非国民通信

ノーモア・コイズミ

鶏口

2010-08-24 22:57:23 | ニュース

日本企業は世界に比べてどうして小粒なのか?(R25)

不況、さらには少子高齢化や財政赤字などの構造問題に苦しんでいるとはいえ、今なお世界第2位の経済規模を誇る日本。世界にもその名を知られる日本企業も数多い。そのブランド力とスケールはまだまだ健在のはず…と思いきや、ショッキングなデータが。

世界の時価総額ランキング100位に、果たして日本企業は何社入っているか。これが、わずか6社しかないのだ。トヨタ自動車、NTTドコモ、NTT、三菱東京UFJ銀行、ホンダ、任天堂。これだけなのである。なぜ、こんなに寂しい結果が? エコノミストの門倉貴史さんはいう。

「時価総額とは、発行株式数×株価で計算されますが、株価はその企業の将来性によって決まります。日本の場合、ひとつの業界に多くの企業がひしめきあって1社あたりの利益率や成長性が低くなっており、株価が上がりにくい。対して海外では、ひとつの業界に数社しか存在していないので、競争が激化せず、1社あたりの利益率や成長性が高くなる。その結果、株価が上がりやすくなるんです」

 世界の時価総額ランキング100位に日本企業は6社しか入らないというデータが出てきたわけです。引用元の記者は「(日本企業の)ブランド力とスケールはまだまだ健在のはず」と淡い夢を抱いていたようですが、日本企業のブランド力とスケールという自己イメージの上に胡座をかいてきた結果は無惨なものです。小手先の業務カイゼンや経費削減(人件費カット)に明け暮れてきた日本企業の誤りは、いい加減に自覚されるべきでしょう。

 日本の企業は「ひとつの業界に多くの企業がひしめきあって1社あたりの利益率や成長性が低」いことを門倉貴史氏は指摘しています。要するに産業の集約化が進んでいないこと、そして国内の過当競争が日本企業の足枷となっているわけです。この指摘は妥当なものであるように思われますが、まさにこの点こそ日本の企業が背を向けてきた部分なのかも知れません。とかく日本では競争が肯定的に語られる、競争してこそ成長があるのだ、もっと競争すべきなのだと説かれてきました。とりわけ熱心に競争の必要性を喧伝してきたのが政財界でもあるならば、今さら過当競争を是正しようという方向へは舵を切りにくいところもありそうです。

 独占状態には弊害もあるわけですが、その対極である過当競争にも弊害は大きい、そして今の日本が心配すべきなのはどちらなのか、よく考えてみる必要があります。デフレの真っ最中であるにも関わらずインフレのリスクばかりを煽り立てるような愚を犯してはなりません。そもそも財界筋の語るような「厳しい国際競争」が存在するのなら、国内で競争する必要などないのではないでしょうか。国内で寡占状態になったところで、グローバル経済の元では国外の企業との競争が待っています。国内で競争せずとも世界レベルで見れば競争は絶えない、競争原理を好む人を退屈させるようなことにはならないのですから。

 引用元で門倉氏は法制度が十分に整っていないために企業のM&Aが進まないとも語っていますけれど、付け加えて言うならば日本は企業を放任しすぎているところもあるような気がします。競争原理だけではなく市場原理主義もまた日本経済の特色であり、政治は不況でも円高でも無策のまま全てを企業の自由に任せてきました。そうなると企業は人件費カットなどを通じて自社の延命を図るばかりです。ここはむしろ政治が介入する必要もある、半ば国策的にでも産業の集約化を推し進める必要もあるのではないでしょうか。「成長産業」なんて当たるかどうかわからない博奕を打つぐらいなら、政府の肝いりで国際的に通用する企業を作る、そのために既存企業の統合を積極的に後押ししていくことももっと真剣に検討されるべきです。

 

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コメント (2)
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