非国民通信

ノーモア・コイズミ

お里が知れる

2018-09-30 21:45:11 | 政治

立憲・枝野氏「安倍さん、日本を社会主義化させている」(朝日新聞)

枝野幸男・立憲民主党代表(発言録)

 (金融政策で)日銀まで株を買い、皆さんの年金の金で株を買っているのはご承知の通りだと思いますけれど、株を政府が買い支えをしている。値段をつり上げている。

 その結果、日本における最大の機関投資家は、日銀まで含めれば政府です。政府が最大の株主である国って、社会主義じゃないですか。安倍さん、日本を中国にしたいんじゃないかと思います。社会主義化をさせているとしか思えない。

 それで株は高いんだから、景気がいいという幻想を国民に描いている。必ず、大きなしっぺ返しを受けます。一日も早くそうした状況から脱却できる状況をつくりたい。

 税金を納めていただいて、再分配されて、所得の低い人たちの所得の押し上げに使われ、安心感につながれば、結果的に消費が増えてまたもうかる、ということを説明をしながら、税制を抜本的に変えていく方向に進めていきたい。(新潟市での講演で)

 

 「皆さんの年金の金で株を買っている」という枝野の主張が妥当かどうかはさておき、株価が上がっていることで年金の運用益は故・民主党政権時代に比べて大幅に改善されているのは、紛れもない事実です。民主党の残党としては、色々と受け入れがたい現実もあるのでしょう。その後も誹謗中傷が続くわけです。

 日本で「リベラル」と他称される人々の多くは、世界における「ネオリベラル」な人であることが一般的です。故・民主党は政府による国内経済への関与を嫌う市場原理主義で塗り固められていましたが、それに比べると現政権は大きな政府路線で前政権よりは経済政策に積極的、これが枝野に言わせれば「社会主義」とのこと。どうしたものでしょうね。

 実際のところ「景気がいいという幻想」は重要でして、「病は気から」ではありませんが、景気が良いと思って国民が財布の口を緩めれば消費が伸びて国内経済は成長するものです。一方で景気が悪いと国民が感じてしまうと、貯蓄志向が高まるばかりで消費は低迷、景気は悪化します。幻想には、少なくとも方向性を定める力があるのですね。

 さて「税制を抜本的に変えていく方向に進めていきたい」とも枝野は語ったそうですけれど、枝野も閣僚として参加していた民主党政権が行った税制の変更とは何だったでしょうか? それは実施時期こそ現政権下となりますが、あくまで決定したのは民主党であるところの消費税増税です。言うまでもない、逆進課税ですね。より所得の低い人からむしり取る、そういう路線を推進してきた党の重要人物であった枝野の頭の中の「方向」とはなんなのやら。

 自民党が求めていたタイミングでの解散総選挙に応じる代わりに、消費税増税を約束させたのは民主党政権最後の首相であった野田佳彦ですが、この野田は「安倍政治は白鵬の相撲」と2016年の参院選を前に語りました。地方議会では連立与党の一員でも、国政では野党として安倍政権との対決姿勢をアピールする、そんな文脈での言葉なのですが、いかがでしょうか?

 「安倍政治」をネガティヴに捉えるのは価値観の問題ですし理解できるところはないでもありません。しかし、それを「白鵬の相撲」と例えるのはどうでしょう、しばしばナチスやヒトラーは悪の代名詞として使われますが、ここでは白鵬がその役割を負わされているわけです。とはいえ白鵬が何か悪いことをしたとは思えないのですけれど……

 まぁ野田佳彦にとっては日本出身力士こそが善であり、モンゴル人横綱なんてのは侵略的外来種であり非難されて当然のものである、その名前を挙げることで「悪いもの」を想起するのが自然なことと感じられていたのだと思います。だからこそ、自分が否定したい対象(安倍政治)を衒いもなく白鵬になぞらえたわけです。

 そして、かつては野田とともに大不況時代の政権を担っていた枝野が今回、現政権を「社会主義」「日本を中国にしたいんじゃないか」などと非難の文脈で述べています。まぁ、枝野のような経済極右の市場原理主義者にとって社会主義とは絶対悪なのかも知れません。しかし資本主義も社会主義も理念の問題であり、どちらが悪というものではありませんよね?

