非国民通信

ノーモア・コイズミ

毎日エレベーターを待ちながら

2016-03-30 23:47:45 | 編集雑記

 ……この画像は北斗の拳の有名なシーンですけれど、知っている人は知っているように次のコマでは明らかに3人以上が入れるスペースがあったとか、ケンシロウやトキが子供を担げばいいだけとか色々とツッコミどころが多かったりします。そんなわけでネタとして語り継がれる名場面だったりするのですが、私はいつも会社のエレベーターで、このシーンを思い出していますね。一人か、あるいは詰めれば二人ぐらいがギリギリ乗れる、そんな感じのことが多いので。

 一人か二人が乗れるのなら乗ってしまえば済む話と思いきや、そうならないのが日本の「社会人」の振る舞いなのかな、という気もしています。いつでもどこでも会社人たるもの団体行動、3人組、4人組あるいはそれ以上ででまとまって動きますから。そして降りてきたエレベーターには、一人もしくは二人分のスペースしか空いていません。では乗れるだけの人が乗り込むかと言えばさにあらず、「みんな一緒に乗れなければ、乗らない」わけです。「みんなで一緒に乗れるまで」待っているのです。

 かくして「一人か二人なら乗れる」エレベーターは満員になることはなく、次の階でも止まるのですが、そこでも「みんな一緒には乗れない」ので、待っている人が乗って来ない、なのでエレベーターはやはり満員とはならず、次の階でも止まる、しかし次の階でも「みんな一緒には乗れない」ので…… なんともまぁイライラさせられるのですけれど、どうやら少数派なのは自分のようです。

 とりあえず最近は、エレベーターに一人分でも空きがあれば、目の前で乗るの乗らないのでモタモタしている集団を押しのけてさっさと乗り込むことにしています。行列の前に並んでいる集団が「みんなで一緒に乗れるまで」待っているのにつきあっていたら、いつまで経ってもエレベーターには乗れませんから。一人でも乗れるのなら、一人で乗ってしまえ、と。

 諸々の世論調査(というほどのものでもないのかも知れませんが)では、「一人で○○するのに抵抗がある」みたいな回答をする大人が多いことに面食らいます。私なんかはイイ年をした大人が一人で飯も食えないのかと思うと哀れみすら覚えたりもするわけですが、例によって少数派なのは私の方らしく、「もっとみんなと友達になるよう努力しないとダメだよ」みたいなことも言われたりします。「中学校かよ……」みたいに私は感じるところですが、会社ってのは、そういうものなのでしょう。たぶん私は何歳になっても立派な社会人にはなれないと思います。

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年収400万円未満世帯の消費税負担、年平均5.44%に

2016-03-27 11:47:52 | 社会

年収1,000万円以上世帯の消費税負担、年平均42万674円に(マイナビニュース)

日本生活協同組合連合会は3月17日、「生協組合員の世帯負担消費税額」の調査結果を発表した。対象は34生協585世帯(給与所得世帯が349世帯、年金世帯が211世帯)。期間は2015年1月~12月。

2015年の年間消費税額は、1世帯あたり平均25万6,267円となり、2014年の平均24万893円から1万5,374円増加した。消費支出に占める割合は5.76%、収入に占める割合は3.83%となった。 さらに、世帯別の負担率では「年金世帯」が4.94%、「給与世帯」が3.49%となり、「年金世帯」の負担率が「給与世帯」を上回った。

所得階層別の消費税負担額は、最多の「1,000万円以上」世帯が42万674円。次いで、「800万~900万円台」世帯が30万3,222円、「600~700万円台」世帯が27万3,069円。以降「400万~500万円台」世帯が21万4,495円、「400万円未満」世帯が16万8,660円と続いた。

収入に占める消費税負担の割合をみると、「年収400万円未満」世帯が5.44%で最多に。最も低かった「年収1,000万円以上」世帯の3.12%と比較すると、1.74倍となった。

 

 さて、ここでも消費税の逆進性を示す調査結果が紹介されています。ちょっと母数は少なめですが、ヨソの調査と大きく食い違うものではありません。ある種の人々の頭の中(経済誌等々)では消費税に逆進性はないと言うことになっているようですが、現実は無情です。しかし、この結果を報じるメディアのセンスはどうなんでしょうね。見出しには「年収1,000万円以上世帯の消費税負担、年平均42万674円」と掲げられています。調査結果の眼目がそこにあるとは考えにくいところですけれど、まぁ自然と高所得者側に感情移入してしまうのが日本的な言論なのかも知れません。

