非国民通信

ノーモア・コイズミ

もう2週間後です。

2016-06-26 21:10:17 | 政治

 いつのまにやら参院選の候補が告示され既に期日前投票を済ませた人がいたり、なんだか時間の流れの速さを感じるところですが結果はどうなるでしょうか。世論調査によると18~19歳は他の年代より自民党支持傾向が強いようで、「我こそは若者の味方」と装いたがる人々の中でも明暗は分かれそうな気がします。そして各地の首長選や地方議会では自民党と民主&維新とで統一与党が結成されているのとは裏腹に、国政選挙では共産党が社民党化の道を選択しました。「野党統一候補!」と息巻く層もあるようですけれど、望んだ結果は得られるのやら。まぁ野党統一候補という虚構とは裏腹に自民党側からの「民共」批判を見ると、意外や対立陣営からは脅威に見られているのかも知れません。

 とりあえず私としては、やはり経済を重視したいところ、経済情勢が悪化すれば自殺者だって増えますし福祉を必要とする人だって増える、「金持ちけんかせず」とは反対の方向に突き進む人だって増えるわけです。とかくブルジョワは政治的、思想的な自由ばかりを重視しますが、経済的な要因による自由・不自由というのは考えられている以上に深刻なものがありまして、貧しいが故に人生に選択肢がない、嫌なことも拒んでいられない人々もいる、そうした存在は決して忘れられてはならないでしょう。人間の尊厳を重んじる上でも、経済以上に大切なことはありません。

 そして政党/政治家と経済を考える上では、消費税増税の失敗に向き合っているかが一つの尺度になると思います。消費税増税の失敗を認めて路線を改めようとする姿勢があるかどうか、それは政治家が現実と向き合えるかを問うポイントです。反対に、消費税増税「以外の何か」に景気低迷の責任を負わせようとしている政党/政治家は現実よりも政局重視なのだと言わざるを得ません。人によっては特定の政党の勝利こそが何より重要のようですが、どの政党が政権を握ろうと景気が上向くことが重要と考えるのなら、消費税増税が景気回復局面を破壊したことを認めている政権から投票先を選ぶべき、と言えます。

 外の世界に目を向けると、イギリスが国民投票でEU離脱の道を選びました。明らかに離脱が自国の利になるであろうギリシャではなくイギリスが離脱の先陣を切ったのは意外でしたが、まぁEUに属するようでいてユーロには未加盟、シェンゲン協定にも未加盟で元から距離を置いていたのがイギリスと思えば、それもアリなのかも知れません。ともあれイギリスの国民投票結果を受けて為替相場は大荒れ、円高が急激に進む結果ともなりました。それを受けて、民進党の岡田代表の主張が以下の通りですが――

 

岡田代表「アベノミクスのうたげは終わった」(毎日新聞)

 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国の国民投票で離脱派が勝利したことについて、民進党の岡田克也代表は24日の記者会見で「世界経済に及ぼす影響や、EUの統一がどうなるか大変深刻な問題だ」と懸念を示した。日本経済への影響には「けん引車だった円安・株高が逆回転し、離脱の問題がさらに拍車をかける。アベノミクスのうたげは終わった」と述べた。

 

 いかがなものでしょう? 故・民主党政権時代は実態からかけ離れたすさまじいばかりの円高を頑なに放置してきたわけです。1ドルが80円を切るなど、あり得ないレベルの円高に何の対策も取られてこなかったのは記憶に新しいところでしょう。そして岡田代表曰く「けん引車だった円安・株高が逆回転し」とのことですが、円高(&株価低迷)を見守るばかりであった民主党の残党と、金融政策をタブー視せず円高是正に動いた実績のある現与党とでは、期待できるものも大きく異なるように思います。確かに「円安・株高が逆回転」とは危険な兆候なのですけれど、異常な円高は過去に例がなかったわけではありません。そしてどのように対処してきたかは、与党にも野党第一党にも近年の実績があるのです。

 アメリカ大統領選では進歩的なサンダースと競う中で保守派のヒラリーも幾分か政策を良い方向に改めてきたように思います。対立候補の支持層を取り込むべく敢えて対立候補の主張を受け入れる、という選択も起こりえるわけです。日本でも昭和の時代には、自民党が社会党の提言に歩み寄ることがありました。負けた候補が一定の影響力を行使することだってあるのです。翻って現代日本の野党は、与党に良い影響を与えることができているのでしょうか? 野党支持層を取り込むべく自民党が民主党なり維新の党なりの政策や主張に接近したら、それは政権が変わらずとも日本の政治を良い方向に変えうるのか――そう思えるかどうかは皆様の判断にお任せします。

