自治体職員の28%は非正規 ワーキングプア7割近く(共同通信)
自治労が29日発表した地方自治体職員の勤務実態調査で、臨時雇いや非常勤などの非正規職員が全体の27・8%を占めることが分かった。非正規職員の少なくとも67%は「年収200万円以下の官製ワーキングプア(働く貧困層)に該当する」とみられる。地方財政の悪化を背景に「職員定数や人件費が削減され、安価で入手しやすい労働力で補わなければならなかったから」と自治労は指摘している。
公務員と民間企業の給与比較の際に、決まって除外されている人々がいます。人事院勧告の基になる資料だけは例外のようですが、それ以外の場面では一部の正規職員の平均が公務員の平均として、非正規とパートタイム含め職種問わずの平均が民間企業の平均として提示されるのが常ですから。公務員は好待遇だと印象づけたい人々が目を背けようとしてきた人々が、ここでニュースになっている非正規職員、官製ワーキングプアなのです。
まぁこれも「民間では当たり前」と言えば当たり前なのですが、それが歓迎されているか否か、どこから要請されたものであり、どこから支持されているか、そこに違いがあります。民間企業における非正規化の推進、低賃金労働者の使い捨ては、基本的に財界側、経営側が望んでいるものであり、そうでない人からは歓迎されていない、好ましくないと見なされているわけです。ところがこれが公務員の世界となりますと、単純に経営側=行政側の都合によるものばかりではなく、しばしば住民/国民の支持の元で非正規化が進められて来た、そこは念頭に置くべきでしょう。
民主党と自民党の公約を見比べますと、まぁ比べる相手が悪いと言いますか自民党に比べれば民主党の方がマシなのですけれど、問題のあるものも多いなぁ、と。どの党でも有権者の歓心を買おうと世論に媚びるところが少なからずあるわけですが、しばしば支持層の「思いこみ」に阿るような政策も出てくるものです。例えば中山元国交相の日教組云々の発言も傍目には事実無根の妄言ですが、同じ「思いこみ」を共有している支持層にとっては共感を覚える発言でもあります。それが彼を勢いづけてもいるわけです。
そこで民主党ですが、財源確保として「国家公務員人件費総額の20%削減」などというプランがあるそうです。この辺は支持層の「公務員は働いていないので人を減らしても問題ない」「公務員の給与は民間より高い」という思いこみに則った提案なのでしょう。その辺では橋下と同じ路線です。確かに公務員叩きに乗じることは、有権者の支持を取り付ける上でプラスです。国民の誤解を解くよりも、国民の信じているものを一緒になって信じること、それが「国民の目線に立った政治」ですから。とにかく支持を拡大させるためには目的に適った方針でしょう。
しかるに、「無駄をなくす」「財政改革」というスローガンの元で実際に起こっているのは、冒頭に引用したような官製ワーキングプアの増大です。民間でも公務員でも人件費を減らす方法は同じ、正規雇用を非正規雇用に切り替え、働く人を使い捨てにすることなのです。白人の権利は守らなければならないが、黒人は下僕だから酷使しても構わないとするならいざ知らず、労働者の権利を等しく守ろうと言うのなら、自ら率先してワーキングプアを作ろうとする政策は、あってはならないはずですね。