学校の性教育「役立たず」が4割 17〜19歳の意識調査で(共同通信)
17〜19歳の約4割が学校の性教育は役に立たないと感じている―。日本財団(東京)が「セックス」をテーマにした意識調査をしたところ、こんな結果が出た。ほぼ4人に1人はセックスの経験があり、4人に3人は性病への不安を抱えていることも判明。避妊の必要性を感じていると答えたのは9割近くに達した。
調査は10月、17〜19歳の男女800人を対象に、インターネットで実施した。学校の性教育が「役に立った」と答えたのは59.1%で、「役に立たなかった」が40.9%。「避妊の重要性をもっと説明してほしい」「性病の危険性について重点的にやるべきだ」といった要望があった。
「17〜19歳の約4割が学校の性教育は役に立たないと感じている」とのことですが、いかがでしょうか。とかく「子供」に対しては「性的に無垢であって欲しい」という欲望が向けられるもので、性教育とは必要視される一方でタブー視されがちでもあります。とりわけ日本で言うところの「保守」の人々からは目の敵にされがちであったり等々。
ちなみに調査は綺麗な二択式のようで「役に立たなかった」との回答が40.9%である一方、過半数である59.1%は「役に立った」と回答していることも伝えられています。学校教育で約6割が「役に立った」と回答するなら、意外に上出来なのではないかという気がしないでもありません。ここから性教育がどう変わるべきと考えられるのでしょうね?
そもそも性教育に限らず、学校教育全般を調査対象としても、それほど肯定的な回答にはならないようにも思います。例えば、「二次方程式などは社会へ出て何の役にも立たないので、このようなものは追放すべきだ」とは、日本財団第2代会長である曽野綾子の発言として広く知られているところです。発言が正しいかはさておき、そう考える人も結構いますから。
また今回報道の調査元である日本財団の現会長である笹川陽平は、父であり財団の創立者である笹川良一から、「学問などしなくていい。社会勉強は俺が教えてやる」と言われて育ったそうです。財団創立の精神に立ち返れば、性教育に限らず学校教育全般が「役に立たない」ということにもなるのかも知れません。
ちゃんと学校で勉強していなかったからこそ、そっち系の人に育つということもあるような気がしますが、一方で学校という箱はあっても教師がマトモに勉強を教えられない、学校でやるのは行事ばかりで勉強は塾でやるもの、みたいな現実もあります。性教育に限らず「役に立たない」ものを「役に立つ」ものに変えていくには、色々と課題が多そうです。
以前、学校柔道における「受け身」は役に立たないと書いたことがあります。あれは、綺麗に背中から落としてもらえることを前提にした方法ですから。そうではなく「頭から落とされる」ことを前提にした、競技柔道とは違う「受け身」を教えないと危険だと思うのです。「背中から綺麗に落とす」技術と善意を持った生徒同士ならいざ知らず、そうでない以上は「頭から落とされる」ことを前提に対策を取らねば受け身は役に立ちません。
性教育も然り、大人が期待するほどの「性的に無垢な子供」を前提とした性教育ではダメだと言えます。現実の子供は、大人が期待するようには「大人しい」ものではない、そうした前提に立った性教育でないと、実践の役には立たないでしょう。6割の調査対象者が「役に立った」と回答するのなら上出来ではあるのですが、その実は「未経験者」がなんとなく「役に立った」と感じているだけで、「経験者」が「役に立たなかった」と感じているのなら、色々と足りないものがありそうですし。