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人の方が安いなら

2016-06-19 23:21:47 | 社会

抱きかかえ、排泄、見守り…介護ロボット導入施設に「報酬加算」 政府が平成30年度改定で 「労働環境改善や人手不足の緩和も」期待(産経新聞)

 政府は10日、介護ロボットを導入することで介護職員の負担軽減やサービスの質向上を実現する介護施設に対し、介護報酬を加算する方針を明らかにした。ロボット市場拡大や職員不足対策につなげる狙い。介護現場にロボットを導入して得られる改善効果などをデータ化する実証実験を8月から開始。結果を基に具体的な加算割合などを算出し、平成30年度の介護報酬改定に盛り込む考えだ。

(中略)

 現状、介護ロボットは1台数百万~数千万円と高額なことなどを理由に施設への導入は進んでいない。 経産省は今後、ロボットの価格が下がり、介護報酬の加算などの政策でロボットの施設への導入が進めば、「単純労働をロボットが、複雑な仕事を人間が行う分業化が始まる」と分析。その結果、「労働環境の改善や人手不足の緩和も図られる」と期待する。

 

 よく「今ある仕事は機械に取って代わられる、将来的には必要なくなる」みたいなことを言う人がいます。「今時の若者は~」みたいな言説は紀元前の石碑にすら刻まれているそうですが、「今ある仕事は~」系の歴史はどんなものでしょうね。実際のところ産業革命時代にも「機械に雇用機会を奪われる」と考える人が存在したことは見て取れるわけですけれど、数百年の時を経てもなお人類は労働から解放されてはいません。

 さて報道によれば政府は介護ロボット導入を後押しするようで、実効性はさておき方向性としては歓迎されるべきでしょうか。合理性を嫌う我が国ではOA化や機械化にも一定の反発があったりするものですが、実際に現場で仕事に追われている人からすれば、仕事を楽にしてくれそうな装置の導入は喜ばしいことではないか、と思います。今でも育児を筆頭に、手間暇のかかる選択肢の方が是とされがちなところもありますけれど、介護施設の入居者にまで、そんな歪んだ愛情を求める人はいないですし。

 なお記事では「今後、ロボットの価格が下がり」云々とのこと、この想定はいかがでしょう? 世の中には、時代が進むに連れて価格が下がっていく製品もあれば、価格が下がらないどころか上昇していくものもあります。思惑通りに介護用ロボットの価格は下がるのか、どうにも鬼が笑うレベルの話に感じないでもありません。まぁ太陽光パネルよろしく中国辺りが日本製を駆逐する安価な商品を造るようになる未来ならばありそうですが。

 ともあれ現在は、ロボットが高いから導入が進んでいないわけです。裏を返せば「人間の方が機械より安い」わけです。こういうケース、他の産業でも決して珍しくはないのではないでしょうか。人間が機械に取って代わられるどころか、「人間の方が安いから」機械でもできる仕事を人間にやらせていることだって多々あるはずです。世界経済の孤児として賃金水準も低空飛行を続けてきた日本であれば、「機械よりも人」への逆流だってあり得ます。人が安く雇える日本なのだから、わざわざ高価なロボットは必要ない――効率化ではなく人件費の抑制を追求していく国では、そういう判断だって成り立つのです。人件費が高い国なら少ない人でも仕事を回せるように機械化を進めなければなりませんが、日本はそこに該当するのかどうか――

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今日も東京は平和です

2016-06-12 23:05:15 | 政治

 さて舛添都知事の政治資金問題で色々と紛糾したりもしているようですが、影響はどんなものでしょうね。目の前の嵐さえやり過ごせば、いずれは他に報道の主役になれるような扇情的なネタが見つかって忘れらされそうな気もしないでもありません。なにせあの石原や猪瀬の時代でも普通に栄えていたのが東京都です。都知事なんかとは無関係に東京には日本の富が集まっていくものであって、都議会がカネの問題にうつつを抜かしていても都民の生活や都内の事業者の営業活動は何事もなく続いていくものなのかも知れません。

