非国民通信

ノーモア・コイズミ

無能な怠け者であってくれ

2014-03-31 21:33:44 | 雇用・経済

無能な怠け者。これは総司令官または連絡将校に向いている、もしくは下級兵士。

無能な働き者。これは処刑するしかない。

 ……とは、ドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークトに仮託したどこぞやのライターの言葉です。誰が言い出したかは定かではないのですけれど、割と納得のいく代物として随所に引用されていますので、見たことのある人も多いでしょうか。「無能な怠け者」は自分で考えて行動しない=他人の意見を聞き入れて動くため、それなりに使いどころがあります。一方で「無能な働き者」は自らの愚かな判断を次々と実行に移してはさらなる過ちを繰り返すばかり、全くの害悪でしかありません。

 政治家に当てはめて考えるならば、小泉純一郎と菅直人がまさに「無能な働き者」の典型として挙げられます。そして安倍晋三は、とりあえず経済分野においては「無能な怠け者」であろうと。国民の生活にとって害になるものであればいかなる反対があろうと断固として実行に移してきたのが小泉であり菅であり、ブレイン次第で政策が変わったり批判次第で日和ったりしてきたのが安倍ですから。そして、総司令官もとい総理大臣として、より良い結果を出しているのが後者であることは言うまでもないでしょう。

 

中堅・中小労組、8割「ベア」獲得 金属労協、平均1246円(フジサンケイビジネスアイ) 

 2014年春闘で、自動車や電機などの産業別労働組合でつくる金属労協(JCM)は27日、加盟する主な中堅・中小労組が経営側から得た回答状況を発表した。回答を得た132労組のうち約8割の106労組がベースアップ(ベア)に相当する賃上げを獲得した。賃上げ幅の単純平均は1246円だった。

 昨年3月時点で賃上げを獲得したのはベアを要求した107労組に対し13労組にとどまり、平均額は1000円だった。今春闘はこれを大幅に上回り、金属労協の西原浩一郎議長は「大手の回答が中堅・中小にも波及し、賃上げが一つの流れとして交渉基盤になっている」と述べた。

 ただ、今回の集計は業種や地域ごとに影響力のある162の労組が対象。交渉が4月以降に本格化する中堅・中小企業も多く、西原議長は「今後交渉する業績の厳しい企業にも波及しないと意味がない」と強調した。

 金属労協によると、今春闘の労使交渉では、期間従業員やパートの賃金を正社員に準じる形で引き上げるなど、非正規労働者の待遇改善も前進をみせた。

 

 非正規への置き換えが進み賃金が下がり続ける中で、原因を経営ではなく労働者間にすり替えようとする論者もまた出張ってきました。増え続ける会社の収益や内部留保には目もくれず、非正規雇用の境遇が悪いのは正社員のせい、若年層の雇用環境が悪いのは中高年のせいと、そうミスリーディングに努める人は枚挙に暇がありません。そして昨今はこの手の論者に、元々は対立していた層も合流しているのかなと感じます。賃上げを伝える報道も目立つ昨今、どうしても大企業及び正社員の賃上げが先にならざるを得ないのですが、その辺が安倍政権批判側の「心の拠り所」になっているようで、先行する大企業/正社員の賃上げを中小/非正規には無関係なものとしてネガティヴな印象を持たせようと躍起になっている人がいるわけです。

 誰が音頭を取ろうと賃上げとは良いものですが、安倍/自民党政権下での成功を苦々しく思っている人もいれば、「アベノミクス」の現時点で見えているオーソドックスな経済政策による成果を受け入れたくない人もいるのではないでしょうか。前者は概ね旧・左派系、後者は旧態依然たる構造改革論者であり経済右派の立場と言えますが、元来は対立していた両者が立場の違いを乗り越えて同じような主張を繰り出している場面も昨今は頻繁に見かけるようになった印象です。これまでも「若者のため」を訴える人の8割、「非正規のため」を唱える人の4割くらいは批判の矛先を逸らして経営側を守ろうとする論者でしたが、その割合が高まっているように感じますね。

 安倍内閣下での原発再稼働は遅々として進みません。その後の悪影響も、その時点での緊急性も何一つ考慮せず、乱暴に浜岡原発停止を強行した菅直人とは随分な違いです。かつて安倍内閣はホワイトカラー・エグゼンプションという残業代の不払いを合法化する制度を検討していましたが、批判が多く撤回するに至りました。これが小泉であったなら、いかなる抵抗があろうと断固としてやり遂げたのではないかと思います。アベノミクスの第三の矢と称される分野には、これまで日本経済を衰退させてきた改革路線から何の反省も見られない愚策が盛りだくさんですけれど、ここで安倍晋三が「無能な怠け者」で居続けられるかが一つの鍵になりそうです。

 4月からは(この記事が読まれている頃には既に4月だと思いますが)消費税増税という世紀の愚策が繰り返されます。極大の景気後退要因として日本経済の先行きに暗い影を落とすものですが、これを乗り切ることはできるでしょうか。「景気が回復したら、改革する意欲がなくなってしまう」と小泉純一郎は語りました。逆に言えば景気が後退すれば「改革」気運は高まるわけです。民主党政権の悪夢が終わって以来日本経済は久々に上を向くようになりましたけれど、これが消費税増税によって足止めされて低迷したところに「何とかせねば」と改革を称しつつ実質は雇用側の立場を強めるだけの愚策が再展開されるとなると、安倍内閣のこれまでの功績など軽く吹き飛んでしまうことでしょう。それは、なんとしても避けられねばならない事態です。

 

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クリミアの選択

2014-03-29 12:45:12 | 政治

 ロシアの歴史は、結構な時期まで現ウクライナの首都であるキエフを中心としていました。最初にノヴゴロドで建国物語があったものの次の代からはキエフがロシアの中心になるわけです。私が大学時代によく読んでいたゴーゴリという作家も、現在であればウクライナの出身でしたが専らロシアの作家として知られており、ロシア語で作品を書き、出身地域の言葉はあくまで「方言」として扱っていたものです。このゴーゴリと近い時期に、ロシア語とは別の言語としてのウクライナ語で作品を書き始めたシェフチェンコという詩人も出てきたのですが、ゴーゴリはこれに否定的だったと伝えられています。ロシアとは別の国家としてのウクライナ像は必ずしも普遍的なものではないのかも知れません。

 ソチオリンピック開催前、安倍首相は国際的に非難を浴びることも既に多かったプーチン大統領に接近する構えを見せており、まさに名誉白人にふさわしい振る舞いと思われるところでした。ただし、これは毎度のことながら日米同盟重視の方針とは矛盾するだけに、ウクライナの政変に続くクリミアの帰属問題を巡っては「西側」陣営の一員であることをアピールせざるを得ず、どうにもチグハグな印象を拭えません。率直に言って私には、いつもそうであったようにロシア(あるいはソ連)の「反対側」に立っている人々が「西側」で考えられているほど正しいようには思えないところもあるのですが。

 

クリミアへ送電半減=ロシア編入に対抗か―ウクライナ(時事通信)

 【シンフェロポリ時事】ロシアに編入されたウクライナ南部クリミア自治共和国のテミルガリエフ第1副首相は23日、ウクライナ国営電力会社ウクルエネルゴがクリミアへの電力供給を半分に減らしたことを明らかにした。地元通信社が伝えた。

 クリミア半島のロシア編入への対抗策として、ウクライナ新政権が送電を削減した可能性がある。新政権はクリミアで16日に実施された住民投票の結果を「一切認めない」との立場を表明していた。第1副首相によると、クリミアの一部で停電が起きているという。

 第1副首相は、クリミア側はウクライナ新政権が残り50%の電力供給を削減すれば、問題は一段と深刻になる恐れがあると指摘した。クリミア半島は電力の80%をウクライナ本土からの供給に頼っている。 

 

ウクライナ:クリミア…興奮の陰に通貨など生活直撃の課題(毎日新聞)

 一方、ウクライナの大手銀行「プリバトバンク」は18日、クリミアにある支店の営業を停止し、ATMでの現金引き出しを1人につき1日500フリブナ(約5300円)までに制限した。

 銀行側はクリミアの公式通貨となったロシア・ルーブルへの対応や、ウクライナの政変後に現金を引き出す人が増えて「十分な現金を確保できないため」としている。

 だが、プリバトバンクは、創設者の新興財閥コロモイスキー氏が反露派のウクライナ新政権に近いことから、今回の騒動には政治的背景も指摘される。

 

 電力供給に関しては送電線のトラブルだとウクライナ側は説明しているそうですけれど、実態はどうなのでしょうか。ウクライナ「本国」にとってクリミア半島は「同国人」の住む地域なのか、それとも「領土」に過ぎないのか、少なくとも好条件で自らの陣営に引き込もうとするよりは、離反しようとする相手を締め付ける方向にウクライナは向かっているようにも見えます。ロシアとウクライナ&「西側」の対立もさることながら、ウクライナとクリミアの対立もまた注目される必要がありそうです。この辺、あまり現実的ではないですが日ロ間で喩えるなら北方領土的な位置づけを想起するとしっくり来るかも知れません。

 奇妙な厳めしさと緩さが同居したソヴェト体制下では、問題のクリミア地域をウクライナに割り当てるなどもあったわけですが、同様に北方領土に関しても2島ずつの「山分け案」がありました。ここで日本側が態度を硬化させて4島獲得に固執した結果として今に至るのですけれど、仮に2島の帰属が日本になったとして、そこには当然ながらロシア系住民が取り残されることになります。そして日本でクーデターが勃発、反ロシアを鮮明にする新政権が樹立されたとしましょう。ここにロシアが軍隊を派遣してロシア系住民が多数を占める島に進駐、速やかなる住民投票によってロシアへの編入を宣言する――そんなケースを考えれば日本人にも概ね、ウクライナとクリミア及びロシアとの関係が理解しやすい用に思われます。

 かつては軍事独裁政権でも反共の旗を掲げてさえいれば民主主義の同志として認められた時代もありました。日本の右翼だって反共という至上命題のために韓国のカルト宗教と堅く手を結んでいたものです。そして昨今のNATO陣営のクリミア問題への反応を見るに、どうにも勝共連合精神から抜け出せていないのではと感じることも多いです。共産主義を標榜したことがあるだけで実践の形跡がなかろうとも共産主義とは無関係でも共産主義を放棄済でもお構いなし、共産主義の定義がとんでもなく幅広い人達の作った枠組みに今なお縛られているところもあるのではないでしょうか。

 エリツィンとプーチンの国外での評価を分けているのは偏に、「西側」にとって好都合かそうでないかにあります。「プーチンとは違って」エリツィンが非・強権的で国内に政治的な自由を保証した政治家であったかと言えば、答えは当然NOです。ロシアにおける政治的不自由はエリツィン時代もプーチン時代も大差ないでしょう。ただし、ロシアを仮想敵国とする国にとって「弱いロシア」を実現したエリツィンは好ましい指導者であり、ロシアを復興させているプーチンは警戒すべき相手になっている、それだけの話です。

 エリツィン政権時代には、共産党が選挙に勝利して第一党に躍り出たことがあります。エリツィンの時代になって初めてロシア人は、強制ではなく自らの意思で共産党に投票するようになったわけです。「エリツィンは共産党が70年経ってもできなかったことを7年(実際はもう少し短い)で成し遂げた、ロシア人に共産主義の良さを理解させたのだ」なんてジョークが産まれたりもしましたが、それだけ「国内から見た」エリツィン政権は出来の悪い代物だったのです。生活苦に喘ぐロシアの有権者は、西側から評価されるエリツィンではなく、過去のイメージは少なからず引きずっている共産党を選びました。

 結局クリミアの住民にとってベストなのはどのような結果なのでしょう。「西側」にしてみればロシアの拡張を阻止すること以上に優先されることはないと言った趣ですけれど、政情不安定で経済的にもロシアに後れを取るウクライナにおいて「少数民族」の住む自治州として存続し続けることと、もうちょっと経済的にも政治的にも安定しており文化的な繋がりも深いロシアの一部になること、ロシア軍による圧力がなかろうとも後者を選ぶ人の方がクリミアに多いであろうことは容易に想像できます。軍事力を背景にした強圧的な外交への批判は当然として、一方でクリミア住民の意思を尊重することもまた求められるのではないでしょうかね。

 

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癌が見つかったと騒ぐ人もいれば……

2014-03-26 22:53:58 | 社会

【社説】甲状腺がん世界1位の韓国、過剰診断・手術防ぐべき(中央日報)

 19日、医大の教授で構成された「甲状腺がん過多診断阻止のための医師連帯」が公開した甲状腺がんの統計は、私たちを驚かせる。2011年に年間4万人近い人が甲状腺がんの診断を受けたが、これは人口10万人あたり81人で、世界1位の発生率だ。世界平均の10倍を超え、医療が社会化された英国の17.5倍、医療が商業化された米国と比較しても5.5倍にのぼる。何か釈然としない数値だ。

 これに関し医師連帯は「患者の90%以上が過剰超音波検査のため」と指摘した。放射能漏出事故など甲状腺がんを大量に引き起こすほどの要因がないにもかかわらずこうした結果が出るのは、病院が健康診断の収入を上げようと過剰に超音波検査をしたためと考えられる、ということだ。さらに世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究所(IARC)によると、2008年の韓国の甲状腺がん発生率は世界1位だが、死亡率は84位だ。それほど危険でない状況で手術を乱発したと疑われるほどの統計だ。

 最も大きな問題は、こうした「過剰診断」と「過剰手術」が患者に不必要な身体・心理負担を与えるという点だ。がんの手術は副作用も少なくないうえ、甲状腺を除去すれば生涯ホルモン剤を服用しなければならないという問題もある。がん診断自体も患者と家族に不安感と負担を与える。さらに「過剰医療」は国民の医療費負担にもつながる。2012年には24万人の甲状腺がん患者が約2500億ウォン(約240億円)の健康保険診療費を使ったという統計がこれをよく表している。

 

 何でも甲状腺癌の発生率は韓国が世界一なのだそうです。人口10万人あたり81人が甲状腺癌の診断を受けたとのこと、日本でも統計の読めない人が「福島で甲状腺癌が多発」と称して自らの無知をアピールしているところですが、そんな福島もびっくりの高率で甲状腺癌の診断が多発しているのが韓国ということになります。「2008年の韓国の甲状腺がん発生率は世界1位だが、死亡率は84位」とも伝えられているように、甲状腺癌はガンの中では生命の危機に繋がりにくく、敢えて探さないとスルーされることの多い代物でもあるわけです。福島に限らず比較対象とされた地域でも検査を徹底すれば甲状腺癌(の疑い)と診断される件数が増えていることからも分かるように、甲状腺癌の数に何よりも影響するのは検査の水準だと言うことなのでしょう。

参考、性表現規制を語る前段階として

 例えば強姦認知件数の統計などを見てみますと、ノルウェーやスウェーデンなどの北欧諸国が多発国となり、一方でエジプトやアゼルバイジャン、シリアなどイスラム諸国は統計のある中では最も強姦認知件数の少ない国となっています。あるいは一時期のカナダとオーストラリアが統計上の突出した強姦多発国になっていたりもしましたが、今は「普通」の水準に急減していたりするわけです。これは要するに、「夫婦間でも強引な性行為はレイプ」として扱う国が統計上の強姦多発国になり、「レイプは誘惑した女性の罪」とする国では統計上、性暴力が発生しない国になることを意味しています。

 甲状腺癌に関しても似たようなものと心得ておくべきなのでしょう。どこまでを甲状腺癌として追求するか、その線引き次第で統計上の件数は大きく左右されるものです。日本にはある種の思惑を持って甲状腺癌の件数を大きく見せかけたがっている人達がいるわけですが、引用した記事でも伝えられていますように「過剰診断」とそこから先の「過剰手術」は患者に不必要な身体・心理負担を与えることになります。自分の世界観を守るために福島周辺地域の住民に不必要な負担を求めるような振る舞いは、加害行為に他なりません。

 前述の通り甲状腺癌はガンの中では予後が良好で生存率が高いものとして知られています。子宮頸癌で死ぬ人の方がずっと多い。福島で発見――というよりもむしろ「発掘」された甲状腺癌に対して過剰な措置を求める論者も散見されるところですけれど、どうなんでしょうね。「(予防ワクチンを受けるよりも)子宮頸がんに罹ったほうがまだ人間らしい暮らしが送れます」と、断言する政治家もいたりするものですが、福島で癌が多発していると騒ぐ人と、予防できる癌(甲状腺癌よりも死亡率の高い癌!)への予防措置に反対する人、両者を引き合わせたらどういうことになるのか不謹慎ではありますが興味があります。

 あるいは近藤誠という「ガンは切らずに治る」などと称する菊池寛賞を受賞した作家がいるわけです。医療関係者からは総スカン状態である一方、新聞などのメディアからは非常に好意的に紹介されていたりもします。近藤誠が学会「以外」からは幅広く歓迎されているのなら、理研の小保方氏だってもっと贔屓目に評価されて良い、世の中不公平だと感じるところですが、ともあれ癌の放置を勧める論者も結構な支持を集めていたりするのです。そして新聞各社のスタンスはどこも悪しき両論併記に徹すると言いますか、トンデモとマトモな説明を等価に並べて終わるのが常だったりします。

 そこで私は思うのですが、悪しき両論併記に終始するくらいなら、相互に矛盾するトンデモを並べて載せた方がマシなのではないかと。福島の甲状腺癌(の疑い)に過剰な措置を求めるトンデモと、ワクチン陰謀論者や近藤誠の癌放置論、こういうのを並べてやって読者に矛盾に気づく機会を提供するのもありなのではないでしょうか。まぁ、新聞編集部の方で矛盾に気づく能力がないと望み薄ですけれど。

 

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承諾を強いた時点でセクハラです

2014-03-24 23:03:50 | 雇用・経済

スカイマーク新制服:労組が要請書「業務に支障」「危険」(毎日新聞)

 航空会社スカイマーク(東京都大田区)が新型機就航に合わせ客室乗務員(CA)に着用させる新しい制服が物議を醸している。膝上約15センチのミニスカート。雑誌などに取り上げられ注目を集める一方、航空会社12社のCAでつくる労働組合は「保安業務への支障やセクシュアルハラスメントの観点から問題がある」として国に指導を求めている。

 スカイマークによると、問題の制服はスカイブルーのワンピース。5月末からエアバスA330を導入するのに合わせ、同機に搭乗するCAが3路線でそれぞれ半年間着用する。キャンペーン期間だけの制服で、終了後は通常のポロシャツ姿の制服に戻すという。

 これに対し、CA約1000人でつくる「客室乗務員連絡会」は▽しゃがむと人目を気にするため作業しづらい▽緊急時にシューターで降りる際、肌の露出が多く負傷しやすい▽女性を商品として扱うデザインで、性的嫌がらせを誘発し機内の秩序を乱す恐れもある−−と指摘。国土交通省と厚生労働省に2月下旬、ミニスカートの制服をやめさせるよう指導を求める要請書を提出した。

 これに対し、国交省航空局は「保安業務に支障がないか定期監査などで確認する」。厚労省雇用均等政策課の担当者は「セクハラを防ぐ雇用者側の義務に違反していないか検討する」と話す。

 スカイマーク広報部は「スタイリッシュにこだわったデザインで、丈が短いとは思わない。保安上も法律上も問題ないと考えている。着用を予定しているCAの承諾も得ている」とコメントしている。【桐野耕一】

 

 色々な面から問題視されることの多いスカイマーク社ですが、今度は客室乗務員の制服が物議を醸しているとのこと。膝上15cmと言うスカート丈の短さに特徴があるそうで、元より客室乗務員が「女性であること」を売りにした職種の一つであることは否めませんけれど、今回のスカイマークの場合はそれが露骨に過ぎたと言えます。そもそも、女性の肌の露出の多さをアピールして集客するなら、航空業とは別の届け出も必要なんじゃないのかとも。

 この毎日新聞報道によると「性的嫌がらせを誘発し機内の秩序を乱す恐れもある」との指摘もあるそうです。他紙では概ね「機内でセクハラなどを誘発しかねない」などと書かれていて、まぁ後者の方がよりダイレクトに問題が伝わる印象を受けます。ただまぁ、セクハラを誘発する云々という以前に、特別に丈の短いスカートの着用を雇用主が従業員に命じることが、まず第一のセクハラとして既に起こっているのではないでしょうか。

 スカイマークの広報は「着用を予定しているCAの承諾も得ている」とコメントしたそうです。承諾を得ていると言いますが、しかし「断る」という選択肢は従業員サイドにあったのでしょうか。会社で働いていれば当然、意に沿わない業務命令に振り回されることも多いと思います。望まぬ残業や配置転換、転勤を「承諾」せざるを得なかった経験のない人はほとんどいないはずです。

 過労死した人でも、その押しつけられた仕事を「承諾」していなかった人はいないでしょう。歓迎はできないけれど、否応なしに「承諾」するほかなかった、そうやって追い詰められていった人が全てだと言っても過言ではないと思います。スカイマークは従業員の「承諾」を盾に自社の正当性を主張しようとしているようですけれど、その様な論法こそが同社のセクハラ/パワハラ体質を表わすものと捉えられるべきです。入る会社や業界を選ぶ段階での承諾ならまだしも、雇う側と雇われる側の不均衡な力関係の中で余儀なくされた「承諾」など何の価値もありません。

 

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まさか進展があるとは思わなかった

2014-03-22 22:49:52 | 社会

横田夫妻面会「失敗かも」=飯島参与が懸念(時事通信)

 飯島勲内閣官房参与は17日、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの両親がモンゴルでめぐみさんの娘のキム・ウンギョンさんと面会したことについて「外交カードとしては、失敗の策かもしれない」と述べ、今後の拉致問題の進展に懸念を示した。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 今回の面会に関して飯島氏は、「(北朝鮮の主張に沿って)『めぐみさんは死んでいた』と追認した形の会い方だったならば、問題が生じる」と指摘。拉致問題をめぐる日朝交渉が北朝鮮ペースとなる可能性に言及した。

 飯島氏はさらに、今回の面会が日朝の外務省局長級協議につながるとの観測に対し、「私のスタンスは違う」として、政府間の事務レベル協議に懐疑的な姿勢を示した。

 

 ……とまぁ、少し前の話になりますが拉致被害者の両親である横田夫妻がモンゴルで孫と面会するなんてことがあったわけです。正直、これが安倍政権下で行われたことは意外でした。小泉純一郎が唯一、後任者に勝っている点としては北朝鮮との拉致問題を認めさせ、かつ生存者を帰国させたことが挙げられます。一方で安倍晋三は拉致被害者の取り巻きと馴れ合っては対岸から悪口を言うばかり、拉致問題に関しては何一つとして進展させることがありませんでした。経済と違って安倍が本当に熱意を持っている分野に関しては過去の失敗と同じことを続けるであろうなと思っていただけに、まさか安倍内閣の時代に拉致問題の進展があるとは予想外、もっとも飯島参与の発言を見るに、首相の取り巻きの考えはあまり変わっていないようですが。

 今月の頭にはニューヨーク・タイムズ紙が、河野談話を安倍政権が撤回しようとしていると批判した後に日本からの抗議で記事を撤回するなんては騒動がありました。一応の公的な発言として河野談話を維持する、撤回の意図はないとの建前を首相や官房長官は守っているだけに、これに抗議しないと日本政府は二枚舌ということにもなってしまうのでしょう。もっとも現政権にそうした願望があることは誰の目にも明らかなことで、安倍晋三のオトモダチの中には首相の意を超えて先走っている人も多いわけです。安倍としては機会を窺っているところ、自分の号令を待って動いて欲しいところなのでしょうけれど、どうにも周りの人間を制御できているのかどうかが疑わしく思われます。

 結局のところ今回の拉致被害者家族と、その孫との面会も「首相の意に反して」行われたことではないはずですが、内閣官房参与の言動はいかがなものでしょう。政府の方針は内部で統一されているのか、それとも各自がバラバラの思惑で好き勝手に行動しているのか、横田夫妻にとっては遅ればせながら良い結果であったとは言えますけれど、それを支えるべき人間の動きは相変わらず信用ならないものです。

 我が国の政府は戦後問題に関して「未来志向」と称して隣国を苛立たせる一方、この拉致問題に関して「未来志向」を説く北朝鮮に対して苛立ってきました。都合のいい話です。そんな北朝鮮が返還してきた横田めぐみ氏の遺骨を日本政府はDNA鑑定の結果、別人のものだと言い出して事態を紛糾させてきたわけでもあります。

 

Q 亡くなった方の遺骨を用いて鑑定を依頼できますか。

A  通常、遺骨は高熱で焼かれているため、DNAの成分であるタンパク質が分解されてしまっており、鑑定結果をお出しできる可能性は極めて低いといわざるをえません。30万円近い鑑定費用もかかるため、当事務所ではお勧めしていません。

http://www.houritsuka.net/dna/post_25.php

 

 ……と、DNA鑑定業者は語るところ、実際に横田めぐみ氏の遺骨のDNA鑑定結果に対してもネイチャー紙から疑義が突きつけられており、単にしらを切り通すばかりの日本政府の鑑定結果は捏造であると考えるのが妥当でしょう。北朝鮮から返還された遺骨は横田めぐみ氏のものではない――という「政治的に正しい」結論ありきで結びつけられた非科学的な鑑定結果でしかありません。

 ネイチャー紙と言えば最近は小保方氏のSTAP細胞関係で話題に上ることが増えましたが、まぁ小保方氏も気の毒だと思います。世の中には結論ありきの実験結果が幅を利かせているのに、彼女ばかりが真実性を求められるというのも不公平な話です。この際ですから、北朝鮮から送られた遺骨のDNA鑑定についても再審査したらどうかと思います。拉致に関しては北朝鮮に一方的な非がありますが、渡された遺骨を偽物だと難癖を付け初めては不誠実な対応として先方が態度を硬化させるのも致し方のないことでしょう。そこは日本にも改めるべきところがあるはずです。

 

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連合の功績ではあるまい

2014-03-20 23:06:19 | 雇用・経済

賃上げ平均6491円 非正規時給も増加 連合集計(産経新聞)

 平成26年春闘で連合は14日、同日午前10時現在で491の労働組合が回答を引き出し、ベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた全体の賃上げ額は、平均で6491円だったとの集計結果を発表した。昨年同期比で1218円のアップ。昨年はベアがなく、定期昇給を維持しただけの企業が多かった。連合は「昨年からの増加分が今春闘でのベアのほぼ平均額に当たる」と説明している。

 パートやアルバイトといった非正規労働者の時給については89労組が回答を引き出し、平均で11・97円の引き上げ。流通では20円以上アップした企業が多かった。契約社員らの月給引き上げは58労組で、平均2968円だった。

 従業員数300人未満の企業労組では、278労組が回答を得て賃上げ額は5560円、増加分は467円だった。

 神津里季生事務局長は記者会見で、昨年の春闘とは「明確に一線を画した。非正規の賃上げ内容も評価できる」と強調。「賃上げの水準もそれなりだ。後に続く(中小企業などの)労組への波及効果も大きい」と話した。

 

 ……とまぁ、上昇幅が十分とは言いがたい部分もありますがようやく賃上げ方向に流れが傾きつつあるのは評価できるでしょうか。従業員300人未満すなわち中小企業でも増加傾向、非正規にも僅かながら引き上げ気運が伝えられており、まぁこれで満足されても困るところではあるにせよ、悪い話ではありません。連合の書記長も「評価できる」と述べているとのこと、ただ今回の結果は断じて連合の努力によるものではないだろうとの思いも否めないところです。連合は前年以前も普通に存在し春闘という茶番も今年に入って初めて実施されたわけでもありません、賃上げムードの高まった今年と、そうでなかった過去と、違いを産んだのは何なのでしょう。

 連合の尽力と賃上げを関連させて考えるのなら、連合と政府の結びつきが強かった期間すなわち連合が行政に今よりも強い影響力を及ぼせたはずの民主党政権時代の方が、連合の要求は満たされやすかったことでしょう。ところが、民主党政権時代は労働者にとってまさしく冬の時代でした。連合の影響力は、どこにあったのでしょうか。むしろ連合なんかよりも統一教会辺りの方がよほど政治に影響を行使できているように思われますし、代議制への理解としては単に民主党の選挙を盲目的に支えただけの連合よりも統一教会の方がよほど適切であったとすら言えます。

 直接民主制ではなく間接民主制である以上、自分たちの主張を代弁してくれる候補を議会に送ることは当然の民主主義的な振る舞いとして認められるもののはずですが、連合にその自覚があったのかは大いに怪しいところです。民主党政権は自分たちの支持母体に便宜を「計らない」ことにおいては、まさしく「しがらみのない」政治を実現してきたわけで、これは一見すると好ましいことであるように語られる一方、支持層の主張を代弁「していない」という点では代議制にふさわしくない振る舞いでもあります。最大労組の支援を受けたのなら、労組所属の組合員に便宜を図る方がむしろ支持者の代表として適切のはず、しかし民主党は絶対にそれをやりませんでした。

 市場原理主義者の民主党から自民党/安倍内閣へと政権が移り、日銀や財界筋にもあれこれと口が出されるようになりました。所詮は口先の要請という印象も拭えないながら景気指標は着実に上向いてきたわけです。端的に言えば、市場には介入が必要なのです。制約を取り払って選手を好き放題にプレーさせてやればチームは強くなるでしょうか。その中では突出した活躍を見せる選手は出てくるとしても、秩序なきチームは決して勝てません。経済も然り、企業に好き放題やらせてやれば他を押しのけて伸びてくる企業はあるかも知れませんが、日本市場全体で見れば疲弊するばかり、全体のパイは減るばかりです。選手の自由に任せていてはチームが機能しないように、企業の自由に任せていては日本経済は成り立ちません。

 

ベア獲得労組が最多=中小企業の産別労組(時事通信)

 機械金属産業の中小企業労働組合が加盟する産業別労組JAMは17日、14日までに集計した2014年春闘の回答状況を発表した。回答を受けた370労組のほぼ半数に当たる186労組がベースアップ(ベア)相当分を獲得し、調査を開始した01年以降で最多となった。獲得額も平均1645円で、これまでの最高額となった。

 組合員300人未満に絞っても124労組あり、平均で1732円だった。記者会見した藤川慎一JAM副会長は「中小企業で1000~2000円のベアが獲得できており、『できる』という雰囲気が広がっている」と話した。

 

 賃上げは大企業だけの話、中小は無関係と力説する論者も多いですが、その調子では現政権から支持を奪い取ることは永遠に無理でしょう。むしろ安倍晋三にできたことが、なぜ今まではできなかったのかを省みることが求められます。なぜ安倍晋三を待たなければならなかったのか、連合が強い影響力を持ち得たはずの民主党政権時代に誇れるような成果がないのは何故なのか、その辺を総括する必要があるはずです。先の東京都知事選で、連合は民主党と袂を分かって舛添支援に回りました。良い判断だとは思います。労働者のことを省みない政党とは縁を切って、そして与党サイドに対して組織票の飴と鞭で揺さぶりをかけていく姿勢の一つも見せられれば多少は本来の役割を果たせることも出てくるのかも知れません。

 

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選挙に行かないという選択

2014-03-18 23:01:07 | 政治

大阪市長選「必ず行く」41%…関心高まらず(読売新聞)

 地域政党・大阪維新の会代表で前大阪市長の橋下徹氏ら4人が立候補している大阪市長選(23日投開票)について、読売新聞社は市内の有権者を対象に世論調査を実施し、情勢を分析した。

 投票に「必ず行く」と答えた人は41%で、2011年の前回市長選告示後の調査(80%)から半減した。市議会野党が候補を立てない中、有権者が選挙の意義を見いだせず、関心が高まらない現状が浮かび上がった。

 投票に「なるべく行くつもり」との回答は31%で、「必ず行く」との合計72%は、前回市長選よりも25ポイント低かった。

 読売新聞社が取材も加味して市長選情勢を分析すると、橋下氏が優位に立ち、他の3候補を引き離している。ただ有権者の約4割は態度を明らかにしていない。

 

 いつも思うのですけれど、このタイプの世論調査はそろそろ設問を一つ追加してみたらどうでしょう。例えば「あなたは○○選挙に行きますか?」という次のページの設問で、「あなたは実際に選挙に行きますか?」と聞いてみるとか。報道によると2011年の前回市長選告示後の調査では、なんと80%もの人が「必ず行く」と回答したそうです。これに加えて「なるべく行くつもり」と回答した人も合わせれば「投票に行くと回答した人の割合」は100%に近いところまで上昇します。しかるに実際に選挙に行って投票したのは約60%でした。これでも異例の高い投票率だったのですが、世論調査には「選挙に行く」と回答しておきながら実際には選挙に行かない人の多さが窺えます。

 この大阪に限らず、事前の調査で「(選挙に)必ず行く」と回答する人の割合は高いですけれど、実際の得票率は選挙に行くと回答した人の割合を常に大きく下回ります。たかだか世論調査ごときで見栄を張る必要などあるまいと思うのですが、それでも世論調査では模範解答の方を選ぼうとする人が多いようです。実際に選挙に行くつもりはないのに、虚偽の回答をすることへの後ろめたさはないのでしょうか。選挙に行ったかどうか、後から調べられて糾弾されるわけでもないのと同じように、世論調査に「選挙に行かない」と回答したって後から罰せられるものでもありません。そこは正直に応えて欲しいところです。

 ともあれ、我々の社会では「選挙には行くのが正しい」という常識が罷り通っています。選挙には行くべきなのだ、選挙に行かないのは良くない、投票率が低いのは好ましくないと、そう信じられています。この辺に共感はせずとも同調している人は、実際には選挙に行かないとしても世論調査上で選挙に行くかどうかを問われると、つい「(選挙に)必ず行く」と回答してしまうものなのでしょう。世間の圧力が世論調査を歪めていると言いますか、せっかくお金をかけて調査を行うのであれば対象者が自分を偽らずに正直に応えてくれるような工夫の一つも求められるところです。独裁国家で将軍様への支持を問うているわけではないのですから!

 何はともあれ、「(選挙に)必ず行く」と回答する人が今回の大阪市長選挙では僅かに41%しかいないそうです。これが「実際に」選挙に行く人となるとどれだけ減るでしょうか。引用元では「ただ有権者の約4割は態度を明らかにしていない」などと結ばれていますけれど、本当の圧倒的多数派は橋下でも他の候補でも何でもない、「選挙に行かなかった人」ということになりそうです。その他の地域でも程度の差はあれ似たようなケースになることは多いですが、こうした「結果」をどう見るべきなのでしょう。

 選挙に行って1票でも民意を表明することが不可欠なのだと、そう考える人も多いです。選挙には行かなければならないもの、選挙に行かない、投票しないことは民主主義における権利の放棄だと、そんな風に説く声も何度となく耳にしてきました。確かにまぁ、選挙で票を投じることは義務ではあります。ただ義務を放棄するという選択もまた民意の表れとして、相応に鑑みられなければならない時代も来ているのではないでしょうか。投票に行った人の中の多数派だから、少数派だからと言うこともさることながら、投票に行かなかった人の数もまた行政は考慮に入れるべきではないかと、そう思うところです。「投票に行った人」の中での多数派は橋下になるのでしょうけれど、それで良いのか考えられるべきです。

 

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時代が呼んだ人々

2014-03-16 11:50:09 | 社会

ゴミと思い現代美術の作品捨てる…床にまいたクッキーのかけら(Sponichi Annex)

 イタリア南部のギャラリーで、新聞紙や段ボール、クッキーのかけらを床にまき散らした現代美術の作品を、清掃スタッフの女性がごみと間違えて捨ててしまった。英BBC放送などが伝えた。

 警備員が開館時、作品がないことに気付いた。女性は、会場を設営する際に出たごみと勘違いしたという。

 清掃会社の担当者は「彼女は自分の仕事をしただけだ」と釈明。1万ユーロ(約140万円)相当の損害は保険で賠償される。(共同)

 

 かの「現代のベートーベン」こと佐村河内守の曲を実際に作っていたのは桐朋学園大学非常勤講師の新垣隆とのことで、この新垣氏は現代音楽の世界では結構な評価を得ているそうですが、「現代」芸術というのは総じてこんなもの、つまり一部の専門家「以外」からは「ゴミなのか芸術なのか見分けが付かない」わけです。新垣氏が片手間に書いた佐村河内名義の曲と本気で書いた「自分の曲」、両方を聴かせたら100人中99人くらいは佐村河内名義の曲の方を良い曲だと思うような気がしますね。とはいえ、素人にもわかりやすい曲、わかりやすい造形を心掛けていれば芸術家として活躍できるかと言えば、それだと音大や美大のちょっと出来の良い学生にも務まってしまう、何らかの「+α」を追い求めざるを得なくなるところはあるのかも知れません。

 この佐村河内氏と並んで一夜にしてメディアの寵児から転落してしまったのがSTAP細胞の研究で注目を浴びた理研の小保方氏、まぁ随分と杜撰な論文だと言うことですけれど、世間の掌返しは恐いですね。芸術に限らず科学も同様、良かれ悪しかれ専門家の仕事を素人が検証するのは難しくなっているところはあります。素人にも理解できるレベルの仕事は在野のアマチュアにも務まってしまう中で、プロとして抜きん出るためには何らかの「物語」が必要になっているとも言えそうです。「全聾を乗り越えて~」なり「リケジョw」なり、何らかの差別化できるポイントがないと売れない時代なのでしょう。

 小保方氏の一件が証明したのは、大手新聞社の科学部記者は「チョロい」と言うことでしょうか。もちろん科学部に限らず佐村河内氏を持ち上げていた他の分野のメディア関係者も同様ですが、要するに売れそうな物語を作ることに成功してしまえば、ろくな検証もされないまま好意的な記事が乱発されてしまうわけです。STAP細胞論文騒動の顛末を伝えるメディア各社は、ほんの少し前までの自社の報道がどうであったのかを考えて欲しいと思います。理研なりが垂れ流す発表をそのまま記事にしただけ、せいぜいが科学とは無関係なエピソードを並べ立てただけ、自社に検証能力を持った人間がいないことを表明しているのですから。素人の読者はともかく大新聞社の科学部記者まで欺かれては、何のための有料メディアか分かりません。

 まぁ、武田邦彦も早川由紀夫も比嘉照夫だって教授職です。小保方氏が特別に質の低い研究者であるとは必ずしも言えないように思います。あらかじめ決めておいた結論を導くために都合の良いデータを切り貼りするのは、読売新聞も朝日新聞も毎日新聞も、コンサルタントもエコノミストもジャーナリストも普通にやっていることです。「永田町の常識は世間の非常識」なんて言葉もありますが、「科学者の常識は世間の非常識」だとするなら小保方氏は世間の常識の方に近い行動を取ってきただけでしょう。

 もっとも佐村河内氏の場合もそうであるように、「プロデュースしてきた人間がいるのでは」という疑念は尽きません。佐村河内プロダクションの内幕をレコード会社が知らなかったとはとうてい考えられないですし、今回のSTAP細胞論文に関しても理研という組織が何も把握できていなかったとは思えないところもあります。フロントマンとして割烹着を着た小保方氏を押し出してきたとはいえ、実際に論文を書いたのは小保方氏だけではない、個人の独断で杜撰な論文が提出されたのか、それとも組織ぐるみの話題作りありきで、内容は二の次で進められたのか、小保方氏個人よりも組織の内部統制の問題が強く問われるべきところです。

 まぁ、学生時代には「論文のルール」を守らせることばかりに熱心なつまらない教授も見てきたものです。そういう教授の下に付いてしまえば窮屈で退屈な論文しかかけなくなってしまいそうなもの、むしろ学生は生意気なくらいが良い、穴だらけでも勢いのあるものを書いていった方が最終的には良いものに仕上がるのではないかと思っていますが、どうなんでしょうね。もちろん学生と職業研究者では求められるものも違う、そこは制約が増えて当然のところもあるのですが、ただ(研究者としては)若い小保方氏の場合、チマチマとしたルールに拘るよりも着想に飛びついていった方が良い、穴があるなら年長者がカバーしてやるべきと感じるところもあります。理研は面倒見の悪い組織なんだなぁ、とも。

 民主党政権時代には、事業仕分けという実に下らない人民裁判が行われたもので、プレゼンの上手くないない研究者は理解力に乏しい民主党議員に公然と罵倒されるという場面が繰り返されてきました。得られる予算の額も、研究の価値よりもプレゼンの巧みさ、頭の悪い民主党議員をいかに納得させることができるかに左右されてしまったわけです。幸いにして民主党政権は潰えましたけれど、似たような政治パフォーマンスが繰り返される可能性は否定できません。素人を誑かす能力は、営利企業「ではない」組織にこそ必要になってくることもあるのでしょう。研究者としての能力よりもコミュニケーション能力、売り込みの上手い人間が表に出るのは時代の要請です。

 

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毎日新聞に言われたくはないよな

2014-03-13 23:40:19 | 社会

福島原発事故:東電、家財賠償も差別 単身で200万円減(毎日新聞)

 福島第1原発事故に伴い被災者に支払われている「家財」に関する賠償額が、1人暮らしの東京電力社員の場合、一般の被災者より200万円以上低いことが、毎日新聞の入手した内部文書で分かった。東電は毎日新聞の取材に、社員に対する差別を認めていないが、文書には「一般の賠償金額とは大きく異なる」と明記している。被災前、賠償金を上回る家財を保有していても、差額(超過額)が支払われる仕組みは無く、同原発で働く若手社員は「現場はやる気を失っている」と話す。【高島博之、神足俊輔】

(中略)

 入手した内部文書は昨年5月16日付。東電で賠償実務を担当する「福島原子力補償相談室」の室長名で、被災した社員に社内メールで送られた。「事故における当社の立場を鑑み」、単身者の場合(1)は40万円、(2)と(3)は30万円とする、としており、一般の被災者より(1)は285万円、(2)と(3)は215万円低い。ただ家族がいる場合、一般の被災者と同額を支払うとしている。末尾には「一般の方への賠償金額と大きく異なることは会社としても大変心苦しいところですが、何とぞご理解ください」と記載されている。

 

 機体のトラブルが発覚して飛行機が飛べなくなったと伝えたら乗客が怒り出して、機長が「じゃあ飛びます」とアナウンスしたら乗客席から悲鳴が上がった云々みたいなジョークがあります。東京電力の場合も、そんなものでしょう。ムダ削減が足りない、もっと削れるはずだと世間が迫ったから社員の給料を引き下げ人員も減らし、そしてここで伝えられているように被災した社員への賠償額までをもカットしたわけですが、この辺に難癖を付けてくるメディアもあって、「じゃぁ社員にも平等に賠償します」と言えば、それはそれで非難の声が大きいのではと思われるところです。もう東京電力は世間の声を無視したほうがいいのかも知れません。

 ここで伝えられている類の問題に関しては1月にも扱っており、概ね言うべきことは変わっていません(参考、偏向報道は毎日のこと)。もちろん私は東京電力社員に対する差別的取り扱い全般に反対する見解を3年前から表明してきたわけで、今回に関しても東京電力経営側の方針には賛成できかねますが、ただこれが毎日新聞を初めとしたメディアの批判に晒されるのも筋違いではないかと考えます。東京電力に向けられた、会社も社員も一緒くたにした「締め上げてやるべきだ」という空気を形成するのに毎日新聞だって協力してきたはずです。毎日新聞が煽った東電憎しの世論に東京電力が応えた結果が、今回のような事態を招いたのではないでしょうか。咎められるべきは東京電力ばかりではなく毎日新聞も同罪ですし、同様に電力会社への憎悪を扇動してきた東京新聞やAERAなどのヘイトスピーチ系メディアこそ糾弾されるべきものです。

 勤務先が東京電力であろうと賠償額に差が付けられるべきではありませんし、同様に給与引き下げなどの一方的な労働条件の不利益変更は許されるものではないでしょう。ところが、日頃は労働者側の権利を重んじる風を装っておきながら、電力会社社員のこととなるや途端に労働者としての権利が否定されているのを完全に黙殺してきた「お里の知れる」論者や政党・政治家にメディアも目立ちました。そしてほとぼりが冷めるや今度は電力会社の「世論に応えた」対応を非難する、何とも御都合主義にも程がある人も多いように思います。要は電力会社を叩ければ何でも良い、働く人の権利などどうでもいい人たちだということです。

 先日の記事で、文系を言い訳にする人ほど0か1かのデジタル的な考え方をするみたいな話を書きました。放射線による健康への影響が「ある」か「ない」かでしか物事を捉えられない、その「程度」を理解できない論者もまた大いに喧しかったものです。まぁ、文系理系云々を抜きにしても総じて我々の社会は白黒をハッキリ付けたがると言いますか、曖昧さを許さないところがあるように思います。YESかNOか、どちらか一方のハッキリとした結論を出さずには気が済まない、「どちらでもない」的な回答は曖昧で良くないと戒めの対象になりがちですから。

 原発事故から間もない時期に、東京電力の社員を称する人がツィッターだか何かで「我々も被災者なのだ」的なことを呟きまして、猛烈なバッシングの対象になったなんてこともありました。彼もしくは彼女の言うことは、何も間違っていません。東京電力(及び社員)もまた、紛れもない被災者です。ところが我々の社会ではたぶん、「被害者」か「加害者」かは二者択一のもので、「被害者」を称することは同時に「加害者ではない」と主張するような意味合いで捉えられがちなのではないかと思います。そして「加害者」である以上は「被害者ではない」とも。

 確かに東京電力及び社員には、被害者/被災者であると同時に加害者としての側面も否定できません。そしてこれまでは専ら加害者としての立場のみに目を向けられてきました。つまり被害者/被災者「でもある」ことから目を背けてきたとも言えます。そうして一方的な糾弾が続けられた中で、「事故における当社の立場を鑑み~」との東京電力の見解が出てきたわけです。加害者「でもある」としても守られるべき権利は当然あるはずなのですが、その辺を主張していた人というのは滅多にお目にかかれません。あなたがたの中で労働者の権利を否定したことがない者が、この会社に石を投げなさい。

 

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誰に言ってんだ?

2014-03-11 23:41:13 | 社会

頼むから現実を知ってくれ…!禁断の女子の体重&ウエストの真実(nanapi)

■ はじめに

女の子に体重やウエストを聞かないのは暗黙のルール。職場はもちろん、学校や家族内でも体重・ウエストの話はご法度です!しかし、そのせいでしょうか…?「女子の体重50kgとかやばくね?」「女子で50kgとか終わってるよな」なんていう男性からの声が聞こえてくるようになったのは…。そこで今回は真実をぐりぐりとえぐりながら、タブーとされていた女子の体重&ウエストの真実についてお知らせします!

■ 女子の平均体重は52kg!ウエストは64cm!

 日本人女性の平均身長は158cm、平均体重は51~53kgだと言われています。もちろん、体重だけで評価してはいけません。これはあくまで身長158cmの場合の平均体重です。身長が低くなればもう少し軽いかもしれませんし、その逆もしかり。続いてウエストのサイズですが、多くの男性は「だいたい女性のウエストって54~58cmじゃないの?」と思っている人が多いですよね。誌面からまぶしい笑顔をお届けするグラビアアイドルだって嘘はつきます。日本人女性のウエストの平均サイズは63~66cmだと言われています。

 「えっ、50kg以上ならデブじゃないの?」
 「ウエスト60cm以上あったら太ってるだろー」

などとうっかり口にした日には、女子からの冷たい視線が突き刺さりますのでご注意ください。

 

 ……なんて記事があったわけですが、私の率直な感想は表題の通りです。とりあえずバストサイズは公称値マイナス10cm、ウェストのサイズは公称値プラス10cmくらいが実測値だろうと認識しているところですが、女性の体重なりウェストなりの公称値を信じているのは果たして男性の側なのか女性の側なのか、どうにも上に引用した記事では「男は分かっていない」かのような書きぶりですけれど、むしろダイエットに励む女性の方が「理想的(標準的)な体重&ウェスト」勘違いしているケースは多くて、それを冷ややかな目で眺めている男性の方が現実を理解している印象も拭えません。

 むしろ「女子の体重50kgとかやばくね?」「女子で50kgとか終わってるよな」「だいたい女性のウエストって54~58cmじゃないの?」という 幻 聴 に怯えて不健康な減量に励む女性と、グラビアアイドルの営業上の数値を真に受ける男性のどちらが多数派なのでしょう。ネット上の書き込みやつぶやきを見る限り、別に太ってもいないのに「痩せなきゃ」とダイエットに勤しむ自分をアピールする女性を小馬鹿にするような(おそらくは)男性の意見を目にすることの方が多いです。ただまぁ、ネット上ではなくリアルで女性との接点が多いタイプの男性ともなりますと、見解は異なるのかも知れませんね。

 

男子が女子の体重に夢をみるようになったのは、アニメキャラクターの細すぎる体重設定が原因だと言われています。

 

 引用元の続く段落ではこんなことも書かれていますが、本当でしょうか。総じてアニメキャラクターは小さい、細い傾向が強いですけれど(ただし女性キャラに限らず男性キャラも設定体重はとても軽いことが多いです)、そんなものよりもずっと歴史のある現実のファッションモデルだって細さでは負けていません。実際に「自分の」体重やウェストを気にするかどうかは女性の判断となりますが、彼女たちにとってアニメファンの男性の目線とは、どれほど気になるものなのでしょう。むしろダイエットに励む女性が気にしているのは、もっと他のもののように思われますし、その中には男性よりもむしろ同性からの視線もあるはずです。

 ファッションなんかでも必ずしも男性を意識しているわけではない、基本的には自分の趣味であったり同性目線で男性からは――とりわけ「モテないタイプの」男性からは――ウケが悪いのが流行りであったりもするものです。女性の体重認識に関しては「男のせいではないな」というのが率直な思いですけれど、どうなんでしょうね。ちなみに引用元のサイトを下の方にスクロールしていくと、こんなgoogle広告が載っていたりしたわけです。

 こういう広告を見て「平均」あるいは「理想的な」体重や体型を誤解するのは男性なのか女性なのか、両方だとも言えますけれど、より大きく影響を受けているのはどちらなのやら。とりあえず「頼むから現実を知ってくれ…!」などと力説するのならまずは問いかける相手を選んだ方が良いような気がします。少なくともアニメファンの男性よりも、ダイエット商品を売りつけようとする業者に抗議するとか考えた方が建設的でしょう。ちなみに私は叶姉妹が好きですが、彼女たちの体重やウェストの数値がいくつであろうと気にしません。気になるのは数値ではなく見た目や質感の方です。

 

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