 挙げ句は「日本を中国にしたいんじゃないか」云々。今となっては中国こそ資本主義の新たなリーダーですが、枝野の頭の中では色々と時計の針が止まっているのでしょうか。確かに中国にも避難されるべき点は多々あります。とはいえ、悪の代名詞として使うのが適切なのかどうかは、大いに疑問を感じるところです。

 もちろん政治家には各々の理想があり、目指すところはそれぞれ異なるものです。しかし思想の違いに絶対的な「正しさ」はありません。日本と中国、アメリカやスイス、インドやブラジルにロシア、どれが善でありどれが悪というものではないでしょう。いずれも尊重されるべきものはあり、中国=悪という発想は排他的ナショナリズム以外の何者でもありません。

 しかし「違い」を尊重できない偏狭な排外主義者の頭の中では、中国が自然に「悪いもの」として想起されている、それは見解の相違ではなく、正しいか正しくないかという基準で判断されているわけです。国の在り方はそれぞれですけれど、気に入らない相手を、自分が悪だと思っている国に例えて見せる人もいる――その振る舞いは「多様性」に対する真の態度を如実に表すものと言えます。

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合区批判に関しては納得できる

2018-09-23 22:22:40 | 政治

総裁選、地方票に注目 首相苦戦地域は選挙へ不安表れ?(朝日新聞)

 20日に投開票された自民党総裁選で、安倍晋三首相を相手に善戦した石破茂・元幹事長が45%を獲得した「地方票」に注目が集まっている。首相が苦戦した地域を分析すると、統一地方選や参院選を来年に控えた党員らの不安や不満が垣間見える。

 地方票は党費や会費を納める党員・党友が投じる票のことで、党の都道府県連が集計する。今回、首相が石破氏を上回ったのは47都道府県のうち、37都道府県に上り、石破氏が首相を上回ったのが10県だった。

 首相が優位な戦いぶりを見せたのは、二階俊博幹事長の地盤の和歌山をはじめ、菅義偉官房長官の神奈川、麻生太郎財務相の福岡など、政権幹部の地元だった。東京や大阪も押さえた。石破陣営は「都市部での首相側の組織票固めの動きが見えず、手を打てなかった」と言う。

 一方、石破氏が勝った茨城、富山、三重、鳥取、島根、徳島、高知、宮崎の8県は、石破派や石破氏を支持した参院竹下派の議員らが地盤とする地域。鳥取・島根、徳島・高知は参院選の合区導入県でもあった。石破氏は憲法改正の優先項目として「合区解消」を主張し、安倍陣営の幹部は「(石破氏の)合区批判の影響がもろに出た」と受け止めた。

 

 さて、自民党総裁選の結果を石破の「善戦」と扱うかどうかは見解の分かれるところですが、地方によっては現職の総理を上回る得票を得たところもあったわけです。この辺は派閥のパワーバランスによるところも大きい一方、「合区」の導入もまた少なからず影響したと言われています。安倍陣営の幹部(誰?)によると「合区批判の影響がもろに出た」とのこと。

 議員定数削減と一票の格差是正が進めば当然ながら、人口の減少する弱い県は必然的に議席の割り当てを失い、合区とならざるを得ません。そんな地域の自民党員には合区の解消を主張した石破への票が伸びた――と一部では推測されています。これがどこまで妥当かはさておき、自民党内だけではなく野党側も視野に入れるとどうでしょう?

 少なくとも理念上、国政に代表を送り込むのは、その地域に住む有権者の権利です。ゆえに地域の議席が削減されれば、該当地域の有権者の、国会に代表を送り込む権利もまた削減されると言うことができます。一方で議席を自らに与えられた特権であるかのごとく勘違いしている政治家もいるものでして、そうした人にとって議員定数の削減は「身を切る改革」との位置づけになっています。

 そして野党筋ほど、議員定数削減に熱心な傾向がある、それを「身を切る改革」を呼ぶ傾向が強いわけです。この辺、安倍総理は煮え切らない態度を続けていると言いますか、野党の主流派ほどには熱心ではありません。そして今回の首相の対抗馬だった石破は、合区解消を主張したとのことで、合区を生む定数削減とは相容れるのが難しそうにも見えます。

 良くも悪くも「反・安倍晋三」で旗幟鮮明なメディアもありまして、この総裁選なら石破に好意的、普段なら旧民主党系勢力に親和的な報道が基本スタンスとなっていたりもしますが、石破と野党が並んだ場合はどうなのでしょうね。「身を切る改革」を唱える政党と、「合区解消」を訴える石破、「アベ政治を許さない」という点に限れば両立できるとしても……

 もっとも安倍政権の信任投票ならいざ知らず、安倍から石破に変えるのが好ましいかという判断なら、今回の結果は納得できるというのが私の感想なのですけれど、合区の扱いについては石破の方が良いとも思いました。繰り返しますが、地域に割り当てられた議席とは、その地域の有権者が国会に代表を送り込む「権利」です。そのために改憲が必要かはさておき、有権者の権利は守られねばなりませんから。

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締め付けとはなんぞや

2018-09-16 22:34:44 | 政治

安倍陣営、地方で激しい締め付け 森友加計対応に反発も(朝日新聞)

 時に中央に反旗を翻し、独立王国の観もあった自民党の地方組織。安倍晋三首相が党中央を掌握する中、地方にも変化が見える。

 県政のドンと言われた人物のお別れ会が1日、水戸市であった。7月に97歳で世を去った山口武平氏。茨城県議を55年、自民党県連会長を22年間務めた。

 歴代首相とも関係を築き、党中央にたびたび直言した。政界随一の実力者だった金丸信・元副総理に「あそこは武平の独立王国だ」と言わしめたほどだ。

 お別れ会に駆けつけた麻生太郎財務相は山口氏をこう懐かしんだ。「『万機公論に決すべし』と口にされる一方、方針が決まれば一致団結を徹底された」

 いま山口氏のような直言型の政治家は減り、多様な議論を通じて党内世論を形成したかつての自民党は変貌(へんぼう)しつつある。5年半を超える安倍政権の下、自民党の単色化が進む。国会議員であっても異論を口にすれば冷遇され、首相と距離を置く議員は「物言えば唇寒しだ」とささやき合う。

 

 さて、こんな報道もありますけれど、どうしたものでしょう。例えば旧民主党系諸政党などは、国政でこそ自民党の対抗馬を演じる一方、地方組織は相乗りで自民党と共に首長を支えているのが一般的です。そういう類いも「中央に反旗」に該当するのかどうか、私は気になります。

 ここに引用した記事では「県政のドン」とやらが懐かしまれているわけですが、「都議会のドン」と何が違うのでしょうね。後者は随分と悪し様に言われてきましたけれど、いったい何が違うのかは、やはり気になるところです。結局、報道機関が肩入れしている政治勢力との関係次第で、肯定的に扱われたり否定的に扱われたりと、そういうものなのかも知れません。

 なお麻生太郎の語る「方針が決まれば一致団結を徹底」が事実なら、地方組織でも最終的には組織内での締め付けが激しかったのではないかと推測されます。つまるところ朝日新聞的には、安倍派の団結は悪い締め付け、反安倍の単色化は良き団結、ということになるのでしょう。

 そもそも「多様な議論を通じて党内世論を形成したかつての自民党は変貌」云々は安倍政権下で始まったことではなく、それこそ朝日新聞が今なお熱烈に支持する小泉政権下で急速に進んだことでもあります。小泉純一郎に異を唱えた政治家は党を追われ、刺客を差し向けられた時代もあったはずです。それを讃えてきた報道機関が現政権での「変貌」と非難するのも、節操のない話ですよね。

 一方で総裁選を巡っては、岡田裕二なる自民党の神戸市議が官邸幹部(誰?)から石破を支持しないように恫喝があったと訴えたり、斎藤健農水相が「安倍首相の応援団の一人(誰?)から『石破氏を応援するなら(農相の)辞表を書いてからやれ』と言われた」などと公言するなど、締め付けがきついのか、それとも緩いのかよく分からないのが現状です。本当に締め付けが厳しいなら、そう表に出てこないものですから。

 もう話題になりませんが、7月頃には人間山脈だか杉田水脈だかという自民党議員が「(LGBTのカップルは)子供を作らない、つまり『生産性』がない」と語って問題視されました。まぁ、安倍晋三・昭恵夫妻も子供を作っていないので生産性がなさそうですけれど、その辺はどういう扱いなのか、誰か夫妻にインタビューして欲しかったです。

 だいたいの民間企業では、上司を何よりも大切にするものだと思います。役員層に不敬があってはならないと、厳しく目を光らせておくのも中間管理職の重要な仕事です。では社長夫妻が不妊治療を受けたけどダメで結局子供ができなかったことが知られているような組織で、子供ができないんだから生産性がないなどと公言するような人がいたら、どうなるでしょうね。

 もし私の勤務先で上のようなことがあったなら、速やかに面談室送りとなるところですが、自民党の場合はどうなるのか、その後の水脈議員の扱いを見ると、ナアナアで済まされてしまったようにも見えます。あんまり、安倍晋三夫妻のプライベートなことには気を遣ってもらえなかったようですね。この辺は締め付けが厳しいというより、緩さを感じさせる一幕でした。

