非国民通信

ノーモア・コイズミ

もうちょっと行方不明者に同情的になるべきだと思う

2010-08-13 22:58:08 | ニュース

不明109歳の年金、月5万円を今も支給(読売新聞)

 神奈川県内で男性最高齢とされていた川崎市幸区の109歳男性が所在不明となっている問題で、埼玉県内に住む孫の女性(53)は10日、読売新聞の取材に対し、男性に現在も支払われている年金は、月額約5万円であることを明らかにした。

 「一部は捜索費用として使った」としている。

 女性は、行方不明の男性に年金が支給されている現状について「良くないことで、問題をこのまま残したくない」と語り、 失踪 ( しっそう ) 宣告の手続きを行うとしている。また、「祖父が生きている可能性が全くないとは思わない」と述べる一方、「(失踪宣告を受けた後)きちんとお葬式を挙げて、家族で見送ってあげたい」とも話した。

 女性によると、男性は86歳だった1987年8月初旬、妻(故人)に「田舎に行く」と言い残して自宅を出て、タクシーで川崎駅に向かった。川崎市内や千葉県内に住んでいた親類宅にも問い合わせたが、行方が分からず、同日夜、家族が幸署に捜索願を出したという。

 先日も取り上げたことですが、100歳以上の高齢者で所在不明者が相次いでいると伝えられています。先週の段階ではかなりヒステリックな報道も目立ち、調査の進展で所在不明者の人数はそれなりに増大するものと思われたものの、1週間が経過した今の段階ではそう目立った動きはないようです(8/13付朝日新聞の報道では既に捜索願が出ているものを含めて全国で279人、うち200人は兵庫県と大阪府に集中/阪神・淡路大震災後に住民票を置いたまま転居して足取りがつかめなくなっている人が多いとも)。例によって「○○県で○人!」みたいな記事は散見されますけれど、よくよく読んでみると元から自治体側では所在不明を確認済み、ただ死亡が確認されたわけではないので住民基本台帳から抹消されてはいないなどのケースばかりです。その辺は役所でも当然わかっているらしく、平均寿命算出の母数からは省かれているとのこと、また年金の不正受給というイメージが勝手に一人歩きしているフシもありますが、やはり記事をよく読むと「○○人のうち1名には祝い金○万円が渡されていた」というレベルに止まっています。今さら騒ぐようなことではなさそうですね。

 一方、ここで引用したのは例外的なケース、年金受給が続いているケースです。詳細はお読みいただければと思いますが、要するに行方不明になってしまい、捜索を依頼したも所在がつかめないまま年月が経過してしまったわけです。今に至るも死亡が確認されたわけではないだけに家族側としては一縷の望みを持ち続けたい、生きているものとして扱い続けたいところでしょうけれど、諸々の騒動で新聞社の取材までやってくるに至り、失踪宣告の手続きをすることにしたと伝えられています。家族としては、辛い決断だったでしょう。

 家族の所在がつかめなくなったからといって、そう簡単に死亡扱いにする=台帳から抹消するというわけにはいかないものです。どこかで生きている可能性があるのなら、できるだけ生存扱いにしておきたい、安易に死亡とはしたくない、そうした結果として所在不明の高齢者が増えてきたところもあるはずです。しかるに拉致被害者であれば遺骨の鑑定結果を捏造してまで行方不明者は生きているものとして扱い続ける、かつそれが世間の理解を得ているにも関わらず、普通の失踪者に対して世間は随分と冷たいのではないかという気がします。いつまでも生存扱いにはできない、どこかで区切りを付けなければいけないわけですけれど、もうちょっと行方不明者の家族に対して同情的な視点があってもいいのではないかと思います。

 

 ←応援よろしくお願いします

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする