アップル、中国製有機EL採用か スマホ用、韓国リスク回避と報道(共同通信)
【北京共同】米アップルが、主力製品のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の画面に中国製の有機ELパネルを採用することを検討していることが分かった。調達先を韓国以外にも広げるという。中国メディアが21日までに報じた。日本による対韓輸出規制強化の影響で、サムスン電子からのパネル供給が滞るリスクを減らすためとしている。
日本が韓国に対して打ち出した措置が世界のサプライチェーン(部品の調達・供給網)に影響を及ぼした形だ。
中国勢が販路を拡大すれば、アップル向けの有機ELパネル量産化に生き残りをかけるジャパンディスプレイにも痛手となる可能性がある。
さて巷を賑わす対韓輸出規制強化の問題ですが、支持者の間でも理解は2通りあるように見えますね。一つは、日本からの材料調達が困難になると想定したもので、これで韓国企業に打撃を与えられると期待している人々がいるわけです。そして上記報道は、こうした人々の世界観に沿ったものと言えるでしょうか。日本からの規制により、韓国企業からの供給にリスクが見込まれているようです。
一方、今回の規制は「優遇措置の対象から外しただけ」であり、優遇対象「ではない」国と同等の手続きを踏めば引き続き日本からの輸入は可能である、単に韓国側が過剰反応しているだけなのだと、そう説く人々もいます。果たして実態に近いのはどちらなのか、韓国を悪玉視する人々の間でも、見解は分かれているように見えるところです。
優遇措置からの除外、という意味では、ロシアからウクライナへの天然ガス供給などが思い浮かびます。これもウクライナ政府のロシアに対する姿勢で変わったりするものですが、基本的にはロシア側の非として西側諸国から糾弾されてきました。アメリカとの関係が善悪を決めているからなのか、それとも優遇措置を外すことが国際的には非常識と見なされるのか、いずれが正しいのか興味深くもあります。
ともあれ、この日本側の報復措置に対するカウンターとして、韓国は日韓秘密軍事情報保護協定を「更新しない」ことを告げてきたわけです。これを日本では「GSOMIA破棄」と訳して大いに盛り上がっているところですが、その先はどうなるのでしょう。とかく日本の政治家は利益を度外視して理想を追うもの、国益を損ねようとも強硬な姿勢を続けそうな気がします。
ただ更新されないことになった軍事協定も、結局は優遇措置と同様のものです。協定を結んだ「ホワイト国」であるからこそ情報を共有する、そういう協定ですから。そして優遇措置が消えても、協定が結ばれる2011年よりも前のやり方に戻るだけであり、宗主国たるアメリカを通して正規に情報を収集すれば良い――そう考えれば、日本側が過剰反応して騒いでいるだけだと言うこともできます。対韓輸出規制にちなむ日本のロジックを使えば、ですね。
日本は韓国への優遇措置を外し、普通の国と同様の手続きを踏むよう通知しました。そして韓国もまた優遇措置を外し、普通の国と同様の手続きを経て軍事情報を入手するよう、伝えてきたわけです。この件で韓国側が過剰反応しているとみなすのならば、日本もまた同様である、とは言えるでしょう。まぁ、日本にとっては経済よりも軍事の方がずっと優先度は高い、経済がどうなろうと意に介さないが、軍事に関わることならば大騒ぎ、そんな人も多い気はします。