党政権
【男たちの大和】という映画があった。
佐藤純也監督、反町隆史主演の戦争映画。戦艦大和の悲劇的な最後を描いた作品で思想色は比較的薄い映画だった。
http://movie.maeda-y.com/movie/00644.htm
YOUTUBE
http://www.youtube.com/watch?v=HZ3L-ETex-U

わたしが一番印象に残ったシーンは、いよいよ敵との決戦を控えた大和の甲板に設置された銃座の背後の鉄板に、白チョークで【死に方用意】の文字が大書された場面だった。説明は不要だろうが、「打ち方用意」にかけた乗組員の覚悟の言葉である。

【死に方用意】に込められた若い兵士たちの覚悟は、何なのか。この言葉が重いのは、【死に方用意】の背後に【生き方用意】がないことである。文字通りの【死に方用意】なのである。否、この言い方は正確ではない。正確に言うと、【死に方用意】というのは、「戦い方用意」の覚悟の言葉である。「戦い方」=「生き方」という思想の表現であろう。

この言葉に、若い兵士たちの迷い、悩み、苦悩が込められている。人の人生は「戦い」であると考えるなら、この言葉はすんなりと受け止められる。しかし、人の一生は、そんなに単純ではない。「戦い」もあるだろう。喜びも悲しみもある。「愛」もあれば「恨み」もある。「希望」もあれば「夢」もある。「諦め」もあれば、「達成感」もある。それら全てをひっくるめて、【生き方用意】なのである。

若い兵士たちは、それらを全て振り捨てて、【死に方用意】=【戦い方用意】に自分の心を収斂した。戦前なら、彼らの覚悟は【散華の精神】として美化されたであろうが、戦後のわたしには、彼らの哀れさが惻々と伝わってきた。

大和の死者、約3000人。ミッドウエイ・レイテ沖海戦で壊滅状態にあった連合艦隊に最後に残った戦艦が、制空権も失い、護衛艦船もなしに、沖縄へ向かう。まさに自殺行為である。世界の戦い方が、航空戦に移り、航空母艦こそが海軍の主力に移っていた時代、大艦巨砲主義にこだわった時代錯誤の象徴が大和だった。そのアナクロニズムの犠牲になった若い兵士たちの覚悟が、哀れでならなかった。

消費増税をめぐる民主党内の若い代議士たちの大混乱を見ていると、大和乗組員の若い兵士たちの悩み、苦しみが今更のように身に沁みて見える。しかし、大和の兵士たちは文字通り【命】を賭けたが、民主党の代議士たちは、命までは取られない。大和の兵士たちにはその後の人生はなかったが、民主党の若い連中には、その後の長い人生が待っている。どちらのほうが、より【重い覚悟】が必要なのかは、軽々には語れないかも知れない。【生き延びる】という事は、それだけ【恥】を重ねるという事でもあるから。

「大和」の兵士たちもそうだが、この一戦に賭ける、というのは、自らの思考を削っていくことである。あらゆる雑念を削りに削って、思考を一点に集中していく。この削り方に、その人の思考の深さが問われる。

以前にも何度か指摘したが、市井に生きる人間は、「語る⇒生活する」というサイクルで生きている。「語る⇒書く⇒実践する(支配する)」というサイクルで生きる【政治家】のように、【書く】【実践する(支配する)】という次元に上昇する事はない。大和の兵士たちは、【語る⇒生活する】というサイクルで生きる事を許されなかった人間たちの悲劇である。自分の命は元より、家族、恋人、友人たちとの決別を、自分の意志ではなく他者(国家)に強制された人間たちの悲劇である。

しかし、政治家は違う。「書く⇒実践する(支配する)」という次元での行為は、必然的に多くの他者との軋轢を生み、敵を生み出す。それは、政治家と言う職業を選択した人間の宿命でもある。【死に方用意】は政治家にとって避けては通れない宿命なのである。

その意味で政治家の言葉は、自らの世界観(※人生観も含む)と時代認識を込めた政策論を語らなければならない。語る言葉一つ一つが、自身の世界観(※人生観)がにじみ出たものでなければならない。野田総理の言葉が、響かないのは、言葉の奥から滲み出る世界観がないからである。

【死に方用意】。 民主党の議員たちは、政治に人生を賭ける覚悟を胸に【死に狂い】(※葉隠れの言葉)で今回の増税法案に臨まなければならない。

「護憲+コラム」より
流水

相変わらず‘鈍菅’な菅さん

2012-06-25 14:52:16 | 民主党政権
菅元首相が自身のブログで、「小沢グループと呼ばれている皆さん、小沢氏の個利個略のために、駒として利用されることがないように、目を覚ましてほしい」と述べたと朝日新聞は報じている。

http://www.asahi.com/politics/update/0623/TKY201206230427.html

人の心を傷つけた側はそのことを忘れ易く、逆に傷つけられた側はなかなか忘れられない、と言われる。それに準じて菅元首相は代表になったとき、「小沢氏は引っ込んでいろ」と言ったことを忘れてしまっているのであろう。小沢氏を支持する議員はそのことを決して忘れてはいまい。

そのような中、菅氏が自分のブログで小沢グループの面々に呼びかけた言葉は彼らの感情を逆撫でするだけであろう。呼びかけるとすれば、「あの時は失礼なことを言ってしまった」との懺悔の念が先ずあってこそである。

加えて菅氏は脱原発派でありながら、原発推進の野田首相支持を暴露したと言えよう。このような矛盾した言動を選挙民がどう捉えるか、次期衆議院選では菅氏の地盤(東京18区)から先に民主党を離党した横粂氏が出馬するらしいが、菅氏が土俵に残れるか注目の選挙区である。

http://www.yokokume.jp/

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年

民主党議員総会決裂

2012-06-20 17:56:55 | 民主党政権
民主党の2日間に亘る議員総会も決裂に終わった。明日が会期末で野田首相もG20首脳会議を途中で退席して帰国した。5月30日に続き輿石幹事長、鳩山元首相を含めた野田・小沢会談が再度行なわれるかが最後の鍵ではなかろうか。そこで野田総理が小沢氏を説得するには以前にも取り上げたが最低でも次のような譲歩が必要だ。

>その条件には次のようなものが考えられる。

・増税法案に提示されているGDPの名目成長率3%、実質成長率2%達  成の努力目標を増税の絶対必要条件とすること。
・徹底的な歳出予算削減と特会予算の削減に取り組まず、また09マニフ ェスト公約の八ッ場ダム建設中止を守れなかった前原政調会長(言うだ け政調会長)の更迭。
・小沢氏主導による参議院野党対策・民主党離党者の復党
・政治資金規正法の改正(企業献金中止と議員の会計責任明確化)
・衆議院解散は来年の参議員選と同期させる。

特にGDPの成長目標の明確化は、景気を良くするまで増税はしないという国民へのメセージで重要である。次に前原政調会長の更迭が絶対条件となる。無駄な歳費の削減、行政改革は八ッ場ダム建設を国交省に許した前原政調会長には期待できない、即ち前原では増税の前にやるべきことができないのである。それと昨日の議員総会を一方的にうち切った責任もとらせて更迭すべきであろう。

最低これらの条件が満たされなければ、小沢グループは次の衆議院選挙を見据えて、堂々と国会で消費税増税案に反対すればよい。その結果党を除名されれば野党内でいつでも内閣不信任案を提出できるキャスティングボートも握れる。

天下分け目の戦いは今国会の増税採否ではなく次期衆議院選であり、そこで反増税・脱原発の風を起こせば除名されても、いつ解散があっても怖くはない。また比較第一党も夢ではない。そして2014年の新消費税導入を阻止できれば今の増税反対の目的は果たせる。今国会では肉を切らせて次期衆議院選で骨を断て。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年

消費増税の前に

2012-06-15 15:55:29 | 民主党政権
消費税反対論の小沢、鳩山両氏の意見に対して、あの怪しい小沢、鳩山が恰好付けて反対しているかのような論調も見受けられる。また増税は震災復興に必要との世論の傾向も一部にみられる。
 
しかし、これには大いに異論がある。まず今論議されている消費増税論は、内閣主張が嘘でなければ震災復興には無関係で、社会保障目的と言われている。マニフェスト通りの政策実行云々より、消費増税はマニフェストにも出ていないのである。
 
そもそも増税とは、何が不足で何に必要かにより収入増のために行われる。とすれば不足内容や具体的政策の決定が増税に先行し、現在の使用法の非効率や無駄が先に問われなければならない。その具体内容が未決定のままに、まず第一に、何が何でも消費税とは理屈が通らない。この点の指摘は、譬え石川五右衛門が言おうが誰が言おうが正しいのである。
 