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水を注ぐこと自体は必要ですが

2018-09-09 22:58:29 | 雇用・経済

「派遣切り」直接雇用義務を迎える3年で続々と…「身分が不安定に」「誰のための法改正なのか」切実な声(弁護士ドットコム)

労働者派遣法改正から10月で3年を迎えるのを前に、研究者や法律実務家などでつくる「非正規労働者の権利実現全国会議」は8月31日、東京・霞が関の厚生労働省記者クラブで記者会見を開き、派遣労働者を対象に実施したアンケートの調査結果や、寄せられたネットでの相談事例を報告した。3年で「直接雇用」という改正後のルールにより、派遣労働者が直接雇用されるのではなく、「派遣切り」にあっている実態が浮き彫りになった。

 

 器に水を貯めるには、器に水を注ぐことと、器の穴をふさぐことが必要です。ところが器の穴を開けたまま水を注げば、当たり前のことですが器に水は貯まりません。この派遣労働者を対象とした直接雇用義務は典型例で、水を注ぐことを義務づけるようでいて底に開いた穴には何の規定もないため、当初に掲げた目的を達するにはほど遠い結果となっているわけです。

 今からでも穴をふさぐべく企業活動への規制が求められるところですが、一方で良い結果が出ていないことを大義名分として水を注ぐことまでをすら否定しようとする論者も少なくありません。あたかも労働者の味方を装いつつ、その実は旧態依然とした実質無規制の労働者派遣法を堅持しようとする人も珍しくないと言えます。

 実のところ非正規労働者の中には主たる家計の担い手もいれば、あくまで補助的に働く人もいるわけです。主たる家計の担い手は、当然ながら雇用の安定や一定の昇給を必要とします。一方で補助的に――旦那の稼ぎを補完するべくほどほどに――働く人もいて、そうした人々は「永遠に非正規で」働くことに抵抗がなかったりします。

 この非正規社員の直接雇用を義務づける法改正が「誰のため」であるかと問うなら、雇用の安定を必要とする主たる家計の担い手のためであると言えます。ところが非正規社員の中には相当数の「家計の補助として」働く人もいるもので、そうした非正規のまま働きたい人の声を、あたかも非正規社員の代表であるかのごとく扱いたがる人もいるのではないでしょうか。

 冒頭の引用も然りで、引用元の終盤には「アンケートに寄せられた派遣労働者の声からは、改正法に対する強い不満がうかがえる」と称して5つほど回答結果が紹介されているのですが、その内訳は(40代・女性)が4件と(50代・女性)が1件でした。確かに女性の方が非正規雇用の割合が高い現実もありますけれど、ピックアップされた「声」に偏りはないですかね?

 この引用元で「改正法に対する強い不満」を伝えられている(40代・女性)と(50代・女性)の内、いったい何人が主たる家計の担い手なのか、そこに私は興味があります。もし(40代・女性)と(50代・女性)がいずれも既婚者で夫に安定した収入があるなら、その声は無視してもいい、少なくとも優先して対処すべきものではないでしょう。

 自身の収入で家計を担う非正規労働者の失職と、夫の収入で暮らす主婦のパート雇用が打ち切りになった場合、その深刻さの度合いは全くの別次元です。率直に言えば後者の雇用が不安定になったとしても、前者の雇用が多少なりとも安定するなら、それは望ましい法改正であると判断できます。

 実際のところ、現行制度は底の穴を塞がないまま水を注いでいるに過ぎません。ここは早急に規制を設ける必要があるでしょう。ただ法改正の意図したところまでをも否定しようとする言説には、疑ってかかる必要があると思います。あたかも労働者の味方を装うようでいて、その実は雇用主の自由のために印象操作を繰り返している人も少なくありませんから。

 

・・・・・

 

直接雇用できない理由として、ある相談者は会社から「予算がないから」と言われたそうだ。小野弁護士は「企業が派遣会社に紹介料や手数料を取られてしまうためだ」と話した。

 

 なお本筋から少し外れますが、引用元には上記のようなことも書かれていました。派遣社員を派遣社員として雇うには、派遣社員の給与の5割増しぐらいの金額を派遣会社に支払い続けなければならないわけです。派遣会社にマージンを取られるのを漫然と受け入れてきた雇用主が、「派遣会社に紹介料や手数料を取られてしまう」ことを厭うのも、まぁ詭弁としか言えませんね。

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手帳はなくても

2018-09-02 23:10:11 | 雇用・経済

職場での障害者虐待が過去最多(共同通信)

 職場で雇用主や上司から虐待された障害者が、2017年度は597事業所で1308人に上ったことが22日、厚生労働省のまとめで分かった。人数は16年度に比べ34.6%増加。年度を通じて調査を始めた13年度以降、人数、事業所数ともに最多となった。

 通報件数も増えており、1483事業所、2454人といずれも過去最高。厚労省は「心理的虐待に当たるいじめや嫌がらせは一般の労働者でも相談が増えており、社会全体の問題意識が高まっているのではないか」としている。

 虐待の種類別(一部重複)では、最低賃金を下回る時給で働かせるなどの経済的虐待が1162人で最も多かった。

 

 2週間ばかり前に、こんな報道がありました。「職場での障害者虐待が過去最多」とのことで、この辺は氷山の一角と言いますか実数はもっと多いであろうと思われますが、まぁ社会の問題意識の高まりもあって表に出てくる数値が増えたと見るのは妥当なところでしょう。

 なお厚労省の匿名の誰かによれば「心理的虐待に当たるいじめや嫌がらせは一般の労働者でも相談が増えており~」だそうですが、虐待の種類別では、最低賃金を下回る時給で働かせるなどの経済的虐待が1162人で最も多かったことも伝えられています。そういうのも――法律違反ではなく――虐待と呼ばれるんですね。

 

障害者雇用3460人水増し 27機関で不適切算入(朝日新聞)

 障害者の雇用数を中央省庁が水増ししていた問題で、政府は28日、国の33行政機関を対象とした昨年6月1日時点の再調査結果を公表した。27機関で計3460人の障害者数の不適切な算入があり、平均雇用率は従来調査から1・19%に半減した。27機関で当時の法定雇用率2・3%に届いていなかった。障害者雇用の旗振り役となる国の約8割の機関で、水増しが広がっていた深刻な事態となった。

(中略)

 再調査の結果、最も水増しが多かったのは、国税庁で1022・5人。雇用率は2・47%から0・67%に下がった。国土交通省の603・5人、法務省の539・5人が続いた。雇用率はそれぞれ2・38%から0・70%、2・44%から0・80%になった。制度を所管する厚労省でも不適切な算入があったが、法定雇用率は達成していた。

 

 さて、冒頭の障害者虐待を伝える記事が出てから数日後、今度は官公庁における障害者雇用の水増しが報じられるようになりました。中央省庁の他、地方自治体でも類似の事例があるそうですが、国税庁などでは障害者雇用率を2・47%としていたものが0・67%へと下方修正されるなど、華々しい粉飾ぶりが伝えられています。

 背景としては民間企業と省庁の制度の違いがあり、民間企業では障害者手帳のコピーを外部団体に提出しなければならない一方、省庁の場合は厚労省への報告だけで良かったのだそうです。この独立行政法人へ障害者手帳のコピーを提出する制度、ともすると天下り先のための仕事作りに見えないでもありませんが、一応はチェック機能になっていたようですね。

 さて雇用主であるところの各省庁は厚労省に報告するだけで済むことから、そこで働く人が障害者手帳を持っているかどうかまでは、敢えて確認していなかったわけです。この辺は褒められたことでは当然ありませんが、しかしこの水増しを構成している「障害者枠で雇用されているけれど、手帳は持っていない人」とは、いったいどんな人たちなのか、ちょっと気になります。

 まぁ就労先が官公庁であれば心理的虐待はあろうとも経済的虐待まではなかろうと、そう期待して就職を望んだ人は多そうです。民間企業は手帳の有無を厳しくチェックする反面、「最低賃金を下回る時給で働かせるなどの経済的虐待」などの問題が大いに懸念されます。民間企業も官庁も、守っている法律もあれば守っていない法律だってあるでしょうから。

 結局のところ手帳を持っていなくとも就労に苦労したり、諸々に支障を来している人は珍しくないです。健常者として世間に認められているけれども、法律で認められた障害者よりずっと無能で有害な人だっています。自分の勤務先にしても、手帳を持った人よりもずっと気配りを必要とする人々に就労機会を提供しているわけで、もう法定雇用率を満たしているかどうかなんて気にしていられません。

 まぁ、障害者枠として線引きをするなら、その線引きに客観性を持たせるためには「手帳を持っているかどうか」が最大公約数的なものにならざるを得ないのでしょう。それぞれの雇用主が独自に基準を設けることを許してしまえば、結局は都合良く改変されるのを許すだけです。ただ現行の手帳交付の基準、手帳の有無による雇用の区分には、いくらか釈然としないものもあります。

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