非国民通信

ノーモア・コイズミ

私が受験生なら千葉大は志望しない

2019-01-27 21:54:16 | 社会

千葉大、海外留学を必修化 2020年度から全入学者に(朝日新聞)

 国立千葉大学は24日、2020年度以降の学部・大学院の全入学者を対象に、原則として1回の海外留学を必修化すると発表した。千葉大によると、学部生は計約1万人、大学院生は計約3500人。文系・理系をとわず「全員留学」を義務付けるのは、全国の大学でも極めて先進的な取り組みだとしている。

 千葉大は、発信力や自己表現力・コミュニケーション力を備え、世界で活躍する「グローバル人材」の育成を進めたいとしている。そのために、16年度に設けた国際教養学部で必修化した「全員留学」を全学に広げることにしたという。

 学部生の留学期間は、最長2カ月程度。同大は現在も海外留学用のプログラムを備えているが、「全員留学」に合わせ、語学や異文化学習から専門研究まで新たなプログラムを拡充する。大学院生は、研究内容を中心に自分でプログラムや期間を考えるようにする。留学を支援するため、担当教職員を設けるほか、外国人教員を新たに配置し、英語による専門科目も開設する。

 提携校に千葉大のプログラムで留学する場合は、大学が授業料などを負担する。財源を確保するため、大学側は経費節減を進めて収支状況を見直した上で、20年度からの新入生の授業料の見直しも検討するという。授業料が一定程度値上げとなる可能性もある。

 記者会見した徳久剛史学長は「グローバルな人材育成には、実際に海外での経験が必要。異文化を学んで、本人の将来を決めるスタートにしたい」と話した。(寺崎省子)

 

 まぁ大学の就職予備校化が指摘されて久しいわけですが、これなどはどうでしょうか。自称「極めて先進的な取り組み」とのことですけれど、確かに就職予備校としては先進的なのかも知れませんね。曰く「発信力や自己表現力・コミュニケーション力を備え、世界で活躍する『グローバル人材』の育成を進めたい」だとか、なるほど日本企業のウケは良さそうです。

 この千葉大が称揚する「発信力や自己表現力・コミュニケーション力」とやらは、いかにも日本企業が求人の際に並べ立てる決まり文句のようにしか見えないのですが、これを備えれば「日本の外で」活躍できるのか、私は疑問です。「グローバル人材」を求める日本企業はいくらでもありますけれど、それは日本の外で求められる人材に合致するのでしょうか?

 全員留学を義務づけると言うことで、学生の志望は考慮されないようですが、しかるに「最長2カ月程度」なのだそうです。では「最短」なら、果たして何日程度になるのでしょうね? いずれにせよ、1週間でも2週間でも2ヶ月でも、その程度では留学というより「旅行」と呼んだ方が適切に見えます。「留学経験」と称すれば就活には有利になりそうですけれど……

 そして「英語による専門科目も開設する」とのこと。これもいかにも流行に迎合した感じですが、むしろ私としては「大学に行ってまで英語の勉強なんてするな」と言いたいです。使える言語が増えれば人生の選択肢は増えますけれど、しかし英語なんて大学に行かなくても勉強できます。それこそ運転免許と同じで、就職の際には問われても、大学でやらねばならないことかと考えれば、そこにも疑問を感じるわけです。

 運転免許は自動車教習所、英語は英会話学校に任せて、大学には大学でしか出来ないことを期待したいところですが、就職に強い大学、補助金をたくさんもらえる大学を目指す上では、そうも言っていられないのかも知れません。ただ大学で学べる4年間――まぁ「真面目に」就活すれば正味は2年半ぐらいでしょうか――は本当に短い貴重な時間です。英語はいつでも勉強できますが、大学生でいられる時期は僅かしかないはずです。

 もちろん1ヶ月なり2ヶ月なりの、長めの海外旅行でも得るところはあるのでしょう。フランスのように長期のバカンスが制度化されている国なら、大学卒業後でも同様の「留学」は可能ですが、日本の就労環境では色々と難しいわけです。ならば学生の夏休みや春休みを利用した留学ごっこも悪くない経験なのだと、そういう意見もありそうです。

 ただ、短い学生生活の中「もう日本の大学では学べることがない」ならいざ知らず、学部や修士のヒヨッコならば、他にいくらでもやれることがあるような気がします。本当に先端的な研究をやりたいなら、日本にとどまってもいられないでしょうけれど、圧倒的多数の学生は、当然ながらその域に達することはありません。海外に行かなければ学べないのか、それとも国内でまだまだ学ぶことがあるのか、それは考えられるべきです。

 後はまぁ、逆の立場で考えてみることですね。海外出身の学生で、自国の大学では日本語で授業を受けていたのが自慢で、日本には2ヶ月程度「留学」したことがある、とりあえず日本語は得意――そういう人が「グローバル人材」を称して日本での就職を希望していたらどうでしょう。少なくとも私が採用担当者だったら、ちょっとアピールが足りないと感じます。

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そのまま潰しちゃって、どうぞ

2019-01-20 21:46:14 | 雇用・経済

 太平洋戦争の時代、牟田口廉也という将校がいました。その大胆にして苛烈な戦略によってビルマ方面の日本軍を壊滅させたことでも知られているわけですが、名前からも分かるとおり日本の人です。当時は陸軍の中将という高い地位にいたこともあり戦後はA級戦犯として指名されたものの、連合国の勝利への貢献を認められたのか、あっさり不起訴ともなっています。

 この「無能な味方こそ最大の敵」と呼びうる状況は、現代でも普通にある話だと思います。組織の癌だった人が異動して、人員の補充がないにもかかわらず仕事が円滑に進むようになった――そんな経験をしたことがある人も多いでしょう。むしろ牟田口が暗殺でもされていれば、日本側の被害は減り、連合国側が苦戦するようになる、そんな可能性すらあるわけです。

 

経団連を標的、中国人ハッカー集団 ウイルスは2年潜伏(朝日新聞)

 経団連が被害を受けた不正アクセス事件に、米司法省が「中国の国家安全省と関連している」と断定した中国人ハッカー集団「APT10」が関与していた疑いがあることが、朝日新聞社の取材で分かった。経団連に仕掛けられたウイルスの種類や外部通信先が、ハッカー集団を追跡している英国政府機関などの調査結果と一致した。

(中略)

 一方、日本の経団連が被害を受けた事件は16年11月に公表された。朝日新聞が入手した内部資料によると、日中間の経済協力を担当する部署が狙われ、14年7月に外部から届いたメールを開いた職員のパソコンがウイルスに感染。それから2年以上にわたり、パソコンやサーバーに感染を広げながら潜伏していた。サーバーに保管されていた、日本政府とのやりとりに関するファイルなどにウイルスがアクセスした痕跡があったが、情報が実際に盗まれたかどうかは、特定に至らなかった。

 

 経団連と言えば、昨年に「初めて」会長室へパソコンを設置したことで話題にもなりました。我が国のサイバーセキュリティ担当大臣である桜田義孝氏も、自身ではPCを使ったことがないと明言しており、仏APF通信などからは「どんなハッカーでも桜田大臣から情報を盗むことは不可能」と賞賛されています。辣腕の中国ハッカーにとっても日本の偉い人々は、なかなか手強いに違いありません。

 まぁパソコンがなくてもスマホがあれば侵入経路になりますが、しかし侵入したとしてもどうなのでしょう。そもそも経団連は日本にとってどのような存在なのか――中国ハッカーからの不正な侵入があった14年よりもずっと昔から、独自の経済理論に則り、かつては世界一だった日本経済を完全に失墜させる上で大きな役割を果たしてきたのが経団連ではないか――そう思わないでもありません。

 日中戦争における中国側の「正解」は、冒頭で挙げた牟田口のような無能を放っておくことです。無能な司令官を暗殺でもして、代わりに無難な将校が後任にでも就いたら、それこそ失敗と言えます。経団連を相手にした場合でも然り、もし中国側が日本の経済界を敵視し、それを打倒しようと考えるなら、経団連には自由に行動させるのが一番でしょうね。

 とは言えトランプやその同類には見えていないことながら、自国のビジネスの発展には取引先の発展もまた必要です。事業縮小中の会社と事業拡大中の会社、営業をかけるべきはどちらなのか、迷う余地はありません。そして中国にとって日本は極めて重要な顧客でもあります。日本という顧客の購買力が落ちれば中国の輸出にも負の影響があるわけですが、それを防ぐには――日本経済を明後日の方向に導こうとしている団体をどうにかするのが良策となるのかも知れません。

 まぁ不正なアクセスなんてものは当然ながら褒められた話ではないですけれど、褒められた存在でないのは経団連だって同じです。日本で働く人々にとっては癌でしかないイデオロギー集団が、どのような被害に遭おうとそれが国民の損になることはないでしょう。むしろ、ゴミ掃除みたいなものです。頑張れ中国。

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いいぞもっとやれ

2019-01-13 21:27:34 | 社会

JOC竹田会長を訴追手続き 仏当局、五輪招致汚職容疑(朝日新聞)

 2020年東京五輪・パラリンピックの招致を巡って、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)が汚職に関わった疑いがあるとして、フランスの検察当局が竹田会長の訴追に向けた手続きに入っていたことが明らかになった。仏紙ルモンドなどフランスメディアが報じた。

 JOC関係者によると、竹田会長は12月、フランスで聴取に応じたが、汚職の疑いについて否定した、という。

 ルモンドによると、手続きに入ったのは昨年12月10日。五輪招致が決まる前に180万ユーロ(約2億3千万円)の贈賄に関わった疑いがもたれているという。

 

 さて日本オリンピック委員会の会長がフランスで訴追される見通しのようです。これを機に深刻な不正が見つかり、オリンピックの日本開催が白紙になってくれれば良いなと思わないでもありませんが、いかがなものでしょうか。一方の日本は昨年11月に、フランス政府が筆頭株主である仏ルノー社の会長でもあるカルロス・ゴーン氏を逮捕しており、これに対する意趣返しとみることも出来るのかも知れません。

 他国の例を見ても、昨年12月には中国ファーウェイ社の役員がカナダで逮捕され、同月に中国政府がカナダの元外交官を拘束する、なんてことがありました。たぶん、よくあることなのでしょう。法務省の平成29年版犯罪白書によれば刑法犯の検挙率は33.8%だそうです。法に触れたからと言って誰もが検挙されるものではない、訴追も逮捕も拘束も、何らかの「+α」次第なのだと理解できます。

 かつて村上ファンドの村上世彰氏が逮捕されたことがありましたが、同氏の罪状が特別に――逮捕されていない同業者に比べて――悪質であったか、その辺には疑問があります。同じようなことをやっていたけれど、お咎め無しで続けている人はいくらでもいるのではないでしょうか。むしろ村上市自身も「それまでは」お咎め無しだった、だからこそ逮捕の可能性を予測できなかった、将来的にも許されると思っていたのではないかと、そんな気がします。

 逮捕前、村上ファンドは阪神電鉄の株式取得を急速に進めており、ファンド側が球団経営にまで口を出すに至っていたわけです。それもまた普通のビジネスではあったかも知れませんが、当然ながら阪神タイガースファンの反感を買いました。そして阪神ファンは社会的地位の上下強弱を問わず、至る所に存在します。疑う余地もなく、インサイダー取引を取り締まる権限を持った組織の中にも、ファンはいたことでしょう。

 小沢一郎と西松建設との政治資金問題は、かつては共産党が地方議会で細々と追及しているだけの、全国区では相手にされない問題でした。しかるに小沢が代表を務めていた政党が次回選挙で与党になることが有力視されるようになると、俄に注目されることにもなったわけです。「やったこと」は何も変わっていませんが、それでも扱いは違ってくる、世間での優先順位が繰り上がる、そういうこともあるのだと言えます。

 派遣社員を入れている会社なら、どこも事前面接という違法行為に手を染めている、歯科医院の多くは無資格の歯科助手に医療行為をやらせている、だからといって検挙されるというものではありません。私の通った中学校では暴行や恐喝、窃盗は日常の光景でしたが、警察沙汰になったことは一度もないです。一方では法律による規制の網をかいくぐったはずの脱法ドラッグや脱法節税で捕まる人もいて、世の中は法律だけで動くものではないのだな、ということが分かります。

 ファーウェイの製品に競争力がなくアメリカ企業にとっての脅威でなければ、その役員逮捕はなかった、ゴーンが日産をフランス政府系企業の傘下に入れようとしていなければ、その逮捕はなかった、村上世彰が手を付けた企業に阪神ファンが絡んでいなければ、あるいは小沢一郎が万年野党のジリ貧党首であったなら、いずれもやり玉に挙げられることはなかったと断言できます。代わりに、別の誰かが検挙の対象として優先されていたことでしょう。

 訴追も逮捕も拘束も、結局は政治的な要因から逃れられません。そこから無理筋の擁護や正当化も出てくるものですが――どれも「シロ」には見えない人たちだったりもしますね。追求の対象から外れている人々の中にも「クロ」は数多いますが、では恣意的に「選ばれた」人が「選ばれなかった」人と違って潔白かと言えば、それもまた違うわけです。今まで「目こぼし」されていた人が、そうされなくなったとしても、決して不当なことではないよな、とも思います。

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国民は114年前から変わっていないと思うよ

2019-01-06 21:59:36 | 政治

安倍首相、北方4島返還「国民、困難さをよく理解」(朝日新聞)

 安倍晋三首相は30日に放送されたラジオ日本の番組で、北方領土をめぐる日ロ交渉について「今、残念ながら4島には日本の島民が住んでいない。ロシア人しか住んでいない中で、その帰属を日本に変えることの困難さを(国民に)よく理解していただいているのかなと見ている」と語った。

 首相は11月の日ロ首脳会談で、歯舞(はぼまい)、色丹(しこたん)の2島の日本への引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約交渉を加速することで合意した。ラジオでは4島返還を求めて合意に反発する世論が大きくなっていないとして、その感想を問われた。

 

 北米大陸はアメリカ固有の領土である――トランプだったら、それぐらいの認識を大まじめに持っていそうな気がしますが、普通の人にとってはどうでしょうか。もちろん歴史を紐解けば時代と共に住む人や君臨する国家が変遷していくことは、全く珍しくありません。それでもなお「固有の領土」として信じ続けられるものがあるわけです。

 現在の北海道は江戸時代までは蝦夷地と呼ばれ、日本の領域外でした。明治時代に入ってから本格的な「開拓」が始まりましたが、そこは決して無人の荒野ではなく、「和人」とは別の人々が住む地域でもありました。この北海道よりも遠いところにある島までもが現在では「固有の領土」と呼ばれているのは広く知られるところですが、さて――

 100年あまり昔のこと、ロシアから獲得した領土が少ないと不満を持った人々が、大規模な暴動を起こしたことがありました。世に言う日比谷焼打事件で、戦前から一貫してお調子者として知られる朝日新聞などは、「(ロシアとの)講和会議は主客転倒」「桂太郎内閣に国民や軍隊は売られた」「小村許し難し」等と国民を煽ったとされています。

 似たようなノリで桂や小村のところに安倍の名を入れる人は今でもいるような気がしますが、ともあれ日比谷焼打事件の際は、国民の認識として「もっと領土を獲得できて当然」というものが前提にあったようです。日本にはロシアから領土を奪える正当な理由がある、それが出来ないとしたら政府が悪い、と考えられていたのですね。

 報道によると、安倍首相がいわゆる北方領土の「帰属を日本に変えることの困難さを(国民に)よく理解していただいているのかなと見ている」と語ったそうです。この「国民に」という括弧書き部分は報道による注釈ですが、どうしたものでしょう。少なくとも私には、問題の困難さが国民に理解されているとは思えません。

 日露戦争の戦後処理の場合は、国策報道の結果として国民が「戦争に勝った」と信じ込んでいたことが大きかったようですが、では太平洋戦争の戦後処理の場合はどうなのか、やはり国策報道によって国民があらぬ誤解をしていないか、どうにも私には過去の轍を踏んでいるように感じられるところです。捕鯨に関しても触れましたが、報道が「挙国一致」になっている類いほど怪しいものですから。

 敗戦後、日本は台湾や満州、朝鮮半島と共に千島列島の領有権も放棄する形で条約を結びました。しかる後、北方領土と呼ばれる諸島は千島列島に含まれないと、日本が言動を翻し始めたことで領土問題が生まれます。そこでロシア(ソ連)との間で当初は「二島山分け」で話が進みました。ここから1956年の日ソ共同宣言に繋がっているわけですが――

 残念ながら日ソの平和条約を良しとしなかったのがアメリカで、「2島返還で合意したら沖縄を返還しない」と日本を恫喝したと伝えられています。結果、日本は突然の「4島返還論」を唱え始め、当然のごとくソ連との交渉は立ち消えとなりました。結局、日本がアメリカを優先した時点で領土問題は「日本側から」切り捨てられたと考えるべきでしょう。何を今更、ですね。

 日本が今になって北方領土の「返還」を訴えるのは私には滑稽にしか見えませんが、領土獲得を夢見る国民の精神は100年前から変わっていないのでしょうか。そして仮にプーチンが辺境の小島を売り渡したとしても、その先をどうするのか日本の誰も考えていないようにも思います。北海道ですら札幌中心部以外は廃れているのに、そのさらに辺境となる地域を日本は支えられるのか、漁業権が云々と言いつつ日本の漁業は補助金と外国人頼みの衰退産業ではないか等々。

 「進め一億火の玉だ」とは戦中のスローガンですが、当時の日本の人口は台湾人や朝鮮人を含めないと「一億」には達しませんでした。この大日本帝国の臣民として「一億」に組み込まれていた人々が戦後にどうなったかと言いますと、「日本人ではない者」として扱われたわけです。日本の国籍は、限られた人にしか与えられなかったのですね。

 その結果として「中華民国籍」や「朝鮮籍」という、国家とは紐付かない奇妙な「籍」が産まれたりもしました。この辺は結構な根深い問題に繋がっていたりもしますが、では「北方領土」がめでたく日本の領土となった場合、そこに住む人々はどうなるのでしょうか。この辺、考えることすらが拒まれている分野ではないかと思います。

 捕鯨問題と同様、この北方領土問題も政党レベルでは左右の違いがないと言いますか、挙国一致の趣があります。そして国民の認識も大差ない、日露戦争終結後と同レベルの期待を抱いているし、メディアも煽り立てる方向にばかり進んでいるわけです。しかし、いい加減に現実に向き合うべき時ではないか、いつまでも夢を見ている場合ではないだろうと、私はそう感じます。

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