従って、小沢、鳩山憎しや嫌悪から発言内容を否定するのは、子供の理屈や論理であり彼らの主張の方が正論である。

消費税云々の前に、下記のような検討項目が多数あることを認識し、知性を持つ者は冷静に考えなければならない。
----------------------------------------------------------------
『消費税検討項目』
1.財政全体の改革検討は基本原理として何を前提すべきかー-income sharingを原理にする
2.なぜ消費税増税が必要か/社会福祉用途ならその詳細の決定が先行すべきである
3.社会保障/(財政改革)に限定使用なら、入りと出の全体の検討必要「税収<支出」故に改革必要!
4.全税収項目の再検討と蓄積金額回収(埋蔵金650兆円説―高橋洋一)と必要最低支出額の全項目抽出
5.現行各税収項目別の金額データと現行消費税の地方受取金額の実データ/公共工事等の必要性
6.消費税を地方税とした時の問題点は/それだけで地方財源は賄えるのか/地方分権との関係
7.現状の景気状況で消費税増税は中小零細企業には耐えられるか/増税後の景気予測
8.低所得者に対する悪影響とそれへの対策方法/マイナンバー制度と低所得者現金給付の問題
9.複数税率化の問題点と現金給付に伴う難問の比較/それぞれ何が問題か
10.関連政策の項目列挙と影響検討(派遣労働政策など)/民間定年制廃止や再雇用制度の検討
11.景気回復政策、GDPその他景気指数との関連判断
12.2.5兆円/%×5%=12.5兆円分の財源捻出の他の方法は
13.国民負担率での国際比較と購買力平価的考慮の個人所得の国際比較
14.過去に於ける経済失政と放漫財政行政の責任追及とその具体化処置
15.今後への参考データとして神奈川県=9兆円財政支出の10年分再検討/無駄や浪費の詳細明確化
16.公務員・特殊法人人件費とラスパイレス指数(比較は民間平均に)/国・地方議員報酬/定数削減
17.官民格差全面廃止(年金の各種格差、退職金及び退職期日格差、再雇用格差、・・比較は民間平均に)
18.日本全国(国・県・市・町村)の予算合計と人件費合計(人件費削減などで捻出可能な財源の予測に)
19.公務員人件費/GDP比率の国際比較(対ギリシャ比較等)
20.税収・税率とGDP比較変化/エネルギー消費量とGDP変化の比較
21.GDPと累積赤字額と消費税率変化の経年比較と分析

『税制全体の改革』
(各種改定による税収増加)             
要望内容A:                        
1.大企業の恒久減税復元/タックスヘイブン禁止     
***企業内で売上vs納入税額比率で賞与カット義務化   
2.一 定資金以上の企業の売り上げ税化           
3.パチンコその他風俗営業の売り上げ課税強化         
4.各事業所別の法人課税(地方分権税)    5.他国に本社を置いての免税排除課税
6. 51%株式保有外国企業の国内企業扱い課税
7.競馬・競輪事業課税強化
8.酒造業の免税廃止
9.交際接待費の課税強化、たばこ税値上げ
10.脱税発覚時の重加算課税強化
11.非正規労働者定率超過課税
12.中小企業税率引き下げ
13.研究開発費の免税 
14.エコカー減税
15.新エネルギー減税
16.新規ベンチャー企業の3年間無税化
17.外国企業の国内進出促進免税
要 望 名: 各種改定による産業振興
要望内容B:
1.食品および生活必需品の消費税廃止
2.個人研究学術品、専門図書の消費税廃止
3.医薬品・医療機器・医療行為への消費税廃止
4.子育て年金の減・免税
5.障害者、片親家族の減税
6.差押時の固定資産税の課税期日変更
7.生前贈与の減税
8.車検時の減税
9.議員資金管理団体・後援会の譲渡課税

地域別税収配分の公平性是正の項目  
1.人口比例配分と面積配分の複合
2.社会保障受給比率の考慮
3.納税人口比率での配分
4.地域内老齢化人口比率の考慮 
5.地域内資産人口比率の考慮

***軽減税率を導入した場合の問題点は何か、国際比較は?/Invoice方式の必要性とは何か!!

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以上項目だけで、詳細は本になってしまうが、このように検討すべき項目や矛盾が多数あるのを放置して、取りやすい弱者からまず消費税という説は民主主義の冒涜であり、間接民主主義の誤解である。

「護憲+BBS」「非民主主義-日本政治批判-消費税」より
e-seigi

小川前法相強権発動の是非論

2012-06-07 09:27:28 | 民主党政権
6日の朝日新聞社説は、小川前法務大臣が今回の内閣改造での退任記者会見で、「指揮権の発動を決意したが、首相の了承を得られなかった」と語ったことを、「法相の指揮権―見識欠く危うい発言だ 」と題し、「いかにも軽い。積みかさねてきた議論を無視した、見識を欠く発言というほかない。」と批判している。

http://www.asahi.com/news/intro/TKY201206050786.html?id1=2&id2=cabcagag

一方評論家の植草一秀氏は、6月 5日の自身のブログで、「巨悪を隠蔽でなく立件する指揮権発動は正当」と小川法相の言動を是としている。

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-29c0.html

両者の対照的な批判は何れも、小川法相が「小沢一郎・民主党元代表の政治資金事件に関連して、事実と違う捜査報告書をつくった検事を起訴するよう、検事総長に命じることの是非」についてである。

しかしもう一つ見過ごせないこととして、大阪地検特捜部のフロッピーディスク改ざん事件では、検事がディスクを改ざんし無実の女性が起訴されたが、結局改ざんした検事はもとより、その上司の副部長と特捜部長も改ざんを知っていながらそれを隠蔽したとの犯罪理由で最高検察庁から起訴されているのである。

そして、東京地検特捜部の虚偽捜査報告書作成事件も、その虚偽報告書が検察審査会に提出され、検察審査会が小沢氏を強制起訴に導くために作成利用されたことは既にメディアも報じているとおりである。

何れも検察が無理矢理起訴するために事実を歪曲した罪に変わりはない。それなのに大阪地検特捜部の検事のみが起訴され、どうして東京地検特捜部の検事は懲戒処分で済まされようとしているのか。「最高検は、不公平だ」と、起訴された大阪地検特捜部長自身が週刊誌等で語っているのである。

http://www.asyura2.com/12/senkyo130/msg/861.html

このように見てくると小川前法務大臣の強権発動は「相当」と頷けるのであり、朝日新聞の社説は最高検察庁の大阪地検と東京地検への対処が不公正であることを不問にしているように見えてならない。なぜ東京地検の特捜部の検事は起訴されないのか、週刊誌はその影響が最高検に及ばないようにするための保身からとの見立てをしているようである。

「護憲+BBS」「マスコミ報道を批評する」より
厚顔の美少年

野田首相の「Z」デー近し

2012-06-06 10:33:10 | 民主党政権
下記は5月末の投稿の一部であるが、野田首相は小沢氏との2回目の会談に意義を見いださずに、ついに自民党の要求を呑んで2人の問責大臣の首を差し出し、内閣改造をしたものの、自民党は次々別なハードルを繰り出してきている。

例えば増税協議より増税採決日決定が先だとか、民主党の最低保障年金案の撤回等である。これではとても今国会(21日)での「社会保障と増税の一体改革」採決は難しい。日暮れて道遠しの感がする。

しかも野田政権は可決される保証もない重要法案の採決をしようとしているのである。その背景には可決成立せずとも、自民党を巻き込んだ政界再編の起爆剤になればよいとの思惑も透けて見える。しかしそれは輿石幹事長や小沢元代表に見透かされていよう。

一方では野田首相は今国会での社会保障と増税の一体改革に「政治生命を賭ける」と、ことあるごとに言ってきている。その言を額面どおり信ずるならば、もはや野田首相の「Z」デー近しということであろう。

「物別れ-野田・小沢会談」より
>野田首相は小沢氏と決別し自民党に迎合すれば梯子を外れないとの完全な保証は取れていないはずであり、また他党間でこのような保障はできるはずもない。今の自民党に「解散若しくは総辞職」と「消費税増税と社会保障の一体改革」のどちらを採るかとなれば、時の勢いは解散若しくは総辞職に急転直下傾くことは明らかであろう。まさに野田総理の洞察力が試される時と言えよう。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年

物別れ-野田・小沢会談

2012-05-31 10:40:54 | 民主党政権
30日の野田・小沢会談は予想通り平行線だったようである。仮にこの先も平行線ならば、自民党は野田首相に助け船を出して消費税増税に賛成票を投じてくれるであろうか、そう簡単ではなさそうである。