 いずれにせよ、収入に占める消費税負担の割合は所得が低くなるほど高まるわけです。故・民主党を筆頭に原理主義的な逆進課税の信奉者は少なくありませんが、格差の拡大を政治的な目標にするのでないのならば、やはり消費税増税は避けられるべきものと言えます。低所得者も高所得者も課せられる税率は同じですが、収入の大半を支出に回さざるを得ない所得層と、有り余る収入の一部だけで裕福な暮らしのできる所得層とでは、当然ながら「所得に占める」税負担の割合は変わってくるのですから。

 都合の良い結論を導き出すために不適切な数値の使い方をする人もまた多いです。先般は軽減税率(単なる8%据え置き)導入を巡って「富裕層も貧困層もエンゲル係数は大差ない」と強弁して軽減税率に反対する人が多発していました。頭の悪さに、ぞっとします。つまりエンゲル係数とは「消費に占める」食費の割合であって、「所得に占める」比率ではないわけです。収入の大半を支出に回す低所得層のエンゲル係数と収入の多くを貯蓄に回す富裕層のエンゲル係数が同等でも、それは軽減税率の逆進性緩和効果を否定するものにはなりません。まぁ、そもそも8%据え置きでは~と言うところはありますが。

 ここで引用した調査では、「年金世帯」の負担率が「給与世帯」のそれを大きく上回ったことも伝えられています。そこは年金世帯と給与所得世帯の収入の差も大きく関与しているところなのでしょうけれど、ともあれ年金世帯(そして世代)には現役世代以上に手厚い配慮が、当然のこととして必要になるわけです。とかく高齢者向けの政策は嫌われがちで、「若者向け」を声高に要求するネット論客も多いですが、どうしたものでしょうね。むしろ現状は若者優遇の弊害の方が目立つと言いますか、「若くなくなった人」に冷たい社会だからこそ若者が将来を不安に思って守りに入っている傾向も強いように思います。「若くなくなった人」にこそ手厚い社会であれば、若者がイケイケになれそうなものですが、現状は真逆ですし。

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平凡な人では活躍できない社会

2016-03-23 23:15:40 | 雇用・経済

「スーパーウーマンばかりじゃない」 大卒主婦のホンネ(NIKKEI STYLE)

高学歴で専業主婦というと、女性活躍の視点からは「もったいない」と思いがちだ。ただ、その選択をした裏にはいくつもの理由がある。1000人の主婦調査とインタビューから、意外な事実が見えてきた。

(中略)

 やむを得ず主婦になったと回答した人で最も多い理由は、家事・育児と仕事の両立が難しいこと。ところが意外にもほぼ同数の31%と目立ったのが「夫の転勤」だった。「特許事務の仕事をしていたが夫の赴任で地方に住んだら、事務所自体がほとんどない」(40代)。都市部を離れることで再就職がより難しくなる例は多い。

(中略)

 「子どもを犠牲にするか、自分が倒れるまで頑張るかの二択しかない」(30代)。「スキルがあるために責任ある仕事をする立場になってしまい、結果家事育児に支障をきたす」(40代)。有能ゆえに仕事への責任感を抱え込み、だからこそそこまで打ち込む仕事生活を選べない。

 あれも、これも、私がやらなきゃ。女性活躍社会の実現とはチャンスだけでなく、「スーパーウーマンになれ」との責務と感じる人が少なくないようだ。

 

 女性の活躍云々は安倍内閣発足時から連呼されていますけれど、進捗はどれほどのものでしょうか。確かに日本の場合、政財界の要職に占める女性の比率は至って低い、シングルマザーの就労率の高さとは裏腹に、それ以外の女性が会社で働く率もまた国際的に見て低いわけです。この現状を変えようとするかけ声は結構ですが、そろそろ成果の端緒は見え始めなければいけません。しかるに女性を(日本企業から需要のある)安価な非正規労働力として活用したがっているのか、それとも男性と肩を並べるキャリア女性を増やしたがっているのか、今なお判然としないところすらある気がしますね。

 さて日経新聞社の調査によると、大卒女性が主婦になった理由としては定番の「家事・育児との両立が難しい」の他に「夫の転勤」が多かったようで、この結果を報道は「意外」と評しています。そんなに、意外なのでしょうか? まぁ人によっては夫の転勤=単身赴任が当たり前、それは妻側のキャリアとは無関係と、そう考えている場合も多いのかも知れません。しかし、これもまた社員が「仕事優先」で動いてくれるという雇用側にとってのみ都合の良い前提に基づいた社会認識であるように思います。

 引用元では「『スーパーウーマンになれ』との責務と感じる人が少なくない」とも伝えられています。「働かせる」側は会社での仕事のほんの一部しか理解できないものである一方、「働く」側には生活上の負担も色々とあるわけです。「仕事だけ」の昔ながらの男性社員ですら過労死するのが日本社会なのですから、それと家事・育児の両立はスーパーウーマンにならないと難しい、夫側も(世間の女性が結婚したいと思うほどの)収入がある職に就くのであれば相応に拘束される仕事である場合が多いでしょうから、家事の分担だって男がスーパーマンでない限り期待するのは無理筋です。

 いろいろな面で二極化しがちなのが日本社会でもあるのかも知れません。会社勤めも然り、仕事優先を当然視されて闇雲に地方へ飛ばされたり深夜まで付き合いを強いられたり、それを受け入れないとマトモな収入のある職に就くのが難しい、逆にスーパーウーマンでなくとも家事・育児と両立しうる範囲の仕事となると薄給の非正規雇用ばかりになってしまうといえます。結果として非正規に止まったり専業主婦に甘んじる人も多い、このような有様ではやはり女性の活躍とは言いがたいでしょう。都合良くスーパーウーマンが畑から取れるのでもなければ、もう少し何かを改めなければならないはずです。

 結局のところ、女性だけではなく男性の場合も含めて「ほどほど」の働き方を日本の会社が認めていないことに大きな問題があるのかな、と思います。つまり「スーパー」ではない「平凡な人」を想定した雇用ですね。とりわけ昨今は、たかだか正社員ごときで特別なものを期待されがちですけれど、そうなると必然的に「仕事優先で生きられる人」すなわち「家事育児の負担を配偶者に押しつけられる人」しか活躍できない社会になってしまいます。そうではなく、「ほどほどの働き方」でも年金受給年齢まで雇用が保障され、子供を育てて老後の資金も蓄えられる程度の収入が得られる、そうならなければなりません。しかし「ほどほどの働き方」が許されない、それを望むならば非正規しか道がないのが今の日本で、その欠陥が少子化や男女格差にも繋がっていると言えます。

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低すぎる目標は

2016-03-20 11:20:55 | 政治

大学学費、10年で半額に=参院選へ若年層政策-共産(時事通信)

 共産党の志位和夫委員長は17日の記者会見で、国公立・私立大学の学費を10年後に約半額にすることを柱とする若年層政策を発表した。学生1人当たり月額3万円の給付奨学金制度創設も盛り込んだ。18歳選挙権が導入される夏の参院選をにらんだ対応で、選挙公約に明記する。

 学費半額への値下げは、国立大学に対する運営費交付金や私学助成金を10年間、一定額ずつ増やしていくことで実現させる構想で、10年後の予算規模は1兆1000億円程度。給付奨学金の対象は現在の貸与奨学金受給者の半数に相当する70万人とし、その後拡大する。年間予算は2500億円程度という。

 

大学まで教育無償化や地方分権強化を規定 おおさか維新、憲法改正原案が判明(産経新聞)

 夏の参院選に向け、おおさか維新の会が作成を進める憲法改正原案の全容が15日、分かった。「経済的理由によって教育を受ける機会を奪われない」とする教育の完全無償化や、地方公共団体の権限強化を条項に盛り込んだ。国会議員らによる党憲法プロジェクトチームが党法律政策顧問の橋下徹前代表らと議論を重ねており、4月までに第1次試案としてまとめる方針。

 改憲試案の作成は、参院選を控え、「改憲勢力」として安倍晋三政権と歩調を合わせる姿勢を示すとともに、民主党など他の野党と一線を画す狙いがある。

 原案では、教育を受ける権利などを定めた26条について、経済的理由に左右されない教育機会均等の確保を具体的に記した。さらに、現憲法の「義務教育は、これを無償とする」とした条文を、「幼児期の教育から高等教育に至るまで、法律の定めるところにより無償とする」とし、幼稚園などから大学までの完全無償化を規定する。

 

 共産党は大学の学費を10年で半額にするという政策を発表したそうですが、おおさか維新の方が、より踏み込んだプランになっていますね。他はさておき教育面に限れば、おおさか維新は支持されるに値する政党と言えそうです。まぁ、選挙前の国民との約束は完全に無視して自民党との約束しか守る気のなかった民主党みたいな例もあるわけです。おおさか維新が連立与党の一員に組み込まれることがあったとしても、その際に高等教育の全面的な無償化を本気で実行に移そうとするかどうかは、にわかに信じがたいところもあります(付け加えるなら教育の無償化は憲法とは無関係にできるはずのことですし)。

 さて我らが日本国では、問題を抜本的に解決しうるような最良の政策よりも、より現状に妥協した中途半端な政策の方が「現実的」として高い評価を得ることも多いでしょうか。大学の無償化なんて外の世界に目を向ければいくらでも実例のある話ですけれど、それでも日本では非現実的な主張と一蹴されかねない、共産党の中途半端な半額案(1980年代の水準に戻るだけでは?)の方がずっと「現実的」として世間に受け入れられやすいようにも思われます。だからこそ私には、共産党の主張が衆に媚びたポピュリズムに見えなくもありません。まぁ、メディアの批判を浴びようとも堂々と大学の無償化を訴えるぐらいの気概を今の共産党に期待するのは難しそうです。

 たとえばアメリカ大統領候補の一人であるドナルド・トランプは妊娠中絶や国民皆保険、大きな政府に容認的であるなど対立候補であるテッド・クルーズなどに比べると部分的にはリベラル寄りの顔も持っていたりします。その辺は橋下一派と似ているのかも知れません。ヘイトスピーチ規制や危険な組み体操(学校教師の純然たる自己満足の世界!)の禁止を全国に先駆けて決めたのは大阪維新村でもあるわけです。そして今回の大学までの教育無償化も然り、と言えます。総合的に見ればダメな点の方が目立つ勢力の主張であっても、主流派なり中道なり、あるいは左派と呼ばれる層が後れを取っているところはあるような気がしますね。

 「現実的」とメディアや識者から許容されるような政策や主張は、何の結果も生まずに終わることも多いのではないでしょうか。何ら実現の当てもない放言になってしまっては確かに問題ではあります。しかし低すぎる目標もまた事態を改善させる機会を損ねるものです。たとえば安倍政権下のインフレ目標にしたところで、目指すところが低すぎてデフレから脱却できたかどうかも怪しいのが現実です。「ハイパーインフレになるぞ」などと下らぬ脅しを振りまく経済誌なんて無視して、もっと高い目標を設定しなければならなかったと言えます。教育政策に関しても同様、初めから低い目標しか設定できないようでは、あんまり期待できないなぁ、と。

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選択を迫れ

2016-03-16 23:24:19 | 雇用・経済

「だまってトイレをつまらせろ」 あなたならどうする(朝日新聞)

 ある工場のトイレが水洗化され、経営者がケチってチリ紙を完備しないとする。労働者諸君、さあどうする。

 ①代表団を結成し、会社側と交渉する。

 ②闘争委員会を結成し、実力闘争をやる。

 まあ、この二つは、普通に思いつくだろう。もっとも、労働者の連帯なるものが著しく衰えた現代にあっては、なんだよこの会社、信じらんねーなんてボヤきながらポケットティッシュを持参する派が大勢かもしれない。

 ところが栗原さんによると、船本洲治という1960年代末から70年代初頭にかけて、山谷や釜ケ崎で名をはせた活動家は、第3の道を指し示したという。

 ③新聞紙等でお尻を拭いて、トイレをつまらせる。

 チリ紙が置かれていないなら、硬かろうがなんだろうが、そのへんにあるもので拭くしかない。意図せずとも、トイレ、壊れる、自然に。修理費を払うか、チリ紙を置くか、あとは経営者が自分で選べばいいことだ――。

 

 ……とまぁ、少し前ですが、こんな記事が朝日新聞に載りました。引用した箇所から先は典型的な朝日新聞ワールドで、とりあえず安倍政権を批判したいんだなど言う熱意こそ伝わるものの謎理論満載で説得力は微塵も感じない代物だったりするわけです。その辺はさておき、紹介されたエピソード自体は大いに示唆に富むように思います。チマチマとした団体交渉なんかよりも、手っ取り早い実力行使こそが状況を改善するであろうことは想像に難くありません。

 安倍政権下では毎年、恒例のように経済団体に首相が賃上げ要請を出していますけれど、その結果は微々たるもので被雇用者の平均を取れば、増加する非正規雇用者の低賃金に飲み込まれて上げ幅が見えなくなってしまうレベルです。前政権時代よりマシとは言えるかも知れませんが、とうてい胸を張れるほどの実績ではありません。あるいは後ろ倒しにしたはずの就職活動の開始時期に関しても約7割の企業が解禁前に事実上の選考を行っていたとの調査結果があります。政府による口先だけの要請なんて何の意味もないのでしょう。重要なのは強制力です。

 では上述のトイレの例、企業側に状況を改善させる、そこに強制力を持たせることができるのは①~③のどれでしょうか? 最良の回答は当然、③の黙ってトイレを詰まらせることです。交渉の余地などいりません。状況を改善するほかない状況に経営者側を追い込むこと、それこそが唯一の解決策と言えます。そしてこれこそが、企業にとって都合が良いばかりの「よい子」になってしまった現代の労働者が学ぶべきことと思うわけです。

 日本の非正規労働者の待遇が悪いのは、非正規社員の能力が高すぎるから、と言えます。非正規でも会社の中核業務を担わせるのに十分な能力を持った人材が雇用できるのであれば、わざわざ正規に雇用する必要はありません。派遣社員でも会社優先で行動してくれる、アルバイトでも管理職のような責任感を持って働いてくれるのなら、非正規雇用で働かせるのが経営者にとっては当然の正解になるわけです。それを改めさせたいのなら、生ぬるい交渉では意味がありません。会社側が交渉に応じなくても、非正規社員はしっかり働いてくれるのですから。

 非正規雇用に従事する人が「世の中をよくするために」やるべきことは、まず何よりも怠業でしょうか。黙ってトイレを詰まらせる代わりに、黙って仕事を滞らせることです。その結果に非正規社員が責任を感じることはありません。非正規社員なのに経営者のような気分でいる人は少なくありませんが、まずは非正規としての自覚を持つべきです。責任は会社の偉い人が負うべきもの、非正規たるもの定時になったら業務が残っていても黙って帰り、会社側に選択を強いれば良いのです。今や非正規社員なしで成り立つ会社は希少です。非正規社員の待遇を改善するか、それとも一握りの(実務に疎い)幹部だけで仕事を回すか、それは経営者が選べば良いことですから。

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野党の案でもどうにもならない

2016-03-13 11:53:49 | 社会

安倍首相、社民・福島氏に激怒 「福島委員が政権にいたときより受け皿増やしている」(産経新聞)

 安倍晋三首相は7日の参院予算委員会で、「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログをめぐり、社民党の福島瑞穂氏と激論を交わした。

 福島氏はブログについて「この声をどう聞くか」と首相にジャブ。自身が子供の保育園や学童クラブ探しに苦労した経験を披露し、「もうすぐ4月だが、保育園に子供を預けて4月から仕事を再開したい女性が、(保育園に入れられず)戻ってこれない現状もある。これは本当に悲痛な叫びだ。政策の失敗だ」と首相に迫った。

 首相は「政策の失敗というが、失敗ではなくて、福島委員が政権におられたときよりも(保育所の受け皿を)20万人、40万人増やしている」と色をなし、民主党と社民党などの連立政権時代に比べて対策を講じていると強調した。

 

 ……とまぁ、上記のようなやりとりが国会で行われたのだそうです。現政権で、前政権時代よりも保育所の受け皿は増えているとのこと、それでいて全く足りていないと言われてもいるわけです。そして保育所の不足がこれほどまでに注目されている一方、日本では(シングルマザーを除き)女性の就労率が今なお国際的に見て低いことが指摘されていたりもします。(子供を預けて)会社で働く女性は増えているけれどもまだまだ少ない、保育所の受け皿は増やされているけれども需要を満たすにはほど遠い、というのが現状でしょうか。

 結局のところ、悪い方に向かっているわけではありませんが、かといって改善を誇れるような状況でもない、その辺が妥当な評価になりそうです。日本版の軽減税率とかもそうですね、やらないよりは確実にマシですが、狭い品目を8%に据え置くだけという諸外国の軽減税率に比べると、どうにも誤魔化しの域を出ない代物でもあります。何でもかんでも10%と逆進課税まっしぐらを理想とするような党の主張よりは許せるところもあるのですけれど、これで「国民の生活に配慮した」と言われても困ってしまうわけです。現政権の性格として、そういう傾向が強い気がします。

 

保育士賃金引き上げ、野党議員立法へ 月額1万円増想定(朝日新聞)

 民主党と維新の党は10日、保育士の賃金を引き上げる法案を議員立法で今国会に提出する方針を固めた。待機児童の解消のために人材を集めやすくする狙いで、保育士や幼稚園教員の賃金を引き上げる事業者に助成金を支給し、1人あたり平均で月1万円の賃金上昇を想定する。

 保育士や幼稚園教員の賃金は全産業平均より月11万円ほど低く、保育士の確保が難しくなっているという。両党は、保育士の賃金改善を求める2016年度予算案の組み替え動議を今月1日に衆院本会議に提出したが、否決された。改めて法案を出すことで参院選の争点にすることも狙っている。

 

 一方で攻勢に出る(つもり?)野党側の取り組みがこちら。「(保育士)1人あたり平均で月1万円の賃金上昇を想定する」のだとか。う~ん、こちらもまぁ低賃金のまま据え置くよりは確実にマシなのですが、伝えられるように「保育士や幼稚園教員の賃金は全産業平均より月11万円ほど低」いわけです。月額1万円の賃金増があっても、トータルすれば保育士の賃金は平均より10万円ほど低いことになります。それではやはり、人は集まらないでしょう。成果は0ではないとしても、必要なだけの成果を達成できるとは考えられません。

 これは報道の通り野党側の提言ですけれど、仮に自民党側の実績だったらどうでしょうね。少しだけ保育所を増やしても需要には対応できておらず野党からの批判を免れられないように、1万円ばかり保育士の賃金を増やしたところで、やはり必要な人員を確保できずに野党から批判されていたのではないか、そんな気がします。与党を批判する野党の対案と言っても、所詮はこのレベルなのかも知れません。民主や維新の主張が通っても、問題が解決しそうには見えないです。

 どうしても日本の場合、裕福な家庭=専業主婦で、むしろ収入が少ない世帯=共働きみたいなイメージが拭えないでしょうか。その辺は私の印象論ですけれど、女性が会社勤めをして高収入を得られる社会であるのならば、保育園の料金が高くても成り立つ、税金に依存せずとも保育士にマトモな賃金を支払える保育所も成り立つと言えます。しかるに女性の(夫側もですが)賃金が低くて保育園に高額な料金は支払えないようなら、保育所の運営費も抑制されざるを得ません。ヘンリー・フォードは自社の従業員にフォードの車を買えるだけの賃金を支払って成功しましたが、我々の社会は働く女性に保育園の市場価値に沿った利用料を負担できるだけの賃金を支払う気があるでしょうか? そうしない代わりに保育士の賃金を抑制して保育園の料金を抑える、というのでは必ずや綻びが出てしまうものです。

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身を切る改革はいらない

2016-03-09 23:40:18 | 雇用・経済

ハローワークが残業代440万円未払い…宮崎(読売新聞)

 厚生労働省宮崎労働局は2日、管轄する宮崎県内のハローワークの職員に、超過勤務代(残業代)の一部を支払っていなかったと発表した。

 未払い額は、2014年4月~15年2月の11か月間で計約440万円に上り、同局はすでに全額を支払った。

 同局によると、14年12月、ハローワークの常勤職員から「非常勤職員がサービス残業をしている」との指摘があった。このため、ハローワークの常勤・非常勤職員約330人について、14年4月以降の超過勤務の実態を調査した。

 その結果、県内に7か所あるハローワークのうち、4か所の非常勤職員計47人が残業した延べ618時間の残業代約118万円が支払われていなかった。残業時間は1人当たり1~77時間で、未払い額は同約1000円~約17万円。常勤職員3人についても、延べ4時間計1万1000円分が未払いだった。

 このほか、5か所のハローワークでは始業時間の午前8時半より前に上司の指示で5~10分のミーティングを行っていたが、その際、非常勤職員109人の約211万円分、常勤職員42人の約111万円分が支払われていなかった。

 

 我が国では市役所などの公的機関が率先して従業員の非正規雇用化を推し進めてきたところもあるのですが、ハローワークもまた非正規で働く人が多いことで知られています。ハローワークで勧めてくる仕事に非正規が多いのもさることながら、ハローワークの窓口で対応している人に非正規が多いわけですね。そんな中、「常勤職員から」「非常勤職員がサービス残業をしている」との指摘があったそうです。サービス残業をしている非常勤職員からの訴えではない、と言う辺りにもまた考えさせられるものがあるでしょうか。

 報道によればサービス残業の実態は「1人当たり1~77時間」「未払い額は同約1000円~約17万円」だとか。1時間1000円とか言われると苦笑してしまうところもありますが、合計すれば「2014年4月~15年2月の11か月間」「非常勤職員計47人」「延べ618時間」「約118万円」ですから、一人当り1ヶ月に1時間超という計算になります。ハローワークの性質を鑑みれば残業代の支給ルールは厳密に取り扱われるべきと言いたいですけれど、平均すると幾分か小さく見えなくもありません。ただ大半の人は誤差のレベルである反面、特定の個人が長時間のサービス残業を負わされていた可能性はありますし、その場合は大いに問題です。

 逆に平均を取っても問題視されるレベルなのは、報道の最終段落で伝えられている始業時間前の拘束に対する賃金不払いの方ですね。これは民間企業でもよくあることと言えますが、定められた勤務時間外であっても上長の指示で職場に拘束される以上は、当然のこととして賃金の支払い対象に入ります。とかく時間にルーズな日本人ですけれど、これはハローワークも守らなければならないルールですし、むしろ求職者に紹介する職場でも「守らせる」のがハローワークに期待される役目のはず、ハローワークが平然と賃金の不払いを続けているのなら、それこそ民間に示しが付きません。