 どれほど政治家が私腹を肥やそうとも、誤った政策を実行に移す政治家に比べれば可愛いものです。どれほどカネに汚い欲にまみれた政治家が現れようとも、小泉純一郎や菅直人のような類いほどには有害ではない、と思います。政策的な誤り以上に国民に被害を与えるものはありません。政治資金の私的流用によって有権者が被る痛みなんて純粋に感情的なもの、妬みや上っ面の正義感をくすぐられる程度のものです。しかし、ひとたび権力者が謝った判断を下せば、どれほど多くの国民が路頭に迷うことでしょう?

 しかしながら、政策的な過ちには結果がどれほど悲惨なものであってさえ一定の擁護者が付くもので、時には過去に起こった事実をねじ曲げてさえ正当化、美化する人がいるわけです。それに比べるとカネの問題(ついでに女性問題)は一種の国民的合意が形成されていると言いますか、全会一致でダメなこととして扱われており、それをかばう人はいません。不適切な金銭の取り扱いこそが政治家にとっての致命傷になっていると言えます。どれほどの失政を重ねることよりも、カネの問題の方が政治家の地位を揺らがせるものなのですね。

 まぁ今回の舛添と同程度の――法的な違反として罪に問われることはないが国民を納得させる説明はできない――政治資金問題としては小沢一郎のケースが思い出されるところでしょうか。小沢は不思議と狂信的な支持者がネット上と夕刊紙に存在していたりもしたもので、その辺が無理筋を厭わぬ陰謀論で小沢擁護を繰り返していたりもしましたけれど、それに比べると舛添は良くも悪くも狂信の対象とはなっていない、と言えそうです。その辺が「他の候補よりマシ」と選挙で有権者から判断された理由にも感じられるところですが、仮に辞任の可能性が出てくるならば「もうちょっとマシ」な候補は見つかるでしょうか?

 自民党が問題のある主張を繰り出せば、今度は負けじと民主(民進)党が輪をかけて酷いことを言い出すのが近年の日本の政治ですけれど、石原の後の猪瀬みたいな事態になってしまうくらいなら、舛添が地位にしがみつくのもアリなんじゃないかと思える昨今です。そもそも公私混同の類は非難されがちですが、むしろ公私の区別を付けないのが日本の文化なんじゃないかという気もします。「私」の領域に仕事を割り込ませ、アットホームな職場では私的な人間関係の構築を強いられるのが日本の企業文化です。仕事は仕事、プライベートは無関係とビジネスライクな振る舞いを許容してこなかったのが日本社会であるだけに、まぁ舛添の振る舞いも一種の社会の縮図なり病理の反映みたいなものなのかも知れません。仕事とプライベートの境が曖昧なのは都知事だけではないですから。

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未来へのツケ

2016-06-05 22:06:02 | 雇用・経済

厚生年金逃れ、国の想定以上 建設業・ごみ収集員も(朝日新聞)

 従業員に資格があるのに事業所が厚生年金に入れていない「加入逃れ」が政府の想定以上に広がっている。厚生労働省は未加入者を約200万人と推計して事業所の調査に乗り出したが、対象に含まれない建設作業員やごみ収集員の一部も未加入なことが朝日新聞の調べでわかった。

 従業員5人以上の個人事業所は厚生年金に加入する義務がある。だが、建設業者の中には雇っている作業員を「一人親方」として仕事を外注している実態が判明。厚生年金の保険料負担を避ける狙いで、こうした作業員は保険料が全額自己負担の国民年金に入る。一人親方は2015年度で全国に約60万人おり、加入逃れのため装われたケースも少なくないとみられる。

 東京23区の日雇いのごみ収集員(2千~3千人)のほとんども厚生年金に未加入だ。同じ業者に1カ月以上続けて雇われれば厚生年金の加入条件を満たすが、委託業者の一部は違法に加入を避けている。

 

生活保護、高齢者世帯が初めて5割超える 厚労省発表(朝日新聞)

 生活保護を受給した世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯の割合が50・8%となり、初めて半数を超えた。厚生労働省が1日に発表した3月分の速報値でわかった。高齢化を上回る勢いで増えており、公的年金が老後の暮らしの支えになっていない実態が改めて浮き彫りになった。

(中略)

 公的年金は老後の支出すべてを賄えるように設計されておらず、年金頼みの老後を送る人にとっては十分な額ではない。14年に厚労省が実施した調査では、高齢者世帯に属する生活保護受給者の約47%は公的年金を受け取っており、その平均受給額は約4万6600円。ただ、高齢者の夫婦でともに無職の世帯は月平均で約27万5700円(15年家計調査)の支出がある。

 

 2本ほど続けてニュースを引用しましたが、いかがでしょうか。この国の未来を占う上では大いに判断材料になると思います。そして未来を変えるか変えないかは、間接的ではあれ有権者にも問われるところですね。日本の会社の不法行為は目に余ると言いますか、事業者と消費者は守っても労働者は守らない日本の緩すぎる規制の結果が将来へのツケになるであろうことは繰り返すまでもありません。虚偽記載に溢れた求人はハローワークに公認され、偽装雇用は横行するばかり、それでも企業が罰せられることなど万に一つ以下の確率でしかない、まさに日本は雇用者天国といった風情ですが、その結果として今に至るわけです。

 かつて我が国は日本国籍を持たない――1945年までは有無を言わさず帝国臣民としてカウントしていたはずですが――日本の永住者を年金加入から排除してきました。その結果として、高齢者の中でも日本国籍を持たない人々の生活保護受給率は幾分か高い物になっていたりします。高齢になれば自分で稼ぐのは誰だって難しくなるわけで、そうであるにもかかわらず公的年金の対象から除外などしていては、当然のこととして年金とは別の社会保障に頼らざるを得なくなるに決まっているのです。50年以上前から、わかりきっていたことです。

 何事も目先のコストカットは将来の負担に繋がります。賃下げと人員削減で一時的に利益を上げているように見せかけている企業が、その後は着実に沈んでいくのと同じように、こうした年金の加入逃れは将来的な「年金以外の」社会保障負担を増やすだけ、社会全体で見れば将来に借金を残す行為になっていると言えます。改革と称して諸々のコストカットを進めて賞賛される政治家や企業経営者は数多いますけれど、長いスパンで見れば20年後、30年後により重い負担がのしかかってくる、そんなケースは枚挙にいとまがありません。

 とかく日本のメディアや経済筋の論者は「将来に借金を残すな」と言って目先の財務状況の改善を急務と説くものです。しかるに実際のところは全くの筋違いと言いますか、目先の出費を惜しんで将来への投資を減らしインフラを破壊してしまうと、それこそ次の世代が苦しめられることになるものなのではないでしょうか。目先のコストカットを進めれば将来の世代は育たず、未来の収穫を減らして結果的に収支を悪化させてしまうだけ、借金を増やす要因を追加してしまうだけです。「将来に借金を残すな」と声高に説く人が実行を迫っているのは、種籾を食べることだと言えます。

 ドイツその他の債権者や投資家を救ったEUの緊縮財政はギリシャを壊滅させ、世界経済にブレーキをかけることにもなりました。緊縮財政はある種の人々に精神的満足感をもたらすものではあるかも知れませんが、その爪痕は将来の禍根となるものでもあります。逆に財政出動のように普遍的な景気刺激策は、種籾を植えるものです。目先の出費は増えるかも知れませんけれど、将来の収支を改善するための投資を惜しんではいけないでしょう。年金行政も然り、企業の負担を緩和することばかり考えていれば、それは必然的に将来的な社会の破綻を招くものです。そこはしかるべく企業に負担させなければ、当の企業ですら生きられない荒廃した社会ができあがってしまいます。

 ……後はまぁ、ことによると民間企業以上に「公」の世界が悪い意味で先を行っている部分もあるわけです。日本経済が伸び悩む主因としては個人消費の低迷が広く指摘されるところで、その原因としては賃金水準の下落、非正規雇用への急速なシフトが挙げられます。そして非正規雇用へのシフトを他に先駆けて強行してきたのが公務員の世界であるはずです。「公」の世界で行われていることなのですから、それに続いた民間企業が非難されるいわれはないのかも知れません。冒頭の報道で例示されている「東京23区の日雇いのごみ収集員」も然り、脱法行為を続ける事業者に平然と業務委託を続けているのは公的機関なのです。不法な年金の加入逃れも、役所のお墨付きなら仕方がありませんね!

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