自民党の狙いは解散総選挙であり、小沢氏が消費税増税に反対の意思が固いと見れば、土壇場で小沢グループの神輿に乗り、一転して野田内閣不信任案を出して、解散か総辞職を迫そうとする党内欲求と勢力が強くなる可能性が強い。

野田首相は小沢氏と決別し自民党に迎合すれば梯子を外されないとの完全な保証を取れていないはずであり、また他党間でこのような保障はできるはずもない。今の自民党に「解散若しくは総辞職」と「消費税増税と社会保障の一体改革」のどちらを採るかとなれば、時の勢いは解散若しくは総辞職に急転直下傾くことは明らかであろう。まさに野田総理の洞察力が試される時と言えよう。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年

続・野田・小沢会談の焦点

2012-05-30 10:49:01 | 民主党政権
5月12日に「野田・小沢会談の焦点」と題して投稿したが、いよいよ今日5月30日に両者の会談が行われるようである。しかしあれから17日経過して野田首相を取り巻く政治状況にまた一つ難問が加わった感じがする。それは関西電力大飯原発再稼働の決断の行方である。

28日、福島原発の4号機の現場に細野大臣が足を踏み入れ、その現況が報じられていたが、これをテレビで見て、野田首相はこの状況でどうして福島原発の収束宣言をできるのか、疑問と不信を抱いた国民は多いと思う。野田首相は福島原発の反省を棚上げして、何かに取り付かれたように大飯原発再稼働に傾き、これを端緒に点検中の各原発を逐次再稼働させようとしているように思えてならない。消費税増税に加えて、反省もせずに原発再稼働を実施するようでは、次の衆議院選で民主党は壊滅的打撃を受けることは必至である。

先日の「野田・小沢会談の焦点」では、小沢氏が増税に賛同する条件を下記のように挙げたが、これに加えて大飯原発の再稼働を野田首相が決断するのであれば、小沢氏がこの問題をどう判断するか、野田首相にはまたハードルが一つ増えた感じである。

>・増税法案に提示されているGDPの名目成長率3%、実質成長率2%達成の努力目標を増税の絶対必要条件とすること。
>・徹底的な歳出予算削減と特会予算の削減に取り組まず、また09マニフェスト公約の八ッ場ダム建設中止を守れなかった前原政調会長の更迭。
>・小沢氏主導による参議院野党対策
>・民主党離党者の復党
>・政治資金規正法の改正(企業献金中止と議員の会計責任明確化)
>・衆議院解散は来年の参議院選と同期させる。

野田首相の生き様を故事に例えれば、「一将増税・原発再稼働なりて民主党枯る」と言えよう。一方小沢氏の生き様は、「虎は死して民主党を残す」と言えまいか。何れにしろ最終的には野田首相が民主党を離党して自民党と組める力(議員数)を示せない限り、輿石・小沢ペースに成らざるを得ないのではなかろうか。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年

野田・小沢会談の焦点

2012-05-12 09:55:44 | 民主党政権
民主党輿石幹事長が野田首相と小沢元民主党代表との会談をセットしたい意向と報じられた。会談結果はどうなるか分からないが、同じ党内の政治家であれば会談は当然であろう。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120510-OYT1T01027.htm

周知のとおり双方の対立点は、今国会での消費税増税法案成立の是非である。具体的には野田首相は09民主党マニュアルの社会保障実現の為の財源を安易に増税に求め、一方小沢氏は09マニフェストで4年間は増税しないと公約しており、徹底した歳出と特会予算の削減、特措法の改正等を優先して財源を捻出した後に増税を検討すべきだとの主張である。

輿石幹事長の二人が話せば合意点が見つかるとの見立ては、増税の手順と時期についての違いと観ているためであろう。なかでも最大の課題は野田首相が今国会での増税法案の成立を公言して政治生命を賭けていることである。是を小沢氏が呑むとなれば、野田首相も譲歩してそれなりの条件を呑むべきであろう。

その条件には次のようなものが考えられる。

・増税法案に提示されているGDPの名目成長率3%、実質成長率2%達成の努力目標を増税の絶対必要条件とすること。
・徹底的な歳出予算削減と特会予算の削減に取り組まず、また09マニフェスト公約の八ッ場ダム建設中止を守れなかった前原政調会長の更迭。
・小沢氏主導による参議院野党対策
・民主党離党者の復党
・政治資金規正法の改正(企業献金中止と議員の会計責任明確化)
・衆議院解散は来年の参議院選と同期させる。

小沢氏はギリシャの総選挙のように過半数を占める政党が無く、連立も難航する不安定な状況で、今以上に何も決められない政治状況に陥ることを一番危惧しているようである。また控訴され無罪が確定しなかったことも考えれば、仮に野田首相が以上の条件を呑めば、小沢氏も今国会での増税法案の成立に大義を感じ、協力が得られるのではあるまいか。何れにしろ先ず会談してみるべきで、喧嘩別れはそれからでも遅くはないはずである。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
厚顔の美少年

悪党の復権なるか(1)

2012-05-05 17:39:34 | 民主党政権
外務省のラスプーチンと呼ばれ、鈴木宗男事件に連座し、有罪判決を受けた佐藤優(現評論家)が、小沢一郎は悪党として生きるほかない、と書いたことがある。

日本では、時の体制に反逆する人物は、常に【悪党】として葬り去られる運命にある。

日本史上【悪党】という言葉が頻繁に出るようになるのが12世紀。荘園制の支配体制がようやく定着した時期である。当時の【悪党】の用法は、「荘園・公領における支配体制または支配イデオロギーを外部から侵した者を指して用いられていた。」(ウィキペディア)

この用法は、武士階級の台頭にともなう旧来の荘園領主(本所)たちと武士階級の領地争いの激化とともに変化する。旧来の秩序体制の住人である荘園領主(本所)から見れば、自分たちの秩序や領地(荘園)を侵す武士階級も【悪党】とみなされた。

さらに、「外部から荘園支配に侵入する悪党のほか、蝦夷や海賊的活動を行う海民なども悪党と呼ばれた。
これは支配体系外部の人々を悪党とみなす観念に基づいている。諸国を旅する芸能民や遊行僧などが悪党的性格を持つとされていたのも同様の理由からだと考えられている。」(ウイキペディア)

要するに、支配体形外部の人々を【悪党】とみなす観念は、歴史上なじみのあるものということが分かる。

今回の小沢一郎に対する【政治的事件】の背景には、日本の支配体制内部の住民たちの連綿と変わらぬ支配体形外部の人々を【悪党】とみなす観念がある。支配体制(既得権益体制)の住民たちにとって小沢一郎という政治家は、秩序紊乱者、体制破壊者以外の何物でもなく、理解不能な存在である。この事は、小沢一郎に対する判決、その後の大手メディア、TV各局の異様な反応を見れば一目瞭然だ。

東京地裁の大善裁判長の判決。通常の読解力があれば、あの判決理由では、有罪以外考えられない。それが【無罪】。この落差に裁判長および最高裁判所の悲鳴が聞こえる。

小沢強制起訴を決定した「検察審査会」は最高裁判所事務局管轄。ここに多くの疑惑が指摘されている。審査会の委員選定疑惑。本当に審査会が開かれたのかどうかの疑惑。強制起訴申立人の問題。最高裁OB【大物】の談合疑惑。これをもみ消して最高裁事務局に貸しを作ったとされる民主党大物議員の疑惑。さらに決定的なのは、最高裁の裏金疑惑。これに対して、小沢派を中心に検察審査会の検証をしようとする国会議員の動きが顕在化している。裁判が続けば続くほど、これらの疑惑が徹底的に追及される事は確実。

だから、小沢無罪である。無罪にするから、これ以上の追及は勘弁してよ、という事であろう。しかし、それだけでは、これまでの検察及び最高裁判所事務局などの努力が水泡に帰す。その為に、判決理由では、検察官役の指定弁護人の主張の大半を採用した。同時に、民主党内の反小沢派、自民党などの野党、大手メディアなどに小沢一郎に対する一定程度政治的・道義的責任を追及できる余地を残した。

こう見てみると、今回の判決は、大善裁判長個人だけでなく、最高裁事務局が深く関与しているとみて、そう齟齬はないと感じる。そうでなくては、論理的整合性が命の法曹人(特に裁判官)がこれだけ論理的整合性に欠けた判決は書けない。様々なところに配慮した【政治的判決】と言わざるを得ない。この一事だけを取り上げても、今回の裁判が如何に【政治的裁判】であり、日本の支配体制の危機感が如何に深刻なものだという事が分かる。

「護憲+BBS」「政党ウォッチング」より
流水