非国民通信

ノーモア・コイズミ

組んだらさっさと投げ飛ばせ

2010-08-28 23:00:22 | ニュース

ワタミ&貴親方 セカンドキャリアでもタッグ(スポーツニッポン)

 日本相撲協会の「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」(独立委)の委員で、外食事業などを展開するワタミグループの渡辺美樹会長(50)が26日、東京都中野区の貴乃花部屋を視察した。稽古を見学した同会長は、貴乃花親方(38=元横綱、スポニチ本紙評論家)が提唱している力士のセカンドキャリア充実について独立委の会合でも提案することを示唆。多角経営で成功したノウハウを生かし、貴乃花親方に全面協力する姿勢を示した。

 稽古後、貴乃花親方と約1時間の意見交換を行った渡辺会長の表情は晴れやかだった。開口一番「いや、面白かった」と声をはずませ「相撲道を追究する親方の部屋に来た。それを肌で感じ、私なりに少し分かったと思う」と収穫を口にした。16日の春日山部屋に次ぐ2度目の相撲部屋視察。上がり座敷では背筋をピンと伸ばし、土俵で繰り広げられた若手力士の猛稽古に熱視線を送った。

 意見交換のメーンテーマは、力士の引退後のセカンドキャリア支援だった。渡辺会長は外食事業のほかにワタミファームなど全国9カ所に農場(計475ヘクタール)を所有するなど多角経営に成功。一方、相撲教習所でのセカンドキャリア養成システム導入などを唱えてきた貴乃花親方は、今年5月に知人の紹介で渡辺会長が運営する老人ホームや農場を視察していた。渡辺会長は「相撲界が本気ならば(引退後の)職場や受け皿を用意したい」との意向を示し、独立委での会合でも提言を行う方針を明かした。さらに「力士は料理が上手ですね。力もあるから農場も向いている」と語った。

 相撲取りは他の業界出身者以上につぶしが利かないであろうことが想像に難くないだけに、廃業後の就労支援もまた重要です。廃業した元・力士が食いっぱぐれて暴力団関係者になっている、みたいな事態にならないよう相撲協会側には現役引退後まで考えた運営が求められます。それだけに協会側が外部とのコネクションを強めようとすることは好ましいのですが、よりによってワタミかよ、と思わないでもありません。引退後の働き口を世話してくれるのはありがたい話でしょうけれど、もうちょっとまともなところを探してやって欲しいものです。

 ワタミの介護サービスは意外に利用者からの評価は高いらしいですが、往々にして現場従業員に無理をさせることで成り立っている部分もあると聞きます。そこで従業員サイドが抗議に出たところ「入居者の幸せが自分の幸せでないのだったら、どうぞ辞めてください」と、長年貢献してきた介護職員に自主退職を促したそうです(参考、ワタミの社長は何を偽っているのか)。また最近では、こんな発言が話題を呼んだりもしています……

なぜ「飛び降りろ」と叱咤できたのか:ワタミ会長 渡邉美樹(プレジデントロイター)

たとえばビルの8階とか9階で会議をしているとき、「いますぐ、ここから飛び降りろ!」と平気で言います。本当に飛び降りたやつがいなくてよかったなと思いますけれど(笑)、これはその場で、心のままに叱るからです。

(中略)

2号店のアルバイトとして雇った部下がいましてね。あのころは僕、そいつの頭を何度もスリッパでひっぱたいていました。それでも十数年はついてきてくれましたが、8年ほど前に辞表を出したんです。追い込まれて、潰れたわけです。その後は海外で居酒屋をやっていたと聞きました。

ところが先月(7月)になって、その彼がうちに戻ってきたんです。辞めたときは部長でしたが、今度はヒラ社員として、グループで配送の仕事から始めてもらっています。いまは45~46歳でしょうか。もう一度挑戦したい、定年退職までここで働きたいというんですね。

一度は追い込んで潰してしまった男です。でも彼は、僕の言動の裏側に愛情を感じていたから戻ってきた。その意味で、僕の叱り方は間違っていなかったと思います。

 まぁ会長の人柄が良く表れているエピソードであり、社風の窺われる一幕です。スリッパならぬ金属バットやビール瓶で頭をひっぱたく角界出身者なら、むしろ馴染みやすいところもあるのでしょうか。とりあえず経営する側からすれば、叩かれることに慣れているであろう元・力士は扱いやすい、統治しやすい人材になるのかも知れません。もっとも角界の空気が嫌になって相撲を辞めようとした人にとっては、いくら斡旋されようともワタミなんぞは御免だということになりそうです。

 ちなみに渡辺氏は「力士は料理が上手ですね。力もあるから農場も向いている」とも語ったとのこと。ワタミは農業にも手を広げているようで、まぁ従来の個人経営主体の農業を補助金で下支えするやり方には限界があると思われるだけに、ワタミのような資本が組織として農業を運営していく方が将来的な展望もあると評価したいところです。しかし、ワタミファームの従業員の待遇はどの程度のものなのでしょうか。今はともかく、将来的には? 何しろトップがトップですから、ワタミファームの労働者=農奴になったところで不思議ではありません。

 そもそも渡辺氏はどこまで農業に理解があるのでしょうか。「力もあるから農場も向いている」と語る辺りに疑問を感じないでもありません。そりゃ力仕事も多いでしょうけれど、相撲取りほどの力持ちであることよりも、もっと別の能力が求められるような気がします。ましてや企業経営で機械化の進んだ農業に従事するとなれば、個人の肉体的な力でどうにかする部分は少なくなるはずですし。あるいは極端に体の大きい力士はトラクターやコンバインに乗れないのではないかとか、廃業した力士には膝や腰を痛めている人が多いので農作業には向かないのではないかとか、むしろ懸念材料の方が多いはずです。渡辺氏の頭の中にある農業って、どういうイメージなのでしょうね?

 

 ←応援よろしくお願いします

コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする