非国民通信

ノーモア・コイズミ

ラマザンの精神

2020-11-29 21:51:28 | 社会

麻生氏、再び「民度高い」 新型コロナ対応で(時事通信)

 麻生太郎副総理兼財務相は26日、東京都内で講演し、日本の新型コロナウイルス対応に関し「マスクを着け、手を洗い、出勤をずらし、いろいろな努力をやった。民度が高いって言ったらぐちゃぐちゃ言われたが、世界中が日本の民度が高いと言っているんだからいいじゃないか」と述べた。

 麻生氏は6月に国会で、日本での新型コロナによる死者数が欧米より少ないことについて「民度が違う」と答弁し、批判を浴びた。

 

 バイデン次期アメリカ大統領より2歳ほどの年長者として知られる天下の副総理ですが、性懲りもなく「民度」が云々と述べているそうです。何でも「世界中が日本の民度が高いと言っている」とのこと。この辺は技術力と同じで一部の日本人の思い込みに過ぎず、トランプの言う選挙不正と同レベルの代物ではないかという気がします。逆に中韓ベトナムに感染対策で後れを取る辺り、民度の違いはどうなのでしょうか。

 1日あたりの感染者数最多、あるいは週あたりの最多、止めに重症者数も最多を記録するなど、麻生の周囲はさておき今は再度の新型コロナウィルス感染拡大のさなかにあるわけです。一方でマスク着用はまだしも、時差出勤やリモートワークについては「元通り」の方向へと戻りつつあり、通勤時間帯の電車混雑は増すばかりでもあります。民度とはいったい何なのでしょうね。

 大企業でもリモートワークから「通常出社」へと復古を進める会社は少なくありません。その筆頭である伊藤忠商事の社長曰く「テレワークをするための体制や機器が整っているからといって、自分たちだけ在宅勤務をしていいのだろうか」「伊藤忠のお客さんの多くは現場に出なくてはいけない。そういう人たちがいる中で、伊藤忠の本社だけが在宅勤務をするという考え方はありません」とのこと、こうして過密状態が戻ろうとしています。

参考、商人は客に寄り添う 「出社が基本」伊藤忠・鈴木社長(日本経済新聞)

 「サビ残」もあれば、「ラマ残」もあると、以前に私は書きました。イスラム教徒の間では特定の時期に日中の飲食を絶ち、飢えや渇きなどの苦しい体験を共にすることでコミュニティ間の連帯意識を養う風習があるわけです。この断食を行う時期=ラマダンと似たような風習として日本にも、「ラマ残」があると私は思っています。残業という苦しい体験を共にすることで社内の連帯感を強める風習は皆様の勤務先にもあるのではないでしょうか?

 ラマダン期間の断食は、食糧不足を理由として行われるものではありません。あくまで苦難を共にするために「あえて」行われることです。同様に仕事が残っているからではなく、あくまで苦難を共にするために「あえて」行われている残業もまた少なくないように思います。そしてこの「ラマ残」に参加しない人は、ムスリムが多数派の社会における異教徒のような扱いを受ける、よくあることではないでしょうか。

 伊藤忠の社長の、リモートワークと出社勤務に関する考え方もラマダンあるいはラマ残の精神に基づくものだと言えます。テレワークをするための体制や機器が整っているとしても「あえて」感染リスクを冒して通勤させることでコミュニティにおける連帯感を高めていく、そうした判断が下されたわけです。民度の違いは何処へやら、イスラム教徒も日本の財界人も、同じ人間として根本的な考え方は変わらないのですね。

 国家公務員の今年の賞与は0.05カ月分の削減と決められました。昨今の社会情勢で公務員の仕事量は大半が増大しているはずですが、公務員の給与水準は働きぶりではなく民間企業の後追いで決められるものですから致し方ありません。ところが、この削減幅が少ないと噛みつくメディアや論者が後を絶たないわけです。給与あるいは賞与の大幅な削減から免れる人は異教徒であり、(必要なくとも)苦難を共にして初めて共同体の一員として受け入れられる、そういうものなのでしょう。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民主党政権とは何だったのか

2020-11-22 22:24:43 | 政治

「悪夢」のはずが「少し良いことあった」 安倍前首相、旧民主党政権を評価(毎日新聞)

 安倍晋三前首相は16日、東京都内で、かつて民主党に所属した自民党衆院議員の長島昭久氏の政治資金パーティーに出席し、「もっぱら私は民主党は批判の対象にしかしなかったが、少し良いことがあった。例えば武器輸出三原則の緩和だ」と述べ、旧民主党政権を評価した。安倍氏は首相在任中に民主党政権を「悪夢」とたびたび批判してきた経緯がある。

 民主党政権は2011年、武器や関連技術の輸出を原則として禁じた武器輸出三原則を緩和。同三原則は14年、第2次安倍政権のもとで防衛装備移転三原則に変わった。安倍氏はパーティーのあいさつで、民主党政権による三原則緩和について「それをベースに安倍政権になって新しい三原則を作った」と説明した。【遠藤修平】

 

 安倍前首相が故・民主党政権を評価したとのことですが、いかがなものでしょうか。確かに武器輸出三原則の緩和は民主党政権下で行われたとして、それを民主党支持層が評価しているのかどうか興味深いところです。とりあえず高校無償化を朝鮮学校を外す形でスタートさせたり尖閣諸島の国有化や消費税増税を決めるなど、民主党政権の遺産は安倍内閣にも少なからず引き継がれており、その点では「少し良いことがあった」のかも知れませんね。

 「小泉構造改革路線を忠実にやっているのは民主党だ」とは、当の小泉純一郎の発言です。ともすると自民党は民主党政権に否定的と思われがちですが、当時から民主党政権に肯定的な言動を取っていた人がいなかったわけではありません。例えば河野太郎なども民主党の事業仕分けを指して「正直うらやましい。もっと厳しくやって」「オレにやらせろという気持ち」と賛辞を尽くしていました。

 もっとも、当時は自民党に所属していた小池百合子などは「中共の『日本解放工作要綱』にならえば、事業仕分けは日本弱体化の強力な手段」などと語っていたわけで、自民党内でも小泉・河野など民主党肯定派もいれば、否定派もいたことが分かります。河野太郎と小池百合子、同じ党に籍を置いていたもの同士で何故に見解が180°異なったのか、この辺は面白いところです。

 民主党政権は安倍晋三の言うように悪夢だけれど少し良いことがあったのか、それとも小泉純一郎や河野太郎が言うように自民党が羨むような薔薇色の時代だったのか、あるいは小池百合子が言うように中共wの工作で日本弱体化が図られた時代だったのか――果たして民主党政権とは何だったのでしょうね。

 政策的には小泉構造改革路線を引き継ぐものではあったと思います。この点では小泉純一郎や河野太郎の評価が(それを肯定的に受け止めるか否定的に受け止めるかはさておき)概ね正しい印象です。付け加えるなら、民主党政権は「公正な」代物であったと言えるでしょうか。政策は別として公正さにおいては、自民党政権から顕著な変化がありました。

 政党とは少なからず支持層との「しがらみ」があって、必然的に支持基盤の利害を代弁することを期待されるものです。地域の代表者として地元に金を引っ張ってくる、今は少なくなりましたが昔はそういう政治家がたくさんいました。業界団体の支持を得て、その業界を不毛な競争から守るべく活動する議員だっています。では多数派労組を支持母体とする民主党政権はどうだったでしょうか?

 「安倍政権とは違って」春闘に介入しないことで労組の主権を最大限に尊重したと言えないことはありません。ただ労組の組合員のために民主党が便宜を図ってきたかと言えば、それは真逆だったわけです。支持層である労働組合――を構成する組合員に利益を誘導するような政策は民主党政権下では垣間見られず、むしろ企業寄りでさえありました。企業からの献金は専ら自民党>民主党でしたが、だからといって民主党が雇用側に厳しく出ることはなかったのです。

 労働組合を支持基盤とする党であるにも関わらず、そこに贔屓目がなかったのは民主党政権の公正さの表れだったと言うほかありません。逆にライバル政党への献金額が自党へのそれを上回る財界への配慮も欠かさなかった点は、自民党と民主党との明確な違いではなかったでしょうか。支持層への利益誘導は一切行わない、それが民主党政権の特徴でした。

 離合集散を繰り返す民主党系の諸派閥はしばしば「リベラル」という言葉と共に語られます。これが実態に合致しているかは別問題なのですが、ともあれリベラルな党としてのイメージを託されており、それゆえに毛嫌いする人もまたいるわけです。では「リベラル」を毛嫌いする極右層を民主党が嫌っていたかと言えば、この点でもまた「公正さ」があったように思います。

 その現れの一つが安倍晋三の挙げた武器輸出三原則の緩和であり、朝鮮学校の無償化除外や尖閣国有化と続くのではないでしょうか。民主党は公正であるが故に、自身を「リベラル」と思い込んで毛嫌いする層にも配慮した政治を行ってきたわけです。民主党そのものは右派層からは嫌われているけれども、民主党は右派を嫌っていない、党を嫌う右派層にも喜ばれるような政策を心がけてきた――それが民主党政権であったと言えます。

コメント (1)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

51番目の州から

2020-11-15 21:46:55 | 政治

 とかく人に迷惑をかける側ほど「世の中が狭量になった」みたいなことを言い募るものです。そうした人は軒並み、自身の不適切な振る舞いが許容されていた過去を正当化し、自分たちは抑圧されているのだと信じています。実際には加害者でありながら、被害者意識を振りかざす――そんな人々にとってトランプは英雄であったのかも知れません。

 アメリカ大統領選もようやく全州の集計が終わり、バイデン候補の勝利が確定しました。トランプ大統領は選挙の不正を主張しますが、今に至るも根拠は一つも挙げられていません。ただトランプ支持層は専ら、根拠はなくとも不正があったと強く信じているようです。世の中には「聖書にそう書いてあるから」との理由で物事を信じる人もいるわけですが……

 トランプ大統領とその支持層は「そうであって欲しい」という単なる「願望」と「現実」を区別しません。これは新型コロナ対応でも明らかになったように現実に立ち向かう上では絶望的な姿勢でもありますが、にも関わらず内なる支持を揺らがすほどの致命傷とはなりませんでした。ただ得票数では負けても選挙人獲得数で上回った4年前と違って、今度は選挙制度の恩恵を受けられなかっただけですね。

 もし日本人にアメリカ大統領選の選挙権があったなら、どうなっていたでしょうか。トランプの先駆者とも言うべき石原慎太郎は東京都知事選で負け知らずでしたし、日本はトランプが政界を志すより遙か昔からアメリカの国益を第一に考えた外交姿勢を貫いてきたわけです。そして自分のことを他のアジア人とは別物と考える名誉白人達は何があってもトランプを支持したことでしょう。

 ヒラリー・クリントンもバイデンも至って普通の政治家であり、対するトランプは「普通ではない」政治家でした。その「普通ではない」ところに、(方向性はさておき)変革を期待した人は多かったと思います。一方でトランプのコアな支持層は、黒人が平等な扱いを求めることに被害者意識を持つ「たまたま白人に生まれただけの人」や、移民が平等な扱いを求めることに被害者意識を持つ「たまたまアメリカ人に生まれただけの人」でもありました。支持層がトランプに期待したのは変化であると同時に、田舎のアメリカ白人の既得権益を守ることでもあったわけです。

 この辺は、かつて日本で幅広い支持を集め今でも朝日新聞や民主党系の政治家から賞賛の止まない小泉純一郎を思い起こさせるものでもあります。党内の異端派として「普通ではない」ことを期待され、格差を固定化するための「改革」を推し進めた総理大臣もまたトランプの先駆者の一人と言えるでしょう。その辺を思うとトランプは――この特別な同盟国に外国人参政権でもプレゼントしておいた方が良かったかも知れませんね。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

30~50代、男性

2020-11-08 22:46:27 | 政治

投票率は62.35% 期日前6万人増―大阪都構想(時事通信)

 大阪市選挙管理委員会は1日、「大阪都構想」の是非を問う住民投票の投票率が62.35%だったと発表した。男性が60.25%、女性が64.29%。前回2015年の住民投票の66.83%を4.48ポイント下回った。

 

無党派層6割が反対 住民投票、男女で賛否割れる―大阪都構想(時事通信)

 1日に投開票が行われた「大阪都構想」の住民投票で、時事通信が実施した出口調査によると、全体の3割半ばを占めた「支持政党なし」の無党派層は61%が「反対」、39%が「賛成」にそれぞれ投じた。性別ごとに見ると、男性で58%が賛成、女性で59%が反対した。

(中略)

 年代別はほとんどの層で拮抗(きっこう)。18、19歳を含めた20代以下は反対、30~50代は賛成がやや多かった。60代と70代以上は反対が上回った。

 

 さて大阪都構想については僅差ながらも否決で終わりました。一度は否決されながらも二度目の住民投票に持ち込まれたことを鑑みると、ほとぼりの冷めた頃に改めて都構想が持ち出されることもあるでしょうか。敗戦直後はしおらしいことを口にしているかも知れませんが、それで引き下がる人々でもないと思います。

 それはさておき住民投票の結果を左右した要因は女性票にあるようです。国政選挙などでは男性の方が投票率が高くなるイメージですが、今回は女性の方が4%ほど投票率が高く、かつ男性と比べて女性の方が反対の票を投じる傾向が有意にあり、結果として反対多数に落ち着いたものと言えます。

 まぁ大阪府も大阪市も、どちらも維新が牛耳っている中で二重行政とやらが解消しないのであれば、問われるのは大阪市の存続ではなく大阪府の与党であり大阪市の与党でもある為政者の責任ではないでしょうか。そう考えれば投票の結果は妥当です。ただ性別によって賛否が結構な割合で分かれているのは、真剣に受け止められるべきかも知れませんね。

 一方で投票者の年代については性別ほど目立った差は出ていないながらも、30~50代に賛成が多かったとか。総合すると、30~50代の男性に都構想の賛同者が多かったと言えるでしょうか。女性より男性が多く、30代から50代が主力となりますと――会社勤めの比率と相関性がありそうです。

 「ダーウィンの有名な言葉に『生き残る種は最も強い種ではなく最も変化に対応できる種だ』というものがあります」と、私の勤務先の社長はダーウィンを騙るコンサルタントの言葉で社員に変革を訴えました。とかく日本の会社では変化そのものを賛美しがち、変化とはそれ自体が良いものと扱われている気がしますけれど、皆様の勤め先はいかがでしょう?

参考、社長のありがたいお言葉

 会社社会に順応する度合いが高ければ高いほど、「変化」に対しても無条件に肯定的になりがちなのかも知れません。そうである以上は「大阪都」への「変化」は当然やるべきことであり、「大阪市」の「維持」などあり得ない――会社と価値観を同じくする人はいつだって「変化に賛成」であり、それが投票傾向にも反映されたのでは、と仮説を立ててみます。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大阪維新村

2020-11-01 22:15:36 | 政治

 この記事が読まれる頃には結果が判明しているものと思われますが、大阪都構想の是非を問う投票も行われているわけです。都構想を推す維新に言わせれば「二重行政が――」とのことですけれど、いかがなものでしょうか。大阪府、大阪市のいずれも維新に牛耳られて結構な年月を経ています。大阪府と大阪市の両方で維新が幅を聞かせているにもかかわらず二重行政の問題が解決しないのであれば、その原因を大阪が「市」として存続していることに求めるのは無理があるような気がしますね。

 年功序列や終身雇用は、もう何十年も否定され続けています。今なお両者に日本経済停滞の原因を求めたがる論者は後を絶ちませんけれど、同じ事を何十年続ければ彼らは気が済むのでしょうか? 年功序列や終身雇用の幻を長年に渡り犯人視し続けて来たにもかかわらず日本経済に浮上の兆しが見えないのであれば、そろそろ原因は別にあるとことに気づくべきと言えます。

 大阪の二重行政もまた然りで、それをずっと否定してきた維新が大阪府と大阪市を掌握してこれだけの月日が流れているにもかかわらず問題が解決しないのなら、結局は原因を取り違えているのだろうとしか考えられないところです。むしろ大阪市ではなく維新の会を解体してしまった方が何かが変わるのではないか、ぐらいに思わないでもありません。

 まぁ結果が出なければ「期待」が薄れるかと言えば、必ずしもそうではないのでしょう。北朝鮮との拉致問題に関して安倍晋三の残した「結果」は実に乏しいものでしたが、拉致被害者及び関係者との間柄は最後まで良好であったように思います。結果は出せなくとも期待を持たせることには成功している、それが維新の会であり、都構想なのかも知れません。

 そして例によって、「変化」自体に価値を見出してしまう人は多いわけです。良い方向に転じるか悪いの方向に転じるか、それを考慮せずただひたすらに「変化」を良いものと考える人も多いのではないでしょうか。普通の民間企業でも何かを変えさえすれば実績になる、もたらすものが混乱だけであったとしても「変化」さえ出来れば自身の評価は上げられる、そういう世の中ですから。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする