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2018-04-22 22:42:02 | 政治

岸田派の政策、リベラル色前面に 安倍政権との違い強調(朝日新聞)

 自民党の岸田文雄政調会長が率いる岸田派(47人)は18日、東京都内のホテルで政治資金パーティーを開き、派閥としての政策骨子を発表した。「トップダウンからボトムアップへ」「多様性を尊重する社会へ」など、リベラル色を前面に掲げ、安倍政権との違いを強調した。

 政策骨子では、「権力に対するチェック・アンド・バランスを確保する」とうたい、ボトムアップの政治の実現を掲げた。「大企業・中央偏重から、中小企業・地方が主役」の経済政策も主張し、安倍政権の政権運営のあり方や「アベノミクス」からの転換の必要性をにじませた。

(中略)

自民党岸田派の政策骨子

・権力に対するチェック・アンド・バランスを確保する
・中小企業、地方が主役のボトムアップ型経済を実現する
・自律した個人、個性、多様性を尊重する社会へ
・持続可能な経済、財政、社会保障を実現する
・平和憲法、日米同盟、自衛隊の3本柱で平和を創る

 

 日本代表監督を解任されたハリルホジッチ氏が来日しているそうです。W杯出場権獲得後の不甲斐ない戦績には批判の声も強まるばかりだった同氏ですが、さりとて今のタイミングでの解任を肯定的に捉える人、西野新監督への交代でチーム状況が上向くと考えている人は、そこまで多くないようにも見えます。

 一方で国内の諸問題で野党にアレコレ責め立てられている安倍内閣はいかがでしょうか。ダメなものはダメですが――では政権交代すれば良い、別の首相ならもっと良くなると、そう考えている人がどれくらいいるのかは興味深いところです。批判の声が、「代わりうる人」への支持の声とは限りませんから。

 さて自民党内で「ポスト安倍」の有力候補の一人と位置づけられている岸田氏のグループが「政策骨子」を発表したそうです。引用元では「リベラル色前面に」とのことですけれど、日本にはリベラルと呼ばれつつネオの付くリベラルな人たちが数多います。果たして岸田派の「リベラル」とは? そもそもレイシストに毛嫌いされていれば誰でもリベラルと呼ばれる時代です。この「他称」ほどアテにならないものはありません。

 岸田派の政策骨子の中には、聞こえの良さそうなものもあります。しかし経済政策面では民主党政権時代への回帰、旧態依然たる構造改革路線への回帰を思わせるものがないでもありません。ブルジョワ新聞の言うように「安倍政権との違い強調」すればするほど、ですね。

 第二次安倍内閣の登場で第一に評価できるのは、ゼンショーに代表されるブラック企業を苦境に陥らせたことでしょうか。例によってブルジョワ新聞などでは「アベノミクスのせいで人件費が上がって中小企業が苦しんでいる!」と批判的に伝えられてきたものですが、しかし真っ当な賃上げを出来ない収益性の低い企業は社会の寄生虫でしかありません。従業員を低賃金で酷使することでしか延命できない企業を放逐することは、労働者の幸福のためです。

 東京一極集中もいい加減に限界ですから「地方が主役」は、わからないでもありません。しかし「中小企業が主役」ともなるとどうでしょう。労働関係の規制を緩和し、人件費を圧縮することでしか利益を生み出せない企業を栄えさせた橋本龍太郎や小泉純一郎の「改革」を思い出させます。政治の介入によって競争力のない中小企業を延命させることがどこまで望ましいのか、その辺は疑問です。

 そして「持続可能な経済」云々。これを語る人の99%は「反成長派」だったりしますが岸田氏はどうなのでしょう。90年代後半から第二次安倍政権誕生前までの、日本の「成長しない」経済が世界に例を見ない異端児であったことは、議論の余地がありません。それが安倍内閣下で幾分か正常化してきたわけですが、そこに「違いを強調」されるようだと、やはり退行路線かと思えてきます。

 そもそも「経済」に続いて「財政」が出てくるのが怪しい。またもや民主党時代の財務省ベッタリに逆戻りかと懸念されるところです。続く「社会保障」もまた「持続可能な」が頭に付くとニュアンスも変わってくるのではないでしょうか。「持続可能な」ものにするためと称して(財務省の描いたままに)社会保障を縮小する、そうした悪夢のシナリオを想像させてくれます。「持続可能な」と社会保障に留保を付ける、そこにリベラル色はあるのやら。

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神風は北から吹くか

2018-04-08 21:42:27 | 政治

河野外相、米研究グループに反論 北朝鮮の核実験兆候(朝日新聞)

 河野太郎外相は3日の閣議後会見で、北朝鮮の新たな核実験に向けた兆候について「公開されている情報を見る限り、実験場を含む核関連施設での活動が続いている」と改めて訴えた。米ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮研究グループ「38ノース」の指摘に対し、反論したものだ。

 河野氏は先月31日の講演で、「北朝鮮の核関連施設の周辺での動きがいまだに続いているのは、かなりはっきりしている」と指摘。さらに「核実験の実験場でトンネルから土を運び出し、次の核実験の用意を一生懸命やっているのも見える」と語った。

 これに対し、38ノースは今月2日、ホームページで「北朝鮮が次の核実験を準備しているとの日本外相の発言は衛星画像とは異なる」と指摘。「3月23日の画像は過去数カ月と比較して実験場での活動が著しく減少している」として、差し迫った新たな核実験の兆候は見当たらないとの考えを示していた。

 

 先般は韓国が北朝鮮と交渉して金正恩を対話のテーブルに引っ張ってきたわけですが、この成果に対して最もネガティブな反応を見せているのは、どうも我らが日本政府のようです。あのトランプですら、プロレスの対戦相手と話し合いをする用意を見せつつある一方、日本だけが蚊帳の外と言いますか、「それもこれも圧力が奏功したのだ」と強弁するのが関の山、挙げ句の果てに出てきたのが一連の河野外相発言です……

 偉大な父親の陰を払拭することに躍起になっているのか反動的な発言の目立つ河野"太郎"外相ですけれど、国内の特定層からの支持こそあれ、その言動は国際的なコンセンサスからは著しく乖離したものであることが多いように思います。昨今の北朝鮮を巡る発言もまた然りで、河野氏自身の個人的な願望を投影するような主張はアメリカの研究グループからもキッパリと根拠を否定されているわけです。

 まぁ、人は事実ではなく信念に沿ってこそ動くものです。政治家ともなれば尚更のこと、利益よりも理想を追う傾向は強いでしょう。だからこそ、研究者の冷めた目には映らないものが、河野氏の目にはハッキリと見えているのだと思います。「北朝鮮が次の核実験を準備しているとの日本外相の発言は衛星画像とは異なる」と指摘されたところで、人の信仰は揺るぎません。画像に見えていなくとも、そこに(己の望むものが)隠されていると確信を深めるだけです。

 何はともあれ対話に舵を切ろうとする国際社会に、日本は背を向けようとしている節がありますけれど、いかがなものでしょうか。確かに「日本国」はともかく、「日本政府」ならば、北朝鮮とは対話ではなくプロレスを継続していた方が好都合なのかも知れません。何しろ対外的には平和な分だけ、野党の追求も国民の関心も国内問題に集中するばかり、格好の攻撃材料をプレゼントしている政府与党にとっては、望ましくない状況に違いないですから。

 今は副総理の座に納まっている昔の外相は、かつての北朝鮮ミサイル実験を受けて「金正日に感謝しないといけないな」と述べました。北のミサイルは今も昔も、(日本)国内の問題を吹き飛ばす威力があります。日本近海に北の国から粗大ゴミが打ち込まれれば、メディアや国会を賑わす一連の国内不祥事や疑惑は、瞬く間に脇へ追いやられてしまうことでしょう。窮地に陥った日本「政府」を救えるのは、金正恩です。河野外相の意固地な態度には、北朝鮮への公言できない願望が透けて見えないでもありませんね。

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野党は記録することを求めるべきじゃないのか

2018-03-25 23:23:15 | 政治

自民・和田氏の「政権おとしめる」発言、会議録から削除(朝日新聞)

 自民党は20日、参院予算委員会理事会で、和田政宗参院議員が19日の委員会で、財務省の太田充理財局長について「民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めており、増税派だからアベノミクスをつぶすために、安倍政権をおとしめるために意図的に変な答弁をしているのか」と述べた発言の一部を会議録から削除するよう求め、了承された。

 発言について、19日の理事会で野党が「公僕への侮辱」と抗議していた。これを受け、和田氏が削除することに同意したという。20日の衆院財務金融委では、「部下が辱めを受けたことに抗議すべきだ」とただした希望の党の大西健介氏に対し、麻生太郎財務相が「その種のレベルの低い質問はいかがなものかと、軽蔑はします」と和田氏を批判した。

 自民党は、渡辺美樹参院議員が過労死の遺族が出席した13日の予算委中央公聴会で、「週休7日が人間にとって幸せなのか」などと述べた発言についても削除を求め、了承された。渡辺氏は遺族から抗議を受け、謝罪。自ら会議録からの削除を求めたという。

 

 この会議録なり議事録なりからの「削除」という対応は昔から存在してきたわけですが、不思議なのは「発言した側」よりも「批判する側」の方に主体性があるところでしょうか。批判されそうな発言だったから、あるいは不都合な発言だから――そうした理由で発言者が「自主的に」削除するのではなく、批判する側の抗議によって「削除」という結果に至るわけです。非難する側にとって「(発言を)削除させる」というのは一種の勝利でもあるのかも知れませんが、しかし問題を削除によって「なかったこと」にしてしまえるのなら、むしろ「幕引きに成功」したのはどちらなのやら。

 昨年末には維新の議員が自民党、立憲民主党、希望の党の議員3人を「犯罪者」などと述べ、その発言が議事録から削除されました。発言には相応の批判もあったわけですけれど、結果は「削除」です。削除“させられた”維新の議員にとっては敗北感の一つもありそうな気はしますが、しかしながら客観的に見て恥ずかしい発言が記録されるのではなく削除されることによって最大の利益を得ているのは、発言を批判する側ではなく、批判された側であろうと考えられます。

 まぁ国会議員みたいな晒し者に敢えてなろうという人は、それこそ「家業」を継いだだけの世襲議員までをも含めて、良くも悪くも「奇特な人」ばかりです。自分を客観的に見ることが出来ていない、何が起ころうとも自分の正しさを信じて疑うことを知らない、そういう強さを持った人こそが政界で生き残っているのではないでしょうか。傍目には「削除された方が得」な発言も、実際の発言者からすれば何一つ間違った言葉ではない、むしろその人の頭の中では紛れもない「真実」であり、発言の削除は屈辱なのだろうな、という気はします。

 ともあれ日本経済の危機を招く「増税派」に比べればオトモダチへの利益供与なんて可愛いもの、「増税派」がやったことに比べれば近畿財務局のやったことの国民生活への影響なんて微々たるものではあります。それだけに逆進課税増税派と戦う意思のある政治家は応援したいところですけれど、さりとて「後ろから弾を撃ってくる味方」は時に敵よりもやっかいです。どうにも安倍内閣は色々と緩いと言いますか、身内が「野党に攻撃材料をプレゼントする」ケースが目立つところ、財政ではなく党内(ついでに家内)にこそ規律を求めるべき、引き締めを図るべき必要があるんじゃないかな、とは思います。

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まぁ財務省が公正なわけはない

2018-03-18 22:53:54 | 政治

「財務省、なんていう省庁だ」与党からも批判(読売新聞)

 学校法人「森友学園」との土地取引を巡る決裁文書の書き換えが問題化する中、14日に開かれた参院予算委員会で、財務省は平身低頭でおわびに徹した。

 13日夜には同省近畿財務局が情報公開時に文書の一部を削除していたことも新たに判明し、野党6党は3日連続で開いた合同ヒアリングで同省の姿勢を厳しく問いただした。

 野党6党が欠席する中、午前9時過ぎから開かれた参院予算委では、財務省の太田充・理財局長が、昨年2~4月に行われた14の決裁文書の書き換えについて報告。新たに判明した3年前の削除についても説明すると、出席議員から「なんていう省庁だ」というヤジが飛んだ。

 

 それはもう財務省なんてのは逆進課税をゴリ押ししてきた不公正の権化みたいな組織ですから、国有地売却にしても相手次第で差を付けているだろうな、とはずっと前から思っていました。諸々の追及を受けて予想が現実に変わりつつあるわけですが、責任を財務省に押しつけたいであろう政府与党だけではなく、「野党6党」からも財務省への非難の声が上がるというのは、少し意外な気もしますね。故・民主党なんて自民党以上に財務省ベッタリでしたし、そうでなくとも野党側はこの問題を与党切り崩しの口実にしたいでしょうし。

 まぁ野党側は財務省を批判しつつも政府側の関与を追及するほうが本筋と思われますが、国民生活への影響はどうでしょう。この問題で他の重要な国会審議が止まってしまうのは困るものの、それもこれも疑いを招くような行為をする方が悪いのだとも言えます。正規の手続きを踏んで(例えば消費税増税や雇用規制緩和のような)日本の経済を脅かす悪法が成立することに比べれば「オトモダチ」への便宜など可愛いものとも考えられますし、とはいえ私的な利益供与が議論の余地のない不正行為であることには否定のしようがありません。

 野党筋(及び野党支持者)にしてみれば、格好の攻撃材料ではあります。私としても、財務省への攻撃材料としてなら盛り上がった欲しいかな、と思わないでもありません。今の与党が倒れて政権交代に繋がったとしても何かが好転するとは考えられないですけれど、財務省の影響力が失墜するのなら、それは日本の政治にとっては良いこと何じゃないかな、という気がしていますので。積極的あるいは消極的を問わず野党よりは安倍内閣を支持しているような人の中にも、財務省には否定的な人は結構いるのではないでしょうか。財務省には、厳しく責任が問われて欲しいな、と。

 一方で形式的なものではあるとは言え財務省の「トップ」である麻生大臣の立場は注目されるところです。なんだかんだ言ってトカゲのしっぽには「出来ない」、政府に「かばわれる」であろうと予想されますが、それもまた政府が国民の支持を失う結果に繋がる、副総理として閣内に残されている限り「火種」として残り続けると思われます。この麻生と安倍内閣を救えるものがあるとすれば――北朝鮮と金正恩くらいでしょう。北からのミサイルが日本近海に飛んでくれば、森友問題ぐらいは簡単に吹き飛ばされるはずです。「金正日に感謝しないといけないな」とかつて麻生は語りましたが、いつかは金正恩に感謝することも?

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とりあえず麻生は感謝しないと思う

2018-03-11 22:46:40 | 政治

 さて先日は金正恩が突如としてアメリカとの首脳会談に応じる姿勢を表明し、トランプもそれに応じたわけです。首脳会談が実現しても物別れに終わりそうな気がしないでもありませんが、この急展開は誰にとってプラスであり、マイナスになるのでしょうか。とりあえず今は、「これから」首脳会談をやるのだと宣言しているに過ぎません。それでも「話し合いの場」に金正恩を引っ張り出したあたり、第一ラウンドの小さな勝者は韓国政府と言えそうです。

 もう10年以上前ですが、当時の外相であった麻生太郎は「金正日に感謝しないといけないな」と述べました。金正日が国際的な非難の中でミサイル発射実験を強行した結果、日本の内閣支持率は上昇した、そのことへの率直な感謝であったと言えます。そして昨年の総選挙での勝利後に麻生太郎は「北朝鮮のおかげ」とも述べました。「選挙前」には北朝鮮が色々と物議を醸していたもので、何はともあれ結果としてやはり内閣支持率は回復していたわけです。内閣の一員として、感謝せずにはいられなかったのでしょう。(今だって北のミサイルがあれば森友学園や財務省の問題から政府を救ってくれそうではないかと……)

 往々にして外交上の破綻は、国内の支持を高めます。いざ戦争にでも突入となれば、国民は熱狂的に政府を支持するものですし、日頃は反政府系メディアとして活動する朝日新聞だって戦争が迫れば翼賛メディアへと転身してきました。太陽は支持率を引きはがし、北風が支持率をつなぎ止める、内向きの団結は「敵」を前にしてこそ得られるものなのです。トランプ政権も然り、「外」に敵を描き出し、それに対して強硬姿勢を見せることで国内の支持を保っている部分は少なくないでしょう。では、「北」が柔軟姿勢に転じたならば?

 北朝鮮への強硬姿勢をアピールして支持を得てきた政党、政治家にとって、北朝鮮の軟化は大きな痛手となります。凧と支持率は向かい風が強いほどに高く上がるもの、しかし向かい風が止んでしまったら転落の危機です。日本なりアメリカなりの「国」にとってはいざ知らず、それぞれの国の「政権」にとっては、北朝鮮の対話路線こそが脅威になるところもあると思います。トランプもしくは日本の首相が金正恩と会談して友好を深めたとして、それが国内の支持向上に繋がるかどうか? むしろ有権者の中には「対決姿勢」を望んでいる人も多い気がします。

 逆に北朝鮮政府からするとどうなのでしょう。対話路線でもプロレス路線でも、金正恩体制の維持という面ではあまり差がないようにも見えます。金正恩体制に危機が迫るとすれば、北朝鮮経済が発展して中産階級が育ち市民革命に至ること、ぐらいでしょうか。国民が「今日を生きるのに精一杯」ならば革命の恐れなどありませんが、市民が豊かになって力を蓄えるようになると独裁体制の維持は難しくなるわけです。それを避けるためには適度に経済制裁を受けておく方が良い、ぐらいの判断がこれまでには働いていたように思います。それでも敢えて金正恩が交渉のテーブルに着くことを選んだのはなぜか、なにしろ相方はトランプですから、常識では計れない展開もありそうです。

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それは社会主義ではないので

2018-01-07 23:35:34 | 政治

石破氏「社会主義国じゃないので、賃上げと言っても…」(朝日新聞)

石破茂・自民党元幹事長(発言録)

 (アベノミクスについて)これから先やっていかなきゃいけないことは、物価が上昇することも大事だが、一人ひとりの賃金が上がっていくか、可処分所得が上がっていく方向に変えないと、アベノミクスでつくった明るい雰囲気が台無しになる。

 企業は豊かになってきたが、個人はその実感がない。社会主義国じゃないので、政府が企業に対してもっと賃金上げろと言っても、なかなかそうはならない。すぐにはならないし、難しい企業もある。どうやって所得を上げることができるのかという時に、財政規律も大切だから、個人と企業に対する課税のバランスをどうするかということも、もう1回考えていかねばならない。消費者が豊かにならないと、企業も豊かにならない。(TBSの番組収録で)

 

 社会主義や共産主義を掲げる国や組織が衰退しても、それを脅威と捉えたがる人は不思議と減る様子がありません。社会主義国が軒並み崩壊して、共産と名の付く政党がどれほど議席を減らしたところで、ある種の人々の頭の中では、それは永遠の脅威であり続けているようです。彼らの頭の中の社会主義/共産主義が、現実世界の社会主義/共産主義と全くリンクしていないから、とも言えるでしょうか。

 例えば一口に自信家と言っても、何らかの実績によって裏打ちされた自信家と、なんの根拠もなく自信満々な人とでは、実は全くの別物です。実績による裏付けを必要とする自信家は、その実績が失われれば意気消沈してしまうもの、しかるに根拠のない自信家は成功体験の有無に左右されませんから。反共主義者も然り、社会主義や共産主義を正しく理解していれば、社会主義国や共産政党の衰退に合わせて反共の不毛さを理解していくのが必然と言えます。しかし根拠を持たない反共主義者にとって、現実世界の社会主義国や共産政党がどうなろうと、共産主義は永遠の悪なのですね。

 そして今回の石破のように、何かしら気に入らない政策が行われると「それは社会主義だ」などと言い募る人が一定数いるわけです。彼らの語る「社会主義(あるいは共産主義)」が何を意味しているのか、それは彼らの頭の中のファンタジーでしかありませんので、あまり深く考える必要はないでしょう。ただ彼らにとっての悪の代名詞である「社会主義」というレッテルを貼ることで、自身の反対の意思を表している、それだけのことです。

 「一人ひとりの賃金が上がっていくか、可処分所得が上がっていく方向に変えないと、アベノミクスでつくった明るい雰囲気が台無しになる」云々に限れば(石破の主張にしては珍しく)真っ当だとは言えます。「政府が企業に対してもっと賃金上げろと言っても、なかなかそうはならない」云々も、まぁそうなのかも知れません。もっとも全てを企業の自由に任せてきた過去の政権や大手労組よりは、安倍政権の方がかけ声だけでもマシなところはあると私は思っていますが。

 まぁ相対的にはマシでも、十分か不十分かと問われれば、議論の余地なく不十分です。口先だけの賃上げ要請では、アリバイ作りレベルの微々たる賃上げしか達成できないことは首相本人だって流石に理解しているのではないでしょうか。本当に賃金水準を引き上げたいのなら、必要なのは対話ではなく圧力です。制裁を伴う強い態度で企業に賃上げを迫らなければ実効性などあり得ません。北朝鮮とのプロレスごっこなどやっている暇があったら、日本の富を滞留させている国内の癌にこそ切り込むべきなのです。

 日本の企業が賃上げを渋り、内部留保ばかりを空前絶後の水準へと積み上げ続けてきた結果、株価は上がっても消費は伸びず国内市場は沈滞したままというのが我が国の現状です。日本の企業に富を吐き出させない限り、日本の国内市場の消費が伸びることはあり得ません。今こそ政府が本当の意味で強硬姿勢を見せるべきなのであり、それを「社会主義だ」などと批判する人がいたら、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」ぐらいの強い意志を見せて良いのではないでしょうかね。

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反政府メディアと体制側メディア

2017-11-05 22:12:44 | 政治

「野党のねじれ」に与党困惑 第一党は立憲民主党なのか、それとも民進党なのか 「衆院で話をつけても参院で通用しない」(産経新聞)

 自民、公明両党は、野党再編の余波に困惑している。これまで衆参両院とも民進党が野党第一党だったが、3分裂で臨んだ衆院選の結果、衆院の野党第一党が立憲民主党となり、参院は民進党のまま。交渉窓口となる野党第一党が衆参で異なる「野党のねじれ」が生じたからだ。

 「衆参両院で野党第一党が違っている構造に、よく注意して国会運営をやっていかないといけない」

 公明党の山口那津男代表は2日の党中央幹事会で、野党のねじれに留意を促した。「衆院で政党間の取り決めをしたからといって、それが参院側で通用するわけではない。衆参両院の国対は連携を緊密にしなければならない」と強調した。

(中略)

 自民党は会期に関し、衆院側で与野党間協議を行っていたが、「衆院で話をつけても参院で通用しない可能性がある」(国対幹部)との懸念から、参院側に調整を委ねる展開に。参院自民党は早くから会期を12月上旬まで設定するよう主張しており、その通りに落ち着いた。

 

 良くも悪くも支持政党がはっきりしている新聞社が目立つのは今更ながらのことですが、反政府メディアと体制側メディアの温度差には興味深いものがないでもありません。先の衆院選結果を巡っても、反政府メディアは「野党が一本化できていれば~」云々との非現実的な空想で自らを慰めていたりする一方、体制寄りのメディアに言わせれば「与党困惑」との結果になっているようです。

 反政府メディアにとっては妄想に逃げ込まなければやっていけないような結果である、ならば体制寄りのメディアからすれば万々歳の大勝利――とは必ずしもなっていないところが面白いな、と感じました。上記引用でも触れられているように「野党のねじれ」の故に「衆院で政党間の取り決めをしたからといって、それが参院側で通用するわけではない」状況ができあがっており、政府側による調整は選挙前よりも難しくなっているわけです。

 野党の政治家の主張によれば、安倍内閣は「暴走」しているそうですが、真偽はどれほどでしょうね。批判的に語るにしても「暴走」は少なからず的外れと言いますか、もう少し他の面から攻めていった方が良さそうに感じるところです。とりあえず特別国会の会期にしても、内閣の一存ではなく参院自民党の主張が通る形で決まったわけで、そこは「暴走」のイメージとは相容れないものですから。

 

小泉氏「このままなら自民党必要ない」 政策決定巡り(朝日新聞)

■小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長(発言録)

 (安倍晋三首相が幼児教育無償化などの財源確保のため、企業に3千億円の拠出を要請したことについて)党は何も聞いてないし、議論もしてないですから。このままだったら自民党必要ないですよ。

 経済界の皆さんにも、考えてもらうべきことがあるんじゃないかと思いますよ。政治が頼むと、賃上げする。3千億円も頼まれれば出す。何かまるで、経済は政治の下請けなのかと。

 

 さて今でこそ反・自民党で旗幟鮮明な朝日新聞ですけれど、小泉純一郎政権時代は最も翼賛的なメディアでもありました。父親だけではなく息子の方も朝日新聞は大好きらしく、その発言も盛んに報じられているわけです。しかしまぁ、部外者ではなく党で役職を持っている人間が、党内で議論する代わりにマスコミに対して批判を語る、というのはどうなのでしょうか?

 プロスポーツの世界で、監督やコーチに相談するのではなく取材陣に対して不満を公言すれば、処罰を受けることが多いように思います。それに比べると自民党は「緩い」と感じますね。党内の規律はどうなっているのか、党の人間が党内論議を経ずして、マスコミという「外」に向けて批判を展開する、これが野放しにされているとしたら、そっちの方が問題です。

 小池百合子という党に在籍していた議員を制御できずに自民党は都知事選と都議選で負けました。安倍晋三の「オトモダチ」の振る舞いは野党につけいる隙を与え、国民には不信を植え付けるものだったわけです。まぁ「制御できていない」のも「暴走」の一形態には違いありません。ただそれは、野党や反政府メディアの語るニュアンスとは少なからず違うような気がします。

 それはさておき小泉進次郎に言わせれば「政治が頼むと、賃上げする。3千億円も頼まれれば出す。」のだそうです。言うほどの賃上げはしていない、3千億円も必要な予算から見れば微妙な額だと突っ込みたくもなります。ただ、自称は労組であるところの連合よりは少しだけマトモな仕事をしている、ぐらいでしょうか。

 その連合はと言えば安倍内閣の、何ら強制力のない要請による微々たる賃上げにも異議を唱えていたわけです。小泉進次郎なり連合なり朝日新聞なり、企業を何よりも大切にする人々からすれば政府による経済界への介入は絶対に受け入れられないものなのでしょう。しかし現実問題として賃金もGDPも雀の涙の微増に止まっている中で内部留保だけが鰻登りという状態が続いています。私が安倍内閣に望むのは、こうした反対派を押し切り、企業に対して「より強い態度」を取ることですね。

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一本化などしなければ良かったのに

2017-10-29 21:41:42 | 政治

 さて先般の衆院選は「北朝鮮のお陰(麻生太郎談)」もあって、自民党の大勝に終わりました。まぁ大勝と言っても議席を増やしたわけではありませんが、選挙前の数的優位を継続できれば与党にとっては勝利なのでしょう。一方、解散総選挙という政治的空白の中でも北朝鮮との間で新たな問題は何一つ発生することはなく、対外的には平和が続きました。日本の政治家達は安心して国内の政争に没頭できたわけですけれど、「現実的な」安保政策とは何なのでしょうね。

 

岡山市長に大森氏再選=共産系新人破る(時事通信)

 任期満了に伴う岡山市長選は1日投開票され、無所属現職の大森雅夫氏(63)=自民、民進、公明推薦=が、無所属新人で共産党岡山地区委員長の矢引亮介氏(47)=共産推薦=を破り、再選を果たした。投票率は過去最低の28.35%。

神戸市長に久元氏再選=無所属新人3氏破る(時事通信)

 任期満了に伴う神戸市長選は22日投開票され、無所属で現職の久元喜造氏(63)=自民、公明、民進推薦=が、前市議の光田あまね氏(40)=維新推薦=、共産党兵庫県委員長の松田隆彦氏(58)=共産推薦=、元同県加西市長の中川暢三氏(61)の無所属新人3人を破り再選を果たした。投票率は前回(36.55%)を上回る47.58%だった。

山口市長に渡辺氏4選=2新人破る(時事通信)

 任期満了に伴う山口市長選は29日投開票され、無所属で現職の渡辺純忠氏(72)=自民、公明、民進推薦=が、元市議の有田敦氏(50)、市民団体代表の湊和久氏(58)の無所属2新人を破り4選を確実にした。

 

 報道の集中する衆院選の裏では、各地で首長選が行われてもいました。そして消滅するかに見えていた民進党も、地方選では普通に活動していたわけです。自民党と相乗りで候補を立てる、連立与党の一員として、ですね。この「自民、民進、公明」による与党共闘で共産党と戦うのは、むしろ地方自治体の選挙では至って普通のスタイルだったりしますが、その辺はどこまで意識されているのでしょうか。

 地方議会では自民党と共に首長を支える与党なのに、それがいざ国政選挙ともなると「野党でございます、野党でございます、自民党政権に批判的な人はウチに投票してください」と、そう訴える民進党系の候補を見るたび、何とも卑劣な人々だなぁと私などは昔から感じてきたものです。ただ、この辺への疑問を私以外の論者が投げかけている場面はまず見ることがありませんので、「地方では自民の盟友、国政では反自民」という民進党のプロレスは世間に受け入れられていると理解するほかなさそうです。公明党の「都議会では自民の政敵、国政では自民の友」というスタイルも、民進が許されるなら普通にありなのでしょう。

 さて民進党が勝手に分裂したこともあり、一時は民進党に首を差し出していた共産党が候補を立てたりで、希望/立民/共産に維新と野党の選択肢が増えた選挙でもありました。その辺は結果として自民党有利に働いたこともあり、朝日新聞などは「野党一本化なら63選挙区で勝敗逆転」と強弁していたりするのですが、実際のところはどうなのでしょうね。むしろ「一本化しようとしたから負けた」ところも少なからずあるように私には思われます。

 今回の選挙で「敗北」と見なされているのは希望の党ですが(真の敗者は議席を半減させた共産党だというのはさておき)、敗因はどこにあったのでしょうか。小池百合子という東京都知事選、東京都議会選で自民党を蹴散らした「看板」に、民進党の「地盤」と「鞄」が加われば、勝利は確実と考えた人も当初はいたのかも知れません。しかし結局は、議席を減らす結果に終わりました。その敗戦の責を希望/民進内部で醜くなすりつけ合っているようですが、特定の誰かが悪いのではなく、一本化の試みがそもそもの間違いであったのではないかと思うのです。

 小池一派に有権者が期待していたのは、(虚像ではあれ)新しさなり、しがらみのなさであったはずです。実態はさておき自民党と袂を分かつことで小池一派は改革機運を演出できていたと言えます。しかるに民進党という、なんだかんだ言って昔から政界に巣くっている集団を衆院選候補者の主流に据えたことで、「何だ、小池も既存の政治家と変わらないじゃないか、選挙に勝って権力を手にしようとしているだけではないか」と、一時は小池に期待していた支持層を失望させてしまったわけです。

 一方で民進党も、彼らをリベラルだと勘違いして支持している人が多かったのに、小池百合子という極右と組み、安倍内閣が推した安保法制には反対していたことすら軽々しく翻してしまいました。これで、元々は民進党支持であった人々の勘違いも解けてしまったと言えます。とりあえず国政だけでも自民党に反対しておくポーズを取っておけば「リベラル」のイメージを勝手に抱いてくれる人がいた、そうした人々の支持が厚かったのに、わざわざ支持層の夢を覚ますようなことをしてしまったのです。

 まず間違いなく民進党と希望の党は、合流しない方がお互いの票は確保できたであろうと推測されます。選挙後は民進党代表である前原に非難囂々のようですけれど、そんな前原が党代表選の勝者であることを忘れてはならないでしょう。枝野を結構な差で退けて、前原が民進党の代表に選出されたのはつい先月のことなのです。今になって前原を非難している民進党関係者は、まず自身の選択を反省するところから始めなければいけません。

 枝野一派には、石原慎太郎や小林よしのり、鈴木邦男など時代から取り残された右翼が続々と応援に駆けつけました。「右」の主流派から毛嫌いされてさえいればリベラルと呼ばれる昨今ですが、前原と枝野にそこまで大きな違いがあるかは疑問がないでもありません。ただ、党代表の座を争う上で分水嶺になったのは共産党との関係ではなかったかと思われます。その辺、とりわけ民進党の最大の支持組織にとっては譲れないポイントでもありましたから。

 言うまでもなく民進党の支持母体は自称労組の連合です。この連合の二大イデオロギーは労使協調と反共でして、実際のところ民進党代表戦でも、共産党との連携はあってはならないと会長自ら力説していたわけです。曰く「連合は共産党の影響をどうやって排除するかということで闘ってきた」とのことで、共産党との選挙協力は支持母体である連合との関係悪化要因でしかありませんでした。組織票に逃げられたら困る民進党議員にとって、選ぶべき道は限られていたことでしょう。

 希望の党は、かつての民進党や小池百合子の支持層を取り込んだと言うよりはむしろ、民進党と小池百合子それぞれの「アンチ」を敵に回した、より大きく反発を受ける存在になってしまいました。そして民進党と共産党の提携もまた、そもそも共産党の影響を排除するために作られた団体を支持母体にしている時点で、内部に地雷を抱え込むようなものだったわけです。野党の一本化など考えなければ「敵」を作ることも少なかったと思われますが、まぁ戦略が間違っていたのでしょう。そして与党に「他の党より良さそうだから」と票が入るのです。

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よその選挙区で投票したいですわ

2017-10-15 22:54:27 | 政治

 さて来週は衆院選です。相変わらず事前の調査では「選挙に行く」と回答する人が多いですけれど、実際の投票率はどうなるのでしょうね。序盤は民進党の自爆テロもあって話題に事欠かない選挙模様でしたが、さりとて結果に「希望」が抱けるかと言えば、その辺は甚だ微妙な代物かも知れません。政権与党からすれば現状維持が濃厚なわけで、強いて言えば共産党の伸張を何よりも厭う連合にとっては喜ばしい結果になりそう、見込まれる変化はそんなところでしょうか。

 各政党の選挙向けの主張の中には良いものもある一方で、それが実現されるかと言えば「空手形だろう」と確信できるような類いも少なくありません。選挙前には消費税は上げないと主張していたのに、不況の中で消費税増税を決めた政党もありました。あるいは安保法案に反対し続けていたのに、今回の選挙に向けて主張を翻した候補も数多います。都合の良い「これから」を語る前に「これまで」を自省すべきではないかと思われる候補は目立ちますよね。

 そして「どうしようもない」と言わざるを得ないのが、特定の個人へのヘイトで有権者の歓心を買おうとしている政党・候補でしょうか。「アベ政治を許さない」では、ヘイトの対象になっている個人が退場すれば済むとでも思っているのか、政策ではなく人に問題があると考えているのかと、そう言わざるを得ません。まぁ、一時は「安倍総理退陣なら」自民党との連携に意欲を見せた希望や、同様に「反安倍内閣なら」と希望との連携を匂わせた立民も大差ないですが。

 ともあれ、選挙向けのパフォーマンスに過ぎない公約よりも「これまで」の実績の方が判断材料として役に立つのは確かだとは言えます。では一種の信任投票的な色合いを帯びてきた与党の「これまで」はどうでしょう。例えば「アベノミクス」――ネーミングセンスは良くない――の結果は。野党や反政府系メディアが言うように駄目な代物なのか、与党が主張するように成功なのか? 失敗なら変化が必要ですが、成功なら継続が求められるわけです。

 客観的に見るならば、「前政権よりは」良い結果を出しているとは言えます。消費税増税を決めた民主党政権時代よりも、第一次安倍内閣時代よりも、国民の支持は抜群だった小泉政権時代よりも、「アベノミクス」の結果として諸々の経済指標は良い方向に動いている、これは間違いありません。一方で、それでもなお足りていないのも現実です。ほんの少しだけ経済成長率が上がったところで、世界経済に追いつくには全く足りていないわけです。比較対象が「日本の」過去の内閣であればアベノミクスは成功ですが、グローバルな視点で見た場合は?

 国民の生活は上向いていない、景気回復の実感に乏しいとはよく言われるところです。その原因は大きく2つでしょうか。1つは、現状の微々たる経済成長では不足が著しいことが上げられます。こんな僅かな成長では実感に乏しいのも致し方ない、実感できる人がごく一部に限られるのは当たり前と言えます。しかし、そこで「アベノミクス」否定で方向性を変えてしまうのはどうでしょう? 片側のエンジンだけで飛んでいる飛行機のエンジンを逆回転させることでより高く飛べるとしたら、それは奇跡ですね。

 2016年度、日本の企業の留保は406兆円に達したそうです。これは前年度から28兆円の増加だとか。増加率は7.4%です。あの中国の経済成長率が7%を切っていることを思うと感慨深いものがあります。日本のGDPは上述の通り改善が見えつつあるとはいえ微増レベル、所得もほとんど増えていない、同年の設備投資は僅か0.7%増に止まる、しかし内部留保の「成長率」だけは中国の経済成長率をすら上回るわけです。国全体としては成長していない、設備投資すら増えていない中でも内部留保だけは飛躍的な伸びを続ける、この現実に何も感じていないとしたら愚鈍に過ぎます。

 大多数の国民が景気回復を感じられない原因のもう一つは「企業への締め上げが足りない」からです。なけなしの経済成長が専ら内部留保の積み上げに終わってしまう、日本で働く人の給料に反映されない、それではアベノミクスの恩恵を疑う人が出るのも当然ですし、日本で働く人が豊かにならない以上は国内市場の購買力だって伸びません。しかし、いかに企業を優遇するかを考えるのが日本の経済言論みたいなところがあるわけで、その辺とは一定の距離がある安倍内閣もまた抜本的な対策を取れていないと言えます。

 経済成長と、企業への締め上げ、この2つが真の成長のための両輪ですが、なかなか両輪の揃った主張をする政党にはお目にかかれない気がするのが残念です。経済成長だけでは庶民への恩恵がないとは言えますが、そこで経済成長を否定してしまっては、いかに企業を締め上げたところで効果がなくなってしまいます。現内閣の成功している部分は認めた上で、そこに不足を付け加えることが望ましいと思うのですけれど――現内閣(党首個人?)の否定から始めたがっている野党筋が多くて、そうなると与党の方がマシと感じる人が多いのもやむなしかな、と。

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外患はないが内憂はある

2017-10-01 23:19:46 | 政治

前原代表を「政治的ハラキリ」…ザ・タイムズ紙

 日本の衆院解散について、世界各国のメディアも小池百合子東京都知事の台頭を伝えるなど関心を寄せている。

 政権与党への不満が表面化した欧州諸国の選挙と比較する視点も見られた。

 米ブルームバーグ通信は、安倍首相が衆院解散に踏み切った理由について、28日の配信記事で「北朝鮮が日本列島を越えてミサイルを発射した後、支持率が上昇したことに乗じたものだ」と分析した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で「(安倍氏の)戦略は裏目に出るかもしれない」と論評。6月に総選挙に打って出て敗北した英国のメイ首相を引き合いに出し、「似ている?」と首相の決断を皮肉った。

 英国メディアの多くは小池氏に焦点を当て、「日本初の女性首相候補」と紹介した。ザ・タイムズ紙は、民進党の前原代表が新党への事実上の合流を決めたことについて「政治的ハラキリ」と表現。「政治風景が一変し、結果の予想が不可能になった」と指摘した。

 

 さて昨今の北朝鮮情勢を受け、アメリカでは国防予算の大幅増が圧倒的多数で可決、軍需産業各社の株価が急上昇しているそうです。一方で日本は安倍内閣の支持率が上昇に転じたわけですが、北朝鮮のミサイル実験が世界に与える影響とは何なのでしょうね。とりあえず、それが「危機」でないことだけは確かだと思います。

 もちろん愚かな判断を下す政治家は枚挙にいとまがありませんが、それでも責任を問われる立場であり、かつ一般の国民に先んじて機密情報を知らされる身です。そうした人々の中のトップが、「国会を解散して総選挙を行う」という決断を下したのは、今が危機的状況だからでしょうか、それとも安全だからでしょうか?

 真に危険が迫った状況で、国会を解散して政府を空っぽにする、危機への対応を放り出して選挙戦に専念する、そんな馬鹿なことをする人は――いくら政治家にだっていません。差し迫った危機がない、緊急事態ではない、それだけの確信があって始めて、解散総選挙という決断が可能になるのです。北朝鮮の悪ふざけが日本に危機をもたらす可能性は皆無、安心して国内の政争に努めましょう、そう首相は訴えていると私は理解しました。

 ……で、自民党政府にとって真の危機は北朝鮮などであろうはずもなく、時流に乗ったポピュリズム政党の台頭にあります。相手が民進(民主)党である限り負ける恐れはなかった一方、より右寄りのポピュリストが勢いを持ち出すと、それを止める力がないのが今の自民党です。だから安倍内閣としては、小池グループが体制を整える前に選挙を済ませてしまいたかったのだろうな、と。

 ところが、どこまでも国民に迷惑をかけ続ける民進党が選挙資金(政党交付金!)もろとも小池グループに首を差し出すという暴挙に出たことで状況は一変してしまいました。タイムズ紙が言うように「政治風景が一変し、結果の予想が不可能になった」わけです。「アベ政権打倒が第一」であるならばまぁ、起死回生の一手ではあったかも知れません。その代わり、国民の生活が犠牲になりそうではあります。

 これは故・民主党政権時代の発言ですが、この他にも小池百合子の特別秘書で一時は都民ファーストの会代表であった野田数なんかは「国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄」すべしと主張して大日本帝国憲法の復活を主張していたくらいです。民進党は極右グループに何もかも譲り渡すことに抵抗がないようですけれど、それは国民にとってどうなのでしょうか。この「非現実的な保守」の台頭よりも危ういものはなかなか思いつきませんね。

 「経済最優先」を掲げつつも今ひとつ経済を優先し切れていない安倍内閣ですが、今回の選挙に向けての主張は完全に「経済が後回し」になってしまった感があります。当初は消費税増税原理主義の民進党がライバルだったことから、完全に消費税増税路線に迎合した様子ですし、北朝鮮からのエールを受けて自身の趣味に走る好機とも感じている様子がうかがわれますし……

 そして政局争いの新たなライバルが自身より右寄りともなればどうなるででしょうか。まだしも安倍内閣には「建前を守る」ところがありましたが、小池一派はより先鋭的です。これに対抗するために自民党が一線を越えようとする、ぐらいのことはあってもおかしくありません。北朝鮮が日本を現実に脅かすことは考えられない一方で、日本の政治が危険な領域へと突入する可能性は否定できない気がします。

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