 よく民主党や維新の党は「身を切る改革」と言いますけれど、自己犠牲を訴える人を私は信用しません。自己犠牲を説く人は、必ずや他人にも犠牲を求めるものです。そして他人に強いる犠牲を「自分たちも身を切ったのだ」と正当化してしまうわけです。そしてハローワークが、そうならないことを願います。ハローワークがサービス残業を当たり前と考えるようになったらどうなることでしょう。サービス残業のありそうな会社を嫌がる求職者に「自分たちもサービス残業をしているんだから我慢しなさい」とブラック企業を押しつけるようでは最悪ですよね。公的機関で働く人の待遇を引き下げることに精神的な喜びを見いだしている改革派も多いですが、ハローワークの職員はもっと権利意識を持って良いと思います。それが良い職を求める求職者への理解にも繋がりますから。

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都市部の声ばかりが伝えられがちですが

2016-03-06 11:13:16 | 政治

アダムズ方式なら「9増15減」、愛媛1減対象に 有権者は諦めや理解 /愛媛(毎日新聞)

 26日発表された2015年簡易国勢調査速報値。これを基に1票の格差是正で「アダムズ方式」を採用した場合、毎日新聞の試算では9増15減が必要で、愛媛が衆院小選挙区の定数(現行4)1減の対象となった。実現すれば、小選挙区制移行後、初の定数減となる。市民や県内の政党関係者からは、諦めや反対の声が上がった。

 アダムズ方式は、現行制度より人口比を反映した形で都道府県への議席を配分する仕組み。この方式だと、愛媛など15県が1ずつ減り、東京、神奈川など都市部の1都4県で計9増となる。民主、維新など野党や公明は受け入れを表明し、自民は愛媛が削減対象にならない「0増6減」案を提案している。

 1986年に衆院旧愛媛1区から3区▽96年に3区から2区▽2014年に2区から4区に変わった伊予市。同市米湊のうどん店店員、酒井豪人(たけと)さん(47)は「戸惑いというより諦めの気持ちが大きい。人口が減っているから仕方ないのかもしれない」と話す。松山市今在家3の団体職員、阪本拓生さん(64)は「定数が減ったとしても、国全体のバランスを考えて配分するなら仕方ない」と理解を示した。

 自民県連の河野忠康幹事長は「1票の格差是正にとらわれると地方の声が中央に届きにくくなる。個人的には『地方の定数を減らしてはならない』と叫び続ける」と話した。

 民主県連の松井宏治幹事長は「国会議員の身を切る改革は必要で、議席数は減らさなければならない」と定数削減の方向性は容認しつつ、「しわ寄せが全て地方にくるのは認められず、選挙制度自体を改革すべきだ」と注文を付けた。【橘建吾、黒川優】

 

 ちょっと長くなりましたが、議席を減らされる地方の声が伝えられる機会は少ないですので、全て引用したいと思います。この問題はどうしても都市部の「不平等だ!」という主張ばかりが目立つところですけれど、ただ一票の価値が軽かろうとも有権者数の増加が続く都市部と、一票の価値が重くとも人口減少が続く地方とでは、どう考えても前者の方が恵まれているのではないでしょうか。議員定数すなわち「国会に代表を送り込む権利」を削られようとしている愛媛在住者の「戸惑いというより諦めの気持ちが大きい」との言葉は、何とも言えませんね。議席を減らすよりも、まず何かテコ入れが必要な気がします。

 ここでの自民県連の「地方の定数を減らしてはならない」云々は概ね頷けるところである一方、民主県連は相変わらず「国会議員の身を切る改革」云々と宣うわけで、民主党は国も地方も一貫して議席を自らに与えられた特権であるかのように認識していることが分かります。議会制民主主義を理解しているのなら、議席の削減=有権者が代表を選出する権利の削減であることが理解できそうなものですが、民主党は異なる政治スキームに生きているのでしょう。ただ「しわ寄せが全て地方にくるのは~」との行は妥当な見解で、この辺は党の中央部も耳を傾けるべきものと言えます。

 

「地方から議員消える」 自民会合でアダムズ方式への懸念続出(産経新聞)

 「一票の格差を厳格に考えると、地方から国会議員が消える」として、憲法14条の「法の下の平等」などから導かれる投票価値の平等を修正するための憲法改正を求める意見も出た。

 

 憲法を根拠に地方の議席削減が進むとあらば、憲法を改正するというのも選択肢としては当然、出てくるものなのでしょう。これもまた意見としてはアリだと思います。あるいは自衛隊関係でそうであるように「解釈の変更」で済ませてしまうという手もあるのかも知れません。憲法を改正するとなると14条よりも別のところが書き換えられそうな状況でなかったのなら、地方の議席を減らすことよりも憲法改正を巡る論議が盛んになってくれた方が良かったと、そう考えられた気がします。憲法を遵守することが大事なのか、地方の議員を選出する権利が守られるべきなのか、それは簡単に結論が出されるべきことではないですから。

 たとえばアメリカの上院議員などですと、有権者一人当り○○なんて発想はなくて、人口100万人に満たない小さな州でも人口3,000万人を超える巨大な州でも、選出できる議員の数は同じです。日本的な一票の格差で考えれば優に50倍を超えてしまったりもしますが、それは不平等なのでしょうか。日本の場合「都道府県ごとに一人+人口割」という折衷型でアメリカで言えば上院と下院の議席数を混ぜ込んだような形になっているわけです。それが不当だとも不公平だとも私は感じませんが、批判が怖いのならばアダムズ方式ならぬアメリカ方式で、都道府県ごとに○人の選挙区と人口割の選挙区に分けてしまう、それで地方の議席が減らないように配慮するという手もありそうです。

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子供の頃からの夢がサラリーマンであるなら話は別ですが

2016-03-02 23:40:39 | 雇用・経済

 ちょっと時機を逸した話題になりますが、厚生労働省の「地域若者サポートステーション」の広報用ポスターが悪い意味で注目を集めていました。なんでも無職の若者の就職を支援するとの触れ込みだそうで、そのポスターには「キミはまだ本気出してないだけ。」と掲げられていたわけです。これが「上から目線」ですとか、「無職の若者すべてが本気を出していないように誤解される」「本気かどうか他人が断定できるのか」云々と批判を浴びたとのことです。それはまぁ、もっともな話だと思います。

 ただまぁ、私がもう一言付け加えるとすれば「仕事ごときのために本気にはなれません」ってところでしょうか。仕事は所詮仕事であって、人生ではないですから。もちろんプロ野球選手や国会議員など、特別に高給であったり特権があったりするような職業であるならば、仕事に対する取り組みの真剣さが問われるのも致し方のないとは言えます。しかし、人並み以下の薄給の仕事に本気を出すなんて、実に馬鹿げた話です。本気は会社のためではなく、自分のために使うべきものでしょう。

 そもそも安い給与と非正規待遇なのに「本気」で働く人がいては、それこそ社会の害毒でしかないわけです。低賃金でも非正規雇用でも従業員が本気で働いてくれるのなら、企業は人件費を増やす必要はありませんし、そうなると社会全体の給与水準は上がらない、日本で働く人の所得が減って国内市場の購買力も落ちる、そうなれば国内企業の収益力も低下する負のサイクルに陥ってしまいますから。世の中は、我々が少しずつ欲張りになることで成長するものです。そんな薄給で俺たちの本気は買えないよと、そういう姿勢を保つことが大事です。

 名ばかり管理職ではなく、本当に部下を率いるような本物の出世コースを目指す人は、まぁ本気で働けば良いでしょう。しかし、現代は誰もが管理職になれる時代ではありません(それは世代構成がピラミッド型の社会でなければ維持できないものです)。多数派の人は「率いられる部下」としてのキャリアを送ることになります。会社はそんな人にも「本気」で働くことを当然視するものですが、別に偉くなるわけでもないのに仕事のために本気にならなければならないのかどうか。一握りのエリート以外は、もうちょっと「自分の人生」を優先して生きる、そういう社会に変わる必要があるのではないでしょうか。

 似たようなのでもう一つ酷いなと思ったのは、2014年の衆院選の時の民主党のCMで「夢は正社員」云々って奴ですね。私に言わせれば「たかだか正規雇用ごときを『夢』にしないで欲しい」わけです。夢ってのは、それこそ本気になって追い求める価値のあるものです。人にはそれぞれ夢があることでしょう。しかし、正社員が「夢」とはあまりにも惨めです。「普通にやってりゃ正社員」の社会ならば人それぞれの夢を追うこともできます。しかるに「夢は正社員」では「正社員」ごときのために必死にならなければいけません。まさに悪夢です。

 先月は某アイドルグループの独立問題で揺れまして、その絡みで「奴隷のしつけ方」という本が話題にもなりました。古代ローマ時代の奴隷の扱い方を研究、紹介した本でして、何でも奴隷にやる気を出させるためには「解放」という餌がよく使われたそうです。そして現代日本ですと、まさに「正社員」が餌になっているところがあると言えます。非正規雇用ばかりが増える中で、「社員登用」をちらつかせることで非正規社員を本気で働かせようとしている雇用主も多いのではないでしょうか。たかだか社員になるために本気にならなければならない社会ってのは、貧相な社会だと思うのですが。

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